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歯科器材の印象用シリンジとは?特徴やメーカー、規格/値段の違いなど、おすすめ15選を徹底比較!

歯科器材の印象用シリンジとは?特徴やメーカー、規格/値段の違いなど、おすすめ15選を徹底比較!

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形成後のマージンに印象材を置く瞬間、圧排が戻り始めて視野が揺れる。 その短い時間に気泡や欠けが生じると、再印象や補綴のやり直しが連鎖しやすい。 印象用シリンジは、印象材を狙った部位へ安定して注入するための器材であり、臨床精度とチェアタイムの両方に影響する投資対象である。

比較サマリー表(早見表)

製品名メーカー主用途の目安再使用規格の要点定価目安1本あたり目安タイム効率の目安運用の注意点
プラスチックシリンジジーシー弾性印象材の口腔内注入2本入、ノズル分離¥3,680約¥1,840清掃不十分で詰まりやすい
ディスポーザブルシリンジジーシー弾性印象材の口腔内注入不可10本入¥3,150約¥315廃棄コストと在庫管理
コーシリンジヨシダ/COE歯肉縁下への注入を狙うセット¥24,000情報なし専用部品の供給確認
ペンタ エラストマーシリンジ #71210ソルベンタム特定印象材システム用セット¥11,700情報なし対応材が限定される
エラストマーシリンジ #71209ソルベンタム特定印象材システム用セット¥11,700情報なし対応材が限定される
イントラオーラル シリンジソルベンタムディスペンサー装着型注入不可20本入¥5,300約¥265ディスペンサー互換が前提
フリーフローシリンジカー社細部の注出を意図した小型1本入¥5,800¥5,800洗浄手順の標準化が必要
ヘンケプレス ECOシリンジ2茂久田商会/ヘンケ抵抗調整型の注入1本入¥18,000¥18,000操作習熟が必要
クリーンシリンジモリムラミキシング兼注入18G、20本入または100本入¥3,000情報なし価格が入数で変動しやすい
ディスポーザブル印象シリンジ US12プレミアムプラス汎用ディスポ注入不可5mL用、12mL用、各50本入¥4,000約¥80粘性が高い材では押し出し負荷
CDディスペンサーⅢジーシーカートリッジペースト採取1個¥2,500¥2,500印象材用ではない
フジルーティングCDブランジャージーシーカートリッジ押し出し補助1個¥1,300¥1,300印象材用ではない
ベリシリンジジーシー寒天印象材の注入本体と交換部品付属情報なし情報なし寒天システムが前提
Mカートリッジシリンジクラーク寒天印象材のカートリッジ注入金属製、針2本と清掃針付属¥9,000¥9,000熱と清掃の手順が鍵
Pカートリッジシリンジクラーク寒天印象材のカートリッジ注入樹脂製、針2本と清掃針付属¥8,200¥8,200消耗部品の補充確認

表は、まず主用途で候補を絞り、次に再使用かディスポかで運用を決めるためのものである。 定価は目安であり、実際の仕入れ条件で変動する。 臨床面では対応素材と先端形状が再現性に効き、経営面では1症例あたりの運用時間がTCOを左右する。

印象用シリンジの役割と適応

この節では、印象用シリンジがどの工程を助け、どこで失敗が起きるかを整理する。 自院の印象材と手技に合う器材だけを残すことが、比較の近道である。 印象用シリンジは、支台歯周囲やマージン部に印象材を先行注入し、その後のトレー印象と連動させるための器材である。

口腔内注入の品質が補綴の手戻りを決める

気泡、引け、欠けは、印象材そのものより注入の安定性で起きることが多い。 粘性が高い材を細いチップで押すほど、術者の手圧と経路の抵抗差が結果に出やすい。 再印象が1回増えるだけでチェアタイムだけでなく技工や説明の負荷も増えるため、注入器材の安定性は経営課題でもある。

シリンジが必要な印象材と不要になりやすいケース

シリコーンやポリイーテルのように弾性印象材を精密に注入したい場合は、専用シリンジの価値が上がる。 一方でスキャン中心の医院では、印象用シリンジは限定用途となり、在庫の死蔵が起きやすい。 寒天印象を運用する医院では、加温材を扱う前提があるため、寒天対応シリンジの有無が分岐点となる。

【項目別】比較するための軸

この節では、選定の判断軸を臨床と経営で一本の因果にまとめる。 同じ定価帯でも、手戻りの減少と作業時間の短縮が同時に起きると投資回収は早い。 逆に互換を外すと、使えない在庫が残りROIを毀損する。

適応素材とシステム互換が最初の分岐である

印象材の粘性と混和方式が合わないと、押し出しが重くなり注入が途切れやすい。 ディスペンサーに装着できるタイプは、混和直後の材をそのまま口腔内へ運べるため、作業動線が短くなりやすい。 特定材専用のシリンジは、材の選択自由度と引き換えに、再現性の安定を狙う設計になりやすい。

