歯科助手になるための資格とは?仕事内容から年収まで解説!

歯科助手になるための資格とは?仕事内容から年収まで解説!

小森 柚
2022年8月13日
「資格は持っていないけど、歯科医療従事者として働きたい!」
「将来性があり安定していて、プライベートも仕事も充実した生活を送りたい!」

このような方に人気の職業である「歯科助手」。今回はどうすれば歯科助手になれるのか、歯科助手にはどんな資格があるのか、資格の取り方なども詳しく解説していきます。

歯科助手とは?

歯科助手とは、歯科医師や歯科衛生士のアシスタントとして、機材の準備や診療の補助などを行う職業です。診療のサポートだけでなく、院内の清掃や器具の消毒、お会計や次回の予約を取ったりなど様々な業務に携わり、歯科診療所において欠かせない存在です。

スキルや経験を積めば、どの歯科医院でも求められる存在になります。歯科助手の仕事を極めれば、転職活動などでも困る事はないでしょう。

英語表記では「Dental Assistant」。その頭文字から「DA」と呼ばれることもあります。

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    歯科助手になるための進路とは?

    歯科助手には必須な資格や免許はないので、未経験からでも仕事に就くことができます。実際の求人でも未経験歓迎という歯科医院は多くあるので、その求人に応募して就職することで、いつでも歯科助手として業務を始めることができます。

    また最近では歯科助手になるための夜間の専門学校も存在しており、他の仕事をしながら専門学校で学び、転職を有利に進めるケースもあります。学校により学べることは違いますが、おおむね履修項目は以下の通りです。

    • 接遇マナー   
    • コミュニケーションスキル


    • 歯科診療概論
    • TC初級

    • カウンセリング
    • 歯科診療補助論

    歯科助手が習得てきる資格についても学べるところもあります。もちろん未経験からでも歯科助手になることは可能なのですが、資格を持つことで全国どの歯科医院からも求められる歯科助手となるでしょう。

    歯科助手の資格一覧

    歯科助手として有利に働く資格は多く存在しますが、その中でも代表的な資格を3つご紹介します。

    1. 歯科助手資格認定制度(日本歯科医師会)
    2. 歯科アシスタント検定試験(全国医療技能検定協議会)
    3. 歯科 医療事務管理士®(技能認定振興協会)

    それぞれについて詳しくご説明していきます。

    歯科助手資格認定制度

    日本歯科医師会が歯科助手の資格認定に関する基準を定め、所定の教育訓練を修了した人を歯科助手と認定する制度です。

    歯科助手の育成と資質の向上とを図り、各都道府県歯科医師会(もしくは都道府県歯科医師会が適当と認める機関)が歯科助手の教育を行っています。

    歯科助手の認定は、「甲種」と「乙種第一」「乙種第二」に分けられます。条件は以下の通りです。
    【甲種】
    ・甲種歯科助手訓練基準による訓練を修了した者(420時間以上)
    ・乙種第一歯科助手の資格を有し、3年以上の業務経験を有する者であって、補充研修訓練基準にとよる訓練を修了した者

    【種第一】
    主として診療室内の仕事に従事する者(52時間以上)

    【乙種第二】
    主として事務的な仕事に従事する者(40時間)

    引用:日本歯科医師会

    歯科アシスタント検定試験

    全国医療技能検定協議会が主催する、
    • 受付やカルテ整理などの事務業務
    • 診療の補助や器具の消毒、後片付けなどのアシスタント業務
    これらを円滑に行っていく為に必要な歯科助手の能力を証明する検定試験です。難易度によって、1級~3級に分類されています。

    試験内容程度は以下の通りです。
    3級    歯科医療の基本的な知識があり、簡単な診療方法を把握している。
    2級    歯科医療に対して広い知識があり、診療方法の応用が身についている。
    1級    歯科医療に対する認識が深く、診療体制について正確・迅速な対応ができる。

    引用:全国医療技能検定協議会

    歯科医療事務管理士®

    技能認定振興協会が主催している、受付やカルテ管理、会計、診療費の請求等のレセプト業務に特化した試験に合格することで「歯科医療事務管理士」の資格を習得することができます。

    法律、保険請求事務、医学一般に加え、実技でレセプトを作成する試験があります。これらの資格は必須ではありませんが、取得することで市場価値は高まり、全国どの歯科医院でも働きやすくなるでしょう。

    歯科助手の仕事内容を解説!

