第113回歯科医師国家試験の総評&問題の各論的検討

文・構成:dentalkokushi | 投稿日: 2020年02月12日

前回の歯科医師国家試験との相違点

①形式面での変化
一般問題と臨床実地問題がランダムに出題されました。必修問題は前半20問固定に変化はないと考えられます。パターン化させたくないという厚生労働省の意思を感じる形式面の変化でした。

僕はこれまでいろいろな資格試験を受験してきましたが、他の資格試験でも形式が突然変化することはありましたので、まあこんなこともあるかなと考えておきましょう。

難易度の変化
全体的に見ると112回国試よりは解きやすいという意見が多数だと思います。しかし、初日のA問題には解きづらい問題が多かったように思われますので、受け止め方はいろいろあるかもしれません。 

消去法が有効な問題が多かった
前回の記事でも述べたとおり、マークシート式試験の基本は消去法です。

各論的に問題を検討してみる

「歯性感染症の第一選択薬」としてのアモキシシリンの出題(113B43)
大方の予想どおり、アモキシシリンが出題されました。この背景には耐性菌出現防止のために、抗菌薬の適正使用を徹底しようという考えが背景にあります。

【113B43】歯性感染症の第一選択薬はどれか。1つ選べ。
a. アモキシシリン水和物
b. ゲンタマイシン硫酸塩
c. テトラサイクリン塩酸塩
d. レボフロキサシン水和物
e. ファロペネムナトリウム水和物

抗菌薬の適正使用に関しては、以前もブログで複数回取り上げたことがありましたのでご覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれません。

下記リンク先の記事で詳しく解説していますので、チェックしておいてください。

113B43の問題文にある「歯性感染症の第一選択薬」という部分には、第3世代セフェム系抗菌薬を乱用していたという反省(?)の意味が込められているように感じます。

2019年10月2日に実施した1D主催の講演会で言及した内容ですが抗菌薬の適正使用に関する問題は114回国試でも引き続き出題される可能性がありますので、スライドを掲載しておきます。
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生物学的幅径と歯周外科(113A4)
非常に基本的な良い問題だと思います。生物学的幅径の定義をきちんと把握していれば(説明できれば)、迷わない問題のはずです。

ところが、正答率は55%程度らしいので、合否を分けてしまう問題になってしまいました。

【113A4】歯周外科手術で生物学的幅径を回復できるのはどれか。1つ選べ。
a. 新付着術
b. 歯肉切除術
c. 歯冠長延長術
d. 遊離歯肉移植術
e. 歯周ポケット掻爬術

必修問題の正答率としては55%とやや低い結果になりました。おそらく試験委員としてはもう少し正答率が高いことを期待していたのではないかと推察される問題です。

生物学的幅径は臨床の基本ですので、114回でも生物学的幅径に関する問題が出題される可能性はとても高いです。生物学的幅径の理解が曖昧な方はこの機会にきちんと整理しておくようにしてください(というか、この113A4は、何科に行くにしても臨床をするならわからないとヤバい問題のような気もするが...)。

ちなみにdを選択した方がいらっしゃるようですが、遊離歯肉移植術では付着歯肉幅は増加させることはできますが、生物学的幅径を回復させることはできません。

具体的なイメージがわかない方は信頼できる先生に聞いて解決するようにしてください。あと、このような臨床に関係する問題を歯医者をやったことがない人に聞くのはやめましょう。勉強の方向性がずれますよ。

③歯髄疾患の概念の基本を聞く問題(113A52)
この問題も歯髄疾患の概念の基本を聞く非常に大事な問題です。正答率は75%程度らしいので、合格する人はあっさり解けてるが、不合格になる方は迷ったり間違ってしまう問題なんでしょう。

【113A52】非感染性歯髄疾患はどれか。2つ選べ。
a. 急性単純性歯髄炎
b. 急性化膿性歯髄炎
c. 慢性潰瘍性歯髄炎
d. 歯髄壊死
e. 歯髄壊疽

もちろん答えはadです。

④臨床のウルトラスーパー基本を聞く問題(113A63)
【113A63】75歳の女性。左側舌縁部の腫瘤を主訴として来院した。3ヶ月前に気付いたが、大きさに変化がないのでそのままにしていたという。腫瘤は無痛性で弾性軟である。初診時の口腔内写真とMRIを別に示す(注:画像は省略しました)。まず行うべき対応はどれか。1つ選べ。
a. 生検
b. 切開
c. 抗菌薬投与
d. 擦過細胞診
e. 舌部分切除

この問題は112D65の焼き直しのようにも思いますが、臨床の基本中の基本を聞く問題ですよね。まあ、以前も動画で言ったことがあるんですが、そりゃ普通生検するんじゃないですかね…。

というか、粘膜疾患の場合には、常に生検を視野にいれるべきなんですよ。生検の重要性については、スパルタ動画セミナー47回目で説明していました。

⑤生化学のウルトラスーパー基本を聞く問題(113C3)
【113C3】肝臓で合成されるのはどれか。1つ選べ。
a. 尿素
b. 葉酸
c. レニン
d. トリプシン
e. クレアチニン

この問題、ようやく出たかという感じですね。尿素≒BUNが肝臓の尿素回路で産生される話は、僕の受講生の方に行っていた口頭試問で定番の質問でしたね(笑)。ようやく出てよかったです(笑)。

ちなみに2019年10月2日に行った1D主催の講演会でもお話をしていました。BUNは腎臓を経由して尿中に排泄されるわけですが、BUNが腎臓で合成されるわけではないのです。
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1D主催の講演会に参加していた方はおそらく正解できたのではないかと思いますが、BUNが腎臓で産生されるという誤解がめちゃくちゃ多いので注意が必要です。

⑥歯科技工士法と歯科技工指示書(113D16)
【113D16】歯科技工士法で規定しているのはどれか。1つ選べ。
a. 絶対的欠格事由
b. 歯科技工士の名称使用の制限
c. 歯科技工指示書の2年間の保存
d. 市町村保健センターへの免許申請
e. 都道府県知事による歯科技工所の開設承認

必修問題らしい問題。正答率は80%程度らしいので、まさしく必修問題だった感じです。この問題がすぐにわからない方はやっぱり基本が甘いと思いますよ。

⑦プロトロンビン時間と肝臓、ビタミンKの関係(113D23)
【113D23】プロトロンビン時間が延長するのはどれか。2つ選べ。
a. 血友病
b. 肝硬変
c. 慢性腎不全
d. ビタミンK欠乏症
e. 血小板減少性紫斑病

正答率75%程度。簡単そうで、意外と正答率が伸びない問題。これも過去問(109A59)の焼き直し。実は113回向けdentalkokushiの大予言その2(限定公開の有料配信の動画です)でスバリ言っていたので的中しているわけですね。
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次回の歯科国試突破論でも、113回国試の分析をしていきたいと思います。

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