頬棚

「頬棚」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年10月24日

頬棚とは?

頬棚とは、下顎骨の大臼歯部の頬側に位置し、外斜線と歯槽斜面とに囲まれた平坦な部分である。
頬棚の骨組織は緻密であり、咬合平面に対してほぼ平行の面であるので、垂直的咬合力の方向に直交しており、義歯床負担域として有効な部位である。

下顎の一次圧負担域(積極的な支持が可能な粘膜)である。


歯の喪失後の顎堤粘膜の変化

歯を失った後の顎堤粘膜は、義歯床とその下の支持骨との間にはさまれ、クッション様の役割を果たしている。なお、顎堤粘膜は粘膜上皮(重層扁平上皮)と粘膜下組織からなってい)る。
顎堤粘膜は機能時の圧を受け止めるため、上皮は角化層に覆われ、粘膜下組織は骨膜と堅固に付着していることが望ましい。

そのためには、十分な密度と厚さが必要とされる。上顎では、歯槽頂付近の粘膜は、この条件にかなっており、 一次的圧負担域(primary supporting region)といえる。
歯槽頂から斜面に沿って歯肉頬移行部までは、次第に骨膜との堅固な付着は失われるようになり、支持能力は歯槽頂付近に劣る。硬口蓋前方部および側方部の粘膜下組織には脂肪細胞が、また、硬口蓋後方部および側方部には腺組織が含まれており、 これらの部位での支持には大きな期待はできず、さらに、正中口蓋縫合では、粘膜下組織は薄いか、またはまったく存在しない場合もあり、支持には不適切な部位である。

一方、下顎残存歯槽頂付近の粘膜下組織は骨膜に堅固に付着している場合もあるが、上顎に比較してスポンジ状の小柱化した海綿骨であるため、 一次的圧負担域とはいえない。下顎残存顎堤の一次的圧負担域は、頬棚(頬小帯の後方で、下顎歯槽頂から外斜線までの範囲)である。
この理由はこの部の骨が緻密骨であることと、支持面が水平であることによる。

模型で観察するべき解剖学的構造

下顎の研究用模型では頬棚もよく観察するべきである。
概形印象採得から製作された研究用模型を用いて、 口腔内では十分に診察できなかった解剖学的特徴を観察できるからだ。

上顎では口蓋の深さ、顎堤の幅と高さ、顎堤の走向、上顎結節の大きさ、切歯乳頭の位置、口蓋ヒダの走向、 口蓋隆起の大きさ、口蓋小窟の位置、
上唇小帯と頬小帯の付着部、翼突下顎ヒダを観察し、 口腔内の診察と比較する。 
下顎では顎堤の幅と高さ、顎堤の走向、頬棚の範囲、下顎隆起の大きさ、レトロモラーパッドの大きさ、顎舌骨筋線の走向、 下唇小帯と舌小帯および頬小帯の付着部、舌側溝の幅と深さ、 翼突下顎ヒダを観察し、口腔内の診察と比較する。

研究用模型は個人トレーを製作するための模型でもあるため、歯肉唇移行部、歯肉頬移行部、 舌側溝の幅と深さの概形が表現されていることを確認する。 このように研究用模型は無歯顎患者の診断と治療計画の立案に欠かすことができない。


「頬棚」の文献・書籍など

【読み】

きょうだな

【文献・書籍】

『歯科補綴学専門用語集 第5版』, 公益社団法人日本補綴歯科学会, 医歯薬出版株式会社, 2019.

著者/監修者情報
歯科医師

歯科医師。文系大学卒業後、歯学部に再入学。歯学部卒業後に歯科医師免許を取得したのち、歯科医師として勤務する傍らワンディー株式会社でライターとして勤務。