「資格は持っていないけど、歯科医療従事者として働きたい!」
「将来性があり安定していて、プライベートも仕事も充実した生活を送りたい!」
このような方に人気の職業である「歯科助手」。今回はどうすれば歯科助手になれるのか、歯科助手にはどんな資格があるのか、資格の取り方なども詳しく解説していきます。
歯科助手とは、歯科医師や歯科衛生士のアシスタントとして、機材の準備や診療の補助などを行う職業です。診療のサポートだけでなく、院内の清掃や器具の消毒、お会計や次回の予約を取ったりなど様々な業務に携わり、歯科診療所において欠かせない存在です。
スキルや経験を積めば、どの歯科医院でも求められる存在になります。歯科助手の仕事を極めれば、転職活動などでも困る事はないでしょう。
英語表記では「Dental Assistant」。その頭文字から「DA」と呼ばれることもあります。
歯科助手には必須な資格や免許はないので、未経験からでも仕事に就くことができます。実際の求人でも未経験歓迎という歯科医院は多くあるので、その求人に応募して就職することで、いつでも歯科助手として業務を始めることができます。
また最近では歯科助手になるための夜間の専門学校も存在しており、他の仕事をしながら専門学校で学び、転職を有利に進めるケースもあります。学校により学べることは違いますが、おおむね履修項目は以下の通りです。
接遇マナー
コミュニケーションスキル
歯科診療概論
TC初級
カウンセリング
歯科診療補助論
歯科助手が習得てきる資格についても学べるところもあります。もちろん未経験からでも歯科助手になることは可能なのですが、資格を持つことで全国どの歯科医院からも求められる歯科助手となるでしょう。
歯科助手として有利に働く資格は多く存在しますが、その中でも代表的な資格を3つご紹介します。
歯科助手資格認定制度(日本歯科医師会)
歯科アシスタント検定試験(全国医療技能検定協議会)
歯科 医療事務管理士®(技能認定振興協会)
日本歯科医師会が歯科助手の資格認定に関する基準を定め、所定の教育訓練を修了した人を歯科助手と認定する制度です。
歯科助手の育成と資質の向上とを図り、各都道府県歯科医師会(もしくは都道府県歯科医師会が適当と認める機関)が歯科助手の教育を行っています。
歯科助手の認定は、「甲種」と「乙種第一」「乙種第二」に分けられます。条件は以下の通りです。
・甲種歯科助手訓練基準による訓練を修了した者(420時間以上)
・乙種第一歯科助手の資格を有し、3年以上の業務経験を有する者であって、補充研修訓練基準にとよる訓練を修了した者
【種第一】
主として診療室内の仕事に従事する者(52時間以上)
【乙種第二】
主として事務的な仕事に従事する者(40時間)
引用:
日本歯科医師会
これらを円滑に行っていく為に必要な歯科助手の能力を証明する検定試験です。難易度によって、1級~3級に分類されています。
試験内容程度は以下の通りです。
3級
歯科医療の基本的な知識があり、簡単な診療方法を把握している。
2級
歯科医療に対して広い知識があり、診療方法の応用が身についている。
1級
歯科医療に対する認識が深く、診療体制について正確・迅速な対応ができる。
引用:
全国医療技能検定協議会
技能認定振興協会が主催している、受付やカルテ管理、会計、診療費の請求等のレセプト業務に特化した試験に合格することで「歯科医療事務管理士」の資格を習得することができます。
法律、保険請求事務、医学一般に加え、実技でレセプトを作成する試験があります。これらの資格は必須ではありませんが、取得することで市場価値は高まり、全国どの歯科医院でも働きやすくなるでしょう。
歯科助手は、無資格でもできるため歯科診療の中でも行える範囲が限られています。医療行為を行うことはできませんが、歯科医院では欠かせない「医療事務業務」「診療補助」「カウンセリング」などの業務をこなします。
歯科助手ができる業務の範囲と、できない業務の範囲について詳しくご説明します。
予約や会計等の受付業務、カルテの管理や電話対応などを行います。
歯科医師や歯科衛生士のアシスタント業務です。機材や薬品の準備、診療中のサポートなどを行います。
案内や介助、説明などの患者様対応も歯科助手の業務に含まれます。
患者様とコミュニケーションをとり、治療の経過や症状の変化等を確認します。歯科医師や歯科衛生士に正確に伝える事により、診療がスムーズに進むでしょう。
