【超解説】非歯原性歯痛のエビデンス【1万字】

【超解説】非歯原性歯痛のエビデンス【1万字】

1D編集部
2021年5月12日
患者の多くは、歯痛主訴として歯科医院を訪れる。歯科医師であれば真っ先に歯髄炎歯周炎を疑うところだが、近年では歯を疼痛の発生源としないにも関わらず歯痛を訴える疾患に脚光が集まってきた。

非歯原性歯痛診断・治療のレクチャーは こちらから詳細を見る

非歯原性歯痛とは、歯に原因がないにも関わらず、歯に痛みを感じる疾患である。非歯原性歯痛は、歯痛全体の2.1〜9%を占めると推定され、Nixdorfらのシステマティック・レビューによれば、一般の歯科医院での非歯原性歯痛の発現頻度は5.3%であると推定されている。さらには、年間で68万本の歯が根管に原因のない根管治療をされているという報告もある。

歯に原因が見つからないにも関わらず患者が痛みを訴えるため、歯科医師により抜髄抜歯など効果のない不可逆的な歯科治療が行われることもある。当然抜髄抜歯を行っても歯痛は継続するため、原因不明の痛みとして困窮している患者や歯科医師が、いまも日本全国に存在しているのだ。

口腔顔面痛は、歯学部の教育課程にあまり盛り込まれていなかった経緯があり、臨床上でも見過ごされがちだった領域である。本記事では、日本口腔顔面痛学会『非歯原性歯痛の診療ガイドライン(改訂版)』を下敷きとして、非歯原性歯痛エビデンスを徹底解説する。

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    非歯原性歯痛の原疾患

    非歯原性歯痛を誘導しやすい病態としては、「筋・筋膜痛による歯痛」「神経障害性疼痛による歯痛」「神経血管性頭痛による歯痛」「上顎洞疾患による歯痛」「心臓疾患による歯痛」「精神疾患または心理社会的要因による歯痛」「特発性歯痛」などが挙げられる。

    筋・筋膜痛による歯痛
    筋・筋膜痛の関連痛として、歯痛が生じることがある。筋・筋膜痛による歯痛は非拍動性の疼くような痛みを特徴とし、歯原性歯痛と比べると痛み持続時間が長いという特徴がある。筋・筋膜痛による歯痛は筋の酷使による疲労によって生じ、心理的ストレスによって悪化するとされる。

    筋・筋膜痛による歯痛の最大の特徴は「トリガーポイント」の存在である。トリガーポイント骨格筋の疲労により形成される易刺激性の圧痛点であり、このトリガーポイントへの刺激によって口腔顔面部に関連痛を生じさせる。

    具体的には、咬筋側頭筋胸鎖乳突筋触診によるトリガーポイントの5秒間の圧迫により歯痛が再現され、当該の筋への麻酔トリガーポイントインジェクション)によって疼痛が軽減することが特徴である。

    筋・筋膜痛による歯痛の原因となる筋は、咬筋が約半数の47%、側頭筋が30%、胸鎖乳突筋が17%の順に多いと報告されている。

    神経障害性疼痛による歯痛
    神経生涯生疼痛による歯痛は、「発作性神経障害性疼痛」と「持続性神経障害性疼痛」とに分類される。

    発作性神経障害性疼痛は「三叉神経痛」に代表されるように、発作的に生じる電撃様疼痛が特徴である。誘発部位への些細な刺激で激烈な痛みが発作的に数秒間生じる。現に、三叉神経痛の患者の多くは歯痛主訴として最初に歯科医院に来院している。

    一方の持続性神経障害性疼痛は、灼熱性の痛みが間断なく持続する症状を特徴とする。持続性神経障害性疼痛の発症前に外傷や外科処置などの既往歴があり、多くの場合に知覚鈍麻やアロディニアなどの神経障害性疼痛の特徴を伴っている。

    神経血管性頭痛による歯痛
    神経血管性頭痛の患者の多くは、歯痛主訴として歯科医院を受診している。神経血管性頭痛とは、脳血管の神経原性炎症によって生じる一次性頭痛のことであり、これも歯痛を生じることが多い。片頭痛や三叉神経・自律神経性頭痛が神経血管性頭痛である。

    片頭痛では、臨床症状として上顎臼歯部拍動性自発痛が一般的であるが、下顎犬歯に生じたケースもある。また群発頭痛では、上顎大臼歯部の持続性の激痛が15分〜180分間生じるが、突然消失するという臨床症状を持つ。

