狭心症

「狭心症」とは?歯科用語を解説
2020年02月19日

狭心症とは?

狭心症とは、心臓の筋肉を養う血管(冠動脈)が狭くなることによって心筋の一時的な虚血が起こった結果、締め付けられるような胸痛が起こる疾患である。
通常、20分以内に虚血状態は改善し、胸痛は治まる。
歯科治療に際しても、注意するべき点がある疾患である。



狭心症の発作時の対応法

狭心症の発作時はニトログリセリン舌下服用が発作を治めるのに有効である。
狭心症発作が起こる患者では歯科診療時にも持参させるべきである。

狭心症の分類

狭心症は労作性狭心症と安静狭心症に分類される。
労作性狭心症は、階段や坂道をのぽる、走る、重いものを運ぶ、興奮するなどで症状が起こる。多くは動脈硬化による冠動脈の狭窄があるために、労作で増した心筋の需要を満たせないことによる。
これに対し、安静狭心症は安静時に起こる狭心症で、多くは冠動脈の攣縮が原因である。

また、狭心症の別の分類として急性心筋梗塞に移行しやすいものを不安定狭心症、そうでない安定したものを安定狭心症という。

狭心症患者で冠動脈に狭窄がある場合の治療法

狭心症患者で冠動脈に狭窄がある場合の治療法には以下の治療法が挙げられる。
  • 経皮的冠動脈インターベンション 狭窄部分に風船を挿入し膨らませて広げる。
  • ステント留置 広げた部分に網状の管(ステント) を留置する。
これらの治療法は手術を施行した後に、抗血小板療法を行うので歯科治療での観血処置では止血に注意が必要である。

狭心症患者の歯科治療時の留意点

狭心症患者では歯科治療時に以下の点について留意するべきである。
  • 不安定狭心症の患者の歯科診療は禁忌である。
  • 安定狭心症では、歯科診療中発作が起こる可能性が高いかどうか、発作が起こったときニトログリセリンがよく効くかどうかにより、歯科診療の可否を判断する。(具体的には、可能であれば運動負荷試験を実施して、どれだけ運動できるか判断する。この際、目安になるのは代謝率(METs) である。これは安静時酸素消費量(1MET= 3.5mL02 / kg I分)の何倍まで運動できるかの指標で、通常の外来歯科診療では4METs以上、全身麻酔による口腔癌などの大手術では7METs以上の運動耐容能があることが望ましい。)
  • 早朝の歯科診療は避け、1回の診療時間は短めにする。
  • 必要に応じて酸素投与を行う。
  • 歯科診療のときにもニトログリセリンを持参させ、診療中に発作が起こればニトログリセリンを舌下投与する。血圧を下げることで、発作が軽快する。
  • アドレナリンの過剰な使用は避ける。歯科用局所麻酔薬にアドレナリンは含まれているので注意が必要である。
  • アスピリンなどの抗血小板薬を服用中では止血しにくい。止血シーネを準備したり、十分に時間をかけて止血を確認したり、離院後でも連絡が取れるようにしたりする。ただし、一般的な抜歯では中止しない。
  • 冠動脈ステント留置後1ヵ月以内では、感染を予防するための抗菌薬投与をすべきであるという考えがある。
  • 狭心症を含む、虚血性心疾息や、胸部頚部動脈疾患の初発症状が、 下顎への放散痛や歯痛という場合がある。 そういった症状の場合医科ではなく、歯科を受診してしまう患者がいることに留意するべきである。



「狭心症」の文献・書籍など

【読み】

きょうしんしょう

【文献・書籍】

『改定 歯科診療のための内科』, 子島潤ら, 株式会社永末書店, 2011.