    歯科助手は、無資格でもできるため歯科診療の中でも行える範囲が限られています。医療行為を行うことはできませんが、歯科医院では欠かせない「医療事務業務」「診療補助」「カウンセリング」などの業務をこなします。

    歯科助手ができる業務の範囲と、できない業務の範囲について詳しくご説明します。

    歯科助手ができる業務は?

    歯科助手は、先ほどもお伝えした通り、
    • 医療事務業務
    • 診療補助
    • カウンセリング
    などの業務を主に担当します。

    医療事務業務

    予約や会計等の受付業務、カルテの管理や電話対応などを行います。

    診療補助

    歯科医師や歯科衛生士のアシスタント業務です。機材や薬品の準備、診療中のサポートなどを行います。
    案内や介助、説明などの患者様対応も歯科助手の業務に含まれます。

    カウンセリング

    患者様とコミュニケーションをとり、治療の経過や症状の変化等を確認します。歯科医師や歯科衛生士に正確に伝える事により、診療がスムーズに進むでしょう。

    歯科助手ができない業務は?

    歯科助手は国家資格が必要となる「医療行為」を行う事ができません。
    具体的には、
    • レントゲン撮影
    • 歯を削るなどの治療全般
    • 印象採得
    • スケーリング
    • フッ素塗布
    • 歯ブラシ指導
    などは業務範囲外となります。

    放射線を扱う業務は歯科医師や医師、診療放射線技師のみが行うことができます。また、歯科助手は口腔内の中で器具を操作したり薬品を扱ったりすることは禁忌です。歯ブラシ指導などの「保健指導」においては、もちろん「歯科衛生士」と名乗っての業務を行うことは絶対にしてはなりません。


    歯科助手の勤務先はどこ?

    歯科助手としての働き方は1つではありません。勤務先によってもとめられるスキルや経験が異なります。勤務先には何種類かありますが、今回は「歯科診療所」と「訪問歯科」について解説していきます。

    歯科診療所

    いわゆる一般的な「歯科医院」です。歯科診療所での歯科助手としての業務は前述のとおりです。基本的には受付やお会計などの事務業務から、診療の補助、片付けに至るまで幅広い業務をこなすこととなります。そのため、効率的かつスピーディーな動きや細やかな気遣いができるかなどが重要となってきます。

    また患者様にとって歯科助手は一番接しやすい存在であり、受付から最後のお会計までの長い時間接することになります。つまり、患者様にとっては歯科助手がその歯科医院の「顔」ということです。ですので、コミュニケーション能力や笑顔での接客が求められます。

    訪問歯科

    訪問歯科とは、その名の通り歯科医院の中で診療をするのではなく、施設や自宅に訪問して診療を行う歯科医院を指します。

    訪問歯科の場合は、求人に「歯科コーディネーター募集」と記載されている場合もあります。主な患者層は歯科診療所に行って受診することができない70代以上の方が多いです。したがって、ご高齢の方と接するのが好きな方や慣れている方に向いている勤務先と言えるでしょう。

    歯科診療所の様にいつも整った環境が揃えられるということもないですし、限られた器具・機材で診療を行うことになるので臨機応変に動ける能力が必要となります。

    歯科助手はどんな働き方?

