次世代型の歯科医院経営として今注目を浴びている「デンタルフィットネス」。
保険診療で行う予防歯科の仕組みを変革することで、驚異のリピート率95%を実現出来ることが多くの歯科医院で実証されている。
「うちも予防に力を入れてるけど、何が違うの?」「そうは言っても上手くいくのは一握りの先生だけでしょ?」こうお考えになる先生も多いだろう。
そこで今回は、デンタルフィットネスのリアルな実情を調査すべく、実際に医院に導入されている兵庫県・たんぽぽ歯科の水田 佑 院長にお話を伺った。
きっかけは、何となく入ったClubhouseのトークルーム。
ー 先生がデンタルフィットネスと出会ったのは、どういった経緯だったのでしょうか?
水田先生:
そもそも歯学部って、卒後多くの人が開業して経営者になるのに、経営について勉強する機会ってないですよね。
いざ歯科医院の勤務医になって少し経営の勉強に触れる機会はあるものの、まずは診療を身に付けていくのがメインで、そんなこんなで数年働いて開業する。
多くの先生がこうしたキャリアを辿っていて、自分も例に漏れずそのうちの一人でした。
そして右も左も分からない中、勤務していた医院の院長の見よう見まねで2012年に開業しました。
でも実際開業してみると、当然治療だけやっていれば良いというわけにはいかなくて、税務・労務など、これまでまともに勉強してこなかったことをいきなり実践でやらなければいけなくなって。
「自分は経営者として、これから本当に上手くやっていけるんだろうか…」こんな思いで当時は頭の中がいっぱいでした。
歯科医院経営に関する情報収集の必要性を痛感していた頃、たまたま音声SNSアプリの「Clubhouse」を開いたんです。
すると香川県で予防歯科に力を入れて成功されているしん治歯科 COOであり、デンタルフィットネスを提唱されている高橋 翔太先生が歯科医院経営の話をするルームがあって、気になって入ってみたんですね。
ー なるほど。それがデンタルフィットネスの高橋先生との最初の出会いだったのですね。
そうなんです。高橋先生の話しぶりが、何だかラジオ番組のDJみたいで面白くて惹き込まれました。
歯科医院経営に関するトークルームは複数回に渡って開催されていて、何回目かにデンタルフィットネスの話が出てきました。
保険診療の範囲で予防歯科の仕組みに手を加えることによって、リピート率9割を実現すると紹介されていて、「そんなことホントに実現可能なのか?」と最初は正直疑っていました。
ただ、自院の定期検診の継続率の低さに悩んでいたこともあり、一度詳しく話を聞いてみることにしたんです。
Zoom面談でしん治歯科の高橋 伸治院長と高橋 翔太先生に、デンタルフィットネスのコンセプトと実際の経営について詳しく聞き、非常に納得感がありました。
これまでと歯科医院経営のスタイルを変えるのに少し勇気が入りましたが、思い切って一歩踏み出してみることにしました。
「スタッフってうちの医院のこと、こんなに考えてくれてたんや。」
ー デンタルフィットネスを導入されてみて、経営状況や先生のお考えに変化はありましたか?
開業して9年目、2021年の10月に自院でデンタルフィットネスを導入しました。
これまでアポ帳を見ては、何回目かに離脱している患者さんが多くいらっしゃることに気付き、もやもやした気持ちを抱えていましたが、今では高橋先生が仰っていた通り安定してリピート率が9割を超えるようになって、正直自分でもとても驚いています。
▲ デンタルフィットネス導入後のリピート率の推移。安定してリピート率90%越えを実現している。
これはデンタルフィットネスのひとつのポイントでもあるのですが、患者さんを「来させる」という考え方から、患者さんの自律を促すという考え方に変わっていきました。
ー 歯科医療者が患者さんを管理するのではなくて、患者さんのセルフケアを支えて自律を促すのがポイントなのですね。導入にあたって、大変だったことはありますか?
