今回は、成績がよくない方・なかなか伸びない方の特徴と原因をなるべく具体的に説明しようと試みました。
その試みの中で分かってきたことは、自習と講義の使い分けがうまくいっていない学生やどちらかをおろそかにしている学生は成績が伸びにくいということでした。
もちろん今回の内容が全ての学生に当てはまるわけではありません。これは今まで関わってきた学生たちのことを振り返り、そこから導き出されたぼくなりの考えです。少しでも読んでくれた人の参考になれば幸いです。
まず重要になってくるのが「点と線」という考え方です。前回取り扱った内容ですが、大切なことなのでもう一度。
勉強を大きく分類すると自習と講義の2つに分けられます。自習とは、自宅で教科書(参考書)を読んだり問題集を解いたりすることです。講義とは、大学や予備校で聴講するもの。今ではYouTubeやZoomでのオンライン講義も一般的になりました。
受験生がしている勉強はこの2つに分類されます。そして成績を伸ばすためには、2つの使い分けが大切です。どう使い分けるかというと、自習は点(知識)を増やすためのものであり、点の状態を確認作業するためのもの。講義は点と点を線にするためのもの。として使い分けると良いと考えています。
成績が伸びにくい学生は、真逆のことをやっていることが多いです。自習中に点と点をむすびつけようとしたり、講義で単純知識を増やそうとしたり。ではどうして自習と講義で使い分けた方が良いのか、その理由を説明します。
・教科書や参考書を読んで、未知(知らないこと)を明らかにし知る
・まだ覚えていない内容(不出)をノートや付箋にまとめる
重要なことですが、自習は点(知識)を増やす&確認するためのものです。
よく「歯科国試では論理的な考察が大切だ」と聞きます。では、論理的な考察とはどのようなものでしょうか?
1step:点を増やす(単純な知識)2step:点と点がつながり線となる(少し複雑な知識)3step:線の数が増えて面となる(論理的な思考力)という3つの工程を経て論理的な考察というものは可能になると考えています。
ですから、知識が線や面となるためにも点の数は絶対的に必要です。点の数が不足していると、そもそも線になることはありません。点の数が足りない状態で論理的な考察は不可能です。
例えると、コーヒーの知識がない人がコーヒーの品評会をするようなものです。豆の原産地や焙煎具合、挽き方やドリップ方法など、そうした点(単純知識)がたくさんなければ、どのコーヒーが美味しいのか論理的に説明することは難しくなり、ただ「美味しい」と感想を述べることしかできません。(もちろんコーヒーは嗜好品なのでそれで十分ですが)
論理的思考力を培うために、点(単純知識)の数は絶対的に必要になります。そういった理由から、自習では点を増やすことに注力したほうがいいのです。
では講義の役割とはどのようなものなのでしょうか?ぼくは、講義とは点と点をつなげて線にするためのものだと思います。
そもそもですが、点と点を結ぶ行為(線)はひらめきに近いものです。自習中に机の上でうーんと唸りながらひらめきを得るのは難しいと思います。
優秀な学生は、自習時間でどんどん知識が線に置き換わっていきます。これはそもそもの点(単純知識)の数が多いからです。また前回内容の「学びの構え」が備わっている場合も多いです。
「いいアイディアを思いつけ」と言われて一生懸命考えたところで生まれませんよね。(これが自習時間で、点と点をつなごうとしないほうがいい理由です。)
点と点がつながって線になったときって、「あ、そういうことか!」という快感があると思います。そうした経験は一人で籠っているときにやってくる確率は低い。
もちろん、国家試験を解くときにそのたびにひらめけ、と言っている訳ではありません。そんなことは現実的ではありません。しかし点と点がつながり線となる体験を何度も繰り返していくことで、知識の厚みが増え、論理的な思考が可能になっていきます。
そしてそうしたひらめきを得ることが、講義を聴講する目的だと考えています。講義は、専門家が行うものです。ということは普段の自分の視点とは違った角度から解説されます。自習しているときには、気がつかないような内容が取り扱われることもあるでしょう。
そういった新鮮な情報が伝わると、これまでの自習で培った点が結びつきやすくなります。(もちろん、点と点が結びつくためにも、普段の自習で点の数を増やしておく必要はありますが)これが講義の役割です。
ここまでの話から、成績がよくない方・なかなか伸びない方の特徴が見えてきたと思います。つまり、成績が振るわない方はそもそもの点の数が少なすぎるので線にならない。
点の数が少ない→講義が理解できない→退屈で聞く気が起きない、という悪循環にハマってしまいます。
もう一つのパターンとして、自習ばかりやって講義を聞かないタイプが挙げられます。これでは点ばかり増えてしまい、論理的な思考力が培われることがありません。留年や浪人を繰り返しているひとに見られやすい傾向です。
自分の考え方で過去問を解くのですが、その考え方が凝り固まっている場合が多いです。講義を真剣に聞かないので考え方が修正される機会が少なく、さらにドツボにハマっていきます。結果、選択肢の消去がうまくできるようにならず、いつも同じような問題で間違えてしまう。
こういう人の特徴として、重箱の隅をつつくような知識ばかりが堆積してしまい、「詳しいし、いつも勉強しているけどなんか点数がパッとしない人」になっています。こういった状況に陥らないためにも自習と講義は1セットだと考え、それぞれの役割を把握しながらどちらも大切にする。こうすることで効率の良い学習が可能になると思うのです。
今回の内容が少しでも皆様にお役に立てば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
第116回歯科医師国家試験を受験される方向けの「夏期講習」を8月に開催します。講師には歯科国試予備校・DENTAL YOUTH主宰、キレ味あるわかりやすい講義に定評がある上原秀一先生を起用。講義1コマは人間の集中力の限界を考慮し、40分に設定。
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