【1D的セミナーログ】再根管治療は "除去" がいのち。

【1D的セミナーログ】再根管治療は "除去" がいのち。

1D編集部
2021年11月17日
先日、1Dでは吉岡俊彦先生(日本歯内療法学会専門医)による「再根管治療は除去がいのち〜治療の成否を決める、ガッタパーチャ除去のコツ〜」と題するWebセミナーが行われた。


本記事では、同セミナーの模様をお伝えしよう。さらに学びたい方は、下記ボタンから講義動画を視聴できる。ぜひご視聴いただきたい。



ガッタパーチャ除去はむずかしい。

ガッタパーチャ除去はむずかしい。吉岡先生の講義は、ガッタパーチャ除去の難しさについての話題から始まった。続いて、歯内療法に関連する言葉・単語の定義付けを行なった。私たちが日常臨床で誤用している言葉、例えば "瘻孔" という用語は、以前から日本では "fistel" という用語が使用されているが、正しくは"sinus tract" である、などだ。正しい用語を用いることは物事を正しく理解するための第一歩である。

今回の講義は、3つのセクションに分けられた。1つ目のトピックは「再根管治療をするのか、しないのか」について、2つ目のトピックは「根管形態に対する理解」について、3つ目のトピックは「ガッタパーチャ除去」についてであった。それぞれのトピックを詳しく見ていこう。

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放映予定の1D歯科動画

    再根管治療する・しないの判断基準とは?

    再根管治療をするか、しないかの判断は、再根管治療のリスクとベネフィットをまずは考慮する必要がある。再根管治療の成功率は60%程度と高くなく、明確な基準を設けた上で行うことが重要である。

    それでは、吉岡先生自身はどのように再根管治療の判断を行なっているのか。先生からは「3つの基準の柱」についての説明があった。1つ目の柱は「症状の有無」、2つ目は「根尖病変の有無」、3つ目は「再補綴の必要性の有無」である。

    それぞれの項目について検討を行い、再根管治療を行うのか、それとも咬合調整や投薬のみに留めるのかなど明確な診断基準で治療を行う重要性を強調していた。また、病変がある程度の大きさであっても破折歯でなければ十分に治癒が可能であることも合わせて説明された。


    イスムスやフィンなどの根管形態を理解せよ!

    2つ目のトピックである "根管形態の理解" は、根管への初回エントリー時に大多数の歯科医師が見落としている解剖学的構造についての話であった。

    具体的に言えば、イスムスやフィンについて解剖学的に発生しやすい歯種について、またはその治療法についてであった。


    日本とアメリカでの根管治療に対する意識の違い

    いよいよ本セミナーのメイントピックである "ガッタパーチャ除去" の話題である。まずは先生から、日本とアメリカでの根管治療に対する意識の違いについての解説があった。

    日本では、根管治療のうち再根管治療が多くを占めており、歯内療法の専門医では再根管治療が9割であった一方で、アメリカでは再根管治療は全体の1割程度で、初回治療が大半を占めている。

    これは、日本とアメリカの保険制度の違いや抜歯・インプラントへの意識の違いが関与しているのではないかとのことであった。したがって、日本で根管治療をする際は、再根管治療のスキルを習得することが非常に重要だということである。

    再根管治療を行う際の4つのチェックポイント

    セミナーの後半で、"根管治療は、根管内に何を入れるかではなく何を取り出すかが重要である" という言葉が示された。

    再根管治療についてはまず、ガッタパーチャを除去するというハードルが存在する。文献的に、ガッタパーチャは除去しても体積で23~70%程度は根管壁に残存してしまう。

    残存しているガッタパーチャは感染源であるから、可能な限り除去する必要がある。そのため、再根管治療を行う上で、デンタル上で下記の4項目の検討を行なった上で治療を開始すべきである。

    1. ガッタパーチャが疎か密か
    2. 根管の太さ
    3. 根管の湾曲度

    上記の4項目により、使う器具や器具の使い方を変えるべきである。また、実際に治療をする上で初回治療と2回目の治療でどのようにステップを分けて治療すべきかなど、具体的に踏み込んだ話も行われた。

    【期間限定】セミナー動画の視聴が可能です

    本セミナーは、1Dでアーカイブ視聴が可能である。本記事を読んでさらに再根管治療について学びたいと感じた先生方は、下記ボタンから講義動画を視聴できるので、ぜひご視聴いただきたい。

    1D編集部
    著者/監修者
    1D編集部

    1D編集部は、臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士で構成されています。歯科業界の最新ニュースから歯科医療の臨床・学術情報、歯科医療者のためのライフスタイル記事まで、歯科医療の専門家の視点で、ただしく・おもしろいコンテンツをお届けします。