▲ デンタルフィットネス導入後の流れ:たんぽぽ歯科の場合
予防歯科のやり方を変えていく仕組みになるので、院長の自分よりも現場で対応するスタッフが本当に大変だったと思います。
まず、受付スタッフは仕事をこなしながらの資料作りで苦労しましたが、Officeが使える受付が一人いたことや、しん治歯科に資料提供してもらったことで乗り越えていくことができました。
また、衛生士はマニュアル通りに施術することが慣れず、時間が足りなくなることがあったり、V7ハブラシによるブラッシング方法の習得が大変だったりと、はじめは苦労もありましたが、実践を積む中でコツをつかみ、解決することができました。
導入にあたってスタッフみんなが本当に頑張ってくれて「みんなうちの医院のこと、こんなに真剣に考えてくれてるんや」。そう分かったのは、自分にとって大きな発見でした。
経営者と従業員という関係性を超えて、素晴らしい医院を創り上げていくチームメイトとして、今まで以上に対等な、いわば大人同士の関係性で付き合っていけるようになりました。これもデンタルフィットネスのおかげですね。
治療から予防へのシフトチェンジで利益率の高い体質へ変化
ー 具体的な経営の状態についてもお話を伺えればと思います。スタッフの人数やユニット台数など、現在のクリニックの状況はいかがですか?
まずスタッフについて、外来担当Dr1名、業務委託の訪問担当Dr1名、矯正担当Dr1名、歯科技工士1名、歯科衛生士7名、歯科助手4名で医院を運営しています。
チェアは4台ですが、デンタルフィットネスの導入が上手く行き過ぎたが故に現在予約がパンクしている状態で、現在急ピッチで改装を進めており、7台体制に向けて絶賛工事中です。
1日の患者数は45名程で、治療と予防が2:3くらいになっています。
メインテナンスの患者さんが増えるので、3ヵ月に一度しか来ない患者さんが増えたことによって、1人の患者さんが1ヵ月に来院される回数(下図:平均来院回数)は下がっています。
▲ 平均来院回数と診療報酬の推移。平均来院回数が減少しているにも関わらず、診療報酬が増加していることが分かる。
導入後、実は週6から週5に診療日を減らしたのですが、それでも月別の売り上げは基本前年を超える、もしくは維持することが出来ていて、年商は1億円~1億2000万円ほどです。
予防歯科にかかるコストは人件費、電気代、機材費くらいなので、診療所全体のコストが減少し、利益率の高い体質に変化させることが出来ました。
ー 水田先生が考える、デンタルフィットネスの良さってどんなところですか?
自分の医院は保険診療が9割で、正直な話、自分くらいのレベルの歯科医師はごろごろ居ると思います。
デンタルフィットネスを導入して成功させることが出来たのも、別に特別なことは何もしていなくて、ただ言われたことをやっただけなんです。
そして分からないことがあっても、素晴らしいモデルケースであるしん治歯科医院から活きた知識を学ぶことが出来る環境が整っています。
その結果として、スタッフも働きやすくなったし、予防型に転換したことで経営面でもやりやすくなりました。
治療が人より抜きん出て上手くなくても、経営の天才じゃなくても、ちゃんと堅実に歯科医院経営を軌道に乗せることが出来る。それがデンタルフィットネスの良さだと私は思っています。
ー 今後、たんぽぽ歯科をどんな歯科医院にしていきたいですか?
デンタルフィットネス導入で予約がいっぱいになってしまっているので、チェアと人員を増やしていきたいですね。
増員出来たら、スタッフも休みやすくなります。
勤務の自由度を高めて、働きやすい環境を提供すること。そして、成果に応じてきちんと給与を上げていくこと。これは経営者である自分の使命だと思っています。
また、デンタルフィットネスを導入して外来での平均点数が下がったため、平均点数の上がりやすい訪問歯科診療も安心して取り組める状況が出来ました。
訪問歯科については完全に素人なので、ここでもしん治歯科のやり方をトレースして、堅実に成功させたいと考えています。
それともう一つ、今通ってくれている子どもたちの食生活についてアンケート調査を行ったところ、結構問題のある子が多くて。今後はMFTを含めて食べるところまで指導できる歯科医院をつくっていきたいです。
この度1Dでは、講師にしん治歯科医院 高橋 伸治 院長, COO 高橋 翔太 先生をお招きし、予防歯科で1億円を超える歯科医院経営方法を学ぶことが出来るセミナーを開催する。
再現性の高い「予防歯科」経営法について、生の講義で学べるチャンスだ。
歯科医院経営に携わる全ての先生必見の内容となっている。興味のある方は、是非参加することをおすすめしたい。