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「指しゃぶり」していた子どもはアレルギーになりにくい?

文・構成:Haruki Takizawa | 投稿日: 2021年04月13日
編集注)本記事は指しゃぶり(吸指癖)を奨励する記事ではありません。

指しゃぶり(吸指癖)は、紛れもなく不正咬合の原因である。吸指癖によって歯が押され、上顎前歯の唇側傾斜、下顎前歯の舌側傾斜、開咬が起きるばかりではなく、舌が低位になることにより、上顎歯列弓の狭窄や臼歯部の交叉咬合が起きる。

しかし、指しゃぶりをしていた子どもは、その後の人生でアレルギー疾患にかかりにくくなるという仮説を唱えた研究がある。

指しゃぶりでアレルギー疾患にかかりにくくなる?

ニュージーランド・オタゴ大学のボブ・ハンコックス准教授らの研究チームは、2016年に米国のPediatric誌で発表した論文において、吸指癖や弄爪癖がアレルギー性の疾患を防いでいるのではないかという仮説を唱えている。

研究では、ニュージーランドで1972〜1973年に生まれた子供・1037人を対象に、5歳から32歳までの追跡調査を行った。

研究対象者のうち、幼少期に吸指癖や弄爪癖があったのは31%で、13歳時点でアレルギー反応があった子どもは45%であった。小児期に吸指癖もしくは弄爪癖があった者ではアレルギー反応は40%に減少し、吸指癖と弄爪癖どちらも認めた者に至ってはアレルギー反応が31%に減少した。その一方で、吸指癖・弄爪癖いずれの習癖もない子どものアレルギー反応は49%と、習癖を認めた子どもよりも高かった。

また同様に、32歳時点での調査においても、習癖のあった子どもは低いアレルギー発症率を維持していた。

指しゃぶりを促すものではない

「衛生仮説」という言葉がある。今日、世界中でアレルギー性疾患が増えているのは、近代化・都市化により人々の生活環境が清潔になったことが原因であるとする仮説だ。

衛生仮説の機序はこうである。新生児期のナイーヴT細胞は生育期の環境において、抗原と接触し、徐々にTh1細胞やTh2細胞に分化していく。この過程において、細菌、ウイルス由来の分子が存在した場合、樹上細胞は強く刺激されTh1細胞へと分化する。しかし無菌的環境の場合はTh2細胞へと分化する。生育期を過ぎるとナイーヴT細胞の比率は下がるので、Th1細胞とTh2細胞のバランスが大きく変化することがなくなる。

このことにより、清潔な環境で育つほど、Th2細胞が増えて、液性免疫が細胞性免疫より有意になりアレルギー性疾患にかかる可能性が増えるということだ。本研究を率いたハンコックス准教授は「この結果は、衛生仮説を裏付けるものだ」と語っている。

しかしその一方で、「本当に指しゃぶりの癖などが健康に寄与するかはまだ未解明で、指しゃぶりなどを奨励するものではない」と注意を促している。

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参考文献

  1. Lynch, S. J., Sears, M. R., & Hancox, R. J. (2016). Thumb-sucking, nail-biting, and atopic sensitization, asthma, and hay fever. Pediatrics, 138(2).
  2. Thumb-suckers have fewer allergies later in life, nzherald.co.nz, <URL>
  3. 呉艶玲, 山崎暁子, 毛暁全, & 白川太郎. (2006). アレルギーと衛生仮説. 化学と生物, 44(1), 21-26.
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