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歯科器材の印象用トレー(無歯顎)とは?特徴やメーカー、規格/値段の違いなど、おすすめ15選を徹底比較!

歯科器材の印象用トレー(無歯顎)とは?特徴やメーカー、規格/値段の違いなど、おすすめ15選を徹底比較!

最終更新日

無歯顎の印象でつまずきやすいのは、 材料そのものよりトレー選択と辺縁設計である。 顎堤が低い症例ほど、 少しの過延長やトレーのたわみが辺縁封鎖の破綻に直結し、 再印象や再来院を招く。 結果としてチェアタイムと技工コストが増え、 医院の利益率を静かに押し下げる。

本稿では印象用トレー(無歯顎)の選び方を、 臨床の再現性と経営のROIの両面から整理する。 ディスポか再使用か、 リムロックか穴あきか、 熱可塑かといった違いを、 診療スタイルに接続して判断できる状態を目指す。

比較サマリー表(早見表)

製品名メーカータイプ再現性の要点操作と時間価格目安滅菌と感染対策供給と保証
無歯顎用トレーYDM再使用 既製サイズ選択で材厚を安定させやすい標準約3,800円オートクレーブ想定 情報は製品表示に従う保証情報なし 供給は販売店依存
オソンインプレッショントレー(無歯顎用トレー)モリタ/オソン社再使用 金属 穴あきリムロックと保持孔で保持を狙う標準約2,300円オートクレーブ可の表示例あり保証情報なし 供給は流通在庫に依存
Frame Cut Back トレーモリタ再使用 既製顎堤適合とサイズ識別を重視する説明標準約6,600円再使用前提 滅菌条件は製品表示に従う保証情報なし 供給は販売店依存
ディスポーザブルトレー(無歯顎)ジーシーディスポ 樹脂バイトレストと形態展開で咬合採得を補助高め約3,800円使い切りで交差感染リスクを下げやすい保証情報なし 供給は比較的安定しやすい
リムロック印象用トレー(無歯顎用)ジーシー再使用 リムロック咬合床併用の手順で再現性を狙う高め約2,320円再使用前提 滅菌条件は製品表示に従う保証情報なし 供給は販売店依存
ヒューマントレー 無歯顎 耐熱用モモセ歯科商会再使用 耐熱形態余裕で個体差を吸収する設計の説明標準約4,600円オートクレーブ対応の耐熱仕様の記載あり保証情報なし 供給は販売店依存
トランスフォームトレー 無歯顎用モモセ歯科商会ディスポ 熱可塑温水で形態調整し顎堤差に寄せる症例依存約1,500円使い切り 温度と時間管理が鍵保証情報なし 供給は販売店依存
DC.STO-Kトレーヨシダ再使用 既製卵形形態と番手セットで選択を単純化標準約4,150円再使用前提 滅菌条件は製品表示に従う販売状況の変動に注意 保証情報なし
ボーダーロックトレーヨシダ/COE社再使用 既製辺縁封鎖を意識した設計思想の製品名標準約6,000円再使用前提 滅菌条件は製品表示に従う保証情報なし 供給は販売店依存
フルデンチャートレー東京歯材社再使用 既製下顎のサイズ展開が多く適合調整に寄与標準約9,100円再使用前提 滅菌条件は製品表示に従う保証情報なし 供給は販売店依存
ハイトレーライト無歯顎用プレミアムプラスディスポ 樹脂使い切りで再現性のばらつきを工程で抑える高め約2,500円使い切りで滅菌工程を省きやすい保証情報なし 供給は流通在庫に依存
カスタム印象トレー 無歯顎用 全顎プレミアムプラスディスポ 既製カスタム個人トレー作製の代替として形態を寄せる高め約6,000円使い切りで交差感染リスクを下げやすい保証情報なし 供給は販売店依存
無歯顎用印象トレーα歯愛メディカル再使用 ステンレス寸法表示と材質で選択基準を持ちやすい標準公開価格情報なしオートクレーブ可の記載あり保証情報なし 供給は販売店依存
無歯顎用ヒートトランストレー歯愛メディカルディスポ 熱可塑短時間の温水処理で形態調整を狙う症例依存公開価格情報なし使い切り 温度と時間管理が鍵保証情報なし 供給は販売店依存
ハイフレックスAC(無歯顎用)フィード取扱再使用 網網形態で機械的保持を得やすい標準約4,000円台オートクレーブ可の記載あり保証情報なし 供給は流通在庫に依存

