先日、1Dでは管野 貴浩先生(島根大学医学部歯科口腔外科講座教授)による「ライブ動画で学ぶ 口腔外科小手術 コツとヒント集」と題するWebセミナーが行われた。当日は多くの歯科医師が参加し、「開業医でも行える小手術」というテーマに対する注目度の高さが伺われた。()

本セミナーでは、口腔外科の手術手技を大きく5つにカテゴライズし、動画をベースに解説を行うスタイルでの講演となった。1つ目は抜歯手技について、2つ目は歯根嚢胞摘出と歯根端切除について、3つ目は自家歯牙移植について、4つ目は粘液嚢胞について、5つ目は軟組織小手術についての内容であった。


抜歯手技について

抜歯手技については、主に智歯抜歯に関する説明であった。下顎智歯は切開の要点、振り子のイメージでの歯冠分割、ヘーベルの3秒ルールなど、管野先生の長年の経験に基づいた重要なエッセンスが伝えられた。

また、上顎智歯に関しては視野が得られにくいなか、しっかり切開から脱臼までの一連の流れを説明され視覚的にも非常にわかりやすくポイントが伝えられた。

歯根嚢胞摘出と歯根端切除について

歯根嚢胞摘出と歯根端切除については、根尖の側枝について、器具ごとの予後、充填材料について文献と併せて説明された。次いで動画では実際に切開の行い方、弁の剥離を行い方、鋭匙の使い方、ガーゼでの剥離の行い方などの実践的な内容かつその他の手技でも用いられるエッセンスが説明された。

実際に根の分割の際は、根尖から削去してしまいそうだが、クラックが生じてしまうため、長さを決めたら横に切り落とすべきである、との起こりうるエラーについてもフォローされた。

自家歯牙移植について

自家歯牙移植は、文献的に90%以上の成功率を誇る非常に有意性の高い手技である。セミナーでは、左上8を左下6部に移植する症例を示しながらの解説となった。

移植の際に根形態が合わない場合は、骨を削去し、対合歯と接触させないことの重要性と事前の画像評価が重要であることが話題に上った。また、アドバンスな症例としては、上顎の移植はサイナスリフトと併用した移植を行うことがしばしばあるとのことであった。

粘液嚢胞について

粘液嚢胞は臨床的分類として2種類あり、幼児や小児においては自然消失することもあるため経過観察する選択肢もあるとのことだ。

セミナーでは、下唇粘液嚢胞に関して、軟組織の切開に重要なカウンターリトラクションについて、組織を牽引する側の手の使い方について、創部縫合のためのポイントなどを中心に解説があった。その後、下唇の局所解剖と偶発症や鑑別疾患についてのレクチャーがあった。

軟組織小手術について

軟組織小手術では、特に舌小帯形成術と頬粘膜腫瘍切除について的を絞っての解説となった。舌小帯切除では舌下の局所解剖に言及しながらメスの入れ方について説明された。また、良性腫瘍については紡錘形の切開線の印記など基本的事項から電気メスでの止血まで説明が行われた。

講演後は非常に活発な質疑応答がなされ、管野先生は時間ギリギリまで14個の質問に答えてくださった。なかでも抜歯の基本的な手技についてや、偶発症が生じた際の対応などの質問が多く見られた。全ての質問には回答することは出来なかったが、明日の臨床から実際に使っていける充実したセミナーとなったことだろう。
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