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    「患者が減るから」で、2040年を語っていませんか?――先に足りなくなるのは、診る側かもしれない

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    2040年問題という言葉が対談の主題に置かれます。画面に出る定義は「日本の少子高齢化や人口減少により2040年頃に深刻化すると予測される社会経済問題の総称」。出演者はまず、時間の近さを確かめます。まもなく2026年を迎える。つまり2040年まで15年を切った、と。この話題は、歯科医院では「人が減る」つまり「患者が減る」という形で受け取られがちです。ところが対談は、そこで止まりません。減るのは患者だけではない、という指摘から始まります。患者も減る。ただし、減り方が速いのは歯科医師のほうだ出演者が根拠に挙げるのは、厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師統計です。もう歯科医師が減る時代ですよ、と言ったうえで、一方で患者も減るんですよ、と続けます。そのうえで置かれるのが、この記事の背骨に当たる一文です。患者の減り具合に対して、歯科医師の減り具合のほうが大きい。理由として語られるのは、年齢構成です。歯科医師は一般の人口に比べて年齢の高い層が厚く、その層がこれから引退していく。だから歯科医師は足りなくなっていく、という順序になります。なお、動画のなかでは平均年齢の具体的な数値も語られますが、統計の数字とは一致しないため、ここでは数値としては扱いません。使えるのは「引退期に向かう層が厚い」という構造のほうです。構造そのものは確かめられます。令和6(2024)年12月31日現在の同統計で、歯科医師の総数は103,652人。前回の令和4年調査から1,615人、率にして1.5%の減少でした。歯科医師が増え続ける時代はすでに終わっており、減少は予測ではなく、直近の調査で起きたことです。画面には「特に地方における歯科医療の安定的な提供体制が揺らぐ可能性がある」というテロップが添えられます。足りなくなり方は、地域ごとに同じではない対談はここから地域の話に移ります。地方はそもそも歯科医師がいない、もうできていますもんね、という短いやりとりがあり、無歯科医地区の話が出ます。車を運転できなくなるといった事情も重なって、受療の機会そのものが失われることが起こる。もう本当にどうしようもないような状況がある、とも言われます。この点は一次資料で確認できます。厚生労働省の令和7年度の調査(令和7年10月末日現在)で、無歯科医地区は全国で750地区、そこに暮らす人は196,640人でした。前回の令和4年度調査は784地区・188,647人ですから、地区の数は34減った一方で、そこに住む人は7,993人増えています。地区が減ったから解消に向かっている、と読める数字ではありません。ただし、この数字は「地方で開業すべきだ」という話ではありません。対談でもそういう勧め方はされていません。ここで押さえておきたいのは、同じ「歯科医師が足りない」でも、都市部と無歯科医地区では意味がまったく違うということです。出演者はのちほど、東京の都心部と北海道の無歯科医地区では、という並べ方でこの差に触れています。「患者が減る」より先に起きるのは、「来られない患者が増える」対談の後半に、もう一段の言い換えが出てきます。外来に来られない患者さんが絶対に増えるわけですよ、という一文です。人口が減っても、高齢の人や持病を抱えた人の割合は増える。その人たちは歯科の必要がなくなるのではなく、歯科医院まで来られなくなる。出演者はここで、供給が足りていない領域だという見方を示します。後期高齢者や要介護の人も含めて、必要としている人の数に対して診る側が足りていない。だから放置されている患者さんがたくさんいるわけですよ、と。ここで語られているのは、需要が消えるのではなく、需要が外来という形では現れなくなる、という変化です。なお、対談のなかで有病者の割合を示す具体的な統計は提示されていません。この部分は出演者の見立てとして受け取るのが妥当です。ただ、見立ての向きは前半の話と一貫しています。診る側が減っていくところへ、外来では拾えない患者が増えていく。主戦場が変わる、という言い方その先で出演者が使うのが「主戦場」という言葉です。居宅における訪問診療の推進が政策のトピックになっていることに触れ、そこが主戦場になると思うんですよね、と言います。2040年になった時を想像すると、基本、主戦場は訪問ですよ、と。極端な言い方として、すべての開業医が訪問診療に行くくらいの心持ちで、という表現も出てきます。もちろん、若い人向けの治療も予防管理も大事だという断りは入っています。外来をやめるという話ではありません。変わるのは重心です。そしてこの重心の移動は、医院ごとの思いつきではなく、制度の設計に沿っているというのが対談の整理です。画面には「これからの時代は地域包括ケアシステムでしかないんですよ」というテロップが出て、すべての医療政策の根底にあるのは地域包括ケアという思想だ、と説明されます。団塊の世代が75歳以上となる2025年を目処に、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体で提供し、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けられるようにする。その枠組みに、歯科も参画する側として入っていくことになります。出演者が挙げる2040年以降の方策は、地域包括ケアシステムと訪問診療、そしてDXの三つでした。15年を、待つ時間ではなく準備する時間として使う対談の締めくくりで出演者が言うのは、この15年でしっかりと地盤を固めて、自分たちも含めて地域包括ケアに参画していかなければならない、ということでした。学生時代に覚えた用語として通り過ぎるのではなく、自院の仕事として置き直す、という意味です。2040年という数字は遠く見えますが、15年後に自分が何歳で、そのとき今の患者が何歳になっているかは、すぐに計算できます。今の患者のうち、通院がだんだん難しくなっている人は誰か。その人が来られなくなったとき、どこへ引き継がれるのか。近隣の在宅医療や施設と、名前の分かる関係があるか。地域で誰がどこまで担っているかを知っているか。こうした問いに答えを用意することが、訪問診療の件数を増やすことと同じではありません。対談も、訪問を始めれば医院が安泰になるとは言っていません。言われているのは順序のほうです。診る側が減り、来られない患者が増えるという前提を先に受け入れておけば、2040年が来てから慌てずに済む。15年という残り時間は、その前提に合わせて自院の形を変えるには十分な長さで、何もしないまま過ごすには長すぎます。元動画を見る【2040年問題】歯科医師が生き残るためには(2025年11月20日公開)
    1D編集部
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    「年収1億円」、それは年商の話になっていませんか?――1億円の手前にあるのは、腕ではなく医院の規模

