咬頭嵌合位

「咬頭嵌合位」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年10月18日

咬頭嵌合位とは?

咬頭嵌合位とは、上下顎の歯列が最も多くの部位で接触・安定した状態にあるときの下顎位のことである。咬頭嵌合位は、咀嚼運動の終末位および偏心運動(側方運動など)の開始点として、機能的に最も重要な下顎位とされている。

咬頭嵌合位は、下顎頭位には関係なく、歯によって規制された位置である。
ゆえに咬頭嵌合位は、
  • 歯の咬耗
  • 欠損による歯の移動
  • 歯の傾斜
  • 歯の挺出
などにより変化する下顎位である。




咬頭嵌合位の機能的な意義

咬頭嵌合位の機能的な意義は以下である。
  • 咀嚼終末位
  • 習慣性閉口終末位
  • タッピングポイント収束位
  • 全身運動に付随するクレンチング時の下顎位
  • 筋肉位

それぞれについて説明する。

咀嚼終末位
咀嚼の初期では、下顎は歯と歯が接触せずに(咬頭嵌合位には至らずに)、反射的に開ロするが、 食品が粉砕された後期では、咬頭嵌合位付近に位置するようになる。 そして、嚥下直前では、咀咽運動の終末位は咬頭嵌合位に収束する。 なお、咀嚼運動は嚥下をもって完了するが、嚥下時には咬頭嵌合位のわずか後方で歯の接触が起こり、次いで滑走して咬頭嵌合位に戻る。

習慣性閉口終末位
日常的に無意識に行われている反射的な下顎の開閉運動を習慣性開閉口運動という。 この運動で上下顎の歯の接触する位置はほとんど咬頭嵌合位に一致している。 このことから習慣性咬合位とよばれる習慣的な閉口運動での咬合接触位は、咬頭嵌合位の同義語とされている。

タッピングポイント収束位
習慣性開閉口運動で、特に開口量の少ないリズミカルな開閉口運動はタッピング運動とよばれ、 その収束位は咬頭嵌合位と一致する。

全身運動に付随するクレンチング時の下顎位
重いものを持ち上げるなど、肉体的ストレスや感情的・精神的ストレス、あるいは緊急事態に伴う緊張動作時に発現する上下顎の歯の強い噛みしめをクレンチングclenching という。 この現象は健常有歯顎者の約60 %にみられ、 このときの下顎位は咬頭嵌合位であることが報告されている。

筋肉位
咀嚼筋群が協調した状態で、下顎安静位から閉口することによって得られる咬合位である。健常有歯顎者では、 この筋肉位と咬合嵌合位が一致するといわれている。

以上のように、咬頭嵌合位は機能的にきわめて重要な下顎位であり、筋機能に適した位置
でなければならない。


「咬頭嵌合位」の文献・書籍など

【読み】

こうとうかんごうい

【文献・書籍】

『無歯顎補綴治療学 第2版』, 平井敏博ら, 医歯薬出版株式会社, 2009.
『無歯顎補綴治療学 第3版』, 市川哲雄ら, 医歯薬出版株式会社, 2016.

著者/監修者情報
歯科医師

1992年生まれ。千葉県の漁村で育つ。鶴見大学歯学部在学中からアプリやWebサービスの開発を趣味で行う。東京歯科大学大学院博士課程に進学するもお金が無くて中退。2017年にワンディー株式会社を創業。