    上顎洞疾患による歯痛

    上顎洞疾患による歯痛は、文字通り上顎洞の疾患が原因で生じる歯痛のことである。急性上顎洞炎による歯痛が最も頻度が高いとされるが、上顎洞がんや真菌感染などの疾患との鑑別診断が必要である。

    上顎洞炎のうち、18%に歯痛が生じる。歯痛が生じる部位は、上顎洞が解剖学的に近接している上顎の小臼歯大臼歯に多い。また、上顎洞がん患者の36%は、病初期に上顎臼歯部歯痛を訴えるという報告もある。冷水痛咀嚼時痛が認められ、かみしめにより違和感を生じるほか、鼻症状や発熱などの感冒症状も認める。

    心臓疾患による歯痛
    狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患に代表される、心疾患の関連痛として歯痛が生じることもある。

    虚血性心疾患の発作時に口腔顔面部に痛みが生じる割合は38%であると明らかにした研究があるが、38%のうちの5.9%は、口腔顔面部の痛みが唯一の症状であった。この場合の関連痛の特徴は、「圧迫痛」や「灼熱痛」である。

    虚血性心疾患の患者が、歯痛を唯一の主訴として歯科医院に来院する可能性があること、それを見逃してしまうと患者の命に関わる結末になりかねないことを、歯科医師は知っておく必要があるかもしれない。

    精神疾患または心理社会的要因による歯痛
    シェイクスピアは、妊娠した妻を持つ夫が歯痛を訴えることがあると書き残した。妊婦の夫は、妻の出産が不安で非歯原性歯痛を訴えることがある。

    また、うつ病や双極性障害、身体症状症、妄想性障害身体型、パーソナリティ障害によって非歯原性歯痛が生じることも報告されている。心身医学的な歯痛では、病理所見が疼痛部位に存在しない。こうした精神疾患または心理社会的要因による歯痛は、患者の訴える歯痛の部位が解剖学的な整合性を欠くことから推測できることが多い。

    特発性歯痛(非定型性歯痛を含む)
    特発性歯痛は、1本以上の歯または抜歯した後の部位に生じる持続性疼痛で、通常の歯科的原因が全く存在しないもの、と定義されている。その病態は現在でも解明されていない部分も多い。

    非定型性歯痛の病態も未解明の部分が多い。神経障害性疼痛であるとする説や心理的な要因が原因で生じるとする説、中枢性感作によるとする説、脳内の疼痛処理過程の変調で生じるとする説など諸説ある。

    非定型性歯痛の70〜83%が歯科治療をきっかけに発症するとされ、これらの患者は医療への不信感や怒り、不安などが見られることがある。精神疾患の既往があるケースが多いことを考えても、非定型性歯痛の患者は精神状態や心理社会的な状態を総合的に考える必要がある。


    非歯原性歯痛はなぜ起こるのか?

    前章では、非歯原性歯痛のそれぞれの原疾患について解説した。それでは、非歯原性歯痛はどのような原因で生じるのだろうか。非歯原性歯痛の発生機序は、「関連痛」「神経障害による痛み」「器質的異常が認められない慢性疼痛」の3つに分類される。

    関連痛
    前章で解説した筋・筋膜痛による歯痛、神経血管性頭痛による歯痛、心臓疾患による歯痛上顎洞疾患による歯痛が「関連痛」による非歯原性歯痛に含まれる。

    例えば筋・筋膜痛による歯痛では、疲労が蓄積した筋に形成されたトリガーポイントからの関連痛により生じる。トリガーポイントトリガーポイントインジェクションを行ったところ歯痛が消失するということも根拠となっている。

    神経障害による痛み
    神経障害による痛みは、末梢神経性疼痛と中枢神経性疼痛とに分類され、神経障害性疼痛による歯痛の発生機序とされる。

    末梢神経性疼痛は、末梢性感作、神経腫、エファプス伝達、交感神経の関与、表現形の変化により生じる。また中枢神経性疼痛は、発芽、ワインドアップ、長期増強、中枢性感作、内因性痛覚抑制機構の失調により生じる。

    器質的異常が認められない慢性疼痛
    精神疾患や心理社会的要因によって歯痛が生じているケースなどが、この「器質的異常が認められない慢性疼痛」に含まれる。

    これらはこれまで原因不明と考えられてきたが、脳科学・神経科学の発展とともに、中枢における神経伝達物質などの生化学的変化や情報処理過程の変調などによるものと解明されつつある。

    非歯原性歯痛に有効な薬物療法
    非歯原性歯痛に対する治療法として、薬物療法が挙げられる。原疾患ごとに適用されるべき薬物は異なるため、歯科医院としては適切な診療科を患者に選択させることも重要である。

