歯科用語集
2022年3月14日

デンチャースペース

「デンチャースペース」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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デンチャースペースとは?

デンチャースペースとは、口腔内に存在する空間のひとつで、具体的には上顎顎堤・硬口蓋・軟口蓋・下顎顎堤・口腔底・舌・口唇や頬部の筋によって囲まれる領域のことです。歯の喪失と歯槽骨の吸収によって生じる口腔内の空隙に口蓋部と義歯辺縁部を含めた空隙とも解釈されます。なお、デンチャースペースの中にはさらにニュートラルゾーンと呼ばれる領域が存在します。
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デンチャースペースの重要性

口腔内で義歯に加わる側方圧は、義歯の脱離に大きく影響します。デンチャースペースの動態を記録し、これに調和するような義歯の製作をすることで義歯にかかる側方圧を義歯の維持圧に利用することができます。とくに義歯床面積が上顎より小さく、可動組織に取り囲まれる下顎の義歯を安定させる上でデンチャースペースは重要です。

デンチャースペースを構成する筋

義歯を維持するのに関わるものとして、頬筋・口輪筋・舌固有筋・モダイオラスを構成する筋群が挙げられます。これらは筋の走行が顎堤に対し平行で、義歯辺縁に作用しないことが特徴です。筋の活動によりデンチャースペースの位置や幅など、側面の形態が変化します。

義歯の脱離に関わるものとして、咬筋・オトガイ筋・オトガイ舌筋・顎舌骨筋・内側翼突筋・口蓋舌筋・茎突舌筋・上唇を動かす筋群が挙げられます。これらの筋は走行が顎堤に対し直交あるいは斜交しており、筋の活動によりデンチャースペースの前庭と舌側溝の位置と形態が変化します(→印象採得時の辺縁形成に活用されます)。

デンチャースペースの記録法

デンチャースペースを記録する代表的な方法はニュートラルゾーンテクニックフレンジテクニックピエゾグラフィです。

デンチャースペースという名称

デンチャースペースという名称は1965年にBrillらによって報告されました。しかし、この概念についてはそれ以前より多くの研究者によって注目されていたため、デンチャースペース以外にも様々な名称がつけられていました。1937年にはFishによりデッドスペース、1956年にLammieによりニュートラルゾーン、1961年にMattewsらによりゾーンオブミニマルコンフリクトなどと呼ばれました。




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