アマルガム

「アマルガム」とは?歯科用語を解説
2021年04月08日

アマルガムとは?

アマルガムとは、水銀と他の金属との合金のことをいう。歯科において、銀とスズを主成分とした粉末と水銀を練和したアマルガムを窩洞に塡塞するアマルガム修復を行うことができる。アマルガムは高い強度操作性汎用性がある修復材である。しかし近年では、水銀による環境汚染が考慮され、コンポジットレジンの強度があがり汎用性も高まってきたため、アマルガムの使用頻度は低下している。

アマルガムの長所

  • 修復操作が簡単
  • 技工操作がいらない
  • 接着操作がいらない
  • 他の整形修復材の中では物性が高い
  • 歯髄為害性がない
  • X線を透過しない

アマルガムの短所

  • 色調が歯に対し不調和
  • 金合金などにたいし縁端強度が低い
  • 脂質接着性がない
  • 硬化に時間がかかる
  • 金属アレルギーを引き起こす可能性がある


アマルガム修復の歴史

修復材料として使われ始めたのは19世紀初頭であるとの記録があるので、200年以上使われている。
アマルガムを広く推進したのはG.V. Blackである.彼は19世紀末、アマルガムの膨張、 フロー、強さのほか、銀の含有量、粉未比などについて多くの研究を行い,以後の研究者がそれを引き継いだ。
1929年米国歯科医師会がADA Specificationによって品質を保証して以来、歯科では代表的な修復材料として使われていた。
1962年には、従来の削片状合金に比べて理工学的性質に俊れた球状合金が涎生し、1963年には、従来の合金より銅の含有を多くし、腐食抵抗性を高めた、高銅型合金が開発された。

長年、歯科ではアマルガムが主要な修復材料として使われていたが、成分原料として使用される水銀(Hg) の毒性やアレルギー性が懸念されるため、現在ではほとんど用いられることはない。

特に、日本では有機水銀が原因の公害病である水俣病が発生したことから、アマルガムへの反発は強かったと考えられる。

一般に、アマルガムに使われている無機水銀は水俣病の原因とされる有機水銀に比べ、その毒性は少なくアマルガム中の残留水銀はさほど心配ないとはいうものの、破損したものや撤去時のアマルガムには細心の注意が必要である。

アマルガム充填の方法

アマルガム用合金粉末と水銀を専用の計量器を用いて採取後、プラスチック製カプセル中に封入し、アマルガムミキサーで、数秒~十数秒間器械練和する。

練和が終了したアマルガム泥はアマルガムウェルに移し代え、アマルガムキャリアで窩洞まで運び、充填操作を行う、操作中に水銀や合金粉末、アマルガム泥に直接接触しないように、また水銀蒸気を吸引しないように、取り扱いに注意する。

診療室の換気、余ったアマルガムの回収、さらにアマルガム修復物の除去の際には水銀
が周囲に拡散しないように、完全な吸引と排水処理などにも配慮する必要がある。

現在の歯学部教育ではアマルガムの充填方法は教育しておらず、除去方法のみが教科書に書かれている。

アマルガムの取扱いの注意点

アマルガムには適正に使用すれば安全な無機水銀が用いられているが、水銀の蒸気には毒性があるため注意が必要である。歯科用アマルガムは合金粉末と水銀がカプセルに封入された状態で販売されている。それを機械練和するので、アマルガムを取り扱う中で直接水銀を扱うことはない。ただしアマルガム硬化物には水銀が含有されているので、環境汚染を考慮し、残余アマルガムは回収し、専門業者に処理を依頼する。
アマルガムの温度が60度以上になると水銀が蒸発するので、除去の際は注水下で行いバキュームで完全に吸引する。


アマルガムの材料学的性質

1)寸法変化
機械練和するアマルガムは,体積で0.3〜0.6%程度の若干の収縮を生じる。
ただし、アマルガムが硬化時に収縮すると,窩洞との間に微小な間隙が生じ唾液などの侵入が考えられるので,硬化時にわずかに膨張することが望ましい。JISでは24時間後の寸法変化が一0.1~+0.2%でなければならないと定められている。

2)硬化速度
一般に硬化速度は遅い。成形修復されたアマルガムが可塑性を失って彫刻可能になるまでに約10分間、通常の咀嚼に堪えるまでに約24時間を要する。

3) 機械的性質
通常の合金と異なり金属間化合物は脆性を示すので、アマルガムは圧縮強さに比べて引張強さが
1/8〜1/10と小さく、修復物に引張応力が発生すると弱い部位で脆性破壊することがある。

「アマルガム」の文献・書籍など

【読み】

あるまがむ

【文献・書籍】

『保存修復学 第6版』, 千田彰ら, 医歯薬出版株式会社, 2013.
『新編 歯科理工学 第5版』, 小田豊ら, 株式会社学建書院, 2012.
『コア歯科理工学 第1版』, 小倉英夫ら, 医歯薬出版株式会社, 2008.