    実際に歯科助手として働くとしたらどのような流れになるのでしょうか。どのようなタイムスケジュールで働くのか、休みはどのくらいあるのかなどについて解説していきます。

    歯科助手の一日を解説!(平日)

    診療時間や業務内容は歯科医院によって異なりますが、診療時間が午前9時~午後18時までの場合の基本的な歯科助手の働き方、1日の流れはおおむね以下の通りです。

    8:45 ー 出勤・診療準備
    9:00 ー 午前診療開始
    12:00 ー 午前診療終了・片付け
    12:30 ー 休憩
    13:30 ー 午後診療開始
    18:00 ー 午後診療終了・片付け
    18:15 ー 退勤

    このような流れになるでしょう。

    歯科医院によっては診療の開始時間、診療終了の時間、休憩時間が変動します。しかし基本的には、1日8時間勤務の歯科医院が多いようです。

    歯科助手の休日

    基本的には週に2回休日が設けられている歯科医院が多く、一週間の間に祝日がある場合は週に3日休日になる歯科医院もあります。(振替で休日だった曜日が出勤日になり、週2休みになる場合もあります。)

    もちろん勤務先によって異なりますが、休みもしっかり確保できる場合が多いのでプライベートと仕事、両方を充実させたいという方や子育てしながら働きたいという方も多いのではないでしょうか。基本的には特に家で行う仕事もないので、思い思いの休日を過ごせるでしょう。

    歯科助手の年収は?

    2022年1月時点の全国平均の歯科助手の年収の相場は以下の通りです。
    歯科助手の平均年収は、323万円程となっています。こちらの平均年収は、厚生労働省の【令和3年度賃金構造基本統計調査】から算出しております。

    パート・アルバイトの場合やお住いの地域でもでもやや変わってきますので、実際の求人を見てみることをお勧めします

    歯科助手の将来性はある?

    現在歯科診療所の数はコンビニよりも多いとされています。そして、すべての国民が毎年歯科検診を受診することを義務付けられる「国民皆歯科検診制度」の導入が検討されているなど、日本全体で歯科に対する意識が高まってきています。

    それに伴いニーズなども多様化しており、今後も歯科助手の仕事は広く必要とされるでしょう。

    まとめ

    歯科助手として働くためには必須の資格はありません。しかし最近では、歯科助手の資格も増えてきており、専門学校で学んで転職するケースもあります。

    歯科助手は、歯科診療を行う上で医療行為以外の業務を担っています。診療のサポートだけでなく、院内の清掃や器具の消毒、お会計や次回の予約を取ったりなど様々な業務に携わり、歯科診療所において欠かせない存在です。

    日本全体の歯科への意識が高まってきている現在、今後も歯科助手の需要は増加することが考えられます。資格は必須ではありませんが、資格を習得し、スキルや経験を積めばどの歯科医院でも求められる存在になるでしょう。
    小森 柚
    著者/監修者
    小森 柚
    歯科衛生士

    1994年、香川県生まれ。香川県歯科医師会立歯科医療専門学校卒業後、歯科衛生士免許を取得。香川県で2年間、岡山県で2年間臨床経験後、スモールビジネスを立ち上げ、フリーランスとして働いている。その後、株式会社F.R.Wilで、同じようにスモールビジネスを立ち上げようとしている人達の企画やレターのブラッシュアップ、SNSマーケティングを行う。2022年に当社参画。セミナーの企画や記事作成に携わっている。

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    愛され続け60年。知覚過敏ケアの定番『シュミテクト』を大解剖!

