下顎位置感覚

「下顎位置感覚」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年06月14日

下顎位置感覚とは?

下顎位置感覚とは、自身の下顎の位置を、視覚によらないで認知する感覚のことである。

一般的に位置感覚とは、身体や四肢の空間的位置を、視覚によらないで認知する感覚をいう。主に、関節腔・関節靭帯にある固有受容器によって検出される。触・圧受容器や、意識にのぼらない筋紡錘、腱受容器からの情報も、この位置感覚に対して密接に関与しているとされている。

無歯顎患者における下顎位置感覚においても、同じように顎関節部の受容器と、咀嚼筋の筋紡錘いおける筋感覚受容器が主に活動する。その他にも口腔粘膜や口唇周囲の顔面表情筋などの感覚受容器も、補助的に働くと考えられている。



下顎位置感覚の測定方法

下顎位置感覚の測定に際して、野首、安井ら(1993、2000)は他の痛覚、味覚、触覚、温度感覚などの測定にも用いられる「恒常法」を用いた臨床術式を提唱した。この恒常法は、精神物理学的測定法の1つである。

下顎位置感覚の測定方法である恒常法は、以下のような手順で行われる。
  • 高さを刺激値として行う
  • 一定間隔(例えば1mm間隔)の5〜7種類の咬合高径をランダムな順序で、高さの異なる上下顎咬合床を装着する
  • それぞれ「高く感じる」「低く感じる」「ちょうどよいと感じる」の3段階から選んでもらう

この後、
  • 「高く感じる」咬合高径とそれ以外に感じる咬合高径とが、半数ずつの頻度として判断される「上限の50%閾値」を算出する
  • 「低く感じる」咬合高径とそれ以外に感じる咬合高径とが、半数ずつの頻度として判断される「下限の50%閾値」を算出する
一般に、これらの閾値間を快適咬合域(comfortable occlusal zone;COZ)という。臨床ではこの快適咬合域の中央値を義歯の中心咬合位とする。

このような下顎位置感覚を利用して得られた快適咬合域の範囲内で咬合高径を決定する方法には、以下のような特徴がある。
  • 神経生理学的な面からも妥当である
  • 患者自身の感覚を利用するため、術者の経験・主観に影響されない




「下顎位置感覚」の文献・書籍など

【読み】

かがくいちかんかく

【文献・書籍】

『無歯顎補綴治療学 第2版』, 平井敏博ら, 医歯薬出版株式会社, 2009.

著者/監修者情報
歯科医師

歯科医師。文系大学卒業後、歯学部に再入学。歯学部卒業後に歯科医師免許を取得したのち、歯科医師として勤務する傍らワンディー株式会社でライターとして勤務。

「義歯製作」に関連する他の用語