先端チップと流路設計が気泡と圧に影響する

チップが細いほど到達性は上がるが、押し出し圧が上がり、術者の手ブレが気泡や欠けに反映されやすい。 チップ角度や回転機構は、頬側遠心や舌側遠心など見えにくい部位で差が出る。 注入が難しい症例ほど、器材の操作性がそのまま補綴の再現性に接続する。

感染対策と清掃性が運用コストを左右する

同じ器材でも、清掃に要する時間と手順のばらつきで、実質コストが大きく変わる。 清掃が不十分だと硬化材が残り、次回の押し出し不良や破損につながる。 再使用を選ぶなら、滅菌適合と洗浄性を前提に院内手順を固定することが必須である。

ディスポ運用が向く条件

複数台ユニットで補綴印象が連続する医院では、清掃待ちがボトルネックになりやすい。 その場合はディスポで工程を短縮し、再印象のリスクと交差汚染リスクを同時に下げる設計が取りやすい。 廃棄の手順と保管スペースを含めて、スタッフが迷わない運用にする必要がある。

再使用運用が向く条件

症例数が少なく、術者が器材を一貫管理できる環境では再使用のメリットが出やすい。 清掃と滅菌が確立していれば、ディスポ費用を抑えつつ安定した注入感を維持できる。 一方で破損時の代替や交換部品の入手性を確認しないと、突然の欠品が診療計画に響く。

経営指標としてのTCOとROIを言語化する

概算の発想は単純で、1症例あたりの追加コストと削減時間を同じ単位に置くことである。 例として、清掃に2分かかる再使用器材をディスポに置き換え、スタッフの実働コストを1分あたり¥40と置けば、時間だけで¥80の差になる。 その差がディスポの単価差を上回るか、再印象の減少で回収できるかを、月間症例数で検算すると判断が速い。

【製品別】製品ごとのレビュー

プラスチックシリンジ はノズル分離で清掃性を確保する再使用型である

ノズルが外れる設計は、硬化した印象材の除去がしやすい点が強みである。 一方で清掃不足が残ると次回の押し出し不良に直結するため、担当者固定の運用が向く。 自費補綴の精密印象を安定させたいが、ディスポ費用は抑えたい医院に合いやすい。

ディスポーザブルシリンジ は低単価で標準化しやすい使い捨てである

単価を抑えつつ、準備から廃棄までを一工程にできる点が臨床と経営の両方に効く。 粘性が高い材では押し出し抵抗が上がりやすいため、材の選択とチップの太さを合わせる必要がある。 保険中心で症例数が多い医院ほど、作業の標準化と交差汚染対策に寄与しやすい。

コーシリンジ は容量とプランジャー精度で縁下注入を狙う設計である

縁下への注入を想定した設計は、圧排後の限られた時間でマージンを追う場面に向く。 セット品は導入単価が上がりやすいので、使用頻度が低い医院では回収が遅れる。 補綴症例の比率が高く、術者が注入感の再現性を重視する医院に合う。

ペンタ エラストマーシリンジ #71210 は特定印象材と組み合わせて使う前提である

対応する印象材と混和方式が決まっているため、手技のばらつきを減らしやすい。 逆に材料変更の自由度は下がるため、材料在庫の一元化が必要になる。 特定システムで症例を回す方針の医院では、教育負荷を下げる選択肢となる。

エラストマーシリンジ #71209 は別粘度帯の特定印象材に合わせたシステム品である

同じメーカーでも粘度や用途が異なると、適した注入器材が分かれることがある。 対応材以外に流用すると押し出しや硬化後清掃で不具合が出る可能性があるため注意が要る。 材料を固定して再現性を積み上げたい医院に向く。

イントラオーラル シリンジ はディスペンサー装着で動線を短縮するディスポである

ディスペンサーに装着してそのまま口腔内へ運べるため、練和と注入のタイムロスが減りやすい。 単価は中間帯であるが、清掃ゼロのメリットがあるため症例数が多いほど効く。 互換するディスペンサーやチップ規格が前提となるため、導入前に院内の器材体系を確認したい。

フリーフローシリンジ は小回りを優先した汎用シリンジである

小型で細部の注出を意図した設計は、部分印象や追加注入の操作に合うことがある。 再使用を前提にするなら、硬化材の残留を防ぐ洗浄手順が必須となる。 外科や補綴など術式が多様で、汎用性を確保したい医院に向く。

ヘンケプレス ECOシリンジ2 は抵抗調整で注入速度をコントロールする器材である

材の粘性に合わせて抵抗と進行を調整できる設計は、縁下での押し出しの暴れを抑えたい場面に効く。 一方でダイヤル操作の習熟が必要で、スタッフが複数入る現場では教育コストが増えやすい。 自費補綴中心で症例単価が高く、安定した注入を優先する医院に合う。

