初めての歯科医院やかかりつけの歯科医院に定期検診へ行くと、ほとんどの方が歯周病の検査をされたことはあるのではないでしょうか。
プロービングとはどのような検査なのか、本記事では詳しく解説していきます。
プロービングとは、プローブとよばれる専用の器具を使用して歯肉溝を探る検査です。
主に定期健診で行われる検査で、チクチクした痛みが苦手という方もいますが、歯肉に炎症が見られなければそれほど痛みは強くならない傾向にあります。
プロービング検査では、歯周ポケットの深さや炎症・歯石の有無が分かります。数値が高ければそれだけ歯周病が進行しているということになり、4mm以上から歯周病と診断されます。出血は、歯周ポケット内で炎症が起こっている証拠です。
器具をスムーズに動かせない場合は、歯面に歯石が付着している可能性があるため除去が必要です。毎回同じ場所に歯石がみられる場合は、磨き癖があると考えられるためブラッシング指導で改善を図ります。
歯周病の早期発見・早期治療に役立ちます。数値化することで、患者様にも歯周病を意識してもらいやすくなるでしょう。また歯石のつきやすい部位を特定できることから、的確なブラッシング指導が可能となり、セルフケアの改善が大いに期待できます。
歯肉の炎症が強い場合は、プロービング検査時の痛みが強くなったり出血を伴ったりする傾向にあります。歯周病の進行具合を知るためには無くてはならない検査であることを、診査前に十分に説明を行い、患者様に十分理解してもらう必要があります。

プローブを歯周ポケット内に挿入し、深さを測定します。1〜3mmであれば問題はなく、4mm以上になると歯周病と診断されます。1本につき何カ所か測って、一番深い所を記録するのが一般的です。
歯周病が進行して出血が多い方の場合は、プローブの目盛りを確認するのが困難になるため、血液を洗い流したり、脱脂綿で拭き取りながら記録をとります。痛みに弱い方の場合は、休憩をはさみながら行うと、患者様の負担を和らげることができるためおすすめです。

歯肉ポケット内でゆっくり器具を動かして、歯石の有無を確認します。この際プローブを持つ手に必要以上の力が入らないよう、十分に気を付けてください。歯石が確認された部位を記録し、検査後のクリーニングで除去します。
次回の検査のときに記録を見返して同じ部位に歯石があれば、ブラッシング指導で分かりやすくアドバイスし、改善を図ります。

最後にプローブを抜いた後に出血があるかを確認します。出血が見られれば、ポケット内の細菌が活発化している証拠です。歯周病の進行を止めるには、出血しない状態を維持する必要があります。クリーニング後の最終ケアとして、歯周ポケット内に炎症止めの薬を注入する場合もあります。
プロービングは誤差が生じやすい検査であるため、基本的に毎回同じ歯科衛生士が担当して記録していきます。誤差をなくすためには「心理状況の考慮」「プローブの種類の統一」「エックス写真の確認」「圧と持ち方を統一」この4つをチェックまたは守る必要があります。
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現役歯科衛生士が伝授!プロービングで誤差を抑える6つのコツ歯周病を防ぐには、歯科医院で行うプロフェッショナルケアだけでなく、患者様自ら行うセルフケアの両方が必要です。
テーパー毛を使用した歯ブラシは、歯周ポケットに毛先が入りやすく、毛先が柔らかいことから歯ぐきを傷つける心配がほとんどありません。歯と歯ぐきの境目に毛先を斜めに当てるバス法で、丁寧に磨くことが大切です。
たとえ出血があっても痛みのない出血は歯ぐきの炎症によるものであるため、あまり気にする必要はありません。細菌が含まれる血液を外に出すことで清潔な血液が循環し、歯肉が引き締まりやすくなります。
歯ブラシのみでは全体の6割程度しか汚れを落とすことができません。歯間ブラシとフロスを使用することでより除去率を上げることができます。
歯周病に罹患している場合は、歯間ブラシを通すとほぼ確実に出血がみられ、慣れていない患者様であれば衝撃を受ける方も少なくありません。
クリーニングやブラッシング指導時の出血は、施術者のテクニック不足と捉える方もいることから、出血がおこる理由を分かりやすく説明する必要があります。
糖の摂取量が多いと、歯周病の原因である菌が増殖しやすくなります。できるだけ影響の少ないオリゴ糖やキシリトールをおすすめし、その違いについても分かりやすくお伝えします。
睡眠時の歯ぎしりや食いしばりも歯周病を悪化させる原因であるため、マウスピースの作製・使用をおすすめします。保険指導では患者様の生活習慣の見直しにつながるアドバイスを行い、歯周病の予防・治療に役立てます。
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プロービングは歯周病の進行度を知るための基本検査です。検査をはじめて経験する患者様の場合、チクチクした痛みをともなうことを知らない方がほとんどなので、不快な気持ちにさせないよう事前にお伝えしておくことをおすすめします。
また検査の結果を治療に活かすには、誤差がでないための工夫が欠かせません。治療効果の有無を正しく把握するためにも、検査のコツを掴んでおくことが大切です。