水平埋伏智歯

「水平埋伏智歯」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年10月23日

水平埋伏智歯とは?

水平埋伏智歯とは、文字通り水平に埋伏している智歯のことである。水平埋伏智歯の抜歯には、骨削除、歯の分割などの手技を要する。

下顎水平埋伏智歯のWinter分類


【Winter分類のClass分類について】
Winter分類のClass分類は、下顎第二大臼歯と下顎枝前縁の間のスペースによって分類を試みている。第三大臼歯の位置自体はWinter分類のClass分類には関係がない。

  • Class I : 第三大臼歯と歯冠の近遠心径より大きなスペースがある。
  • Class II : スペースはあるが、第三大臼歯の歯冠の近遠心径より小さいもの。
  • Class III : スペースがほとんどなく、第三大臼歯の大部分が下顎枝のなかにあるもの。

Winter分類のClass分類はClass I が抜歯が簡単で、Class IIIは抜歯が難しいといえる。

【Winter分類のPosition分類について】
Winter分類のPosition分類は、下顎第二大臼歯の咬合面に対する埋伏の深さによって分類を行っている。

  • Position A : 埋伏智歯の最上点が第二大臼歯の咬合面またはそれより上にある。
  • Position B : 埋伏智歯の最上点が第二大臼歯の咬合面より下で、第二大臼歯の歯頸部より上にある。
  • Position C : 埋伏智歯の最上点が第二大臼歯の歯頸部より下にある。

Winter分類のPosition分類はPosition A が抜歯が簡単で、Position Cは抜歯が難しいといえる。

Winterの分類の欠点

Winterの分類は下顎管の位置自体は評価していないため、下顎管損傷のリスク(下歯槽神経損傷のリスク)は間接的にしか評価していないことが欠点として挙げられる。

Winterの分類の代わりに田中らの方法による下顎智歯と下顎管の位置関係の分類を適応すると、下顎管損傷のリスク(下歯槽神経損傷のリスク)を評価することができる。

下顎水平埋伏智歯の抜歯の方法

下顎水平埋伏歯では、外科的抜歯が必要となる。外科的抜歯の手順は、①粘膜骨膜弁の設計と形成、②歯槽骨の削除、③歯の分割および抜歯、④創の縫合閉鎖に分けることができる。

智歯の埋伏状態の診断には、術前に口腔に露出している歯冠部分の臨床的把握とともに、下顎枝前縁、第二大臼歯との関係、埋伏位置の深さ、下顎管との位置関係、埋伏歯の根の形態をパノラマエックス線検査、 コーンビームCT検査で事前に確認を行うことが重要である。

歯軸が近心に45°程度傾斜した水平智歯を基本形として例に示す。

埋伏の位置、深さによって異なるが、頬側の粘膜骨膜弁は第二大臼歯近心頬側に縦切開、頬側咬頭頂を連ねた線の遠心延長部に外斜線に向かった遠心切開を加えて形成する。

遠心切開は頬粘膜の牽引によって舌側に入りやすいため、頬側に切開するつもりで適当な位置となる。

頬側の骨膜剥離を丁寧に行い、舌側は内斜線を越えて剥離してはならない。歯冠の一部を確認すれば歯冠の最大豊隆部を明示するように、歯冠を覆う骨を骨ノミやラウンドバーを用いて削除する。

次いでタービン(ダイヤモンドポイント、ゼクリア歯冠分割用バー)で歯冠を分割し挺子で摘出する。

さらに、挺子により歯根を抜去する。この際、歯冠歯根ともに容易に摘出できないようであればさらに多分割して抜去する。

抜去後、第ニ大臼歯遠心の不良肉芽や智歯の歯義を掻爬し、抜歯創を滅菌生理食塩水で洗浄して粘膜骨膜弁を縫合する。

下顎水平埋伏智歯の偶発症

下顎管に近接した下顎埋伏智歯や大きな根尖病巣を有する下顎歯の抜去、あるいは下顎孔伝達麻酔に際して下歯槽神経や舌神経の損傷が起こる。

そのなかで、下顎智歯抜歯後の下歯槽神経損傷がもっとも頻度が高く、下歯槽神経損傷による知覚異常の出現率は一過性のもので0.68~4.1%、永続するのものは0.1 ~1.05%と報告されている。



「水平埋伏智歯」の文献・書籍など

【読み】

すいへいまいふくちし

【文献・書籍】

『標準口腔外科学 第4版第1刷』, 野間弘康ら, 株式会社医学書院, 2015.
『口腔外科学 第4版』, 白砂兼光ら, 医歯薬出版株式会社, 2020.
『カラーアトラス 抜歯の臨床第1版第11刷』, 野間弘康ら, 医歯薬出版株式会社, 2004.

著者/監修者情報
歯科医師

歯科医師。文系大学卒業後、歯学部に再入学。歯学部卒業後に歯科医師免許を取得したのち、歯科医師として勤務する傍らワンディー株式会社でライターとして勤務。