人工歯

「人工歯」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年06月14日

人工歯とは?

人工歯とは、天然歯の代用として用いる歯のことである。人工歯の種類として「レジン歯」と「陶歯」が用いられることが多いが、特殊な場合には「金属歯」も用いられる。

人工歯の機能による分類

人工歯を機能によって大別すると、「解剖学的人工歯」「機能的人工歯(準解剖学的人工歯)」「非解剖学的人工歯」「交叉咬合用人工歯」 の4種類に分けることができる。

下記でそれぞれの種類の人工歯について解説を行う。

解剖学的人工歯

解剖学的人工歯とは、臼歯部人工歯を咬合面の形態で分けた時の種類のひとつで、第一大臼歯の咬頭傾斜角が30゜以上の人工歯のことをいう。

解剖学的人工歯の利点・メリット】
義歯に解剖学的人工歯を利用することによって、以下のような利点がある。

  • 咀嚼能率の向上
  • 咬合面による義歯の咬頭嵌合位への誘導機能がある
  • 天然歯に近い審美性がある
  • 義歯の咬合平衡が保たれやすい

解剖学的人工歯の欠点】
義歯に解剖学的人工歯を利用することによって、以下のような欠点がある。

  • 偏心位での咬合調整に時間がかかる
  • 義歯に推進現象を生じることがある
  • 咬合関係に融通性がない

機能的人工歯

機能的人工歯とは、人工歯の一種で、第一大臼歯の咬頭傾斜角が20゜の人工歯解剖学的形態から著しく逸脱せず、咀嚼能率も比較的優れていながら、側方分力が過大とならないように設計された人工歯である。機能的人工歯は、準解剖学的人工歯ともいう。

非解剖学的人工歯

非解剖学的人工歯とは、咬頭傾斜角が0゜で、平坦な咬合面形態をしているもののことである。

【非解剖学的人工歯の利点・メリット】
非解剖学的人工歯の長所は以下である。

  • 咬合関係に融通性がある
  • 咬頭がないため推進現象が起こりにくい
  • 床下組織への為害性が少ない

【非解剖学的人工歯の欠点・デメリット】
非解剖学的人工歯の短所は以下である。

  • 咀嚼に大きな力を必要とする
  • 審美性に欠ける
  • 咬合平衡を与えにくい
  • 咬頭嵌合位が定まりにくい

交叉咬合用人工歯

交叉咬合用人工歯とは、上下顎とも頬舌径を狭くし、上顎が1咬頭に設計されている交叉咬合排列専用の人工歯のことである。頬側では下顎の咬頭が上顎の咬頭を被蓋する。

人工歯の材質による種類

人工歯の材質で分類すると、「レジン歯」「硬質レジン歯」「陶歯」「金属歯」に分けることができる。

レジン歯・硬質レジン歯

レジン歯・硬質レジン歯の人工歯は、メチルメタクリレートを主成分とし、高度に架橋したアクリルレジン歯が用いられる。また、ポリカーボネートやコンポジットレジンなどを用いた耐摩耗性に優れた人工歯も臨床応用されている。コンポジットレジンを咬合面に適用した人工歯は硬質レジン歯と呼ばれる。

陶歯

陶材を真空焼成して製作された人工歯である。陶歯には義歯床用レジンと機械的に結合するための維持部が付与されている。

【陶歯の利点・メリット】
陶歯の利点・メリットとして、下記の項目が挙げられる。

  • 色調・透明度が天然歯と近似していること
  • 耐摩耗性が高く長期間使用しても摩耗、咬耗が少ないこと
  • 色調変化がないこと

【陶歯の欠点・デメリット】
陶歯の欠点・デメリットとして、下記の項目が挙げられる。

  • 削合や調整がやや困難であること
  • 義歯床用材料との結合が機械的結合にかぎられること
  • 削合量が多くなると破折しやすくなること
  • 咀嚼時に咬合音を発する場合があること

金属歯

臼歯においては、咀嚼効率と耐摩耗性の向上を目的として金属歯が使用される場合がある。審美性が悪いため、前歯部には用いられない。

人工歯の経時的変化と劣化

人工歯は使用により劣化が生じる。具体的には、下記で示すような事象が起きる。

  • 咬耗および破折
  • 着色、変色および歯石様沈着物の付着
  • 人工歯の脱落


「人工歯」の文献・書籍など

【読み】

じんこうし

【文献・書籍】

『歯科補綴学専門用語集 第4版』, 公益社団法人日本補綴歯科学会, 医歯薬出版株式会社, 2015.
『無歯顎補綴治療学 第3版』, 市川哲雄ら, 医歯薬出版株式会社, 2016.

著者/監修者情報
歯科医師

歯科医師。文系大学卒業後、歯学部に再入学。歯学部卒業後に歯科医師免許を取得したのち、歯科医師として勤務する傍らワンディー株式会社でライターとして勤務。

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