    「年収1億円」、それは年商の話になっていませんか?――1億円の手前にあるのは、腕ではなく医院の規模

    歯科医師は年収1億円に届くのか。対談でこの問いが出たとき、出演者の一人が「億単位のお金を稼ぎたい」と口にします。すると、もう一人がすぐに聞き返します。年商ですか、と。返ってきた答えは「所得が1億円になりたい」でした。
    わずか数秒のやりとりですが、この記事の論点はここに尽きます。年収1億円という言葉は、医院に入ってくるお金の話としても、自分の手元に残るお金の話としても使えてしまう。どちらで話しているのかを決めないまま「1億円は可能か」を論じても、答えは出ません。出演者はこの先、所得のほうで話を進めます。
    「1億円」を所得と決めた瞬間、必要な年商が決まる
    対談は、そこから逆算に入ります。出演者が置く前提はひとつだけです。年商のだいたい20%を自分の役員報酬にする、と設定した場合。これは業界の平均値として示されたものではなく、話を単純化するために出演者がその場で置いた仮の数字です。記事としてもそのまま持ち出すべきではありませんが、逆算の道筋を見るには足ります。
    この前提を置くと、年収1億円には年商5億円の歯科医院が要る、という結論が出ます。出演者はここで、あなたが超スーパードクターだったとしても、どんなに高く自費診療を売っても、と付け加えます。腕前の話をいったん脇に置いても、割り算の答えは変わらないからです。5億円という数字について、出演者自身が「5億円もなかなかいかない」と言っています。
    月4,000万円を診療日で割ると、1日いくらになるか
    年商5億円を月に均すと、だいたい4,000万円ちょっと。それを診療日で割ると、1日当たり約200万円になります。対談ではこの数字が出たところで「お〜」という声が上がります。年商5億円は遠い目標として聞こえますが、1日200万円に割り戻すと、自分の診療室の風景と比べられる数字に変わるからです。
    ここで出演者が挙げるのが、開業医が一人でユニット3台を回している状態です。その形で診療を続けているかぎり無理だ、というのが対談の結論でした。理由は腕でも診療単価でもなく、1日に確保できる枠の数です。逆にユニットが10台ある規模なら年商5億円は見えてくる、という見立ても示されます。ただしこれは、全員が歯科医師ではないこと、自費が上乗せされることを含んだ概算で、実際の点数や単価まで詰めた試算ではありません。
    腕を磨いて増えるのは、医療収入のほうである
    対談の終盤で、出演者は別の角度から同じことを言います。歯科医師は勉強して腕を磨けば自費の売上が上がる。医療収入を上げようと思えば、いくらでも上げられる仕組みになっている、と。
    これは、腕を磨く意味がないという話ではありません。ただ、腕によって動くのは医院に入ってくるお金のほうであり、それが自分の所得になるかどうかは別の設計に依存します。冒頭で年商と所得を分けた理由が、ここで効いてきます。自費が伸びても、そのぶん人と設備が増えていれば、手元に残る割合は変わりません。1億円を所得で語ると決めた以上、追うべき指標は売上ではなく、売上のうち何%を自分の報酬として取り出せるか、という構造のほうになります。
    「プレイヤーではなく経営者として」という言い方
    では、どうすれば規模のほうを動かせるのか。対談で示される道は、組織を大きくしていくしかない、というものです。特に地方で、人が定着し、定期管理が回り、必要な処置がきちんと自費につながる医院をつくる。そのうえで規模を積み上げる。画面には「プレイヤーではなく経営者として組織を大きくする力が求められる」というテロップが出ます。
    さらに上を見るなら、分院展開をして自分が理事長となり、役員報酬を上げていく方法もある、と出演者は言います。そして「経営者に脱皮しないと、年商10億円というものにはいかないでしょうね」と続けます。ここで語られているのは、より多く診療する話ではなく、診療する人を増やして、その全体から自分の報酬を取り出す立場に移る話です。対談では、そもそも開業そのものが最初の壁として一つある、とも確認されています。
    なお、診療者のままでも高い収入に届く働き方は存在します。対談では、週2日で来ているフリーランスの矯正医の例が挙がりました。ただしこれは出演者が人づてに聞いた金額で、一次資料の裏づけはありません。そういう働き方があるという範囲で受け取るのが妥当です。
    1億円を目指さない院長にも、この逆算は使える
    この対談が扱っているのは、年収1億円という極端な目標です。多くの院長にとっては自分の目標ではないでしょう。それでも、逆算の手順そのものは目標額を入れ替えれば同じように使えます。ほしいのは所得か年商か。所得なら、年商の何%を自分の報酬として取り出す前提なのか。その前提で必要な年商はいくらか。それを診療日で割ると、1日いくらになるか。最後に、その1日を今のユニット数と人員で受けきれるか。
    この順番で降りていくと、足りないのが腕なのか、枠なのか、人なのかが分かれます。出演者が繰り返し言っていたのは、どんなに高く自費を売っても割り算の答えは変わらない、ということでした。売上を伸ばす工夫の前に、自分がどの数字を目標にしているのかを言い直してみる。対談の出発点にあった「年商ですか?」という問い返しは、1億円を目指さない医院でも同じように効きます。
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    歯科医師は年収1億円稼げるのか(2026年2月5日公開)
    1D編集部
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    「衛生士がいないから」で、求人を出し続けていませんか?――応募が集まる医院が変えているのは、終わる時刻と昇給の道すじ

