謎かけが得意だ。もともと天性の才能があったのか、何らかの単語を言われれば、その場で即座に謎かけを返すことができた。
しかしそれは役に立たない才能で、実用には乏しかった。ある日、目上の歯科医師と酒を飲んでいたら、特技の話になった。私は「謎かけが得意だ」と答えた。彼は「オレがお題出すから、歯科業界謎かけやってみろよ」と言った。
無茶振りだ、と思ったが、やってみるとすんなりと歯科用語で謎かけを返すことができた。それからというもの、歯科医師と飲みに行くと歯科業界謎かけを求められるようになった。今では、あらゆる単語から歯科業界謎かけをとくことができる。単語はなんでも良い。即興でできる。
おそらく世界で最も「歯科業界謎かけ」が得意な私が、これまでといてきた謎かけの一部を、本日はご紹介したい。主に飲みの席でお題を出されることが多いので、本記事では飲み会関連の謎かけをご紹介しよう。
「自由にお題を出して」と言うと、たいていはその場にあるビールなどが題材になる。
ビールとかけまして、ラバーダム防湿とときます。その心は…「ドライに敏感(ビン、カン)」です。
ビールの「ドライ」とラバーダム防湿の目的である「乾燥」、そして「ビン、カン」と「敏感」がそれぞれダブルミーニングになっている。ぜひ「感想(乾燥)」を教えていただきたい。
ビールがある場所には、何らかの揚げ物があることが多い。唐揚げ、天ぷら、フライドポテト。何でもいいが、揚げてあるものはすべて次の謎かけでとける。例えば、鶏の唐揚げでかけてみよう。
鶏の唐揚げとかけまして、「痛かったら右手を上げてくださいね」とときます。その心は、「揚げたて(上げた手)が気になる」でしょう。
これは歯科医療者でなくとも理解できる謎かけなので、汎用性が高い。カバーできる単語の範囲も広いので、非常に使いやすい。あと5つほど、歯科業界謎かけを「取り上げて(トリ揚げて)」いきたい。
使いやすい謎かけは、カバーできる単語の範囲が広い。さらに抽象的な単語、つまり「飲み会」「メニュー」「店員」などの単語に対しては、次の謎かけで対応できる。
飲み会とかけまして、口腔底に落下した修復物とときます。その心は、「まずはつまみ出してください」。
ちなみに、修復物が口腔底に落下した際にはつまみ出すのではなく、まず「顔を横に向かせる」が対応法として正解である。
飲み会に関連して、居酒屋という単語で謎かけをといてみる。
居酒屋とかけまして、摂食・嚥下プロセスとときます。その心は、「ゴキも出る(5期モデル)」。
一文字も余らずにハマるので気持ちが良い謎かけだ。5期モデルとは摂食・嚥下の動作を構成する5つのステップで、先行期・準備期・口腔期・咽頭期・食道期に分けられる。
ゴキブリというキーワードが出たので、これに関連する謎かけをご紹介しよう。
ゴキブリとかけまして、3年放置したう蝕とときます。その心は、「捕っても不快(とっても深い)」でしょう。
これも、「とっても」と「ふかい」がそれぞれダブルミーニングになっている謎かけである。
ゴキブリが出るようなお店の店主は、たいてい頑固であることが多い。
頑固な店主とかけまして、対合が無歯顎なケースの義歯製作とときます。その心は、「バイトは取らない」でしょう。
それぞれ、「アルバイト」と「咬合」を意味する「バイト」という単語がかかっている謎かけだ。
飽きてきたかもしれないが、もう少しだけ歯科業界謎かけにお付き合いいただきたい。バイトだけに、持久(時給)が肝心である。
居酒屋に限定して謎かけをご紹介してきたが、もっと高級なお店にいる場合もあるだろう。例えば、寿司を食べている時。
寿司とかけまして、歯学部ランキングとときます。その心は、イカしか(医科歯科)無ければ怒られるでしょう。
寿司屋がイカしか出さなければ怒られるし、歯学部ランキングで医科歯科が無ければ怒られるだろう。東工大との合併により、この「ネタ」が使えるのはあと少しだ。寿司だけに。
今回は、飲み会周りの単語を中心とした歯科業界謎かけを7つ、ご紹介した。もちろん、他のテーマの単語でも、即座に歯科用語で謎かけを返すことができる。もし私と飲みに行ったら、ぜひ単語を振っていただきたい。
最近、なかなか記事を書くタイミングが取れなかったが、たまたま1D社内の雑談でこの記事のアイデアが出た。久しぶりに記事を書くことになり、治療でミスをしたけど黙っておきたい時の歯科医師の気持ちである。そう、「書く仕事(隠し事)」があるのは大変なのだ。
私の歯科業界謎かけは、最近流行している矯正治療のようなものである。まだまだ「荒いなー(アライナー)」。