エナメル芽細胞(アメロブラスト)とは?
エナメル芽細胞(アメロブラスト)とは、内エナメル上皮から分化した、エナメル質を形成する細胞のことである。
エナメル芽細胞(アメロブラスト)の分化
エナメル芽細胞(アメロブラスト)は増殖期・分化期(形態形成期)・基質形成期(分泌期)・移行期・成熟期・退縮期(縮合期)・保護期の段階を経る。
エナメル芽細胞分化の増殖期
エナメル芽細胞分化の増殖期は、内エナメル上皮の状態を指す。
エナメル芽細胞分化の分化期
エナメル芽細胞分化の分化期は、基質形成期に向けた準備を行う期間である。
エナメル芽細胞分化の基質形成期
エナメル芽細胞分化の基質形成期は、エナメル質形成の中でもエナメル質の基質(厚み)を増やす期間である。2~3割程度のハイドロキシアパタイト、水、エナメル質特異的タンパク質で構成されており、石灰化があまり進んでいない柔らかな状態であるためチーズ状エナメル質とも呼ばれる。歯冠形成の鐘状期後期において見られることが多い。基質形成期のエナメル芽細胞はトームス突起という構造を有する。トームス突起には分泌面と滑走面があり、分泌面でエナメル質基質が分泌され、滑走面に沿ってエナメル小柱が動いていく。
エナメル芽細胞分化の移行期
エナメル芽細胞分化の移行期は、エナメル芽細胞のトームス突起が平坦化していき、成熟期の細胞形態に変化していく期間である。
エナメル芽細胞分化の成熟期
エナメル芽細胞分化の成熟期は、チーズ状エナメル質に含まれるタンパク質と水を脱却して石灰化する期間である。チョーク状エナメル質と呼ばれる。成熟期のエナメル芽細胞は波状縁をもつ細胞と平滑縁をもつ細胞がある。波状縁を持つエナメル芽細胞はエナメル質のタンパク質と水分を脱却してCaイオンをエナメル質に供給する。多くが波状縁をもつエナメル芽細胞である一方で、平滑縁をもつエナメル芽細胞は一定の割合でまとまって現れる。エナメル質のpHを酸性から中性にすることで石灰化を促進する。
エナメル芽細胞分化の退縮期
エナメル芽細胞分化の退縮期は、エナメル質形成後、エナメル芽細胞が退縮し始める期間のことである。
エナメル芽細胞分化の保護期
エナメル芽細胞分化の保護期は、エナメル芽細胞が変性していく期間で、最終的に歯小皮となる。歯小皮はエナメル質表面の薄い膜でナスミス膜ともいう。歯の萌出直後でのみ見られ、咬耗によって早期に消失する。
「エナメル芽細胞(アメロブラスト)」の文献・書籍など
【読み】
えなめるがさいぼう(あめろぶらすと)
【文献・書籍】
『口腔の発生と組織 改訂3版』, 田畑純, 南山堂, 2015