ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)

「ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年06月14日

ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)とは?

ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)は、ビスフォスフォネート(BP)を服用している患者に発生する顎骨の壊死である。



ビスフォスフォネートとはどんな薬剤か

ビスフォスフォネートは骨粗鬆症治療の第ー選択薬である。破骨細胞を抑制することで骨粗鬆症を抑える薬物である。
この他、ビスフォスフォネートは乳がん、前立腺がんが起こしやすいとされるがんの骨転移や骨量が減少する疾患に対しても有効な薬物である。ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)はビスフォスフォネートの副作用の一つである。

ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)を起こしやすい条件

ビスフォスフォネートを投与されている患者が抜歯やフラップ手術などの侵襲的な歯科治療を受けた後に、ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)が発生することがある。

ビスフォスフォネートによる骨壊死が顎骨にのみ発生する理由

ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)が長管骨にはみられず顎骨にのみ発生する理由としては以下が挙げられる。
  • 歯は顎骨内から粘膜を貫通して植立しているため、口腔内の感染が上皮と歯の隙間から顎骨に直接、到達しやすい。
  • 顎骨を被覆する口腔粘膜は薄く、咀嚼などにより損傷を受けやすく、粘膜の損傷による感染は直下の顎骨に波及する。
  • 口腔内には多量の口腔内細菌が存在する。
  • 歯性感染症から顎骨に炎症が波及しやすい。
  • 顎骨は抜歯などの侵襲的歯科治療により直接、口腔内に露出して感染を受けやすい。

ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)と診断する条件

ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)と診断するには以下の3つの条件を満たす必要がある。
  1. 現在あるいは過去にBP製剤による治療歴がある。
  2. 顎骨への放射線照射歴がない。
  3. 口腔・顎・顔面領域に骨露出や骨壊死が8週間以上持続している。

ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)のステージと治療方針

ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)はステージ0〜3に分かれて、それぞれ治療方針が分かれる。

ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)のステージ分類
  • BRONJ ステージ0:骨壊死なし、非特異的疼痛、知覚異常、歯の動揺。
  • BRONJ ステージ1:無症候性で感染を伴わない骨露出と骨壊死。
  • BRONJ ステージ2:疼痛と感染を伴う骨露出と骨壊死。
  • BRONJ ステージ3:骨露出と骨壊死が歯槽骨範囲より拡がり病的骨折、皮膚瘻、口腔上顎洞瘻、口腔鼻瘻、下顎下縁や上顎洞に及ぷ骨融解を起こした場合。

ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)のステージごとの治療方針
  • BRONJ ステージ0:対症療法、必要に応じ鎮痛薬と抗菌薬投与。
  • BRONJ ステージ1:抗菌性含嗽薬、 3か月ごとの経過観察、患者教育をする。外科的療法は禁忌。
  • BRONJ ステージ2:抗菌性含嗽薬、抗菌薬投与、鎮痛薬投与、軟組織を刺激する壊死骨表層の除去。
  • BRONJ ステージ3:抗菌性含嗽薬、抗菌薬投与、鎮痛薬投与、壊死骨の外科的除去・顎骨切除。

骨粗鬆症患者でビスフォスフォネート服用患者の外科的処置

本来はビスフォスフォネート服用患者に外科処置はビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)の発症を防ぐために避けるべきではある。
しかし、ビスフォスフォネート服用患者に外科処置をする場合、ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)を予防するために、ビスフォスフォネートを3年以上服用している場合は処置前3か月程度の休薬をし、処置後のビスフォスフォネート製剤再開は2か月前後が望ましい。
ビスフォスフォネートの服用期間が3年未満の場合はステロイド投与や糖尿病がなければ、休薬せずに行う。




「ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)」の文献・書籍など

【読み】

びすふぉすふぉねーとかんれんがっこつえし

【文献・書籍】

『SIMPLE TEXT口腔外科の疾患と治療 第3版』, 栗田賢一ら, 株式会社永末書店, 2011.
『標準口腔外科学 第4版第1刷』, 野間弘康ら, 株式会社医学書院, 2015.

著者/監修者情報
歯科医師

歯科医師。文系大学卒業後、歯学部に再入学。歯学部卒業後に歯科医師免許を取得したのち、歯科医師として勤務する傍らワンディー株式会社でライターとして勤務。

口腔外科疾患の症例リスト

BP製剤服用患者が抜歯をすると顎骨壊死の発生頻度が上がると言うのは衛生士学校で習いました。

なので外来で初診の40代以上の特に女性には骨粗しょう症の薬の服薬あるいは注射の有無を問診するようにしています。
先生方もかなり気を付けておられるのでその症例に今まで出くわしたことがなかったのですが、

最近訪問をはじめて、いらっしゃいました。顎骨壊死の方。

顎骨壊死になってしまうと痛みの波があるようで痛い時と痛くない時があるようです。

正直訪問でのケアは限界がありますが、
顎骨壊死のかたの最善のケアをご存知の方お知恵をお貸しください。

スポンジブラシで拭い、薄めたコンクールで軽く洗浄しかしていません。うがいがなかなか難しい人ですが意思疎通は全く問題ないです

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抗RANKL抗体製剤とは何か分かる方いませんか。
何か注意が必要な製剤なのでしょうか?
誰か教えて下さい。お願いします。

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MRONJの治療、リスク患者の抜歯してて思うのですが、

ポジションペーパーでは「休薬しましょう」とか書いてありますが、その間、抜歯が必要な細菌の溜まり場を置いてていいのか?と。

さっさと抜いて感染源を除去し、骨露出を避けるべく完全閉鎖するべきではと思っています。

先生方はどう思われますか?

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