GBR

「GBR」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年11月23日

GBRとは?

GBRとはGuided Bone Regenerationの略称であり、ある種の機械的バリヤーを用いて骨欠損部を物理的に密封し、骨組織の再生を誘導する骨誘導再生療法である。このような原理を1989年にDahinらはインプラント周囲の骨欠損に応用し、ウサギの脛骨に埋入したインプラント周囲の裂開状の骨欠損にe-PTFEメンブレンを用いて骨再生を試みた。その結果、メンブレンを使用しなかった部位と比較して、メンブレンを使用した部位では有意に骨の再生を認めた。また、組織学的所見でも新生骨とインプラントの界面でオッセオインテグレーションが認められたと報告している。


GBRの原理

GBRでは、軟組織を創傷部位から排除し、骨形成細胞によりそのスペースを満たすことによって新生骨が形成される。それを達成するには、創傷部位に血餅を形成、維持させるために膜(メンブレン)が必要となるわけではあるが、治癒期間中に外力によりメンブレンが潰されないようにすることが大切である。

また、メンブレンが治癒期間中に口腔内に露出したとしても、最低4~6週間口腔内にとどめておかなければならない。GBRの治癒期間としては最低6か月間が必要とされる。GBRを成功に導くためには、その目的を十分理解してGBRを行う必要がある。

GBRの目的

GBRの目的は、以下の通りである。

顎堤の骨欠損部を骨組織で回復することにより、
  • 術前には困難または不可能なインプラントの埋入を可能にする
  • より望ましい位置にインプラントを埋入することが可能となる
  • 抜歯窩の吸収を最小限にする
  • 審美性を改善する
  • 発音を改善する
  • 可撤性義歯の維持または支持を改善する

GBRの適応症

歯槽骨の不足部に骨を再生させる方法として、GBRを考えた場合、その適応症と非適応症は、以下のように整理することができる。

[適応症]
  • インプラントの埋入予定部位に垂直的または水平的な歯槽骨が不足している場合
  • 歯槽骨の形態不良による審美障害
  • インプラント埋入中に骨の裂開や開窓が起こった場合
  • 抜歯と同時にインプラントを埋入する場合

[非適応症]
  • 欠損が大きすぎる場合
  • 感染がある場合
  • 時間(期間)的余裕がない場合
  • 患者が価値を認識していない場合(患者のモチベーションが図れていない場合)

GBRでスペースを確保する材料は?

GBRでスペースを確保するために用いられる材料は以下の通りである。
  • 非吸収性膜膜と吸収性膜
  • 骨移植材(自家骨、他家骨、代用骨)
  • ピン(Osseofix pin、Memifix pinなど)
  • チタン強化膜

GBRの分類

WilsonとWeberは、GBRを行う時期を抜歯後の時間経過と関連付けて次のように分類している。この分類から、抜歯された後の歯槽骨の変化と軟組織の変化がGBRの成功に大きく影響していることが理解できる。

[WilsonとWeberの分類]
①    Immediate approach(抜歯時GBR)
抜歯と同時にインプラントを埋入しGBRを行う
②    Early approach(抜歯後早期GBR)
抜歯後30~60日間軟組織の治癒を待ってからインプラント埋入とGBRを行う
③    Delayed approach(時間差GBR)
抜歯時または抜歯後早期にGBRを行い、骨を再生させてからインプラント埋入を行う
④    Staged approach(段階的GBR)
抜歯後数か月から数年経過し、骨吸収が認められる顎堤に対してGBRを行う。状況によってはインプラント埋入と同時にGBRを行うこともある。

以下にそれぞれの時期に対応する臨床例を呈示し、その利点、欠点について考察する。

抜歯時GBR法(Immediate approach)の利点・欠点

[利点]
  • 手術回数が少なく、治療期間は最短
  • 薄い骨壁が抜歯後早期に吸収することを防ぎ、最大限の顎堤を保存できる
[欠点]
  • メンブレンの露出する可能性がもっとも高い
  • 感染の危険性が高い
 
抜歯後早期GBR法(Early approach)の利点・欠点

[利点]
  • 比較的治癒期間が短い
  • Immediate approachよりメンブレンの露出の確立が低くなる
  • 抜歯後の経過が短期間のため、骨の吸収があまり進んでいない(薄い骨壁でも残っている場合がある)
[欠点]
  • Immediate approachに比べて外科処置の回数が増える
  • 治癒過程に個人差があり、見かけに反して意外に歯肉が薄く、歯肉弁が穿孔することがある
  • メンブレン周囲に感染が生じる可能性がある

時間差GBR法(Delayed approach)の利点・欠点

[利点]
  • 骨の状態を確認したうえでインプラントの植立が確実に行える
  • 抜歯後にインプラントの初期固定ができない場合に応用できる
[欠点]
  • 治癒期間がかなり長くなる
  • 外科処置の回数が増える
 
段階的GBR法(Staged approach)の利点・欠点

[利点]
  • 術前は埋入が困難だった位置にインプラントが行える
  • 骨の状態を確認したうえでインプラントの植立が行える
[欠点]
  • 治癒期間は最も長い
  • 修復量が大きいことが多く、技術的に困難を伴う
  • 外科処置の回数が多い


「GBR」の文献・書籍など

【読み】

じーびーあーる

【文献・書籍】

『コンセプトをもった予知性の高い歯周外科処置 改訂第2版』,小野 善弘ら , クインテッセンス出版, 2013.
『ザ・ペリオドントロジー 第2版』, 和泉雄一ら, 株式会社永末書店, 2014.
『臨床歯周病学 第2版』, 吉江弘正ら, 医歯薬出版株式会社, 2013.

著者/監修者情報

歯科医師

誇り高き道産子。岡山大学歯学部卒業後、歯科医師免許取得。北海道大学病院にて研修終了後、ワンディー株式会社にジョイン。歯科業界のマーケティングに携わる。

インプラントの埋入の症例リスト

1┘にインプラント体埋入とGBRを同時にした症例で骨の再生がうまくいきました。
初期固定で早期の膜の露出がおきたけど、6〜8週間は辺縁が形成されるのを待ってから膜をとることにしました。

今日、組織のコンディションとボリュームを保つために結合組織移植術を膜の除去後、インプラント体上に行いました。

患者さんには事前に└1の近心のアタッチメントロスのために歯肉の高さは得にくいことを説明しておきましたが、どうにかして上顎1-1間の歯肉の高さを得られるように処置しました。

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数ヶ月前にGBR法とインプラント埋入を行った所に、
角化歯肉幅の増大と口腔前庭の拡張を目的として軟組織の移植を行いました。
遊離歯肉を生着させるためにマットレス縫合を応用しました。
術後、遊離歯肉弁と結合組織弁は生着し、安定しています。

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初めての投稿になります。
24歳 女性の症例です。
来院当時はスモーカーで
プラークや歯石が付着していて歯肉炎の状態。

左上の4番は歯冠が崩壊していて
ホープレスと診断され、歯周病治療と並行し
抜歯後GBR・インプラント埋入。
ホワイトニング・ガムピーリングを施し
歯も歯肉も健康的で美しいスマイルラインが出来上がりました。

今後も投稿していきたいと思いますので
よろしくお願いします。

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