
イギリスの消費者団体 Which? は先日、近年若者の間で広がりを見せている「自宅でできる歯のホワイトニングキット」を検証し、消費者が期待するほどの効果は無いとの結果を公表した。歯科用のホワイトニングキットとは異なり、自宅でできる家庭用のホワイトニングキットの有効成分濃度はあまりにも低すぎると指摘している。
ホワイトニングは世界的な流行を見せており、今回の舞台となったイギリスでも家庭用キットが多く販売されている。調査会社 Mintel によれば、イギリス国内でのアンケートに回答した人の約半数にも及ぶ52%が、家庭用キットを1日1回以上使用していたという。歯科用のキットよりも安価ではあるものの、家庭用キットがどれほどの効果があるのか、消費者からも疑問の声が上がることもあり、Which? は有効成分や安全性に着目して検証を行った。
歯科医院で行われるホワイトニングでは、6%までの濃度の過酸化水素が使用される。この場合、パーソナライズされたトレーを作製し、そこに過酸化水素などのホワイトニング剤を入れて歯列に装着。有効成分がエナメル質に入り込み、ホワイトニングがなされる仕組みだ。
一方で家庭用キットはEUの規制により過酸化水素を0.1%までしか配合することができない、という制約がある。歯科医院でプロフェッショナルが行うホワイトニングと比べて、家庭でホワイトニングを行う場合は歯肉や口腔内の損傷などのリスクが拭いきれないためだ。
イギリスの歯科医師で構成される団体 Oral Health Foundation は「家庭用キットのメーカーがどのような宣伝をしていようが、ホワイトニングをするには濃度が低すぎる」と指摘している。
また、ホワイトニングの効果を増強すると謳われているブルーライトやUVライトも、歯科医院で用いられるレーザーホワイトニングとは異なり、消費者が期待するほどの効果は期待できないという見解も示した。家庭用キットのなかには過酸化水素の代用として他の物質を含有する製品も存在するが、こちらはエナメル質を傷付けてしまうリスクもあるという。
家庭用キットをめぐっては、イギリス国内でも海外から輸入された違法な製品も流通しており、Which? は「もし笑顔を見せることが心配であれば、専門の歯科医師に相談してほしい」と警笛を鳴らしている。