歯科助手は国家資格が必要となる「医療行為」を行う事ができません。
レントゲン撮影
歯を削るなどの治療全般
印象採得
スケーリング
フッ素塗布
歯ブラシ指導
放射線を扱う業務は歯科医師や医師、診療放射線技師のみが行うことができます。また、歯科助手は口腔内の中で器具を操作したり薬品を扱ったりすることは禁忌です。歯ブラシ指導などの「保健指導」においては、もちろん「歯科衛生士」と名乗っての業務を行うことは絶対にしてはなりません。
歯科助手としての働き方は1つではありません。勤務先によってもとめられるスキルや経験が異なります。勤務先には何種類かありますが、今回は「歯科診療所」と「訪問歯科」について解説していきます。
いわゆる一般的な「歯科医院」です。歯科診療所での歯科助手としての業務は前述のとおりです。基本的には受付やお会計などの事務業務から、診療の補助、片付けに至るまで幅広い業務をこなすこととなります。そのため、効率的かつスピーディーな動きや細やかな気遣いができるかなどが重要となってきます。
また患者様にとって歯科助手は一番接しやすい存在であり、受付から最後のお会計までの長い時間接することになります。つまり、患者様にとっては歯科助手がその歯科医院の「顔」ということです。ですので、コミュニケーション能力や笑顔での接客が求められます。
訪問歯科とは、その名の通り歯科医院の中で診療をするのではなく、施設や自宅に訪問して診療を行う歯科医院を指します。
訪問歯科の場合は、求人に「歯科コーディネーター募集」と記載されている場合もあります。主な患者層は歯科診療所に行って受診することができない70代以上の方が多いです。したがって、ご高齢の方と接するのが好きな方や慣れている方に向いている勤務先と言えるでしょう。
歯科診療所の様にいつも整った環境が揃えられるということもないですし、限られた器具・機材で診療を行うことになるので臨機応変に動ける能力が必要となります。
実際に歯科助手として働くとしたらどのような流れになるのでしょうか。どのようなタイムスケジュールで働くのか、休みはどのくらいあるのかなどについて解説していきます。
診療時間や業務内容は歯科医院によって異なりますが、診療時間が午前9時~午後18時までの場合の基本的な歯科助手の働き方、1日の流れはおおむね以下の通りです。
歯科医院によっては診療の開始時間、診療終了の時間、休憩時間が変動します。しかし基本的には、1日8時間勤務の歯科医院が多いようです。
基本的には週に2回休日が設けられている歯科医院が多く、一週間の間に祝日がある場合は週に3日休日になる歯科医院もあります。(振替で休日だった曜日が出勤日になり、週2休みになる場合もあります。)
もちろん勤務先によって異なりますが、休みもしっかり確保できる場合が多いのでプライベートと仕事、両方を充実させたいという方や子育てしながら働きたいという方も多いのではないでしょうか。基本的には特に家で行う仕事もないので、思い思いの休日を過ごせるでしょう。
2022年1月時点の全国平均の歯科助手の年収の相場は以下の通りです。
歯科助手の平均年収は、323万円程となっています。こちらの平均年収は、厚生労働省の【令和3年度賃金構造基本統計調査】から算出しております。
パート・アルバイトの場合やお住いの地域でもでもやや変わってきますので、実際の求人を見てみることをお勧めします
現在歯科診療所の数はコンビニよりも多いとされています。そして、すべての国民が毎年歯科検診を受診することを義務付けられる「国民皆歯科検診制度」の導入が検討されているなど、日本全体で歯科に対する意識が高まってきています。
それに伴いニーズなども多様化しており、今後も歯科助手の仕事は広く必要とされるでしょう。
歯科助手として働くためには必須の資格はありません。しかし最近では、歯科助手の資格も増えてきており、専門学校で学んで転職するケースもあります。
歯科助手は、歯科診療を行う上で医療行為以外の業務を担っています。診療のサポートだけでなく、院内の清掃や器具の消毒、お会計や次回の予約を取ったりなど様々な業務に携わり、歯科診療所において欠かせない存在です。
日本全体の歯科への意識が高まってきている現在、今後も歯科助手の需要は増加することが考えられます。資格は必須ではありませんが、資格を習得し、スキルや経験を積めばどの歯科医院でも求められる存在になるでしょう。