「思春期」の口腔ケア

「思春期」の口腔ケア

文・構成:ミホ | 投稿日: 2019年11月12日
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全身に変化が現れる「思春期」。思春期は、一般的に12歳ごろから18歳ころまでと言われ、小学校卒業〜高校卒業くらいまでの期間だ。この期間は心身ともに不安定で、第二反抗期とも呼ばれる。子供がこの時期を迎えると、全身だけでなく口腔内にも変化が現れるという。

歯科疾患実態調査からわかるむし歯率の増加

厚生労働省によって、6年ごとに「歯科疾患実態調査」が行われている。この調査は、日本国内の歯科保健状況を把握し、今後に役立てることを目的としている。歯科疾患実態調査では、日本全国から無作為に選ばれた地区に住む世帯員のうち、満1歳以上を対象としている。

この調査結果を見ていると、特に10代後半において大きな変化があることがわかる。というのも、15〜19歳の子供のうちむし歯のある人の割合は、10〜14歳のそれに比べてほぼ倍となっているのである。なお15〜19歳においてその割合は6割を超えている

思春期になると口腔内に変化が現れる原因

なぜこの時期になると、口腔内に変化が現れるのか?その原因は主に2つ考えられる。

  • 自立心の高まり反抗心によって、歯磨き習慣が自己流になること
  • 生活リズムが変化すること
  • 成長にともなって分泌されるホルモンの影響

最も大きな原因は、1つ目の「自立心の高まり反抗心」である。小学生の頃は親や学校に言われた通りに、素直に従って行なっていた歯磨きも、思春期を迎えるとそうはいかなくなる。自己流になって、自分の楽なように歯を磨くようになる

またクラブ活動や受験勉強、夜更かしなどにより間食が増えたり、生活習慣が乱れたりすることも原因であろう。これにより歯磨きが疎かになり、むし歯や歯肉炎のリスクが上昇する。

加えて成長にともなって分泌されるホルモンも原因の1つである。このホルモンにより歯肉炎が起きやすくなり、歯周病への第一歩を踏み出してしまう。

思春期の患者に有効な動機付け

こうした状況を変えるため、私たちには何ができるのか?明海大学学長・安井利一氏はこう指摘する。

「自分の生き方・健康観を考えさせる機会を与えることが大切。健康な口があるから食べられる、話せる。むし歯や歯周病がなければいいということではなく、健康な口腔機能・健康な体は一体だということを理解してもらわなければいけない。そうでないと、何のために歯を磨くのか、何のために治療に行くのかわからないでしょう」

歯周病になり、歯が抜け、入れ歯になる。実際に自分がそのような状況になれば、食事のしづらさや話しづらさから「歯の大切さ」を知るだろう。しかし思春期という若い世代では、そのように身をもって知ることは難しい。また口腔と全身には深い関わりがある・・・なんてことも、身をもって経験していない若い世代には理解されづらい。

そのため、生き方・健康について「自分で」考えさせる機会を与えることが必要なのである。特に「歯周病は口臭の原因となる」「前歯がないと英語の発音がしづらい」などは、異性や周囲との関わりを気にする思春期において有効であろう。

良好な口腔内環境を保ってもらうためには

思春期の子供たちの歯・口腔の健康が悪化する原因としては、子供の6人に1人が貧困という現状も挙げられる。足立区が所得の高い世帯と低い世帯に分けて調査した結果、後者におけるむし歯の数は平均5本という結果であった。この結果は、
  • 歯・口腔に対する意識が低い
  • 経済的な理由で歯科治療を受けられない
などといった理由からきている。

行政は、生活保護受給世帯に無料の医療券を支給している。学校の歯科健康診断で異常が認められると、子供に医療券が手渡される。しかし親が「ほっとけばいいよ」と言ったり、本人が歯科治療を怖がってしまえば意味がない。

安井氏は、「本人が歯・口腔の大切さを理解していれば、子供は率先して歯科医院に行くはず。仮に貧困のため歯磨き用品が買えなくても、食後にうがいをするなど工夫をするはずである」と言う。

永久歯が生えそろい、大人の歯列が完成していく思春期。この時期は歯と口腔、そして全身の健康を左右する大切な時期である。家庭と学校、そして歯科医師のさらなる連携が求められる。

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