    筋・筋膜痛による歯痛に対しては、鑑別診断目的を含めてトリガーポイントインジェクションが有効である。他にもNSAIDs(イブプロフェン)、低用量のアミトリプチリン、アセトアミノフェン、トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠、混合ビタミンB群、ジクロフェナクナトリウム、塩酸チザニジン、リン酸コデイン、ベンゾジアゼピン、漢方などが有効であったとする報告があるが、いずれもエビデンスレベルが十分なものは少ない。

    その他の原疾患に対する薬物療法に関しても、原疾患ごとに有効な薬物が異なり、その有効性をそれぞれで評価する必要がある。

    非歯原性歯痛に理学療法は有効?
    非歯原性歯痛に対する治療として、理学療法は有効だろうか。結論から言えば、非歯原性歯痛に対する理学療法の科学的なエビデンスは十分ではない。筋・筋膜痛による歯痛にはストレッチやマッサージ、ホットウォーターバスなどの理学療法の有効性が報告されているが、いずれの研究もエビデンスレベルは高くない。

    理学療法は可逆的で侵襲が少ない治療法であり、多くの疾患に対して経験的に有用であると評価されているため、今後の研究が待たれるところである。

    非歯原性歯痛抜髄抜歯は有効か?
    非歯原性歯痛に対して抜髄抜歯といった不可逆的的な処置は無効である。なぜなら、歯に原因が無いからである。非歯原性歯痛に対して抜髄抜歯を行っても疼痛が改善されなかったケースや、むしろ増悪したケースが多数報告されている。

    同様に、咬合調整義歯調整などの治療も効果は無いため、非歯原性歯痛では不必要な可能性のある歯科治療を行うべきではない。

    非歯原性歯痛スプリント療法は有効か?
    非歯原性歯痛のうち、筋・筋膜痛による歯痛に関しては、スプリントによる一時的な疼痛軽減が期待できる。しかし、その他の原疾患に対してスプリント療法を行うことには理論的な根拠は無い。

    非歯原性歯痛の実際の臨床では原因が特定できていない場合が多く、スプリント療法などの可逆的な治療法を「とりあえず」で選択してしまいがちである。しかしいずれの病態の非歯原性歯痛に対しても、スプリント療法エビデンスは十分とは言えない。

    非歯原性歯痛の予防
    非歯原性歯痛の予防法は、現在のところ研究されていないと言ってもよいほどに文献が少ない。例えば筋・筋膜痛による歯痛には生活習慣の改善が治療として行われるため、予防法としても有効なようだ。今後非歯原性歯痛の認知拡大に伴って予防法に関する研究も進んでいくだろう。

    今後さらなるエビデンスが求められる

    日本口腔顔面痛学会『非歯原性歯痛の診療ガイドライン』は、2011年に初めて発行された。2019年に大幅な改定が行われ、一般臨床家にも徐々に周知されてきている。

    冒頭で述べたように、非歯原性歯痛は出現度の低い疾患ではない。非歯原性歯痛が原因で歯痛を訴える患者に対して不可逆的な侵襲が行われないためにも、今後さらなるエビデンスの充実や、歯科医療者に対する情報の提供は必要不可欠である。

    非歯原性歯痛診断・治療のプラクティス

    強い痛みを訴える患者に対し、原因が特定できないまま抜髄抜歯をしてしまったこと、ないでしょうか。抜髄抜歯に至らなかったとしても、投薬のみで経過観察していませんか?その歯、非歯原性歯痛だったかもしれません。

    単に非歯原性歯痛といっても、その原因やメカニズムは多様です。筋・筋膜痛、三叉神経痛群発頭痛。どれも患者は「歯の痛み」を訴えて受診します。中には歯髄炎の症状と酷似しても、X線画像では異常が認められず、結果として中枢性疼痛ということもあります。これら”非歯原性”の歯痛に対して、正しく診断し適切な治療ができなければ、なかなか治らない病に患者は不安を感じてしまうでしょう。

    オーバートリートメントを防ぐためにも、正しい知識を身につけ非歯原性歯痛に対応できるスキルを身につけましょう。


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    【速報】令和8年度診療報酬改定の骨子判明:歯科はプラス0.31%、物価高・賃上げへの「二段構え」の支援策が柱に

