「噛める」ということの価値

「噛める」ということの価値

文・構成:ミホ | 投稿日: 2019年11月30日

口腔疾患と全身疾患

例えば過剰な砂糖摂取は肥満を誘発し、糖尿病やう蝕の進行にも影響を及ぼす。また喫煙はがんの発生要因の1つであり、歯周組織を破壊して歯の喪失をも引き起こす。

このように、口腔疾患は全身疾患と、不健康な食生活・喫煙・過度の飲酒などのリスクファクターを共有しているのである。

中でも適切な栄養をとることはNCDsの予防に不可欠であり、ほかの全身疾患の予防においても重要な役割を担うとされている。

口腔保健と全身の健康について述べられる機会はよく目にするが、栄養との関係についてはどうだろう。今後口腔保健と栄養の関連性を語る上で、不足している部分について見ていこう。

「う蝕がある人」は「栄養状態不良」?

口腔の健康を損なうと健康な食生活は困難となる。例えば歯数が少なかったり口腔内乾燥があったりすると食事がしづらくなるなどである。

言い換えれば良い口腔健康は適切な栄養摂取をもたらし、栄養状態と口腔健康状態には関連性があるといえる。

野菜、果実、全粒穀物の十分な摂取はNCDs予防をもたらすというエビデンスはすでに確立している。これは若年者から高齢者まで、生涯にわたって言えることである。

栄養状態不良な人のう蝕リスクを調査した報告は多い。例えば「砂糖の摂取量が多い人はう蝕率が高い」など。

しかし逆に、う蝕がある人の栄養状態不良リスクを調査した報告は少ない。う蝕歯が少なくても食生活の偏っている人はいるかもしれないし、逆にう蝕歯が多い人は必ず偏った食生活を送っているのだろうか?

このように健康的な食生活が口腔疾患のリスクを下げるかどうかについて、適正体重と喪失指数・PIの関連性を検討した研究等はあるものの、いまだエビデンスが不足しているのが現状である。

歯の喪失など、広い意味での口腔疾患により健康的な食生活が送れないことだけでなく、健康的な食生活を送れば口腔疾患リスクを下げられるということを示せば、より理解が深まり予防に努める者が増えるのではないだろうか。

今後はこれらの関係も示し、正しく理解していくことが必要である。

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参考文献

  • 「健康長寿のための口腔保健と栄養をむすぶエビデンスブック」深井穫博 編, 医歯薬出版, 2019
  • 「成人女性の口腔内状況と食生活との関連性」一宮 頼子, 1995
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