星状神経節ブロックとは?
星状神経節ブロックとは、顎顔面領域の神経麻痺の治療法の一つで、麻痺側の星状神経節(顔面を支配する交感神経節)をメピバカインやリドカインを用いてブロックすることによって、副交感神経を優位にさせ、血管を拡張させ、血流増加をはかる。
星状神経節は下頸交感神経節と第一胸神経節の連合したものである。
星状神経節ブロックの手技
星状神経節ブロックの手技は以下の通りである。
- 術者の左手の示指と中指を患者の気管と胸鎖乳突筋の間に入れ、両者を分けながら進めていく。
- 総頸動脈を指の腹側に圧排しながら、第6頸椎横突起(C6ブロック)または第7頸椎横突起(C7ブロック)を触知する。(C6ブロックのほうが容易であること、口腔顔面に分布する交感神経線維はほとんどがC6ブロックで遮断されることから、最近はC6ブロックが用いられることが多い。)
- C6横突起上で,前結節と錐体側面のほぼ中点に向けて25G、25 mm針を刺入する。
- 硬い骨に当たる感触のところで吸引テストを行い、血液の逆流がないことを確かめたあと、ゆっくり1%メビパカインまたは1%リドカインを3~5ml注入する。注入の際には0.5mlごとに吸引を繰り返し、 血液の逆流がないか常に確かめ、患者の様子をよくみながら行う。
- 抜針後は10分間,刺入部をしつかり圧迫して止血する。その後さらに20分、合計30分間安静とする。
星状神経節ブロックとホルネル徴候
星状神経節ブロックの術後にはホルネル徴候がみられる。ホルネル徴候は副交感神経が優位になることで見られる特徴である。
ホルネル徴候は以下の3つの症状が出現する。
ホルネル徴候は以下の3つの症状が出現する。
- 遮断側の縮瞳
- 眼瞼下垂
- 眼球陥凹
星状神経節ブロックの合併症
星状神経節ブロックの合併症としては、嗄声の頻度が高い。
その他,椎骨動脈穿刺, 頸・腕神経叢麻痺もしばしば生じる。
より重篤な合併症としては,椎骨動脈に薬液を注入して生じる肺尖穿剌による無気肺、局所麻酔薬中毒、くも膜下注入、頸部・縦隔血腫、深部膿瘍がある。
その他,椎骨動脈穿刺, 頸・腕神経叢麻痺もしばしば生じる。
より重篤な合併症としては,椎骨動脈に薬液を注入して生じる肺尖穿剌による無気肺、局所麻酔薬中毒、くも膜下注入、頸部・縦隔血腫、深部膿瘍がある。
「星状神経節ブロック」の文献・書籍など
【読み】
せいじょうしんけいせつぶろっく
【文献・書籍】
『口腔内科学第1版第1刷』, 山根源之ら, 株式会社永末書店, 2016.
『標準口腔外科学 第4版第1刷』, 野間弘康ら, 株式会社医学書院, 2015.
『歯科麻酔学 第7版』, 金子譲ら, 医歯薬出版株式会社, 2011.
『歯科麻酔学 サイドリーダー第6版』, 高杉嘉弘, 株式会社学建書院, 2009.