薬物性歯肉増殖症

「薬物性歯肉増殖症」とは?歯科用語を解説
最終更新日: 2021年06月14日

薬物性歯肉増殖症とは?

薬物性歯肉増殖症とは、フェニトインやニフェジピン、シクロスポリンなどの薬物によって引き起こされる歯肉増殖のことをいう。薬物性歯肉増殖症は、薬物性歯肉肥大薬物誘発性歯肉増殖症ともいう。



薬物性歯肉増殖症を引き起こす薬物

薬物性歯肉増殖症を引き起こす薬物は以下の3つである。
  • 抗痙攣薬フェニトイン(ダイランチン、アレビアチン)
  • カルシウム拮抗薬(降圧薬)ニフェジピン
  • 免疫抑制薬シクロスポリン

それぞれの薬物が薬物性歯肉増殖症を引き起こす確率は以下の通りである。
  • フェニトイン……50%
  • ニフェジピン……20%
  • シクロスポリン……30%

薬物性歯肉増殖症の特徴

薬物性歯肉増殖症の特徴として、下記項目が挙げられる。
  • どの薬剤も服用後3か月程度で発症することが多い。
  • 薬物性歯肉増殖症が発症すると増殖した歯肉がプラークコントロールを妨げるので歯周病や齲蝕が進行するようになる。
  • 病理学的には歯肉上皮と歯肉結合組織の絶対的な増加が認められる。
  • 歯の萌出の遅延や叢生の原因になる。
  • 薬物性歯肉増殖症は前歯部に多い。
  • プラークコントロールの不良な患者では増殖が著しい。

薬物性歯肉増殖症が日本で増加している原因

薬物性歯肉増殖症が日本で増加しているのは以下のような理由がある。
  • 高齢化に伴い高血圧を持つ患者が増え、ニフェジピンのようなカルシウム拮抗薬を飲む患者が増えたから。
  • 高血圧は慢性疾患なので、長期間飲む必要があるから。

薬物性歯肉増殖症の発症の原因

薬物性歯肉増殖症の原因は明確にはなっていないが以下の原因が考えられている。
  1. 薬物による線維芽細胞増殖促進作用
  2. コラーゲン分解抑制作用
  3. 薬物に対する反応性の遺伝的な差(遣伝子多型genotype)

薬物性歯肉増殖症の治療法

薬物性歯肉増殖症はまず以下の3つのことを行う。
  • 口腔清掃指導
  • スケーリング・ルートプレーニング
  • 可能であれば対診し内科主治医に薬物を変化してもらう

これらで改善しない場合、
  • アタッチメントロス、骨欠損があればフラップ手術を行う
  • アタッチメントロス、骨欠損がなければ歯肉切除術を行う




「薬物性歯肉増殖症」の文献・書籍など

【読み】

やくぶつせいしにくぞうしょくしょう

【文献・書籍】

『臨床歯周病学 第2版』, 吉江弘正ら, 医歯薬出版株式会社, 2013.

著者/監修者情報
歯科医師

1992年生まれ。千葉県の漁村で育つ。鶴見大学歯学部在学中からアプリやWebサービスの開発を趣味で行う。東京歯科大学大学院博士課程に進学するもお金が無くて中退。2017年にワンディー株式会社を創業。

口腔外科疾患の症例リスト

歯肉増殖症(Gingival hypertrophy)の症例をシェアします。

歯肉増殖症は、種々の原因により歯肉の過形成が生じることをいいます。
歯肉の組織の増殖と血管の反応性の変化による単純性歯肉増殖、非炎症性である歯肉線維腫症、ニフェジピン(降圧薬)やフェニトイン(抗てんかん薬)、シクロスポリンA(免疫抑制薬)など薬物を原因とする薬物性歯肉肥大に分類されます。

© 2019 Dr. Fabio Cozzolino

1Dでこの症例を見る

「口腔外科疾患」に関連する他の用語