カーテン徴候

「カーテン徴候」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年06月30日

カーテン徴候とは?

軟口蓋反射が片側で見られない現象である。球麻痺で見られる。


カーテン徴候と咽頭の反射

咽頭の反射には軟口蓋反射と咽頭絞扼反射がある。軟口蓋反射の誘発部位は 硬口蓋から軟口蓋にかけての移行部である。 この部位を刺激すると軟口蓋が後上方ヘ挙上する。運動は両側性に誘発されるが、脳梗塞による仮性球麻痺では 軟口蓋反射そのものが抑制を受けるのに対して球麻痺症状においては患側の挙上が悪い。これが、カーテン徴候である。

一方、感覚神経は左右独立しているため、感覚の異常の有無を調べるには、左右の軟口蓋をそれぞれ刺激する必要がある、

球麻痺と仮性球麻痺の違い

脳血管障害による摂食・嚥下障害は機能レベルで大きく仮性球麻痺(偽性球麻痺)によるものと球麻痺によるものの2タイプに分類されることが多い。「球」という呼称は延髄の形状に由来している。

仮性球麻痺は 脳梗塞や脳虚血、頭蓋内出血などにより大脳から延髄の嚥下中枢に下行する上位運動ニューロンが障害を受けることにより発症する。

偽性球麻痺は病巣の部位から三つの型 ①皮質・皮質下型 ②内包型 ③脳幹型 に分けられるが摂食・嚥下障害にしては概してどの型も嚥下にかかわる諸筋の筋力と協調性の低下が特徴である。

このため捕食時のこぼれ、口唇からの食べこほし、食塊形成不全、咽頭への食塊移送不全、嚥下のの惹起不全などを呈する。また高次脳機能障害の合併により、食べる順序がわからない(観念失行)、同じ動作を繰りかえす(保続)、食事中にしゃべり始める(意識集中障害)、片側の食べ物を見落とす(半側空間無視)などさまざまな症状を呈することもある。

球麻痺は延髄にある嚥下中枢を巻きこんだ脳神経の障害による運動麻痺で、仮性球麻痺に比べ症状はより重度である。嚥下反射は消失あるいは著明に減弱し、舌、軟口蓋、咽頭の筋が弛緩性の麻痺となり、嚥下するためには流動物を重力で流しこむ以外に方法がなく、誤嚥は必発である。

脳卒中について

カーテン徴候の原因となる球麻痺の大本の原因である脳卒中に関して記す。

よく脳卒中(stroke, apoplexy)とよばれるが、脳卒中は脳血管障害のうち急性・発作性に突然発症し、意識障害や片麻痺、失語症などの神経症候を呈し倒れてしまうものの総称である。ちなみに脳の血管がつまる虚血性疾患の「脳梗塞」、脳のなかの血管が破れる「脳出血」、脳の表面を流れる血管の動脈瘤が破れる「くも膜下出血」は3大脳卒中とよばれている。

ほかにもやもや病、慢性硬下血腫なども脳血管障害に分類される。

脳血管障害の危険因子

脳血管障害が起きやすくなる危険因子は 、虚血性疾患では動脈硬化が最大の因子で 動脈硬化の原因としては 高血圧症、高脂血症、糖尿病、喫煙があげられる。

出血については各病態で異なり、脳出血では高血圧症が、くも膜下出血では脳動脈瘤(aneurysm)・脳動静脈奇形(AVM)が大きな要因となる。現代は文化の欧米化とともに脳血管障害の罹患率は上昇しており、リハビリテーションのみならず、予防や再発防止も大きな問題となっている。

脳血管障害は障害部位によってさまざまな神経症状を呈する、神経学的所見の一般的な代表的診察項目は下記のようなものである。
  • 精神状態(覚醒状態などの意識障害、抑うつなどの情動障害)
  • 高次脳機(知能障害、注意障害、失語症、失行 、失認、遂行機能障害など) 
  • 脳神経(視野・視力障害、構音障害、 摂食・嚥下障害など) 
  • 運動機能(運動麻痺、 運動失調、不随意運動など )
  • 反射と筋緊張
  • 感覚障害


「カーテン徴候」の文献・書籍など

【読み】

かーてんちょうこう

【文献・書籍】

『歯学生のための摂食・嚥下リハビリテーション学 第1版』, 向井美恵ら, 医歯薬出版株式会社, 2008.

著者/監修者情報
歯科医師

歯科医師。文系大学卒業後、歯学部に再入学。歯学部卒業後に歯科医師免許を取得したのち、歯科医師として勤務する傍らワンディー株式会社でライターとして勤務。