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    成人の約30%が罹患していると推計される「知覚過敏」データで見る知覚過敏知覚過敏は日常臨床においてもよく見られる症状ですが、実際に3人に1人が知覚過敏症状を経験しており1,2、若年者*に至っては5人に2人が経験しています。3*18~35歳また成人の2/3が歯周病に罹患していると言われている現代、歯周病罹患患者のうちで知覚過敏症状を発症しているとされる方は60%以上*とされています。冷たいものや甘いものを口にした際に感じる鋭い痛みは、日常生活において大きなストレスとなるため、歯周病だけでなく知覚過敏症状も現代人の口腔内の悩みとして大きい割合を占めていると言えるでしょう。*Haleon調べ知覚過敏の病理・病態カリエスがなく、しみるという訴えがあるとき「知覚過敏」と一言でまとめてしまいがちですが、その定義はエナメル質が摩耗したり歯肉が退縮することによって象牙細管が露出することで生じる一過性の疼痛で、刺激(主として熱,脱水,擦過,浸透圧,化学的刺激)を加えることにより短く鋭い痛みを発するのが特徴です。知覚過敏が発症するケースは多岐に渡りますが、開口した象牙細管の内部にある組織液がさまざまな刺激により動くことにより、閾値が下がり、鋭敏となった象牙細管内の神経終末や象牙芽細胞が興奮し痛みが生じるという動水力学説が一般的に考えられています。Hys症状改善方法の違い知覚過敏の発生機序から考えて、症状改善方法として3つの方法が考えられます。1つめは結晶物を析出させたり、レジン系やグラスアイオノマーセメント系の材料で行う「象牙細管の封鎖」です。次に、グルタールアルデヒドとハイドロキシエチルメタクリレート(HEMA)などを主成分とする各種製品やレーザーなどにより「タンパク質を凝固させることにより細管内組織液が動かないようにする」方法があります。この2つが主にオフィスケアで用いられている方法です。3つめの方法である「知覚鈍麻(閾値上昇)」に関しては、硝酸カリウムを主として有効成分とする製品が知られています。オフィスケア用の製品もありますが、そのほとんどが歯磨剤としてセルフケア用に使用されており、予防も含め、ホームケアとして有効成分が含まれた歯磨剤を普段から使用することによって適切な効果を発揮していきます。市場に溢れる知覚過敏症状の抑制効果を謳った各種材料は、いずれも上記のどれかが(複数の場合もあり)採用されています。参考資料1.Addy M. Int Dent J 2002; 52:367–375.2.Ipsos Claimed Penetration Omnibus. January, 2015.3.West NX et al. J Dent 2013; 41:841–851.知覚過敏には患者さんのセルフケア習慣化も重要なぜセルフケアが重要なのか?適切な診断のもと、知覚過敏症状に対する正しい原因除去を行うことができればほとんどの症状は治まりますが、現実には処置後も続く患者の訴えに困ることもあるかもしれません。そのようなときには、繰り返し同じ知覚過敏症状を抑制する製品を使用したり、異なる製品を用いるしか方法はないのでしょうか?実は、知覚過敏症状を抑制するためには効果的な順番があり、その順序を守らないと望ましい効果が得られないのです。まずは「知覚鈍麻」させた後に「凝固」させ、それから「象牙細管の封鎖」を行うというプロセスで行うのが望ましいでしょう。凝固や象牙細管の封鎖に関する処置を行なった後に知覚鈍麻を行なっても、効果は十分に期待できず、治らない症状に対して次の手がなくなり困ることになるかもしれません。