クリーンシリンジ は気泡低減を狙うミキシング兼注入である

手のひらサイズで、商品説明上は気泡混入を抑える設計意図が示されている。 先端が回転するタイプはアクセス性が良い反面、ディスポではないため清掃と滅菌の適合確認が要る。 技工との適合を重視し、再印象の発生率を下げたい医院で検討価値がある。

ディスポーザブル印象シリンジ US12 は高コスパで症例数に強い汎用ディスポである

入数が多く単価が低いため、検診的な印象や暫間用途を含めて使い切りやすい。 5mL用と12mL用で必要量に合わせられるが、粘度が高い材では押し出しが重くなることがある。 保険効率を重視し、スタッフ運用で回す医院の標準器材として整理しやすい。

CDディスペンサーⅢ はカートリッジペースト採取のためのディスペンサーである

ペースト化材料を一定比率で採取する目的の器材であり、印象材注入用としては位置づけが異なる。 一方でカートリッジ管理や清掃動線の考え方は、印象材システム選定でも参考になる。 印象用として導入するのではなく、用途の混同を避けるために院内教育の対象としたい。

フジルーティングCDブランジャー は専用カートリッジの押し出し補助器具である

軽量でコンパクトな押し出し器具であり、対応カートリッジが限定される。 印象工程そのものには直接関与しないため、比較では参考枠として扱うのが安全である。 周辺器材を整理し、セットアップの迷いを減らす観点で価値が出る。

ベリシリンジ は寒天印象材を注入するための専用シリンジである

寒天印象材の注入に対応し、本体に加えて交換用部品と清掃用具が付属する。 寒天システムは機器と手順が前提となるため、導入可否は医院の術式方針で決まる。 寒天を活かしてマージンの再現を狙う医院では、供給性と部品交換の体制が重要である。

Mカートリッジシリンジ は金属製で耐久を重視した寒天カートリッジ用である

金属製は耐久性が期待でき、カートリッジ寒天を安定して注入する用途に合う。 針と清掃針が付属するため、運用は清掃まで含めて設計する必要がある。 寒天運用を継続する医院で、器材寿命を重視する場合に候補となる。

Pカートリッジシリンジ は軽量な樹脂製で寒天カートリッジ用である

樹脂製は軽さと取り回しの良さが利点になりやすく、寒天の注入操作を軽くしたい場面に合う。 プラスチック部品が付属するため、消耗部品の補充ルートを確保したい。 寒天を使うが術者が複数で、操作負荷の低さを優先したい医院に向く。

導入設計とROI

この節では、購入前に院内で決めるべき運用を整理し、投資対効果を上げる。 器材の優劣より、使い方を統一できるかが再現性とコストを決める。 選定後に手順が揺れると、どの製品でも気泡と再印象は減らない。

症例別にシリンジの役割を固定する

クラウンブリッジの精密印象では、注入の安定が再製作コストを抑える中核になる。 暫間や簡易用途では、ディスポで工程を簡素化し、人的コストを圧縮する方が合うことが多い。 寒天を使う場合は、シリンジ単体ではなく加温と保温を含む一連のシステムとして評価する必要がある。

標準化で教育負荷と再印象率を下げる

同じ製品でも、充填量や押し出し速度が人で変わると結果が揺れる。 院内では、材とシリンジの組み合わせを限定し、準備から廃棄までを一連の流れとして固定したい。 導入直後は、破損と詰まりの頻度が上がりやすいので、予備在庫と代替手段を用意することが安全である。

よくある質問(FAQ)

Q 印象用シリンジはオートクレーブ滅菌できるか A 材質とメーカー指示で可否が分かれるため、再使用を前提にするなら添付文書や取扱説明の確認が必須である。ディスポ品は滅菌工程を設計に含めずに済むが、廃棄手順の標準化が必要である。

Q ディスポと再使用はどちらが経営的に有利か A 月間症例数と清掃時間で結論が変わる。清掃時間の短縮と再印象の減少が見込めるならディスポの方がTCOが下がることがある。症例数が少なく管理者が固定できるなら再使用で安定運用できる場合がある。

Q ポリイーテルなど特定印象材では専用シリンジが必要か A 一部の印象材は混和方式と粘性が独特で、専用シリンジが想定されていることがある。流用は押し出し不良や気泡の原因になり得るため、対応範囲を確認して選ぶのが安全である。

Q 先端の太さは何を基準に決めるか A 粘性が高い材ほど太めの流路の方が押し出し圧を下げやすい。到達性を優先して細くし過ぎると手圧が上がり、注入の途切れや欠けが増えることがある。症例のマージン形態と圧排の成功率を踏まえて決めたい。