鼻口蓋管嚢胞

「鼻口蓋管嚢胞」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年06月14日

鼻口蓋管嚢胞とは?

鼻口蓋管嚢胞とは、胎生期における鼻口蓋管の残存上皮に由来する嚢胞である。鼻口蓋管嚢胞のうち、嚢胞が切歯管の部分にみられるものは切歯管嚢胞と呼ばれ、骨の外部で口蓋の粘膜下にみられるものは口蓋乳頭嚢胞と呼ばれる。鼻口蓋管嚢胞の好発年齢は、30~60歳であり、3:1の割合で男性に多い。鼻口蓋管嚢胞は、非歯原性嚢胞としては最も頻度が多く、全顎骨嚢胞の約11%を占める。

鼻口蓋管嚢胞の原因とは?

鼻口蓋管嚢胞の原因とは、鼻腔と口腔とをつなぐ管である鼻口蓋管の残存した上皮が、種々の原因により反応性に増殖し嚢胞化することによる。

鼻口蓋管とは?

鼻口蓋管とは、胎生期において鼻腔と口腔との間に存在する管のことである。出生前後になると、鼻口蓋管の開口部は閉鎖し、この部分の上皮もまもなく退化消失する。

鼻口蓋管嚢胞の症状とは?

鼻口蓋管嚢胞の症状は、以下の通りである。

  • 口蓋に骨性の膨隆を生じ、軽度の疼痛を伴うこともあるが、多くは無症状である。
  • 直径は約1cm程度のものが多い。
  • 増大した場合には唇側歯槽突起、鼻腔底にも膨隆がみられるようになり、口蓋の膨隆部に波動を触れることがある。
  • 歯の所見はあまり著明ではないが、上顎中切歯の左右離開や歯根部の前方突出などがみられることもある。
  • 嚢胞の内容液は感染していない場合淡黄色の液体である。

鼻口蓋管嚢胞の画像所見とは?

鼻口蓋管嚢胞の画像所見は、以下の通りである。

  • 口内法エックス線写真、パノラマエックス線写真所見:境界明瞭な類円形のX線透過像を認める。左右鼻腔底からの合流部に病変が発生した場合は、ハート型のX線透過像を認める。直径が6mm以下のものは切歯管と区別することが出来ない。
  • CT所見: 境界明瞭な類円形のX線透過像を認める。
  • MRI所見: T1強調像においては低信号、T2強調像においては高信号域を呈する。

鼻口蓋管嚢胞の病理組織所見とは?

鼻口蓋管嚢胞の病理組織所見は、以下の通りである。

  • 裏層上皮は、鼻腔側に出来た嚢胞の場合多列線毛上皮であり、口腔側に出来た嚢胞の場合重層扁平上皮である。
  • 嚢胞壁の結合組織中には神経束、小動静脈、粘液線等を伴う場合が多い。


鼻口蓋管嚢胞の治療法とは?

鼻口蓋管嚢胞の治療法としては、嚢胞摘出術が行われる。嚢胞摘出に際し唇側あるいは口蓋側のどちらから病変にアプローチするかは、術前の画像診断により決定する。

 鼻口蓋神経・血管束は嚢胞壁の結合組織内に存在し切断せざるを得ないこともあるが、切断によって障害が生じることは稀である。鼻口蓋管嚢胞に感染が生じ逆行性に歯髄壊死を生じた場合には、歯根端切除術の併用が必要になる場合がある。


「鼻口蓋管嚢胞」の文献・書籍など

【読み】

びこうがいかんのうほう

【文献・書籍】

『標準口腔外科学 第4版』, 野間弘康ら, 医学書院, 2015.
『最新 口腔外科学 第5版』, 榎本昭二ら, 医歯薬出版株式会社, 2017.
『口腔外科学 第4版』, 泉廣次ら, 学建書院, 2008.
『知っておきたい 顎・歯・口腔の画像診断』, 山下康行ら, 秀潤社, 2017.
『カラーアトラス 病理組織の見方と鑑別診断 第7版』, 赤木忠厚ら, 医歯薬出版株式会社, 2020.
『新口腔病理学 第3版』, 下野正基ら, 医歯薬出版株式会社, 2021.

著者/監修者情報
歯科医師

歯科医師。文系大学卒業後、歯学部に再入学。歯学部卒業後に歯科医師免許を取得したのち、歯科医師として勤務する傍らワンディー株式会社でライターとして勤務。

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