    「衛生士がいないから」で、求人を出し続けていませんか?――応募が集まる医院が変えているのは、終わる時刻と昇給の道すじ

    求人票を出す。反応がない。しばらく置いて、また同じ文面で出し直す。歯科衛生士の採用について、対談で最初に確認されるのは、この繰り返しがなぜ続くのかという点です。出演者は、採用を支援する会社は世の中にいくらでもあるけれども、歯科医療者を雇う採用はそれらと同じやり方では進まないと言います。免許を取ったうえで、あえて別の仕事を選ばなかった人だけが対象になるからです。声をかけられる相手は、最初から限られています。
    出演者の一人は、自分が分院長だったころを振り返ります。衛生士がいたので採用に力を入れていなかった、求人票がたまに届いて、それをたまに見る程度だった。そのうえで、あのとき本気で採りにいっても全然採れなかったと思う、と続けます。ここから対談が向かうのは、募集の出し方ではなく医院そのものの条件です。挙がるのは、給与、勤務時間、福利厚生の三つでした。
    入り口の給与は、思っているほど低くない
    対談はまず、歯科衛生士の給与は安いのか高いのか、という問い直しから始まります。出演者が置く目安は初任給30万円です。四年制大学を出て上場企業に就職しても、初任給30万円なら「ちょっといい」ほうに入る。専門学校や短期大学からその水準に届く職種は、そう多くありません。入り口の条件だけを比べるかぎり、歯科衛生士は不利な職業ではない、というのが出演者の見方です。
    ここは押さえておく価値があります。応募が来ない理由を「うちは給料が安いから」で片づけると、直す場所を間違えるからです。なお実際の相場は地域や雇用形態で動きますし、動画で出演者が個人的に調べたとする数字は出典が示されていないため、本稿では金額としては扱いません。
    上がらないのは文化ではなく、設計の結果
    では何が問題なのか。出演者が挙げるのは、入り口ではなくその後です。歯科医院の売上は保険診療が中心で、そこから払える給与には上限ができる。結果として、初任給は悪くないのに、そこから上がっていかない。10年働いて100円上がった、という例え方まで出てきます。出演者はこれを「昇給の制度が整っていない」ことがお金の課題なのだと整理し、給与が低いから辞めるというより、上がらないから辞めるのだと述べます。
    ただし出演者は、だから一生上がらないという話ではない、とも言います。衛生士が担う処置や継続的な口腔管理が医院の売上を生むのであれば、その分は返せるはずだ、という主張です。動画では、そうした管理を評価する算定の仕組みにも触れられます。ここは制度の要件まで説明されてはいないので、自院で使えるかどうかは一次資料で確かめる必要があります。それでも出演者の結論ははっきりしていて、衛生士の給与は上がらないというのは文化ではなく、経営と算定の設計で変えられるはずだ、まず院長が考えることだ、と言い切ります。
    金曜の夜に、その席にいてもらうということ
    二つ目は勤務時間です。夜7時半、8時まで働きたい人はいない、という当たり前のところから話は始まります。出演者は自分の経験として、いまも毎週金曜日は歯科医院での勤務があり、そのあと街に出ると、明日休みの人たちが飲んでいるのを見ることになる、と話します。歯科医師として働いていたころは、それがかなり応えたとも言います。
    歯科医院の週末は、一般の会社とずれています。土曜は朝が早いことが多く、衛生士は診療が終わってからも片付けが残る。同年代が休んでいる時間に働き続けるのが、この仕事の標準になっているわけです。給与の話とは別に、この負担は毎週効いてきます。求人票の文面を何度書き換えても、ここが動かないかぎり比較の土俵に上がれない、というのが出演者の見立てです。
