アマルガム

「アマルガム」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年06月14日

アマルガムとは?

アマルガムとは、水銀と他の金属との合金のことをいう。歯科において、銀とスズを主成分とした粉末と水銀を練和したアマルガムを窩洞に塡塞するアマルガム修復を行うことができる。アマルガムは高い強度と操作性や汎用性がある修復材である。しかし近年では、水銀による環境汚染が考慮され、コンポジットレジンの強度があがり汎用性も高まってきたため、アマルガムの使用頻度は激減している。

アマルガムの長所・メリット

歯科材料としてのアマルガムの利点・メリットは、下記の通りである。

  • 修復操作が簡単である
  • 技工操作が必要ない
  • 接着操作が必要ない
  • 他の成形修復材の中では物性が高い
  • 歯髄為害性がない
  • エックス線を透過しない

アマルガムの短所・デメリット

歯科材料としてのアマルガムの欠点・デメリットは、下記の通りである。

  • 色調が歯に対し不調和である
  • 金合金などに対して縁端強度が低い
  • 脂質接着性がない
  • 硬化に時間がかかる
  • 金属アレルギーを引き起こす可能性がある

アマルガム修復の歴史

アマルガムは、修復材料として使われ始めたのは19世紀初頭であるとの記録があり、200年以上にわたって歯科臨床で用いられている歯科材料である。

アマルガムを広く推進したのはG.V. Blackである。彼は19世紀末、アマルガムの膨張、 フロー、強さのほか、銀の含有量、粉未比などについて多くの研究を行い、以後の研究者がそれを引き継いだ。

1929年米国歯科医師会がADA Specificationによって品質を保証して以来、歯科では代表的な修復材料として使われていた。

1962年には、従来の削片状合金に比べて理工学的性質に優れた球状合金が誕生し、1963年には従来の合金より銅の含有を多くし腐食抵抗性を高めた、高銅型合金が開発された。

長年、歯科ではアマルガムが主要な修復材料として使われていたが、成分原料として使用される水銀(Hg) の毒性やアレルギーが懸念されるため、現在ではほとんど用いられることはない。

特に、日本では有機水銀が原因の公害病である水俣病が発生したことから、アマルガムへの反発は強かったと考えられる。

一般に、アマルガムに使われている無機水銀は水俣病の原因とされる有機水銀に比べ、その毒性は少なくアマルガム中の残留水銀はさほど心配ないとはいうものの、破損したものや撤去時のアマルガムには細心の注意が必要である。

アマルガム充填の方法

アマルガム用合金粉末と水銀を専用の計量器を用いて採取後、プラスチック製カプセル中に封入し、アマルガムミキサーで数秒〜十数秒間器械練和する。

練和が終了したアマルガム泥はアマルガムウェルに移し代え、アマルガムキャリアで窩洞まで運び、充填操作を行う。操作中に水銀や合金粉末、アマルガム泥に直接接触しないように、また水銀蒸気を吸引しないように取り扱いに注意する。

診療室の換気、余ったアマルガムの回収、さらにアマルガム修復物の除去の際には水銀が周囲に拡散しないように、完全な吸引と排水処理などにも配慮する必要がある。

現在の歯学部教育ではアマルガムの充填方法は教育しておらず、除去方法のみが教科書に書かれている。

アマルガムの取扱いの注意点

アマルガムには、適正に使用すれば安全な無機水銀が用いられている。しかし、水銀の蒸気には毒性があるため注意が必要である。

歯科用アマルガムは合金粉末と水銀がカプセルに封入された状態で販売されている。それを機械練和するため、アマルガムを取り扱う中で直接水銀を扱うことはない。ただしアマルガム硬化物には水銀が含有されているので、環境汚染を考慮し、残余アマルガムは回収し、専門業者に処理を依頼しなければならない。

アマルガムの温度が60度以上になると水銀が蒸発するので、除去の際は注水下で行いバキュームで完全に吸引する。

アマルガムの材料学的性質

アマルガムの材料学的性質として、「寸法変化」「硬化速度」「機械的性質」の3点が挙げられる。

【寸法変化】
機械練和するアマルガムは、体積で0.3〜0.6%程度の若干の収縮を生じる。ただし、アマルガムが硬化時に収縮すると、窩洞との間に微小な間隙が生じ唾液などの侵入が考えられるため、硬化時にわずかに膨張することが望ましい。JISでは24時間後の寸法変化が-0.1〜+0.2%でなければならないと定められている。

【硬化速度】
一般的にアマルガムの硬化速度は遅い。成形修復されたアマルガムが可塑性を失って彫刻可能になるまでに約10分間、通常の咀嚼に堪え得るまでに約24時間を要する。

【機械的性質】
通常の合金と異なり金属間化合物は脆性を示すため、アマルガムは圧縮強さに比べて引張強さが1/8〜1/10と小さく、修復物に引張応力が発生すると弱い部位で脆性破壊することがある。



「アマルガム」の文献・書籍など

【読み】

あるまがむ

【文献・書籍】

『保存修復学 第6版』, 千田彰ら, 医歯薬出版株式会社, 2013.
『新編 歯科理工学 第5版』, 小田豊ら, 株式会社学建書院, 2012.
『コア歯科理工学 第1版』, 小倉英夫ら, 医歯薬出版株式会社, 2008.

著者/監修者情報
歯科医師

歯科医師。大学卒業後、歯学部に再入学。歯学部卒業後に歯科医師免許を取得したのち、歯科医師として勤務する傍らワンディー株式会社でライターとして勤務。

アカデミックの症例リスト

古くなったアマルガムをコンポジットレジンに置き換えた症例をシェアします。

歯科医療においてアマルガムは、150年ほど前から使用されてきた歴史があります。耐久性や操作性が優れているため、長年臨床の現場で頻用されてきました。

しかし、アマルガムに含まれる水銀の、地球環境への影響や人体への健康被害に懸念が示されるようになった30年ほど前からは、徐々に使用頻度が減少し、今日の歯科診療ではほとんど用いらていません。

日本歯科医師会も、コンポジットレジンをはじめとする他の修復材料が充実しているという理由から、歯科用アマルガムの使用を廃絶する方針を打ち出しています。

スウェーデンやオランダ、デンマークは、歯科用アマルガムの使用や販売、輸入や製造を禁止にしている。

アマルガムは、口腔内に充填されている状態では化学的に安定しており、安全です。
日本歯科医師会の立場としても、二次う蝕や不適合、審美性などの問題がない限り、原則として除去すべきものではないという方針があります(むしろ、積極的にアマルガムを除去する際に蒸気化した水銀を吸入してしまう方がリスクです)。

口腔内のアマルガムを除去をする場合、日本歯科保存学会は、以下のような注意点を喚起しています。

?できる限りアマルガムを切削することなく、手用器具を用いて一塊にして取り出す
?除去したアマルガムや、除去の際に生じる切削片は、下水道に流してはならない

© 2019 Ali Dental Clinic
© 2018 1Dニュース( https://news.oned.jp/goodbye-amalgam/ )

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上顎左側第二大臼歯のMOL窩洞に対するコンポジットレジン修復の症例です!

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アマルガム充填をコンポジットレジンに置き換えた一例。

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