表はトレーの性格を一望するための早見表である。 臨床では辺縁形態と保持機構が印象の再現性に効き、 経営ではディスポ化で滅菌工程と再印象率をどう動かすかが ROIに効く。 価格は目安であり、 購入単位や流通で変動する。

印象用トレー(無歯顎)とは

このカテゴリのトレーは、 無歯顎の顎堤と周囲軟組織の形態を印象材により記録するための器具である。 一般には一般医療機器に分類される製品が多く、 再使用金属とディスポ樹脂に大別される。 最終印象の精度を求めるほど、 トレーの適合と変形管理が結果を左右する。

無歯顎では、 印象そのものが義歯の支持と安定に影響しやすい。 したがってトレー選択は材料の好みではなく、 顎堤形態、開口量、粘膜の可動域、 術者とスタッフの運用設計で決めるべきである。

【項目別】比較するための軸

この節の目的は、 数あるトレーを自院の症例構成と運用に合わせて選別できる判断軸を持つことである。 臨床の再現性に直結する要素と、 医院のTCOを左右する要素を同じ地図の上で扱う。

精度と再現性を左右する外形と辺縁形態

無歯顎の印象は辺縁形態の設計で勝負が決まる。 トレー外形が顎堤に近いほど印象材の厚みが安定し、 引き抜き時の歪みが減りやすい。 逆に大き過ぎるトレーは辺縁の過延長を起こしやすく、 義歯の痛みや脱離につながり得る。

臨床で悩ましいのは臼後部と頬棚部である。 臼後三角部の再現性をうたう製品や、 日本人の顎形態への適合を説明する製品は、 この領域の扱いを意識している可能性がある。 とはいえ最終的な適合は術者の調整に依存するため、 調整しやすい形態かどうかも含めて評価する。

印象材保持はリムロックと保持孔で差が出る

リムロックや保持孔は、 印象材の脱離や引きちぎれを減らす方向に働くことが多い。 アルジネートなど流動性の高い材料では、 保持機構が弱いとトレーから印象材が浮き、 再現性が落ちやすい。 穴あきタイプは機械的保持が得やすい一方、 清掃性と乾燥の手順が雑になると残渣が残りやすい。

変形と操作性は材質で差が出る

金属はたわみにくい傾向があり、 トレー変形による誤差を抑えたい場面で有利になりやすい。 樹脂ディスポは軽量で患者負担が小さく、 感染対策上の安心感も得やすいが、 把持の仕方や材料硬化後の脱離操作で歪みが出ないよう配慮が要る。

熱可塑タイプは、 顎堤差の大きい症例に対して形態を寄せられる点が魅力である。 その反面、 温度と時間の管理が不十分だと意図しない変形や厚み不足を招き、 結果として再印象のリスクが上がる。 導入時は術者だけでなくスタッフ教育も含めた設計が欠かせない。

感染対策と滅菌運用は人件費に跳ね返る

ディスポ化は材料費を増やすが、 洗浄と滅菌の手間を減らせる。 特に訪問診療や夕方の混雑帯では、 滅菌工程の渋滞が小さな待ち時間として積み上がる。 逆に再使用トレーは単価が高くても、 症例数が多い医院では1症例あたりコストが低くなる場合がある。

1症例あたりコストは材料費だけでなく工程費で見る

トレーを評価するとき、 購入価格と印象材の量だけで判断すると見誤る。 洗浄と乾燥と滅菌に要するスタッフ分の時間、 滅菌パックや消耗品、 トレーの紛失や変形による更新を含めたTCOで見るべきである。 ディスポは工程費が読める一方、 在庫切れが起きると診療フローが即座に止まる。

チェアタイム短縮は保険も自費も同じ方向に効く

無歯顎の印象で再印象が1回起きると、 患者の再来院コストだけでなく、 術者の集中力と予約枠を消耗する。 トレーが咬合採得を補助できる設計であれば、 咬合床調整の時間が短くなる可能性がある。 小さな時間短縮が積み上がる医院ほど、 トレー選択のROIは大きく見える。

