歯学部が壊れる:疲弊する大学教員が抱える闇

歯学部が壊れる:疲弊する大学教員が抱える闇

文・構成:spee | 投稿日: 2020年01月11日
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毎年春は、全国の歯学部で「〇〇先生が退職・・・」といった話が大学内でオープンになる季節です。

前回の1Dの記事でも少し触れましたが、今大学は色々と厳しい状況です。今から20年以上前に大学を卒業した先生方の大学教員に対するイメージといえばどのような感じでしょうか?結構暇そうで、学生と飲みに行く事が多く、海外学会出張で飲んだくれて、というイメージだったかもしれません。そういった牧歌的な時代は本当に良かったと思います。

しかし、今はそうではありません。臨床系の場合は以前よりも遙かに臨床の売り上げや患者数について厳しく言われます。ユニットの稼働率などについても厳しく管理される大学もあります。歯学部附属病院は多くは実質赤字です。国公立も独立行政法人化されたため、赤字を少しでも圧縮していかないとやっていけないのです。

「国試対策」に時間を取られる教官たち

私立大学の場合は国家試験合格率向上のために教育のウェートが異常に膨張している大学が多いです。6年生1年間全部講義となればその講義をする教官は他の業務を犠牲にすることになります。定期試験や卒業試験のために製作する問題数も昔からすると遙かに量が多いです。6年生の夏休みが3日ぐらいしかないとか、他の学年においても講義数が以前よりも増加している大学は多いと思います。

さらに若い教官は任期制なのです。任期を延長するために最も重要なのは論文です。論文を書かなければ大学における自分の将来を更新することもできません。論文を書くためには論文を読んで実験をしなければいけません。勿論大学院生の面倒もみないといけないのです。

ポスト減が招く地獄絵図

業務が増え続ける一方、予算削減という旗印の元で国公立大学でも私立大学でも教官ポストの削減が徹底されています。講座を2つ統合すれば最低でも教授のポストが1つ減ります。さらに教授よりも下のポストも狙われます。再編時にポストを減らす事もあり得ますが、誰か教官がやめて後の補充を認めない場合もよくあります。

補充しなくても業務が回っていると外見的に見えれば補充されません。最初は残った教官がカバーすることで頑張ります。それを超えて人数が削減されると、一部の優秀な層がさらにカバーしますが、他の教官はキャパオーバーしますので、残った業務が大学院生や医局員に降ってくるようになります。それでも表面的には業務が回っているように見えるため補充はないという地獄絵図が起こります。

バイトありきの助教の給与

最近では助教2名のポストを3名の助教に分割して人数を増やしている大学もあります。当然ですが、給料の総額は助教2名分ですから、給料は2/3になってしまいます。大学の給料はかなり安いですから、これではとても生活できません。バイトに週2ぐらいいかないと厳しい所です。

自分が教官だった時には朝8時に大学に来て帰るのは日付変更付近でした。また、それでも終わらないので休日も大学です。残業は月150~200時間、勿論自己研鑽のための残業という名目ですから残業代は1銭も出ません。

優秀な若手ほど大学を去っていく

え?それでも暇そうな教官がいるんだけど?という御意見もあるかと思います。任期制に移行したのはそれほど前ではないので、大学に長くいる教官は任期制ではないのです。そういった教官の中にはこの人仕事してるの?というような人もいます。

論文ももう何年も1本も書かず、科研費も持ってないし、売り上げも悪いし講義の評判も悪い。しかし、辞めろと教授に言われても耐え忍べば定年までいられます。厄介払いで他講座に飛ばされたりするかもしれませんけどね。そういった人がポストを占有しているせいで、大学に残りたい若い教官は上に上がれずに結局は辞めていきます。

多くの優秀な若手は早々に大学に見切りつけて辞めていきます。そのせいで中間層の人材が厳しい状況になっている大学も多く存在します。今の大学は大学にいるメリットが全く感じられません。臨床は自己研鑽を積む場ではなく、売り上げや患者数を要求されます。

「教育」は評価されにくい仕事

私立大学の多くは教育にかける時間がどんどん増加し、教育について色々言われます。では教育を頑張ったら評価されるか、と言われると残念ですが全く評価されないのです。売り上げや論文に関してはすぐに数値化できますが教育は数値化するのが難しいのです。

結局のところ、今の教官の人数で臨床教育研究を全て納得いくレベルでこなすことはできない大学も多いと思います。1人1人に全てを求める事自体が間違っているのではないか、と思う今日この頃です。

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