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    厚生労働省は、令和8年度(2026年度)診療報酬改定に向けた大臣折衝の結果および、中医協での検討資料を公表。今回の改定は、長引く物価高騰と医療現場での賃上げ要求に応えるため、過去に例を見ない複雑な改定率の設定と、補正予算を組み合わせた「重層的な支援」が特徴となる。本記事では歯科医師が注目すべき、改定のポイントと経営への影響をまとめる。1. 歯科改定率はプラス0.31%、全体では3.09%の大幅増令和8年度および9年度の2年度平均の診療報酬改定率は、全体でプラス3.09%(R8年度:+2.41%、R9年度:+3.77%)と決定した 。この内訳には賃上げ分や物価対応分が含まれている、それらを除いた各科固有の改定率において、歯科はプラス0.31%(医科:+0.28%、調剤:+0.08%)と、他科を上回る設定となっている。2. 物価高騰・賃上げへの具体的な評価方法今回の改定では、物価上昇への対応が「特別な項目」として設定される点が大きな変更点である。賃上げへの対応(+1.70%分):看護補助者や事務職員を含む幅広い職種のベア(令和8・9年度にそれぞれ3.2%)を実現するための措置が講じられる。物価上昇への段階的対応: 令和8年度以降の物価上昇分については、従来の初・再診料とは別に、「物価上昇に関する評価(特別な項目)」を新設し、段階的に引き上げる案が示されている 。経営環境悪化への緊急対応(+0.44%分): 令和6年度改定以降の経営悪化分については、令和8年度の初・再診料等の評価に含める形で対応される 。3. 【注目】令和7年度補正予算による「32万円」の現金給付診療報酬改定に先立ち、令和7年度補正予算において、医療機関への直接的な支援が行われる。歯科診療所(無床)1施設あたり合計32.0万円の支援額が設定された 。賃金分:15.0万円物価分:17.0万円この支援は、診療報酬による評価が本格化するまでの間の経営を支えるための「基礎的支援」として位置づけられている 。4. 入院・外来および患者負担への影響入院料の再編:病院や有床診療所における入院料についても、物価上昇分を反映させるための新たな評価体系が検討されている。患者負担の増:入院時の食費基準額が1食あたり40円、光熱水費基準額が1日あたり60円引き上げられる方針である。今後の展望:経済動向による「再調整」の可能性今回の改定率は、今後の経済・物価動向を注視する形となっており、実際の物価が想定を超えて変動した場合には、令和9年度にさらなる調整を行う「特例的な対応」の可能性も残されている。歯科医院経営においては、これらの新設される項目や補正予算による支援を確実に享受しつつ、スタッフの賃上げ原資をどう確保していくかが、次期改定の最大の焦点となる。資料出典:厚生労働省「中医協 総-1 8.1.9 物価対応について(その1)」 重要なのは制度を知って、どこを目指すのかただ制度を知るだけでなく、「自院がどこを目指すのか」を明確にすることが重要だ。1Dプレミアムでは、経営・開業ジャンルのセミナーが豊富にある。自院の運営について悩んでいる方は是非チェックしていただきたい。本記事閲覧者へ視聴おすすめセミナー・それぞれのコンセプト、それぞれの考え方を深掘り、歯科医院経営の成功法則を導き出すインタビュー<The 1 Dentist>・理想的な収益システムを学ぶ<売上も利益も最大化させる最強施設基準セット>1Dプレミアムでは経営者の実例を知り、制度を活かした運営ノウハウがまとまっている。月額9,800~(税込)の有料サービスではあるが、12,000円キャッシュバックを本記事経由で提供しているためまずはリスクゼロで試していただきたい。
    1D編集部
    2026年1月17日
    【1Dのセミナーログ】将来、豊かで安心したライフプランを描くために

