高校教師は職業柄進路相談に乗る関係で、保護者よりも全体的にコデンタルの認知度が高い(職業についてよく知らない割合が低い)ようだ。しかし保護者は、コデンタルについてよく知らない方も多いようだ。
このような現状になるのも無理はない。病院や歯科医院に行って患者が深く関わるのはほとんどが歯科医師だ。歯科衛生士が外来にいても、歯磨き指導などで深く関わらなければ「歯科医師のアシスタント」「歯医者のお姉さん」程度の認知度になるだろう。歯科技工士に至っては歯科医院で見かけることも多くなく、自分の詰め物や被せ物、入れ歯を作ってくれた人だなんてまさか思っていないだろう。看護師は医師や歯科医師と並んで認知度が高かったが、言語聴覚士や管理栄養士については、患者が必ず関わるわけではないため認知度が低くても無理はない。
このように保護者など高校生を取り巻く人々の認知度が低いと、高校生本人に相当な強い興味がない限り進学・就職にはつながらない。つまり保護者や教師の歯科への認知度の低ければ低いほど、歯科衛生士・歯科技工士などコデンタルスタッフを志す高校生の減少につながる可能性がある。
これは世間で叫ばれている、歯科衛生士・歯科技工士不足にも関わってくるのではないだろうか。「職場環境が整っていない」「歯科衛生士は結婚・出産を機に離職する人が多い」などといった、就職してからの問題点にばかり目を向けていても、そもそも目指す人が少なければコデンタルスタッフの需要と供給のバランスは取れない。歯科を志す可能性を秘めている高校生たち、あるいは彼・彼女らを取り巻く高校教師や保護者にアプローチしてみてはどうだろう?
高校生たちは歯科に関心がなくても、高校教師や保護者からのアドバイスを受けて興味を抱くかもしれない。これは高校生に限ったことではなく、中学生でも小学生でも同じことが言える。進路相談を受けたときに、歯科衛生士や歯科技工士という仕事を説明できる高校教師・保護者が増えれば可能性はもっと広がる。将来を考える段階でアプローチをかけることが、歯科衛生士・歯科技工士不足を解決する糸口になるかもしれないのだ。