    夜が長くなったのは、患者が望んだからとは限らない
    なぜ遅くまで開けることになったのか。出演者はその経緯を、次のように見ています。地域に歯科医院が1軒しかなければ手が回らない。そこに後から参入した医院が、あそこが閉まっている時間なら自分が開けようと考える。最初は患者への配慮でもあり、経営戦略でもある。ところが隣がやっているからと対抗が始まると、診療時間を延ばす競争になる。患者の側も、8時まで開いているなら7時に行けばいいと動きます。もし全国の歯科医院が5時までしか開けていなければ、患者はその時間に合わせて来るはずだ、というのが出演者の指摘です。つまり、伸びた分のうちいくらかは、患者の必要ではなく医院同士の事情かもしれない。
    これは出演者の見立てであって、検証された数字ではありません。夜の診療をやめろという話でもない点は本人が明言しています。昼間に来られる人を大事にする医院も、夜に来る人を狙う医院も、どちらも成り立つ。もったいないのは、どちらとも決めないまま漫然と遅くまで開けている状態のほうだ、というのが主張です。周囲には5時で予約を締める医院の例もあり、診療時間を短くしても売上が変わらなかったという話、求人に「早く終わる」と書くと応募が集まるという話も紹介されます。いずれも伝聞なので、確かめるのは自院の数字です。そして短縮するなら、どの時間帯の患者を手放すのかを先に決めておくことになります。
    戻ってくる枠があるか、黒髪でなければならないか
    三つ目の福利厚生で、出演者が具体的に挙げるのは復職の受け皿です。産休や育休の制度があったとしても、子どもは2時ごろには帰ってきます。だからフルタイムでの復帰は現実には難しく、時短やパートでの復職が実際には多くなる。そうした枠を当たり前のものとして持っている医院なら、と出演者は言います。歯科衛生士は離職したまま戻っていない人が多い職種で、業界としては戻ってきてほしい。その受け皿を先に用意しておけば、採用に困らなくなるはずだ、という順番です。
    もう一つ、身だしなみの規定にも話が及びます。最近はネイルをしていいか、髪を明るくしていいかと相談されることが増えた。出演者は、患者も普通の人であって、自分自身も見た目を大きく変えたときはむしろ好印象だった、と話します。ネイルについては診療で手袋をする以上そもそも影響しにくい、明るい髪を禁じているのは自費中心の医院のほうがむしろ厳しい、といった具体も出てきます。世の中が多様な見た目を受け入れる方向に動いているなかで、それでも黒髪しか認めないと決めているなら、その決まりが採用に見合っているかを考えるべきだ、というのが結論です。
    出演者自身は、最後に「だいぶ偏った個人の見解」と断っています。それでも三つに共通しているのは、いずれも他院の事情ではなく自院で決められることだ、という点です。求人票の文面を直す前に、何時に終わるのか、何年後にいくらになるのか、一度抜けた人が戻れるのかに、自分の言葉で答えられるかどうか。答えが去年と同じままなら、文面をどう変えても返ってくるものは同じかもしれません。
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    【採用】歯科衛生士が「働きたい」と思えるクリニックの特徴3選(2025年7月10日公開)
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    「誰かが出ればいい」で、電話を回していませんか?――歯科医院のDXで先に減らせるのは、担当の決まっていない仕事