    【1Dのセミナーログ】将来、豊かで安心したライフプランを描くために

    将来、豊かで安心したライフプランを描くために――「普通の歯科医師」のお金の現実から考える、資産形成の第一歩1月の年明けは、「今年こそ将来のことをちゃんと考えたい」「このままで本当に大丈夫なのだろうか」 そんな気持ちが自然と湧き上がるタイミング。臨床や経営には真剣に向き合ってきた一方で、 お金・資産・ライフプランについては、 どこか「後回し」にしてしまっていないだろうか。今回ご紹介するのは、 今、多くの歯科医師から注目を集めているセミナー 『「普通」の歯科医師は、何歳でどれほどのお金をもらっているのか?』。この記事では、セミナー内容の一部をもとに、 歯科医師のリアルな年収・資産データと、なぜ今“金融リテラシー”が重要なのかを整理していく。歯科医師の平均年収は、実は一様ではない「歯科医師は高収入」 そう言われることが多い職業だが、年齢やキャリアによって、収入の推移は大きく異なる。セミナー内で紹介されている参考指標では、以下のような傾向が示されている。・45〜49歳:平均年収 約1,254万円・50〜54歳:平均年収 約1,085万円一見すると、50代で年収が下がっていることに違和感を覚えるかもしれない。 これは、開業タイミングで初年度に一度年収が下がるケースが影響していると考えられている。もちろん、すべての先生に当てはまるわけではない。あくまで「参考指標」にはなるが、自分の現在地を客観的に見る材料として、知っておく価値は十分にある。年代別に見る、歯科医師の資産形成の目安収入だけでなく、「実際にどれくらい資産を持っているのか」も気になるポイントではないだろうか。セミナーでは、年代別の資産目安についても触れられている。20代|貯蓄 0〜500万円奨学金返済の影響が大きく、 ほとんど貯蓄ができていないケースも珍しくない。30代|数百万円〜1,000万円台勤務医が中心の世代。 年間の貯蓄額が比較的多い先生がいる一方で、住宅購入・子育てといったライフイベントで支出も増えやすい時期。40代|1,000万〜3,000万円前後金融資産の期待値・実績は30代より増加。 一方で、教育費のピークを迎え、一時的に貯蓄が減るケースもあると報告されている。興味深いのは、「自分の子どもには歯科医師になってほしい」と考える先生が多い点。この価値観が、教育費のかけ方にも影響しているようだ。50代|3,000万〜6,000万円(人によっては1億円超)投資や資産の蓄積が進みやすい年代。ここまで来ると、若い頃の意思決定の差が数字としてはっきり表れ始める。なぜ、資産形成に差がつくのか?では、同じ歯科医師でもなぜこれほど資産に差が生まれるのか。セミナーで強く投げかけられている問いが、「日本人は、お金を働かせていない」。事実として、・日本人の金融知識はアジアで最下位レベル・1990年〜2014年の金融資産成長率米国:約4倍日本:約1.6倍というデータが示されている。金融知識の有無が、そのまま資産差として表れていると言っても過言ではない。金融リテラシーが低いことで起こる“見えない損失”お金について学ばないことは、「何もしないから安全」という話ではない。実際には、以下のような見えない損失が積み重なっていく。・節税をしないことで支払う余分な税金・資産運用をしないことによる機会損失 ・保険を学ばずに払い続けるムダな保険料 ・株式を知らないことで発生する高額手数料や損失 ・融資を理解しないことで支払う余分な利息 ・不動産知識不足による過剰な負債 ・お金の知識不足による詐欺被害 「知らなかった」だけで、本来守れたはずのお金が静かに失われていく。 これが、最も怖いリスクかもしれない。“普通の歯科医師”を知ることが、将来の安心につながるこのセミナーでは、FPコンサルティング代表取締役の岡崎謙二先生が、勤務医・開業医の年代別平均年収 開業費用・借入額の実態住宅ローン・保険の考え方資産形成・投資・リスクマネジメントの基本 を、数字とデータに基づいて解説。「お金の話を誰にも聞けない」「将来が漠然と不安」そんな先生にこそ、感覚ではなく現実的な指標を持つことの大切さを伝えてくれる60分である。年明けの今だからこそ、一度立ち止まって考えてみるのはいかがだろうか?忙しい日常の中で、ライフプランや資産形成について腰を据えて考える時間は、意外と取れないもの。だからこそ、意識が前向きになりやすい“年明け”というタイミングに、一度、自分の将来と向き合ってみてはいかがだろうか。
    1D編集部
    2026年1月10日
    【速報】令和7年度補正予算で歯科診療所に一律32万円の支援金

