歯列弓

「歯列弓」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年06月14日

歯列弓とは?

正常な歯列は咬合面方向からみると、中切歯から第二大臼歯あるいは第三大臼歯までほぼ放物線形や桁円形をしている。その形態のことを、歯列弓という。歯列は切歯、犬歯、臼歯で構成され、第一小臼歯以後は臼歯列という。

矯正学的な歯列弓


【歯列弓長径】
歯列弓の長径は中切歯唇面から左右第二小臼歯遠心面(乳歯列・混合歯列では第二乳臼歯遠心面)を結んだ線までの距離をいう。歯列弓の長径は、乳歯列期には変わらないかわずかに減少する。

一般に乳切歯よりも唇側傾斜している永久歯の萌出によって歯列弓の長径は増加する。しかしながら側方歯群交換期にリーウェイスペースによって大臼歯が近心移動し、歯列弓の長径は減少する。

結果的に、5〜18歳までの間に歯列弓の長径は、上顎で1.6〜2.2mm、下顎で2.5〜3.3mm減少する。

【歯列弓周長】
歯列弓の周長は、第一大臼歯近心面(乳歯列では第二乳臼歯遠心面)から各歯の接触点(切歯では切縁)を結んだ、反対側の第一大臼歯近心面(乳歯列ではでは第二乳臼歯遠心面) までの距離である。

下顎歯列弓の周長は、側方歯の交換に伴う第一大臼歯の近心移動、接触点の摩耗、下顎骨の成長に伴う下顎前歯の経年的な舌側傾斜などを原因として大きく減少する。一方、上顎歯列のリーウェイスペースは下顎よりも小さいために第一大臼歯の近心移動が小さく、上顎前歯歯軸の経年的変化も小さいために、上顎歯列弓の周長は乳歯列と比較して大きな変化はない。

歯列弓の加齢変化

上下顎の永久歯が萌出して対合関係が得られた後も、歯は咬合力や継続的な萌出力によって移動し続ける。その結果、対合歯同士の咬頭や隆線が溝や窩と緊密に嵌合するようになる。この機構を「尖頑漏斗機構」という。

完成した永久歯列咬合は、長期にわたって緊密な咬合関係が継続すると、加齢とともにエナメル質の摩耗や咬耗がみられるようになる。その結果、尖頭漏斗機構がさらに働き、咬合や対合関係はより緊密なものとなる。この状態は40〜50歳まで継続するものの、う蝕、歯周病、歯の脱落などにより加齢変化の影響を受ける。

2016年の1人平均現在歯数は、50〜54歳で26.4歯、60〜64歳で23.9歯、70〜74歳で19.7歯と報告されている。一般に、前歯より臼歯のほうが歯の脱落は早く、この傾向は上顎より下顎で顕著である。最も早く脱落する歯種は男女とも下顎第二大臼歯である。


歯列弓形態の不正

歯列弓の形態の不正としては、下記が挙げられる。

【狭窄歯列弓】
正常より臼歯幅幅径が狭い歯列弓を狭窄歯列弓(英:constricted arch)という。上顎では口蓋が深いことが多い。

【V字型歯列弓】
V字型歯列弓(英:Vshaped arch)は狭窄歯列弓の1つで、左右犬歯間輻径が狭く、中切歯が唇側傾斜を示し、歯列弓がV字状の歯列弓である。

【鞍状歯列弓】
鞍状歯列弓(英:saddle shaped arch)は下顎骨の劣成長や大臼歯の近心転位などにより小臼歯の萌出余地が不足し、小臼歯が舌側に転位または傾斜することによって鞍状となった歯列弓で、下顎にみられる。

【空隙歯列弓】
歯間に空隙がみられる歯列弓を空隙歯列弓(英:spaced arch)という。 ①顎骨に対して歯が小さい、②舌が大きい、③歯数の不足などの場合にみられる。

「歯列弓」の文献・書籍など

【読み】

しれつきゅう

【文献・書籍】

『補綴臨床に必要な顎口腔の基礎知識 第1版第3刷』, 藍稔, 株式会社学建書院, 2011.
『歯科矯正学 第6版』, 飯田順一郎ら, 医歯薬出版株式会社, 2019.

著者/監修者情報
歯科医師

1992年千葉県生まれ。鶴見大学⻭学部歯学科卒業後、⻭科医師免許を取得。学生時代から個人でアプリやWebサービスの開発を行う。東京⻭科大学大学院博士課程中退。2017年にワンディー株式会社を創業。

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