そのため、患者さんの日々のセルフケアによる知覚過敏に対するアプローチも重要になってくるのです。セルフケアの原則は「歯磨き」知覚過敏の主な原因のひとつとしてプラークコントロールの不良が挙げられますが、プラークの付着は象牙細管の開口に関わるため適切なセルフケアによるプラークコントロールは知覚過敏症状抑制の原則となります。また、軽度の知覚過敏症状であれば、酸性食品、飲料の摂取を控えて適切なプラークコントロールを行えば自然に治癒する場合もあり、予防も兼ねて知覚過敏ケア効果のある歯磨剤を使用して歯磨きを行うことが知覚過敏に対する基本的な対処法として考えられます。知覚過敏ケアの定番『シュミテクト』『シュミテクト』は、知覚過敏の症状を予防するための歯磨剤で、海外では『Sensodyne(センソダイン)』と呼ばれ、世界中で高く評価されています。知覚過敏用の歯磨剤の市場規模が拡大する中、『シュミテクト』は特に注目されるブランドであり、2024年1月時点で、18年間連続で売上を伸ばし、市場をリードしています。*歯がしみるのを防ぐ「硝酸カリウム」や、歯肉の炎症を抑える「グリチルリチン酸モノアンモニウム」、う蝕予防に役立つ「高濃度フッ素1,450ppm」も含まれており、知覚過敏症状だけでなく、歯周病、口臭、ホワイトニング、う蝕といった多様なオーラルケアニーズにも対応しています。*インテージSRI+ハミガキ市場2023年5月~2024年4月累計販売金額シェア(「シュミテクト」シリーズ計)『シュミテクト』研究員にインタビュー『シュミテクト』の歴史と『シュミテクトプラチナプロテクト EX』の開発秘話今回は、Haleonジャパン株式会社のオフィスに実際に伺い、研究開発担当の中谷 遼太朗氏に、『シュミテクト』の歴史と、新商品の『シュミテクトプラチナプロテクトEX』の開発秘話についてお伺いしました。Haleonジャパン株式会社 研究開発担当 中谷 遼太朗氏── まずは、シュミテクトの歴史について教えていただけますか?はい、シュミテクトの歴史は非常に長いです。まず、1961年にアメリカとイギリスで『Sensodyne original』として誕生しました。その後、1980年に、硝酸カリウムを含む初の歯磨剤『Sensodyne F』が登場し、臨床的に知覚過敏症状抑制効果が証明され、画期的な製品として大きな注目を集めました。1992年には、日本で初めて硝酸カリウムを配合した『シュミテクト』が発売され、それ以来、多くの方に愛用されています。さらに進化を続け、2024年3月には『シュミテクトプラチナプロテクトEX』が新たに発売されました。── 新製品『シュミテクトプラチナプロテクトEX』の開発に至った背景をお聞かせください。ワンディー株式会社 編集部・高橋 佳奈これまでのシュミテクト製品は、知覚過敏症状に対する有効成分として硝酸カリウムを主に配合していました。従来の製品でも十分に効果を発揮していましたが、より広範囲のユーザーに効果を届けたいという思いから、今回の『シュミテクトプラチナプロテクトEX』では新たに、有効成分の乳酸アルミニウムを加えました。これにより、より幅広いニーズに応えることができる、さらに効果的なケアを実現する製品が完成したと考えています。『シュミテクトプラチナプロテクトEX』の特徴とエビデンス── 『シュミテクトプラチナプロテクトEX』の主な特徴について教えていただけますか?先ほどもお伝えしたのですが、『シュミテクトプラチナプロテクトEX』は、硝酸カリウムと乳酸アルミニウムという2つの有効成分を配合しています。硝酸カリウムは歯髄神経の過敏性を鎮めることで、内側からの知覚過敏症状を軽減します。