導入設計と失敗しない運用

この節の目的は、 製品スペックを現場の手順に落とし込み、 再印象とクレームを減らすことである。 トレーは買って終わりではなく、 運用設計で初めて利益に変わる。

既製トレーでカバーできる範囲を見極める

顎堤の吸収が中等度までで、 開口量が確保できる症例では、 既製トレーで十分に安定した結果が得られることが多い。 ここで重要なのは、 トレーの大きさを大きめに選ぶことではなく、 印象材の厚みを均一にしやすい外形を選ぶことである。 必要な部位のレリーフと辺縁調整を前提にすると、 製品間の差を現場で活かしやすい。

熱可塑やカスタム形態は難症例の保険として使う

顎堤差が大きい、 顎堤が鋭い、 または片側性の偏位が強い症例では、 熱可塑や個人トレーに近い形態の製品が有効なことがある。 ただし調整工程が増えるため、 短時間で仕上げる手順を標準化できない医院では、 かえってチェアタイムが延びる。 導入前に、 どの症例で使うかを院内で言語化しておくと失敗が減る。

金属トレーの注意点はアレルギーと滅菌条件である

金属製品の一部にはニッケルを含むものがあり、 患者や医療従事者の既往によっては使用を避ける必要がある。 滅菌はオートクレーブ対応の記載がある製品でも、 乾燥工程の可否や温度条件が製品ごとに異なる場合がある。 院内では製品ラベルの条件を基準に統一し、 手順書に落としておくべきである。

【製品別】製品ごとのレビュー

無歯顎用トレー は耐熱性の記載がある既製トレーである

材質と耐熱温度の記載があり、 再使用を前提にした運用と相性がよい。 サイズ展開があるため、 上顎下顎の番手を揃えると選択が速くなる。 滅菌条件と価格は流通により差が出るため、 院内基準を先に決めるべきである。

オソンインプレッショントレー(無歯顎用トレー) は穴あきリムロック形態の金属トレーである

リムロック形態と穴あきにより印象材保持を狙うタイプであり、 材料の脱離で悩む医院に向く。 オートクレーブ可の記載例があり再使用運用に乗せやすい一方、 金属材料への感受性には配慮が要る。 価格帯は比較的抑えめで、 症例数が多い医院ほどTCOが読みやすい。

Frame Cut Back トレー は顎堤適合を意識した色分けトレーである

日本人の顎堤にフィットする形状と サイズ識別の工夫が説明されている。 上顎下顎ともに複数色で管理できるため、 チェアサイドで迷いが減り、 スタッフ運用が安定しやすい。 単価は高めなので、 主戦力として使うのか難症例用として備えるのかでROIが変わる。

ディスポーザブルトレー(無歯顎) は咬合採得も視野に入るディスポトレーである

取り外し可能なハンドルと バイトレストの設定があり、 咬合採得や咬合印象の補助として使える設計である。 使い切りにより洗浄滅菌の工程を短縮しやすく、 訪問診療や複数チェアでの回転が速い医院に向く。 樹脂の特性上、 脱離時のたわみを抑える持ち方をチームで統一したい。

リムロック印象用トレー(無歯顎用) は咬合床併用で時間短縮を狙うトレーである

無歯顎症例で咬合採得を迅速に行うことを意識した設計が説明されている。 作製した咬合床を用いる前提のため、 技工連携が整っている医院ではチェアタイム短縮につながりやすい。 反対に咬合床の精度が不安定な運用では、 トレーの利点が出にくい。

ヒューマントレー 無歯顎 耐熱用 はアルジネートの流れを意識した耐熱トレーである

耐熱仕様でオートクレーブ対応の記載があり、 再使用の感染対策を組み立てやすい。 トレー形状が大きめという説明があり、 挿入位置のズレや個体差を吸収する方向の設計と解釈できる。 印象材の厚みが増える症例では、 材料量と硬化後の脱離操作を丁寧に設計したい。

トランスフォームトレー 無歯顎用 は温水で形態調整できるディスポトレーである

一定温度以上の温水で短時間に形態を変えられるタイプで、 既製の番手では合いにくい症例の保険になり得る。 価格は抑えめだが、 調整工程が増えるため、 標準化できないとチェアタイムが延びる。 温度管理の担当を決め、 再現性を担保してから主戦力にしたい。

DC.STO-Kトレー は卵形形態のセット構成で選択を簡略化しやすい

日本人の顎形態に合った卵形という説明があり、 頻用番手をまとめたセットで運用する思想である。 セット運用は在庫管理と選択の迷いを減らし、 教育負荷を下げやすい。 販売状況が変わる場合があるため、 代替候補を持っておくと安心である。

