パラタルアーチ

「パラタルアーチ」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年11月06日

パラタルアーチとは?

パラタルアーチとは、口蓋を横切る矯正線で左右の臼歯(主に第一大臼歯)を連結した装置である。パラタルアーチは固定式装置である。




パラタルアーチの構成

パラタルアーチの構成は以下より成る。
  • 維持バンド
  • 主線

維持バンドと主線の連結方法には2種類ある。
  • 直接ろう着させる
    • 主線は0.036”の矯正線を用いる
    • 口蓋中央部にループを付与する。ループの向きは前方に向かうもの・後方に向かうものいずれも用いられる
  • シースを介して連結させる(以下2パターンあり)
    • 維持バンドの舌側に0.036”×0.072”のシースをろう着→0.036”の矯正線を屈曲して維持部を形成し挿入する
    • 0.032"×0.032"のアタッチメントをろう着→0.032"×0.032"のβチタン合金ワイヤーを主線として用い挿入する

パラタルアーチの作用

パラタルアーチの作用は以下である。
  • 捻転の改善
    • 臼歯部の捻転改善は、改善する側のバンドあるいはシース挿入部をプライヤーにて保持し、主線を10°前後遠心側に屈曲して装着する
    • 6〜8週間後、必要に応じて反対側の捻転改善を行う
  • トルクの改善
    • 歯冠の頰側傾斜改善には、臼歯の歯根頰側トルクを与える
  • 加強固定
    • パラタルアーチは臼歯の近心回転に抵抗する形となるため、前歯牽引に対する加強固定となる
    • 最大固定や臼歯遠心移動のためには、ヘッドギアの併用が必要である
  • 臼歯の垂直的保持
    • パラタルアーチは咀嚼・嚥下・会話時に舌圧を受け、圧下方向の力を受ける
    • 効果増大のためには口蓋ループ部にループ・レジンボタンを追加し、口蓋粘膜から4〜5mm離す必要がある
    • ハイプルヘッドギアの併用が効果的
  • 側方拡大
    • 捻転や遠心移動より前に行う
    • 片側1.0〜1.5mmの活性化を行う
    • 必要に応じてトルクの調整も行う

パラタルアーチの適応・効果

パラタルアーチの適応は以下である。
  • 咬合歯列期における上顎大臼歯の
    • 捻転
    • 近遠心的位置
    • 頬舌側的傾斜
    • 萌出抑制
  • 永久歯列期における
    • 臼歯の加強固定

パラタルアーチの使用方法

パラタルアーチの使用方法は以下である。
  • 主線は粘膜面から1mmほど離す(口蓋・舌などの損傷を防ぐため)
  • シースタイプでは、シース部分と主線を必ず結紮する(脱離による粘膜損傷・誤飲を防ぐため)

パラタルアーチの注意点

パラタルアーチは、上顎の片側抜歯症例・Angle Ⅲ級不正咬合における
  • 大臼歯の近心回転
  • 大臼歯の近心移動
を行う場合、その妨げとなるため注意が必要である。





「パラタルアーチ」の文献・書籍など

【読み】

ぱらたるあーち

【文献・書籍】

『歯科矯正学 第6版』, 飯田順一郎ら, 医歯薬出版株式会社, 2019.

著者/監修者情報

歯科医師

1992年、千葉県生まれ。鶴見大学歯学部在学中から個人でアプリ開発やWeb制作を行う。歯科医師国家試験の対策アプリを開発し、新卒歯科医師の7割超が利用するまで成長させる。2016年に歯科医師免許を取得。東京歯科大学大学院博士課程に進学後は、医事・衛生法規や歯科医療管理、社会保障制度など歯科保健医療が抱える種々の問題について専攻。同大学院中退後の2017年に当社創業。

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