歯科治療の偶発症の多くは、局麻時に発生する

歯科治療の偶発症の多くは、局麻時に発生する

文・構成:河崎万鈴 | 投稿日: 2019年11月20日
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歯科治療は侵襲性が伴う治療も多く、痛みを感じることが多い。

そのため歯科治療自体に恐怖や不安を持っている患者も多く、歯科医師は痛み発生の予防として局所麻酔を打つことは多いだろう。

しかし全身の偶発症の多くは局麻時もしくは局麻直後において引き起こされるのだ。

そんな歯科治療には欠かせない局麻のリスクについて改めて確認しておこう。

局麻時に起こる偶発症

局麻によって起こる偶発症は、基礎疾患があるかないかで起きる症状は異なるが、ここでは基礎疾患がなくても起こる偶発症について述べる。

①血管迷走神経性失神
針をさすことで、顔面蒼白、発汗が起こり、血圧低下、徐脈を引き起こすことで脳への血液運搬の低下が起こる。

そうすると気分不良や意識消失が起こるが、水平の体位をとったり、下肢を挙上したりすることで、回復することが多い。

アドレナリン過敏症
局所麻酔剤に添加されている血管収縮剤により、動機や血圧上昇が起こる。

局所麻酔剤の中毒のように、めまい、悪心、痙攣などの症状が起こりやすい。

もしアドレナリン過敏症の既往がある患者であれば、アドレナリン血管収縮剤が入ってない局所麻酔剤を用いるべきである。

③アナフィラキシーショック
アナフィラキシーは症状が変化しながら、20分以内に重篤化が進む。

症状は気分不快から粘膜の腫脹、蕁麻疹、浮腫などが発症し、息苦しさ、悪心が起こっていく。

症状が進むと、血圧低下や呼吸困難となる。

薬物アレルギーがある患者は、しっかりと問診を行い、モニタリングのもと少量の試験投与などを行ったほうがいいだろう。

④過換気症候群
過換気症候群はストレスを感じると、呼吸数が多くなり血液中の二酸化炭素濃度が低下するため、呼吸数が多いが「息ができない」と患者が訴える。

このとき血圧が上がり頻脈と手足にしびれを感じることがある。

もし過換気症候群になれば、呼吸をゆっくりするように声をかけ患者を落ち着かせる。

⑤局所麻酔剤中毒
注入した局所麻酔剤が体循環することで引き起こされる。

投与場所や投与量によって起こりうるが、発症は極めて稀である。

中枢神経症状である眠気やめまい、悪心、発汗、痙攣が起こり、バイタルサインとして、過呼吸や血圧上昇が起こる。

重篤な場合、昏睡や徐脈、血圧低下が起こる可能性もある。

⑥オトガイ神経麻痺
小臼歯根尖部へ浸潤麻酔を行うとオトガイ神経麻痺を引き起こすことがある。

小臼歯根尖部へ浸潤麻酔をする際は、適応なのか十分な検討を行い、しっかりと注意をしながら行う。

局麻時に注意すること

  • 局所麻酔剤に含まれる血管収縮剤によって高血圧が引き起こされることも問題であるが、痛みによるストレスで様々な偶発症を引き起こすリスクがあるため、最低限の局所麻酔剤の分量で、鎮痛をしっかり確保する必要がある。

  • 局麻をする際は、できるだけ患者の痛みや不安を減らすために、十分な声掛け、表面麻酔の塗布、細い針の使用を行う方が良いだろう。

  • もしも患者が過剰に不安をいだいていた場合、もしくは以前に局麻時の痛みで起きた偶発症を発症していた場合、笑気吸入鎮静法や静脈内鎮静法を行うのも一つの手段である。

  • 高血圧、不整脈、呼吸困難がある患者は心不全のリスクを持っており、治療中においてバイタルサインの確認は継続的に行うべきである。

  • 甲状腺機能亢進症では、アドレナリンの使用が禁忌なので、アドレナリン以外の血管収縮剤含有の麻酔剤を用いる。

  • もし偶発症が起こった場合、偶発症の病名を判別するよりも先に意識、呼吸、脈の確認し、救急車とAEDの手配を行う。

まとめ

歯科医療において頻繁に施術される局麻だが、様々な偶発症を引き起こすことを確認してきた。

歯科医療者として、局麻時に偶発症が起きないように、十分な問診をすることで患者それぞれに対し行うべきケアをし、痛みへの不安をできるだけ取り除くようにできる限りのことを行うべきだろう。

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参考文献

『病気をもった患者の歯科治療ー医科から歯科へのアドバイスー 改定第4版』,長崎県保険医協会,2017
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