    【速報】令和7年度補正予算で歯科診療所に一律32万円の支援金

    令和7年度補正予算案が11月28日に閣議決定され、医療機関への大規模な支援策が盛り込まれた。1)厚生労働省による今回の予算案では、医療分野における賃上げと物価上昇への対応が重点項目として掲げられている。歯科診療所においても、従事者の処遇改善と物価高騰への対策を目的とした交付金の支給が決定。地域における必要な医療提供体制の維持・確保を図る施策として注目されている。*1)令和7年度補正予算案の主要施策集(厚生労働省)歯科診療所への支援は一律32万円今回の補正予算案の柱となるのが「医療・介護等支援パッケージ」だ。物価高騰や深刻化する人員不足といった医療機関・介護施設の経営課題に対応するため、総額1兆3,649億円という大規模な予算が計上されている。 内訳:医療分野に1兆368億円   介護等の分野に3,281億円医療機関・薬局に対する賃上げと物価上昇への支援には、このうち5,341億円が割り当てられた。この支援策は二つの目的を持っている。一つは医療従事者の処遇改善、もう一つは診療に必要な経費の物価上昇対策である。歯科診療所に対する具体的な支給額は、医科の無床診療所と同水準の1施設あたり合計32.0万円。内訳:賃金分(処遇改善)15.0万円、物価分(物価上昇対策)17.0万円。特筆すべきは、補助率が10分の10、つまり全額補助という形での交付となる点だ。これは医療機関が直面する喫緊の経営課題に迅速に対応し、地域医療の基盤となる提供体制を確保するための重要な措置と位置付けられている。*画像は1)より引用「国民皆歯科健診」に向けたパイロット事業も始動*画像は1)より引用補正予算案では、もう一つ注目すべき施策として、「生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)パイロット事業」の推進に8.8億円が計上された。この事業は、国民の歯と口腔の健康増進を目指すもので、職域の保険者、事業主、または自治体などが主体となって実施される。具体的には、簡易な口腔スクリーニングを活用した歯科健診と、その結果に基づく受診勧奨を組み合わせた取り組みとなる。実施形態としては、一般健診と併せて行うケースや、特定健診の結果を基に対象者を選定してスクリーニングと受診勧奨を実施するケースなどが想定されており、国民の口腔衛生向上に向けた基盤整備が期待されている。◇今後の動向に注目この補正予算案は、現在開会中の臨時国会での成立を目指している段階である。交付金の具体的な交付時期、申請手続き、必要書類等の詳細については、今後の正式発表を待つ必要がある。歯科診療所の経営にとって重要な支援策となるため、続報を注視していきたい。
    1D編集部
    2025年12月12日
    どうして私だけ。合格率9割の歯科衛生士国家試験に「落ちた」女たち

