現状、日本は高齢者がメインの患者層であり、これから通院が困難になることは自明で、訪問歯科診療をやらない理由がない。
編集長・ユースケイシカワも歯科医師なので、訪問に行かなければならないという義務感に駆られ早速始めようと意気込んだものの、はじめ方がさっぱりわからない。
なら詳しい人に聞こうということで、訪問歯科診療のトータルサポートを行うデンタルサポート株式会社の丹澤さんに色々聞いてきた。
ユースケイシカワ(以下、イシカワ):こんにちは。今日はお願いします。
イシカワ:早速ですが、御社のサービスにある「診療コーディネーター」って何してくれる人ですか?
丹澤:基本的には、複数ある訪問先に効率的に向かうための「ルート調整」や「スケジュール管理」、また施設職員やワーカーさんとの間に入って関係構築することが主なサポート業務になります。
イシカワ:ほほう。「ルート調整」っていうのは意外ですね。言われてみれば効率化にすごく関わりそうだし、正直歯科医師が考えることではないですね。
丹澤:そうなんです。外来診療と違って決めなくてはいけないことや動きが増えるので、ドクター、スタッフの皆様が診療に集中できるように、その他の業務を巻き取るのがコーディネーターの役割になります。
イシカワ:「スケジュール管理」は施設ごとのアポ調整とかも入るんですか?20分以上とかの条件を気にしていて気づいたら分身が治療していたみたいなことも聞きますが。
丹澤:アポイントの管理もアドバイス可能です。1日のスケジュールを効率的に進めるために調整する中で、施設ごとの管理は欠かせないですからね。
イシカワ:実際に始めようと思っても、何が必要なのか、保険のルールとかも複雑でわからない(めんどくさい)と思うんですよね。教えてくれるんですか?
丹澤:もちろん、始めるタイミングからサポートして一緒に軌道に乗せていこうというスタンスでやっています。必要なものもそうですし、スタッフ向けの研修会も開催しています。
イシカワ:知識面のサポートもしてくれるんですね。あとは採算が合うか、みたいなところも院長は気になると思うんですが、どうでしょう?
丹澤:通常外来診療をしている歯科医院にとって、訪問歯科診療は行くタイミングが重要です。
丹澤:週に1回、丸1日行くのか、午前だけ週に2回行くのか、訪問する施設や居宅の件数も考慮した上で最も合理的なスケジュールがあるので、個別で相談しながら決めていきます。
イシカワ:なるほど。外来とのバランスもありますよね。
丹澤:そうですね。なのでまず始めようという歯科医院の場合は、お昼休みの1時間に行くことが多いです。外来を縮小するとリスクがあるので、できれば外来+訪問という形にした方が理想です。
イシカワ:いやー、どこまで経営に貢献するかって、院長はみんな気になるところですからね。経営面でのアドバイスもしてくれるのは心強いですね。
丹澤:始めるタイミングでは市場調査も行うので、その結果によっては訪問やめようってなることもあります。なので検討している段階でまず調査依頼をしていただきたいですね。
イシカワ:やらない選択肢も提示されるんですね。まあ、始めちゃったらそう簡単に辞められないですもんね。
訪問診療で使用する歯科器材がこちら。これを毎回持っていくのはなかなか大変だ...。
イシカワ:例えば「か強診」取りたいから訪問に行くって選択肢もありますよね。
丹澤:はい、その場合は最低ラインを目指す形になるので、あまり市場調査も必要ないですしコンパクトに始められると思います。
イシカワ:施設基準、実績さえクリアしちゃえばあとはもういっかってなりませんか?
丹澤:そう考えてしまう方もいなくはないです。ただ始めてちょっと経ったらすぐ来なくなる、というのは患者さんも困りますし、ケアマネや施設職員からの心象も非常に悪いので極力避けていただきたいですね…。
イシカワ:普通に考えてそうですよね。そんなことなら最初からやるな、と。
丹澤:歯科医院の売上も非常に大切ですが、訪問歯科診療は地域の困っている患者さんに安心してもらう、医療へのアクセスが途絶えないようにするために是非導入を検討していただきたいです。
ニーズが多いから始めてみよう、なんて甘い考えで訪問にチャレンジしようとした結果、経営を圧迫するなんてこともなくはない。
しかし社会的な意義も大きい訪問歯科診療は、より多くの歯科医院が取り組むべきだし、国の方針としても舵を切っているはずだ。だからこそ計画的に、経営と社会意義を両立する訪問歯科診療を実現するため、専門家からアドバイスを受けて始めた方がいいだろう。
デンタルサポートでは、訪問歯科診療のスタートアップをフォローする「訪問歯科スタートアップセミナー」を開催。訪問歯科診療の導入を検討している、実践しているが悩みがある歯科医院はこの機会に是非動画を視聴してみてはいかがだろうか。