    「誰かが出ればいい」で、電話を回していませんか?――歯科医院のDXで先に減らせるのは、担当の決まっていない仕事

    診療の途中で受付の電話が鳴る。受付に人はいない。衛生士は患者の口の中に手を入れている。結局、手を止められる誰かが出る。それが院長のこともあれば、その日いちばん経験の浅いスタッフのこともある。
    1Dの対談動画「歯科医師の仕事を劇的に減らすためのDX3選」は、予約・顧客管理、受付と電話対応、教育という三つの領域を順に扱います。ただ、製品を三つ並べた回ではありません。出演者が冒頭で「ただ単にデジタル化するんじゃないぞ」という話だと前置きし、世の中の変化と歯科の現場との「乖離を埋めるべく」三つを用意したと言うとおり、通っているのは道具の話ではなく、誰の時間が何に使われているかという話です。ここでは、その視点から三つを読み解きます。
    「手が空いている人」が、毎回同じ人になっていないか
    対談がいちばん具体的になるのは、電話の場面です。出演者は、自分がアルバイトをしている歯科医院では人が少なく、電話が鳴れば自分も出ると言います。誰も出られない状況になれば、衛生士が出ることもある。そして「クソ無駄なわけですよ、あんなの」と言い切ります。
    無駄だと言われているのは、電話応対という仕事そのものではありません。処置の途中にいる人間が手を止めて受話器を取る、という割り当てのほうです。電話番という役割が誰にも振られていないと、その仕事は「そのとき手が空いていた人」に落ちます。そして医院の中で手が空きやすい人は、たいてい毎回同じ人です。
    これは出演者自身の勤務先での経験談であり、医院一般の実態を測った調査ではありません。ただ、自院に当てはめて確かめることはできます。今週、診療を中断して電話に出たのは誰で、何回だったか。その回数を数えている医院は、あまり多くないはずです。
    待たせているのは、目の前の患者だけではない
    出演者は同じ場面で、この状態は「患者さんとしても良くないし」とも言い添えます。ここは見落とされやすい指摘です。
    人手の話は、たいてい院内の負担として語られます。スタッフが疲れる、院長の時間が削られる。けれど電話が鳴っている瞬間、待たされている人は二人います。処置を中断された目の前の患者と、呼び出し音の向こうで待っている患者です。手の空いた人が出るという運用は、この二人のどちらを待たせるかを、その場の成り行きで決めているのと同じことになります。
    対談が示す方向は、電話対応をAIに置き換えて「無人化」することでした。出演者はこれを「DXにもっと近づく」踏み込みだと位置づけています。ここからは編集部の整理ですが、置き換えを検討するかどうかにかかわらず、誰がいつ出るのかを決めること自体は、道具を入れなくても動かせる部分です。
    「漏れが怖い」で人に戻す前に、確かめられることがある
    自動で電話を受ける仕組みに対して出てくる反応も、対談は先回りして取り上げています。「アポ漏れ怖いから、もう人がやった方がいいです」。これに対する出演者の答えは、「やってみてください」でした。
    説明されている仕組みは、電話が来たら通知が届き、用件を尋ねる、という範囲にとどまります。留意しておきたいのは、対談が示しているのはここまでだという点です。導入した医院で予約の取りこぼしが何件減ったといった数字は出てきません。効果が測られて示されたのではなく、試す価値があると言われている段階の話です。