一方、乳酸アルミニウムは露出した象牙細管の穴を塞ぎ、唾液中のリン酸イオンと結びついてリン酸アルミニウムとして結晶化し、外側からの刺激を防ぎます。Haleonジャパン株式会社 メディカルアンドサイエンスアフェアーズ オーラルヘルス研究員 金山 昌氏このダブルの効果により、「鈍麻」と「封鎖」の両面から知覚過敏にアプローチします。さらに、寝ている間が知覚過敏ケアに有効な時間であることに着目し、こちらの『プラチナ プロテクトEX 集中ナイトケア』を開発しました。就寝前に使用していただくことで、長時間有効成分が歯にとどまり、象牙細管をしっかり封鎖し、外からの刺激を防ぎます。この他にも、歯周病予防のために、抗炎症作用を持つ「グリチルリチン酸モノアンモニウム(MAG)」、う蝕予防として「高濃度フッ素」が含まれており、知覚過敏の症状を防ぐだけでなく、歯周病やう蝕予防にも効果的なケアが行えます。── 『集中ナイトケア』の効果を示すエビデンスはありますか?ナイトケア製品は、象牙細管の封鎖効果が8時間後に2倍以上増加することが研究データで確認されています。このデータは、ナイトケアとして就寝前に使用することで、長時間にわたり知覚過敏をケアできることを示しています。さらに、これだけではなく、当製品は耐酸性の効果も持ち合わせています。酸性のクエン酸溶液を用いた実験では、封鎖物が流されず、酸に対して強い保護層が形成されることが証明されました。── 製品の信頼性については、どのような点が重視されていますか?当社では「信頼されるサイエンス」を理念に掲げ、科学的根拠に基づいた製品開発を行っています。法律で義務付けられていないことでも、品質保証のために社内の厳しい基準を設けています。たとえば、私たちの歯磨剤は全て、品質保証期間を通じて、フッ素がう蝕予防に有効な形(遊離フッ素)として製品に存在することを担保しています。また、新たに配合した乳酸アルミニウムは酸性の成分ですが、歯磨剤のpHをを中性に保ちながら有効成分の効果を最大限に発揮できるように設計されています。これは高度な技術であり、成分同士の相互作用を考慮しつつ効果を保つためのバランスを取ることが求められます。このような徹底した品質管理と研究開発の取り組みが、実際に製品を使用したお客様から「効果を実感した」「知覚過敏症状が改善した」といった評価を得ることにつながっていると考えています。Haleonヘルスパートナーに登録する3つのメリット!Haleonヘルスパートナー(旧:GSKヘルスパートナー)ではオーラルヘルス、特にセルフケアに関する知識を深めるためのコンテンツや、歯科医療従事者の日々の臨床をサポートする情報を提供するプラットフォームです。著名な講師が登壇。臨床に役立つ情報をウェブ講演会で無料配信!象牙質知覚過敏症、歯周病、義歯安定剤や義歯洗浄剤、口腔内装具用洗浄剤に関するウェブ講演会を無料でご視聴いただけます。過去のウェブ講演ダイジェスト 動画もご覧いただけます。 患者さん用無料サンプルでセルフケアを習慣化!診療がスムーズに患者さんのセルフケア習慣化をサポートするための患者さん用製品サンプルをご依頼いただけます。歯磨剤(シュミテクト・カムテクト)や義歯安定剤、義歯・口腔内装具用洗浄剤などインターネットから簡単に患者さん用サンプルをオーダーいただけます。日々の臨床にお役立てください。製品情報と患者さん用資材ダウンロード製品情報や、セルフケアの指導に活用していただける患者さん用資材をダウンロードいただけます。ぜひ、こちらよりアカウント登録をして申し込んでみてはどうでしょうか。無料で登録する
    1D編集部
    2024年9月27日
    「8割の歯科医師が将来性を感じている」。訪問歯科診療の実態調査を実施

