平安時代の貴族「神に祈るより歯を磨け!」

平安時代の貴族「神に祈るより歯を磨け!」

文・構成:ミホ | 投稿日: 2020年01月06日
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平安時代にまとめられた日本初の医書には、歯痛への対処法やむし歯の予防方法が書かれている。当時から「予防」という観点があったものの、この医書は宮中に秘蔵されていたため、その知識が一般に広まることはなかった。

そんな中で平安時代の貴族たちは、日常作法として「歯の掃除」を心得ていたようである。その点について詳しく見ていこう。

神仏に祈る前に歯の掃除

平安時代中期の貴族・藤原師輔。彼は当時実力者であり、晩年は貴族としての作法、儀式・年中行事について書き記した。そんな師輔は、家訓として起床後に貴族がすべきことを挙げている。

  • まず自分の一生を支配する属星の名前を7回唱えること
  • 鏡で顔を見ること
  • 暦で吉凶を占うこと
  • 楊枝を使うこと
  • 西を向いて手を洗うこと

楊枝を使うこととは、文字通り歯の掃除をしろということ。その後に「仏名を唱え、信仰している神社を念じよ」としている。どうやら平安貴族の間では、神仏に祈るよりも口腔内を清潔に整えることの方が先であり、作法だったようだ。

絵巻物に描かれた「口臭の女」

国宝に指定されている平安末期の絵巻物「病草紙」には、楊枝を使っている女官が描かれている。その隣には着物のたもとで口を覆う2人の女官が・・・。そこにはこんな説明文までついている。

「一人の美しい女がいた。女に惹かれる男たちは彼女に近づこうとした。しかし、近づくと途端に鼻をつまんで逃げ出してしまう。耐えがたい口の臭さなのだ。」

しかもこの絵の題名はズバリ「口臭の女」。なんともデリカシーのない、直球ストレートである。この平安美女は楊枝を使って、口臭を消そうと必死だったのであろう。
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口臭を消すための楊枝

平安美女の口臭の原因としては、口腔内が不潔なこと、あるいはむし歯や歯周病などが考えられる。口腔ケアが浸透している現代では、これほどの口臭に悩むことは稀有である。

しかし当時はよくある光景だったのであろう。それに、口臭を消すために楊枝を使ったところで・・・。その効果がささやかなものであったことは、想像にかたくない。

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参考文献

  1. 「歯みがき100年物語」ダイヤモンド社, ライオン歯科研究所 編, 2017
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