歯肉溝

「歯肉溝」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年06月14日

歯肉溝とは?

歯肉溝とは、歯肉溝上皮と歯面との間にある溝のことである。歯肉溝の生理的な深さは約0.5〜1mmである。歯肉溝内には食物残渣が溜まりやすく、歯肉溝上皮や接合上皮は常に化学的刺激に曝されるこの刺激などによって上皮が深部に増殖すると、歯肉溝は深化して歯周ポケット(periodontal pocket)となって歯肉炎を増悪させる。また、接合上皮の深部増殖による歯肉溝深化はセメント質や歯槽骨と結合できる歯肉線維を減少させ、歯肉の安定性も低下させる。歯周病の臨床においても歯肉溝の深さは診査・診断の指標となる。

歯肉溝上皮について

歯肉溝上皮とは、歯肉溝の内面を構成している上皮のことである。歯肉溝上皮は「基底層」「有棘層」「顆粒層」「角化層」の4層からなる。歯肉溝上皮は英語ではoral sulcular epitheliumと呼ばれる。

歯肉溝上皮は歯肉縁では歯肉上皮に、歯肉溝底では接合上皮に移行する。歯肉上皮への移行部に明確な構造的境界はないが、接合上皮との境界は比較的明瞭である。歯肉溝上皮は歯肉上皮に比べて細胞層が薄く(15~30層程度)、皮脚の発達も悪い。

発生学的には口腔粘膜上皮に由来し、本来、角化重層扁平上皮であるはずだが、ヒトでは錯角化重層扁平上皮あるいは非角化重層扁平上皮であることが多い。表層の細胞は扁平で、ケラトヒアリン顆粒と層板小体を欠き、明らかな透過性関門を形成しない。したがって、一定の物質透過性を示すが、細胞間隙は比較的狭くて白血球の浸潤像は通常あまり多くはない。

エマージェンスプロファイルについて

エマージェンスプロファイルとは、天然歯、クラウン・ブリッジなどの歯冠補綴装置、インプラントのアバットメントおよび上部構造物の歯肉溝内から歯冠部歯頸部側1/3付近までのカントゥアや立ち上がり角度などの形態のことである。

エマージェンスプロファイルによってカントゥアは決定される。このとき、不適切なエマージェンスプロファイルは歯肉に為害性があるといえる。

エマージェンスプロファイルによる歯肉への為害性は具体的には、過剰な豊隆(オーバーカントゥア:overcontour)は食片、プラークの停滞により歯周疾患を惹起し、豊隆の不足は(アンダーカントゥア:undercontour)は辺緑歯肉に外傷を引き起こす。

つまり、エマージェンスプロファイルは食物の流れによる自浄作用と適度な刺激による歯肉の健康保持に役立っているといえる。

アタッチメントレベルについて

アタッチメントレベルとは、セメントエナメル境からポケット底部までの長さのことである。臨床においてプローブを歯周ポケットに挿入し測定したものを特にクリニカルアタッチメントレベルという。クリニカルアタッチメントレベルは歯が支持されているかどうかの指標となる。

アタッチメントロスについて

アタッチメントロスとは、歯周炎により歯と歯肉の付着が破壊されることである。また、アタッチメントレベルが根尖側へ移動することとも言える。アタッチメントロスにより歯と歯肉の間の歯肉溝が深まり、3㎜以上になると歯周ポケットと呼ばれる。

プロービングについて

プロービングとは、ポケット探針や歯周プローブを用いた歯周ポケットの診査のことである。ポケット探針や歯周プローブを歯肉溝や歯周ポケットに挿入し、歯周組織の状態を探る。プロービングは、歯周組織の破壊の程度や歯周治療に対する組織の反応性を評価するために欠かせない検査のひとつである。プロービングは英語では「probing」と表記する。

「歯肉溝」の文献・書籍など

【読み】

しにくこう

【文献・書籍】

『組織学・ロ腔組織学 附初期発生と顎顔面の発生 第4版第1刷』, 磯川桂太郎ら, わかば出版株式会社, 2014.

著者/監修者情報
歯科医師

歯科医師。文系大学卒業後、歯学部に再入学。歯学部卒業後に歯科医師免許を取得したのち、歯科医師として勤務する傍らワンディー株式会社でライターとして勤務。

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