口角炎

「口角炎」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年09月01日

口角炎とは?

口角炎 angular cheilitis(口角びらん、口角びらん症)は、口角部にびらん、亀裂、潰瘍が生じ慢性に経過する病態をいう。口角炎の原因は様々で、誘因となる全身疾患としてはSjögren症候群、鉄欠乏性貧血、ビタミンB₂欠乏症、糖尿病などがあり、局所的には唾液減少、唾液過多、機械的刺激、歯の喪失などによる口角部のしわの形成などがある。乾燥を伴う場合はカンジダ菌によることが多く、湿潤な場合は細菌性のことが多い。口角炎は左右両側に生じることが多く、小児と高齢者で多く発症する。

口角炎の症状

口角炎の主な症状は以下である。
  • 亀裂
  • びらん
  • 腫脹
  • 出血
  • 痂皮
  • 違和感
  • 接触痛

口角炎の原因

口角炎の主な原因は以下である。
  • 合っていない義歯の使用、あるいは義歯不使用による口角部への唾液貯留
  • 過度の乾燥(Sjögren症候群など)
  • 口腔カンジダ症
  • 鉄欠乏性貧血
  • ビタミンB₂不足
  • 糖尿病
  • 悪習癖(口角部をなめる癖など)

口角炎の治療方法

口角炎の治療には、ビタミンB製剤投与や鉄剤投与、抗真菌薬投与、義歯調整など原因に対する治療となる。基礎疾患があればその治療を行い、対象療法として軟膏塗布による創部の保護も効果的である。

口角炎の原因となる疾患:口腔カンジダ症とは

口腔カンジダ症とは、Candida albicansをはじめとするカンジダ種により生じる疾患である。

口腔カンジダ症は臨床症状から4つに分類される。
  1. 偽膜性カンジダ症:口の中に白苔ができる。
  2. 紅斑性あるいは萎縮性カンジダ症:粘膜に紅斑・びらんができる。
  3. 肥厚性カンジダ症:粘膜が肥厚・増殖傾向を呈する。
  4. カンジダ性口角炎:口角の発赤およびびらんを呈する。

なお、比較的稀ではあるが口腔カンジダ症(真菌によっておこる感染症)のうち、その症状が口唇に現れたものをカンジダ性口唇炎と呼ぶ。カンジダ性口唇炎では、口唇紅部では鱗屑の付着とその周囲皮膚に及ぶ著明な発赤が特徴的である。

口腔カンジダ症は、主に真菌であるカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)への感染が原因である。口腔カンジダ症は副腎皮質ステロイドの投与や、体力低下やAIDSなどに伴う、免疫力の低下で発症する(日和見感染)。その他口腔カンジダ症は抗菌薬投与による菌交代現象、口腔清掃不良、義歯装着によっても誘発される。

口腔カンジダ症の治療方法は以下である。
  • 急性の口腔カンジダ症の場合:抗真菌薬(ミコナゾール、ナスタチン、アムホテリシンBなど)の塗布・含嗽・内服、口腔清掃状態の改善
  • 慢性の口腔カンジダ症の場合:主に切除を行う

口角炎の原因となる疾患:鉄欠乏性貧血とは

鉄欠乏性貧血は、貧血性疾患の中で最も頻度が高く、約半数を占める。鉄欠乏の原因としては、

  • 鉄需要の増大(妊娠、成長期の小児)
  • 鉄供給の低下(鉄の摂取量不足や吸収不良)
  • 鉄喪失(消化管出血、月経過多、子宮筋腫)

などがある。

鉄不足の為に肺から酸素を運ぶヘモグロビンの産生が不十分となり、臓器・組織に酸素欠乏が生じる。生体内の鉄の需要が供給を上回っても、組織内の貯蔵鉄が利用されるため、ただちに貧血にはならない。しかし、やがて貯蔵鉄が枯渇し、血清鉄が低下して小球性低色素性貧血を発症する。

鉄欠乏性貧血の症状は、比較的長期にわたり徐々に進行するため、慢性の貧血状態に慣れて自覚症状を欠くことも少なくない。一般的な貧血の症状以外に、スプーンネイル(spoon nail)、Plummer-Vinson症候群(舌・咽頭粘膜萎縮による嚥下困難、異物感)、異食症(バリバリと音のする硬い食べ物を好む)などの特徴的な症状がみられることがある。口腔内では、舌や口角の粘膜の萎縮により舌炎(舌乳頭の萎縮、灼熱感、ヒリヒリ感)、口角炎がみられる。

鉄欠乏性貧血の治療法としては、

  • 原因の除去(出血などがある場合)
  • 鉄剤の経口投与あるいは注射(注射は医療機関のみ)
  • 食生活での鉄摂取を推奨(ひじき、レバー、大豆、しじみ、ほうれん草など)

などが挙げられる。


「口角炎」の文献・書籍など

【読み】

こうかくえん

【文献・書籍】

『歯科医師国家試験参考書New Text別冊 口腔外科セレクトアトラス 第1版』, 麻布デンタルアカデミー, 株式会社干乃コーポレーション, 2012.
『口腔外科学 第4版』, 白砂兼光ら, 医歯薬出版株式会社, 2020.

著者/監修者情報
歯科医師

歯科医師・歯学博士。1987年東京都生まれ。2013年鶴見大学歯学部卒業後、歯科医師国家資格取得。2018年同大学大学院歯内療法学講座にて博士(歯学)取得。現在は同大学歯学部解剖学講座に非常勤研究員として所属。歯科医院に勤務する傍ら、個別指導塾を開設。個別指導歴は6年目、再試数2桁(学年最下位)を半年で進級させる。2020年から子どもたちに絵本を届けるため「スタジオ歯の絵本」で歯科の絵本製作プロジェクトを始動。
【note】note.com/dentalobo
【twitter】twitter.com/dentalobo

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