    どうして私だけ。合格率9割の歯科衛生士国家試験に「落ちた」女たち

    歯科衛生士国家試験の合格率は、例年95%を超える。受験資格が基本的には歯科衛生士学校を卒業した者に限定されるため一概に比較することはできないが、国家試験としては合格率の高い部類に属するだろう。本記事では、歯科衛生士国家試験に不合格になった経験のある女性3名に取材を行った。今回取材に協力してくれたのは、田代さん(仮名・24歳)と斎藤さん(仮名・22歳)、そして松田さん(仮名・31歳)だ。 合格にストーリーがあるように、不合格にもそれぞれのストーリーがある。不合格後も内定先の歯科医院で歯科助手として働きながら合格を目指している人や、学費を捻出することができずに3年以上も受験を続けている人など、数字では語られないバックグラウンドがある。【あなたにおすすめの記事】> 【ルポ】歯科医師国家試験、多浪生の現実> 歯学部を放校になった「30歳・元歯学部生」の末路1年の歯科助手経験を経て合格、田代さん(24歳)の場合田代さん(仮名・24歳)は短期大学の歯科衛生士科を卒業後、2018年の第27回歯科衛生士国家試験を受験したが、あえなく不合格となった。翌年の国家試験を受験して合格し、現在は歯科衛生士として埼玉県内の歯科医院で歯科衛生士として働いている。 明るくハキハキと話す彼女の口から、不合格だった1回目の試験直後のことを語ってもらった。 「私はもともと成績があまり良くありませんでした。試験当日はプレッシャーもあって、問題を解いている最中も ”あぁ、これは落ちたな” と思いながら解いていました。試験が終わって自己採点をしてみると、やっぱり点数が足りていませんでした」。 自己採点で点数が足りなかったため、すぐに諦めがついたと田代さんは語る。すでに地元である埼玉県内の歯科医院に内定が決まっていたが、内定先の院長とも話し合い、歯科助手として採用してもらえることになった。 「翌年、自己採点で合格点を取れた時はものすごく嬉しかったですね。両親と学校の先生、院長先生にもすぐに泣きながら報告しました。あとは学校の同期にも、1年前は私のせいで合格率100%が達成できなかったので、報告しました」と当時の嬉しさを振り返っていた。 ケアレスミスで1点に泣いた、斎藤さん(22歳)の場合斎藤さん(仮名・22歳)は、2020年に行われた第29回歯科衛生士国家試験で不合格となった。斎藤さんは幼少期から介護福祉士に憧れており、高齢者と関わる仕事に就きたいと考えていた。介護職員初任者研修を取得できる高校に進学し、実際に資格も取得した。しかし夜はしっかりと寝たいタイプだった斎藤さんにとっては、夜勤の多い介護の現場に出ることは不安だったようだ。 そこで斎藤さんは、介護の資格を活かすことができる医療系の専門学校を志すようになった。歯科衛生士専門学校に進学したのは、国家試験の合格率が高くダブつくリスクが低いということも決め手だった。 斎藤さんは、自身が落ちた理由について次のように分析する。「学校での成績も悪くなかったし、模試でも合格点は到達していました。でも私はおっちょこちょいな部分があって、問題をパッと見た瞬間に、直感で回答してしまうことがよくありました。模試は難しく感じましたが、本番当日は “なんだ、簡単じゃん” と思いながら解いていました」。 しかし会場からの帰りのバスで自己採点をしたところ、点数が足りないことが判明したという。「自己採点では1点足りませんでした。普通は不適切問題が1〜2問あるので合格はできるかなと思っていましたが甘かった。本番でおっちょこちょいのクセが出てしまって、悔やんでも悔やみきれません」。 国家試験では、1点に泣いた。現在は自宅近くの歯科医院で歯科助手として働きながら、すでに来年の国家試験に照準を合わせている。 「4月中旬から勉強を始めています。国試の麗人と医歯薬の5年分の過去問を徹底的に理解して、わからない箇所には付箋も貼っています。去年は臨床現場で働かなければわからない問題がたくさん出題されていたので、今年は歯科助手として臨床現場に出ながら猛勉強をしています」。 屈辱から雪辱を目指す、松田さん(31歳)の場合今年32歳になる松田さん(仮名)は、高校を卒業後に派遣社員などを経て歯科衛生士専門学校に入学した経歴の持ち主だ。今回取材にご協力いただいた3人のなかでは最年長になる。彼女も、今年の3月に行われた国家試験で1点に泣いた1人だ。 松田さんは、歯科衛生士国家試験を実施する歯科医療振興財団に憤りを覚えている。今年の国家試験では不適切問題による採点除外が一問もなかったためだ。 「毎年、3問くらいは不適切問題になります。なのに今年は1問もない。なぜよりによって、という気持ちが正直がところです」。松田さんは、合格発表直後に不適切問題の検証を行ったという。「周りの友人に協力してもらい今年の問題を見返してみると、10問くらい不適切っぽい問題があったんです。合格基準を考え直してもらおうと歯科医療振興財団に連絡してみましたが、返事はありませんでした」。 さらに松田さんはこう続ける。「私は一度社会人を経験してから、歯科衛生士を目指しています。学校の同期と比べても努力はしていましたし、成績も態度も良かったと思います。私より成績が悪くてやる気も無い20歳そこそこの子が合格しているのに "どうして私だけが" という怒りはあります」。 合格発表日当日、松田さんは内定先の歯科医院で仕事をしていた。「自己採点の結果から、合格できるかどうかは半々だと思っていました。でも不適切問題がないという結末で、不合格に。勤務先の院長に落ちたということを伝えたら "1年間一緒に頑張ろう" とは言ってくれましたが、気持ちをリセットしたいという思いもあり退職しました」。松田さんはいま、週に4日歯科医院で歯科助手として働きながら、来年の3月に向けて勉強を始めている。不適切問題の線引きは?不適切問題の線引きに対する不満を、不合格になった受験生は持っていた。確かに、1D編集部で歯科衛生士国家試験を解いてみたところ、不適切問題の線引きが怪しいと思われる設問も無くはなかった。2019年の社会福祉士国家試験では、不合格となった受験生の声を受けて厚生労働省が問題を再検討したところ、不適切問題が覆るという出来事があった。この時には、厚生労働省が418名の追加合格を出すという結末になっている(外部リンク:厚生労働省)。ただ、歯科衛生士国家試験は一定の知識があれば合格することができる資格試験だ。合格基準もシンプルで、運の要素は少ない。不合格になってしまった人は、知識が不足しているということは否めないと思われる。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる
    Masahiro Morita
    2025年12月11日
    歯学部を放校になった「30歳・元歯学部生」の末路