    そう読むと、判断の仕方も変わります。入れるか入れないかではなく、どこまでなら任せて確かめられるかを決める。時間外だけ、特定の用件だけを任せ、取りこぼしが起きたかどうかを人が見る。対談の「やってみてください」は、その意味でなら自院の手順に置き換えられます。
    置き換える順番は、動画の中で示されている
    三つのうちどこから手を付けるかについて、対談は明確です。予約と顧客の管理は「DXの一丁目一番地」であり、画面のテロップも「顧客・予約管理のDX化は最優先でやるべき」と示します。理由として挙がるのは、変えた効果を実感しやすい領域だという点です。
    同時に、出演者は移行の難しさも認めています。今のやり方に慣れているほど、従来のままのほうが楽だと感じてしまう。だから移行は「もう『エイヤ』でやるってことしか」ない、という言い方になります。踏ん切りの問題として語られているわけです。
    そのうえで対談には、導入が終わったかどうかを測る一文が置かれています。「紙からデジタルに置き換えただけではDXって呼ばない」「デジタルによってオペレーションが変わらないと」。つまり、システムが入った日ではなく、これまで人がやっていた手順のどれかが実際になくなった日が、区切りになるということです。入れたのに忙しさが変わらないと感じるなら、確かめるのはこの一点になります。
    院長が減らしたいのは、自分の仕事か、医院の仕事か
    三つ目は教育です。ここで対談の視点は、院長個人からスタッフ側へ移ります。画面には「セミナーに行かなくても勉強できる時代になった」とあり、出演者は院長側の目線では自分が学ぶことよりも、スタッフに何をどう学ばせるかの話になると整理します。衛生士がどう立ち回るとよいのか、歯科の知識がまったくない人が最初に見るべき基本的な内容は何か、といった具合です。
    そのうえで「『何を学ぶか』が大事なわけですよ」と続きます。見られる本数が増えること自体は、ここでは価値として扱われていません。何を選んで渡すかが院長の仕事として残る、という整理です。
    期待される結果として、対談はリコールが戻るようになる、勤務医や衛生士が自費の治療を担えるようになる、といった例を挙げます。これらは見通しとして語られたもので、学習を提供すれば得られると保証されたものではありません。ただ、教育を「受けさせたかどうか」ではなく「誰が何をできるようになったか」で見るという測り方は、そのまま自院に持ち込めます。
    予約管理、電話対応、教育。扱う場面は違いますが、対談が三つに共通して当てているのは、決まった担当のないまま誰かが引き受けている仕事です。電話は手の空いた人が取り、予約台帳は書ける人が書き、勉強は本人のやる気に任されている。何を買うかを考える前に、自院で担当の決まっていない仕事を書き出してみる。減らせるかどうかの判断は、そこからのほうが具体的になります。
    本記事は1D公式YouTubeの対談を要約・再構成したものです。見出しは逐語引用ではありません。「」内は動画の画面字幕の表記に沿っています。電話やAIの運用に関する具体的な進め方は、動画の論点をもとに編集部が整理しました。
    元動画を見る(2025年10月2日公開)
    1D編集部
    2026年9月27日
    「土地が高いから、都市の開業は高い」で片づけていませんか?――同じ点数表で売る商売で、費用だけが場所で変わる理由

