
スケーリング・ルートプレーニング…歯科医師にも歯科衛生士にも基本的な手技である。そして歯周病の進行を阻止するのにとても有効な手段だ。
スケーリング・ルートプレーニング(以下、SRP)のような作業をする魚たちが海にもいるのを知っているだろうか。
本記事ではそんなSRPをする魚たちについて書いてみることにする。忙しくしている1D読者の方々がほっこりしていただければ幸いである。
まずはこの写真をみていただこう。

小さい魚が今にも大きな魚に食べられそうではないだろうか。しかしこの小さな魚は逃げない。そして、大きな魚も実はこの後小さい魚を食べようとはしない。どうしてだろうか。
この小さな魚は、大きな魚の口の中の食べかすや寄生虫を食べているのだ。
この小さな魚はホンソメワケベラ(学名:
Labroides dimidiatus)という。大きな魚達はホンソメワケベラを見つけると「SRP」をしてもらうためにホンソメワケベラのまわりに来る。
ホンソメワケベラが大きな魚の口の中や皮膚を掃除している間、大きな魚はじっとして、ホンソメワケベラをできるだけ驚かさないようにする。普段は他の小魚を食べているのにだ。
これは地球の長い歴史の中でこのような関係が成立したと考えられている。小さい魚がどのように大きな魚に食べられないようにするかを考えた結果このような結果に至ったのだろう。
これは人間界でも通用する技術だと筆者は考える。ある程度の大きな職場や学校であればまわりから嫌われている先輩はいるだろう。
その嫌われている先輩達の中でも、この人は自分は話せるかも知れないというひとが一人いるはずだ。その人のことを適度にヨイショしたり、適度に手伝ったりしてみよう。きっと気に入られるはずだ。
ちなみに筆者はそうやって、勉強のコツを教えてもらったり、おごってもらったりしてきた。
ホンソメワケベラもボランティアで食べかすや寄生虫を食べているわけではない。生きるためなのだ。生きるためにあざとく、巨大魚に近づいていったのだ。
ちなみに、ホンソメワケベラは魚類で初めて、鏡の中の自分を認識できる魚であると論文が出た魚だ。自分を認識できるほど賢いということではないだろうか。
あざとく生きていくことは、賢く生きていくことなのかもしれない。
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奥野良之助. (1969). ホンソメワケベラの掃除行動 I. 日本生態学会誌, 19(5), 184-191.
Kohda, M., Hotta, T., Takeyama, T., Awata, S., Tanaka, H., Asai, J. Y., & Jordan, A. L. (2019). If a fish can pass the mark test, what are the implications for consciousness and self-awareness testing in animals?. PLoS biology, 17(2), e3000021.