    歯学部を放校になった「30歳・元歯学部生」の末路

    歯科医師国家試験の合格率は、下げ止まりの状況が続いている。厚生労働省が新規参入歯科医師を削減する動きもあるなかで、各歯学部は合格率の維持、そして優秀な学生の確保に頭を悩ませている。歯科医師国家試験が難化しているしわ寄せは、各歯学部の教員陣、ひいては在籍する歯学部生に及んでいる。臨床実習を含む現実味のないコア・カリキュラムのなかで、詰め込み型の教育を強いられているのが現状だ。多くの歯学部では、学生が在籍できる年数に限度がある。最大で12年間在籍できる歯学部もあれば、1学年につき1度の留年しか許されていない歯学部もある。勉強や実習に付いていけず、在籍限度を超えてしまった歯学部生に待ち受けているのは「放校」と呼ばれる事実上の追放処分だ。1D編集部では、今年で私立歯学部を放校になった「元・歯学部生」に取材を試みた。彼はこの春から地元である東北に帰り、歯科とは関係のない道へ進む。自分に合う職業を探す、ゼロからの再スタートを切ることになる。本記事が、歯学部が構造的に抱える教育上の欠陥に対する問題提起になれば幸いである。「ただただ、両親に申し訳ない」「至らぬ点もあるかと思いますが、本日はよろしくお願いします」。90度に近いお辞儀をして、彼は取材会場に現れた。鈴木さん(仮名)は見るからに真面目そうで、とても礼儀正しい印象の男性だ。彼は今年で31歳になる。2月中旬に発表された進級判定で留年が確定し、大学規定の在籍限度を超えてしまった。教授陣や大学事務にも掛け合ったが、なすすべなく放校という処分を受けた。「この数年間、こうなるかもしれないということは感じていました。今はまだ放校になった実感はありませんが、ただただ、両親に申し訳ないという気持ちでいっぱいです」。淡々とわれわれの質問に答える彼の表情は、勉強や実習の重圧から解放され安堵しているようにも見えた。叶えられなかった夢、守れなかった約束歯科医師になることを約束された人生だった。両親はともに歯科医師で、東北地方の地方都市にユニット10台を超える規模の歯科医院を経営している。1日に訪れる患者数も多く、地元住民から信頼されている歯科医院である。そんな両親の間で生まれ育ち、小学校の卒業文集には「お父さん、お母さんのような歯医者さんになりたい」という夢を書いた。中学・高校は地元で1番の進学校に通い、推薦入試で関東地方にある某私立歯学部に入学した。「子どもの頃から、自分は歯科医師になるものだと確信していました。歯学部での勉強はやればできるだろうという自信もあったので、まさか自分が放校になるなんて微塵も考えていませんでした」。歯科医師の資格を取り、臨床家として経験を積んだ後に両親が経営している歯科医院を継ぐーー。順風満帆に思えた彼の歯科医師としての人生は、歯学部入学後すぐに暗転することになる。「放校確定」までの顛末歯学部に入学した彼を待ち構えていたのは、休むことを許されない歯学部のカリキュラムだ。「歯学部での勉強は、想像していた以上に過酷でした。推薦入試で入学した私は、ほとんど受験勉強をしていなかった。朝が得意ではないということも相まって、1年生の冬には成績も出席も足りないという状態になりました」。人間関係のトラブルもあり、彼は1年生で留年することになる。翌年はなんとか2年生に進級したが、2年生でも留年。その後も毎年のように留年を重ね、5年生から6年生に上がることができず、あえなくタイムオーバーとなった。「歯学部に殺される」という危機感彼には、現在の歯学部の教育に対して主張したいことがある。それは、歯学部での評価方法が成績のみに限定されており、努力や人柄を無視しているということだ。「鬱になり学校に来れなくなったり、最悪の場合には自殺した人も出ています。人格的に素晴らしい人や才能がある人も、歯学部に入ると殺されてしまう」と憤る。さらに、歯学部が歯科医師国家試験の予備校と化している点についても指摘する。「大学側の目的は、国家試験の合格率。学生のことを合格率のパーセンテージとしか見ていません。合格率を上げて、大学の権威を保つということしか関心が無いのだと思います」と続ける。おわりに歯科医師になる資質がない者は、歯科医師になるべきではない。国民や患者に対する責任があるからだ。歯科医師国家試験は、基本的資質を有さない者を弾く機能として、重要な役割を担っている。しかし、弾かれた者にも人生がある。毎年、十数名の「歯のことを10年以上勉強した何でも無い人」が誕生しているのだ。資質を有さないと思われる者には、歯学部低学年時から他のキャリアを提案するなどの大学側の仕組みが必要である。さらに言えば、現在の歯科医師国家試験の合格率偏重の歯学教育は、本当に国民や患者のためになっているだろうか。歯学部が「予備校化」したことで、本来研究や臨床という役割を担うべき大学教員のリソースが国家試験対策に奪われ、本来あるべき大学としての機能を失っていないだろうか。われわれにも正解はわからないが、歯学部が抱える教育上の諸問題は、国民の健康な生活のために、もっと議論されるべきテーマである。※個人特定防止の為、内容やプロフィールを一部脚色しています。
    1D編集部
    2025年12月8日

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