    「土地が高いから、都市の開業は高い」で片づけていませんか?――同じ点数表で売る商売で、費用だけが場所で変わる理由

    開業資金の話は、たいてい金額から始まります。4,000万か、5,000万か、1億か。数字を並べて、自己資金がいくら足りないかを数える。
    1Dの開業資金をめぐる対談は、その順番を一度止めます。動画の途中には「開業費用がかかる理由について」というテロップが入り、金額そのものより、その金額が決まる仕組みのほうに時間が割かれます。そこで出てくる結論のひとつが、都市型の医院は高くなる宿命にある、という見立てです。しかも理由として挙げられるのは地価ではなく、競争が激しいこと、そのものです。
    競争が激しいほど安くなる。それが起きない市場がある
    対談は、まずビジネス一般の話から入ります。競争相手が多い市場は難しい。ただし普通の商売なら、そういう場合には価格競争が起こり、競争が激しいから値段が安くなるという市場原理が働く、と出演者は説明します。
    ところが歯科では、そこが違う。診療報酬は公定価格として存在するので、値段を下げるという手が最初から使えないからです。患者の窓口負担の割合も一定で、報酬の歯科点数表のテーブルがある以上、どこで開業しても同じ値段で売ることになります。
    値下げが競争手段にならない市場で、競争だけが激しくなる。すると競争は、価格以外の場所へ移ります。これが以降の話の背骨です。
    値下げで競われない分、設備と広告で競われる
    出演者が挙げる移り先は、設備投資です。どう差別化するかとなったとき、設備投資に競争の優位性を見出す、あるいは自費診療に向かう。銀座の一等地で開業すれば近くに何軒も歯科医院があり、うちの治療は高度でいい治療なのだと示すために、そのための高い機材を買うことになる、という順序で語られます。
    具体例として口に出るのは、CTを入れれば1,000万ほどはするという話や、Class B滅菌といった設備です。内装も、都市型ならこだわったほうが患者が来る感じがするし、綺麗なほうがいいのだから必然的に高くなる、と続きます。広告も同じで、患者の獲得コストは競争相手がいればいるほど高くなる、という説明です。
    だから逆のことが起こる――値段が下がる代わりに、かかる費用のほうが上がっていく。これが「都市型の方が高くなる宿命にある」という言葉の中身です。
    ここは出演者自身が、公共料金などの理屈に対する仮説が歯科医療産業にも当てはまるだろう、という言い方をしています。検証された数値ではなく構造の見立てであり、CTの金額も出演者が挙げた例であって相場の提示ではありません。
    変わるのは建物の値段ではなく、「付け足し」の数
    では都市と地方で、何がそこまで違うのか。対談の答えは、少し意外なところに着地します。建材費や、建物を建てるという意味では、実は都市部も地方も変わらないかもしれない、というのです。
    差を生むのは、そこから先。アドオン、つまり付け足しがどれだけあるかによって変わっていく、という整理です。付け足しが少ない地方型の開業なら4,000万から5,000万で十分に良い感じにできるのではないか、と語られます。一方で都市型なら1億円も余裕でかかってくる。5,000万から1億という幅が、目処として示されます。
    前提に置かれているのは、ユニット5台程度で始める場合という条件です。同じ5台でも都市型と地方型ではだいぶ違うから分けて考えたい、と出演者は言います。裏を返せば、一般的な相場だけを調べても自院の金額は出てきません。ユニットを何台置くか、そのうえで何をどこまで付け足すか。その二つが決まって初めて、数字は動きはじめます。
    売値は同じなのに、費用だけが場所で変わる
    この二つを重ねたところに、対談で最も切れ味のある指摘が出てきます。点数表があるので売る値段はどこでも同じ。けれども土地は、港区と地方では比べものにならない。出演者は自身の地元である千葉県を引き合いに出し、タダ同然で売られているところもある、と話します。
    これはある種、逆の非対称性だ、と出演者はまとめます。普通なら、高く売れる場所ほど費用も高い。歯科では売値が動かないまま、費用だけが場所で上下する。
    ここから先は編集部の整理です。都市で開業するという判断は、売値が同じまま費用の高い側を選ぶ判断でもあります。その差を何で埋めるのかは、物件を決める前に言葉にしておきたいところです。患者数なのか、自費の比率なのか、診療の回転なのか。動画は回収方法までは踏み込んでいませんが、問いの形はここではっきりします。
    なお対談では、地方のほうがこれから有利になるという見通しも語られます。ただし根拠として挙がる制度の話は出演者自身が伝聞だと認めているため、本記事では扱いません。
    「借りられる」と「返せる」は、同じ答えではない
    資金の集め方について、対談の立場ははっきりしています。基本は借りるのが一番ベターだろう、というものです。日本政策金融公庫からの融資もあるし、民間の銀行やローカルの銀行も貸してくれる。歯科医院という業態の安定性からお金は借りられるよね、という感覚は実際そのとおりだと出演者も認めます。補助金や助成金も、ある種お金を借りるのと一緒で、分割で払っていく形なのだから、うまく使えばいい、と続きます。医院を譲り受ける、いわゆるM&Aも選択肢のうちだ、という話も出ます。
    問題はその次です。融資を受けられることと、返せることは別だ、という指摘がここで入ります。都内で1億円を借りて開業しましたとなったときに、本当に返せるのかというところが少し心配だ、と出演者は言います。
    開業直後は、判断が鈍りやすい局面でもあります。最初は銀行口座にたくさんお金があるので大丈夫に見える。けれども初月、2か月目、3か月目と残高は減り、赤字になる可能性もある。そこから患者を集め、関係性をつくり、長期的に管理していければ経営は安定する、というのが対談で示される道筋です。
    これは、うまくいけばこうなるという筋道であって、そうなることの保証ではありません。むしろ読み取るべきは、借入額を決める時点では、返済が始まったあとの数か月分がまだ存在していない、ということのほうです。
    自己資金をいくら貯められるかは、開業資金の問いの一部でしかありません。値下げできない市場で、どこまで付け足すのか。その付け足しを、いくらで借りて、何年で返すのか。金額を調べる前に決まっているべきなのは、この順番のほうです。
    本記事は1D公式YouTubeの対談を要約・再構成したものです。見出しは逐語引用ではありません。金額や設備の例は出演者の発言に基づくもので、相場や制度の提示ではありません。具体的な準備方法は、動画の論点をもとに編集部が整理しました。
    元動画を見る(2025年10月9日公開)
    1D編集部
    2026年9月26日

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