スピーチエイド

「スピーチエイド」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年06月14日

スピーチエイドとは?

スピーチエイドとは、鼻咽腔閉鎖機能の不全による構音障害の改善を図ることを目的とした補綴装置のことである。口蓋裂のような軟口蓋欠損部を物理的に閉塞する鼻咽腔閉鎖型(pharyngeal bulb type)と、神経麻痺による軟口蓋部の運動障害などに適用される軟口蓋挙上型(palatal lift type)がある。軟口蓋挙上型のスピーチエイドは、軟口蓋挙上装置(palatal lift prosthesis:PLP)と呼ばれる(PLPはスピーチエイドに含まれないとする考え方もある)。

スピーチエイドの適応

スピーチエイドの適応症は、鼻咽腔閉鎖機能障害である。補綴的方法としてはスピーチエイド以外に発音補助装置(例:スピーチエイド、軟口蓋挙上装置、パラタルリフト、栓塞子)を装着する。鼻咽腔閉鎖機能障害に対する手術としては、口蓋形成術、口蓋瘻孔閉鎖術、咽頭弁形成術も適応できる。

鼻咽腔閉鎖機能障害に対する対応として、訓練法なども挙げられる。訓練法には「ブローイング訓練」や「口腔筋機能療法」などがある。

【ブローイング訓練】
話す時に、音が鼻に漏れたり抜けたりする患者に適応できる。話をする時にことばが鼻に漏れたり、抜けたりする状態(鼻咽腔閉鎖機能不全)に対しては、吹く(ブローイング)訓練によって口から息を出す練習などを行う。例えば、コップに入れた水をストローで吹いたり、笛やラッパなどの楽器を吹く練習を行う。

【口腔筋機能療法】
話す時に舌が前に出るなどの異常習癖がある患者に適応できる。舌や口唇の異常な運動習慣や習癖による口腔周囲筋の不調和を取り除き、調和の取れた状態に改善することが目的である。口腔筋機能療法には、舌の筋肉の訓練、舌の運動訓練、舌の位置の矯正訓練、口唇の運動訓練などがある。

スピーチエイドの利点・メリット

スピーチエイドの利点・メリットとして、下記の点が挙げられる。

  • 比較的低年齢時から鼻咽腔組織を損傷することがない。
  • 閉鎖不全部を個々の状態に応じて補填・調節し鼻咽腔閉鎖機能を改善する。
  • 鼻咽腔閉鎖に関連する筋運動を賦活化する作用を持つ。

スピーチエイドの欠点・デメリット

スピーチエイドの欠点・デメリットとして、下記の点が挙げられる。

  • 患者の成長に合わせて何度か作り変える必要がある。
  • 装置を支える歯が多数喪失していると適応しがたい。

補綴的発音装置の種類

補綴的発音装置の種類は、以下のように細分化できる。

  1. 顔面補綴、顎補綴(上顎補綴、下顎補綴):エピテーゼ、顎義歯
  2. 口蓋補綴:口蓋床
  3. 鼻咽腔部補綴
    1. 栓塞子型(Soft Palate Obturator :SPO):軟口蓋栓塞子
    2. バルブ型(Speech Bulb Prosthesis :SBP):バルブ型スピーチエイド(狭義のスピーチ・エイド)
    3. 挙上子型:軟口蓋挙上装置(Palatal Lift Prosthesis: PLP)
  4. 舌補綴
    1. 舌接触補助床(Palatal Augmentation Prosthesis: PAP)
    2. 人工舌(Artificial Tongue)
  5. 歯の補綴
  6. 顎位の矯正装置:ゴム牽引、ダイナミックポジショナー、チン・キャップ

スピーチバルブ

また、スピーチバルブという補綴物も存在する。スピーチバルブは、ロ蓋床の後方へ延長したバルブによって、鼻咽腔閉鎖機能を補助する装置のことである。ロ蓋裂や手術による軟□蓋欠損部に対して適用される。


「スピーチエイド」の文献・書籍など

【読み】

すぴーちえいど

【文献・書籍】

『歯科補綴学専門用語集 第4版』, 公益社団法人日本補綴歯科学会, 医歯薬出版株式会社, 2015.
『最新 口腔外科学 第5版』, 榎本昭二ら, 医歯薬出版株式会社, 2017.

著者/監修者情報
歯科医師

歯科医師。文系大学卒業後、歯学部に再入学。歯学部卒業後に歯科医師免許を取得したのち、歯科医師として勤務する傍らワンディー株式会社でライターとして勤務。