ボーダーロックトレー は辺縁封鎖を意識した無歯顎トレーである

ボーダーロックという名称から、 辺縁の保持と封鎖を意識した設計思想が読み取れる。 番手が細かく、 上顎下顎で複数サイズを備える運用に向く。 単価は高めなので、 難症例や総義歯治療に注力する医院で投資回収しやすい。

フルデンチャートレー は臼後部の適合に配慮したサイズ展開が多い

上顎3サイズ下顎6サイズと形態が豊富で、 臼後部の適合の難しさに対する配慮が説明されている。 サイズ展開が多いほど選択精度は上がる一方、 保管と消毒の運用が複雑になる。 総義歯の症例数が多い医院で、 標準手順を固めてから導入すると効果が出やすい。

ハイトレーライト無歯顎用 はディスポで衛生運用を単純化しやすい

ディスポの無歯顎トレーで、 衛生面の安心感と工程短縮を狙いやすい。 サイズが上顎下顎で用意され、 導入時に番手を揃えればスタッフ教育が進みやすい。 樹脂トレーは保持の仕方で歪みが出るため、 硬化後の脱離動作を共有したい。

カスタム印象トレー 無歯顎用 全顎 は個人トレー代替を狙う既製カスタム形態である

上顎下顎ともにXXLからSまでの番手があり、 個人トレーの作製時間を短縮したい場面に向く。 ディスポ運用で交差感染のリスクを下げつつ、 形態を寄せられる点が強みである。 反面、 適合が良いほど調整の余地が減るため、 辺縁形成の手順を決めて使うべきである。

無歯顎用印象トレーα はステンレスで再使用運用に乗せやすい

ステンレス材質とオートクレーブ可の記載があり、 再使用を前提にした医院に向く。 寸法表示がある製品は、 番手選択をデータで揃えたい院内に相性がよい。 価格は公開情報が限られるため、 導入前に購入ルートで確認したい。

無歯顎用ヒートトランストレー は短時間の温水処理で形態調整を狙う

耐熱性のある樹脂を温水で軟化させ、 顎堤形態に合わせるタイプである。 個人トレーほどの工程をかけずに フィット感を上げたいときに選択肢になる。 温度と時間がぶれると再現性が落ちるため、 院内で器具と手順を固定してから使うべきである。

ハイフレックスAC(無歯顎用) は網トレーで保持とたわみの両立を狙う

ステンレスの網形態により印象材の機械的保持を得やすく、 アルジネートの保持で困る現場に向く。 寸法とサイズ展開が示されており、 標準化しやすい点は経営的な利点である。 金属とコーティングの清掃性を前提に、 滅菌前洗浄を丁寧に設計したい。

よくある質問(FAQ)

Q 無歯顎の印象でディスポトレーに替える価値はどこにあるのか
A 工程短縮と感染対策の単純化に価値が出やすい。 洗浄滅菌の人件費と滅菌渋滞が大きい医院では、 材料費増よりも全体コストが下がる場合がある。 症例数が少ない医院では、 まず再印象率が下がるかを指標にするのが現実的である。

Q リムロックと穴あきはどちらを優先すべきか
A 印象材の脱離や引きちぎれで困っているなら保持機構を優先したい。 穴あきは保持に寄与する一方、 清掃と乾燥が不十分だと残渣リスクが上がる。 現場の衛生手順が安定しているかで選ぶのが安全である。

Q 金属トレーはアレルギーの観点で避けるべきか
A 一律に避ける必要はないが、 金属材料への感受性は確認すべきである。 製品によっては材質にニッケルを含むものがあり、 既往がある患者や医療従事者では別素材を選ぶ判断が必要になる。 院内問診の項目に加えておくと運用が安定する。

Q 熱可塑トレーは難症例に万能なのか
A 万能ではない。 形態を寄せられる利点はあるが、 温度と時間管理が甘いと変形や厚み不足が起き、 結果として再印象の原因になる。 難症例でこそ手順の再現性が重要なので、 導入時は練習と標準化が前提である。

Q 既製トレーと個人トレーの分岐はどう決めるべきか
A 再現したい辺縁の精度と、 許容できるチェアタイムで決めるのが合理的である。 顎堤差が大きい症例や顎堤が鋭い症例では個人トレーが有利になりやすいが、 個人トレー作製がボトルネックなら既製カスタム形態や熱可塑を併用する手もある。 最終的には再印象率と再来院率の推移で評価するべきである。