    「8割の歯科医師が将来性を感じている」。訪問歯科診療の実態調査を実施

    DSヘルスケアグループ(代表・CEO:寒竹 郁夫)のデンタルサポート株式会社(本社:千葉県千葉市、代表取締役:草深 多計志)は、1D会員の歯科医師に対し「訪問歯科診療に対する意識調査」アンケートを実施した。調査内容期  間:2024年5月30日~2024年6月30日対  象:「1D」に会員登録している歯科医師有効回答:419名調査方法:WEBアンケート60%以上の歯科医院が訪問歯科診療に取り組んでいる一方で、訪問先施設への加算協力の実施は半数以下。約80%の歯科医師が「訪問歯科診療はまだ伸びる」と将来性を感じていると回答した。調査の詳細は以下の通り。調査結果の概要① 訪問歯科診療の実施状況60%以上の歯科医院で訪問歯科診療を実施しており、担当医は理事長・院長が多い。訪問メンバーの構成は歯科医師+歯科衛生士が多い。歯科衛生士が口腔ケアのみで訪問している歯科医院は約30%約60%の歯科医院が、訪問先施設への加算協力をおこなっていない。② 訪問歯科診療の実施に感じている課題は、器具機材の準備と体制整備。③ 約80%の歯科医師が「訪問歯科診療はまだ伸びる」と将来性を感じている。調査結果の詳細訪問歯科診療の実施状況60%以上の歯科医院で訪問歯科診療を実施している。月に1回以上実施している歯科医院の割合は46.8%。医院として訪問歯科診療の実地状況訪問の際のメンバー構成訪問歯科診療の担当医口腔ケアのみで歯科衛生士が訪問しているか訪問先施設への加算協力の現状機材は何を準備しているか(実施日数別の持参機材)開始するにあたって大変だったこと<訪問の際のメンバー構成><訪問先施設への加算協力の現状>訪問歯科診療を実施するうえでの課題<訪問歯科を実施している医院>現在の課題実施状況に満足しているか<訪問歯科診療を実施していない医院>60%以上の歯科医院は、これから新たに訪問歯科診療を始めることを考えていない。始めたいと思う条件は「経営にプラスになるなら」。訪問歯科診療を始めたいと思うかどのような条件であれば始めたいか始めるにあたっての疑問点・不安<訪問歯科診療への考え方>訪問歯科診療への熱量(関心度)将来性をどのように考えるか訪問歯科診療の勉強会で学びたい内容<訪問歯科診療の将来性>アンケート結果の全文はこちら
    1D編集部
    2024年9月5日
    勝ち組院長はやっている、訪問歯科診療の集患対策〜医業収入UPに必要な考え方と勝ち筋〜

