下歯槽神経

「下歯槽神経」とは?歯科用語を解説
2021年04月12日

下歯槽神経とは?

下歯槽神経とは、下顎神経(三叉神経第三枝)の枝のひとつである。
舌神経に並んでその後を下行し、下顎孔から下顎管に侵入する。
下顎孔に入る直前に分かれる顎舌骨筋神経は、下顎骨内面の顎舌骨筋神経溝を前下方に進み、顎舌骨筋と顎二腹筋前腹に運動神経を送ると同時にオトガイ下部と顎下部の皮膚の知覚を支配する。
下歯槽神経は下顎管中で枝を出し、下歯槽神経叢をつくって下顎枝と下顎肉枝を出し、下顎の歯髄と歯肉を支配する。
下歯槽神経は最後にオトガイ神経となってオトガイ孔から出た後、オトガイ枝と下唇枝に分かれて付近の皮膚と下唇粘膜に分布する。

下歯槽神経の損傷

 下歯槽神経は下顎骨内の下顎管という皮質骨に囲まれた空間内を走行しているために、日常生活上の軽度の衝撃などにより損傷は受けにくいが、歯科治療器具やインプラントによる機械的圧迫、歯内療法などによる薬剤の波及または 下顎骨骨折などによっては神経が損傷を受けることがある。

1. 下顎智歯、下顎埋伏歯の抜歯により下歯槽神経に傷害や力が加わってしまった場合。
2. インプラント(人工歯根)埋入時に、下歯槽神経に近接した場合。
3. 局所麻酔注入による場合。(ほとんどが一過性)
4. 下歯槽神経に近い下顎歯の根管治療を行った場合。
5. 下顎顎骨内の腫瘍等を摘出する手術を行った場合。
6. 下顎周囲の粘膜を切開、損傷した場合。
7. 顎変形症において、下顎の顎矯正手術を行った場合。(下顎枝矢状分割術 下顎枝垂直骨切り術等)
8. 美容外科的下顎輪郭形成における損傷。

下歯槽神経損傷の歯科治療による発生原因では第3大臼歯の抜歯が 50 パーセント以上の大半を占めており、他にも局所麻酔注射等がある。
最近ではインプラント埋入術に起因した症例も少なくない。
従って最大の特徴は医原性が少なくないことであり、そのため多くの症例で訴訟問題を抱えている可能性がある。
発生部位としては下歯槽神経が舌神経よりも多い。
下歯槽神経は感覚神経であることから、症状として現れるのは下唇や口角、オトガイ部の知覚異常である。
また、少数ではあるが異常な痛みを生じさせることがある。
よって、下歯槽神経の支配する領域である下唇や口腔内の「感覚が鈍い」 「しびれ」などという症状を認めることが多い。

「下歯槽神経」の文献・書籍など

【読み】

かしそうしんけい

【文献・書籍】

『歯学生の口腔インプラント学 第1版』, 高森等ら, 医歯薬出版株式会社, 2014.