抜歯時に抗血栓薬は休薬するべきか?

抜歯時に抗血栓薬は休薬するべきか?

文・構成:河崎万鈴 | 投稿日: 2019年11月26日
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抗血栓薬は循環器系疾患患者に処方され、超高齢化社会の日本では抗血栓薬を常用している患者が歯科治療を受けることが多くなっている。

抗血栓薬を常用している患者の歯科治療において抜歯が必要になった場合、抗血栓薬を休薬するかどうかは実際歯科医師の悩みどころであろう。

ここでは結局、抗血栓薬服用患者は抗血栓薬を休薬するのかしないのかについて検討していきたい。

抜歯において抗血栓薬は基本的に休薬しない

結論から申し上げると、抜歯において抗血栓薬は基本的に休薬しないことが推奨されている。

抗血栓薬を服用していると、血液が固まりにくいため、抜歯をするとなかなか止血ができない恐れがある。

ただし、有病者歯科医療学会が定めた「抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン(2015年改訂)」によると、ワルファリン服用患者では抜歯を行う少なくとも72時間以内に測定したPT-INRの値が疾患に対する至適治療域内にあればワルファリンを休薬する必要はないとしている。

バイアスピリンやプラビックスといった抗血小板剤はワーファリンのPT-INRのような効果判定ができないが、これらの投与下での抜歯が推奨されている。

直接作用型経口抗凝固剤(DOAC)でも抜歯についての安全性は未だ確立していないが、これも休薬を推奨されていない。

抗血栓薬を中断した場合

抗血栓薬を1ヶ月中断した場合、脳梗塞、心筋梗塞などの発症リスクは上昇し、ワルファリンを中断した場合に至っては、約1%の患者において血栓・塞栓症を発症する。

基本的に抗血栓薬は抜歯時に中断すべきではないが、肝臓の止血作用がうまく機能しない肝疾患では注意が必要である。

大出血が予想され、どうしても減量や中断を考慮するときはヘパリン療法を行うことが考えられる。

その際には患者に抗血栓療法を行っている医師と連携することが重要になるだろう。

服用に注意すべき薬は?

抜歯の際は、術前後に抗菌薬や鎮痛薬を投与することが多いが、これらは抗血小板薬の効果を増強する。

抗菌薬の場合、適切な局所止血をすると、抗菌薬の数日投与では出血傾向が増強することはなく、通常量の抗菌薬を投与して問題ないと「抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン(2015年改訂)」で言われている。

鎮痛剤のNSAIDsの場合、抗血小板薬とNSAIDsの関連研究が十分でないが、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、フェノプロフェンカルシウム、ナプロキセンではなくイブプロフェンとロキソプロフェンナトリウム、カロナールのほうが抗血小板作用が弱いため、短期間での使用が推奨されている。

本記事のまとめ

抗血栓薬服用時の抜歯には、適切な止血を行えば、基本的に問題になることはなく、一方で抗血栓薬を休薬すると血栓・塞栓症のリスクが上昇するため、抗血栓薬服用患者の抜歯では基本的には休薬しない。

ただし、歯科医師として侵襲性が高い治療を行うには、抗血栓薬の休薬するかしないかや薬剤の相互作用について、十分な知見と検討が必要となるだろう。

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参考文献

『病気をもった患者の歯科治療ー医科から歯科へのアドバイスー 改定第4版』,長崎県保険医協会,2017
「抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン(2015年改訂)」,有病者歯科医療学会
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