    勝ち組院長はやっている、訪問歯科診療の集患対策〜医業収入UPに必要な考え方と勝ち筋〜

    現在、高齢者の要介護者は75歳以上の5人に1人となり、そのために通院が困難になり、多くの歯科クリニックで高齢者の来院数が減少している。患者の減少を防ぐために、歯科医院経営においては外来診療だけでなく、訪問歯科診療を活用することが重要だと考えられるが、訪問歯科診療の導入はハードルが高いと感じる歯科医師も多く、なかなか活用できていない現状がある。そんな中、2024年4月24日にデンタルサポート株式会社歯科事業部コンサルティングチームの丹澤淳二講師より、訪問歯科診療での”勝ち方”についての講演が行われた。本記事では、訪問歯科診療のおける患者を増やし医業収入を伸ばす方法として、認知度を高める介護サービスの理解連携を図るなど、講演で語られた重要なポイントをかいつまんで紹介する。訪問歯科診療で勝つ=患者が集まる歯科医院ビジネスにおいて、売り上げを上げるための考え方は次の公式で表せる。集客×成約×単価=売上訪問歯科診療に当てはめると、「集客=認知を高める必要がある」「成約=紹介を受けて問い合わせに繋げる」「単価=結果として診療をすることになる」と理解する必要がある。まず、集客の部分でもっとも大切な「認知」だが、訪問歯科診療を全く知らない患者に向け、どう情報提供し認知度を高めるかがポイントになる。外来と訪問の違いを理解する認知度を高めるためには、私たち歯科医療従事者が「対象患者・診療場所・患者説明・保険種類・ 診療点数」の5つを例に、外来と訪問の違いを理解しておく必要がある。外来対象患者・・・通院できる人診療場所・・・院内治療説明・・・患者本人保険種類・・・医療保険診療点数・・・初診再初診(267点・58点)訪問歯科診療対象患者・・・通院できない人診療場所・・・介護施設、病院、自宅など治療説明・・・患者本人、家族、施設のスタッフや本人を取り巻く関係者保険種類・・・医療保険、介護保険など診療点数・・・歯科訪問診療料(1,100点・410点・310点・160点・95点)異なる点も多いが、まず「診療場所」と「治療説明」に着目してほしい。介護施設や病院であれば、施設長や生活相談員、ケアマネジャー、医師や看護師、自宅であれば、他医療従事者や介護事業者など、患者(ひとり)に対し、歯科の必要性を理解してもらわなければならない。また歯科医療者側は患者に提供されているサービスを個別に把握する必要がある。そしてそれぞれに合った歯科医療の提供と他職種との連携が必須だ。介護サービスの理解前述の通り、訪問歯科診療における患者は基本的に介護サービスを受けており、その理解は非常に重要になる。主に提供されている介護サービスは大きく3つに分けられる。居宅施設地域密着型それぞれの詳細は以下の通りだ。居宅サービス訪問サービス訪問介護訪問入浴介護訪問看護訪問リハビリテーション居宅療養管理指導通所サービス通所介護通所リハビリテーション短期入所サービス短期入所生活介護短期入所療養介護施設サービス介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)介護老人保健施設介護療養型医療施設(2024年3月末に廃止、4に統合)介護医療院特定施設入居者生活介護地域密着型サービス訪問・通所型サービス小規模多機能型居宅介護夜間対応型訪問介護定期巡回・随時対応型訪問介護看護認知症対応型サービス認知症対応型通所介護認知症対応型共同生活介護(グループホーム)施設・特定施設型サービス地域密着型特定施設入居者生活介護地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)その他のサービスとして、福祉用具貸与特定福祉用具販売住宅改修費支給居宅介護支援(ケアプラン)がある。このような多種多様なサービスを個々の要介護者が利用している。全てを把握する必要はないが、患者として訪問する対象者がどういったサービスを受けているかを理解し、それぞれの対応が求められる。介護サービスを理解し、複数のサービス事業者へ広報することで認知を広がり、集患につながるため訪問歯科診療を始めるにあたって欠かせないポイントだ。集患の鍵は多職種との連携サービス事業者等の認知を獲得できたとして、どう紹介してもらうかが集患の具体的な鍵になる。「多職種に歯科の必要性は理解されているか?」この課題に対しては歯科医院からの情報提供不足も原因だと考えられている。また厚労省調査より、歯科治療や口腔管理が必要だと判断された要介護高齢者は64.3%だったが、過去1年以内に歯科受診した要介護者はわずか2.4%に止まり、居宅系サービスにおいて歯科治療が必要な利用者57.8%に対し、73.8%は定期的に歯科を受診していないという結果がみられた。以上のことから、訪問歯科診療の必要性が理解されていない、歯科医院が多職種と連携できていないため需要に対して明らかに供給不足となってしまっていることが分かる。この課題を解消するために、外来で取り組める施策として院内掲示用ポスターの設置、告知用パンフレット、ダイレクトメールや情報交換誌などを活用することが大切だ。周囲との連携を図り、認知を拡大することで家族や知人を経由した紹介に繋がり、集患にレバレッジを聞かせることができる。認知を高める×連携を図る=患者紹介この効果を意識した対策をデンタルサポート株式会社では提案している。訪問歯科導入PLAN設定で売上up!これから訪問歯科診療を導入する先生及び、すでに訪問歯科診療を導入している先生が訪問歯科診療で他院との差別化し、どれくらいの売上を得られるか、デンタルサポート株式会社では緻密なシミュレーションのもと提案している。デンタルサポート株式会社では過去にも多くのシミュレーションと改善実績を誇り、様々なケースにおける歯科医院をサポートしてきた。本記事を読んで、もっと医院の売上を伸ばす方法を探したい訪問歯科診療における集患について学びたい施設・職員との連携や取り組みについて詳しく知りたいといった疑問や興味が沸いた先生は、ぜひ下のボタンからお申し込みいただきたい。無料で相談する
    1D編集部
    2024年8月15日

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