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口腔トレーニング器具のりっぷるくんとは?用途や主要スペック、特徴などを解説!

口腔トレーニング器具のりっぷるくんとは?用途や主要スペック、特徴などを解説!

最終更新日

小児の口元がいつも開いている、いわゆる「おくちポカン」を診る機会はここ数年で明らかに増えていると感じる。安静時口唇閉鎖不全は、歯列不正や口呼吸、姿勢不良、集中力低下など、多方面の問題の入口になり得ることが各種ガイドラインでも強調されている。

一方で、外来レベルで口唇閉鎖力を定量評価し、経時的にフォローする仕組みを整えている医院はまだ多くない。視診と問診だけでは「何となく弱そう」という印象止まりになりやすく、保護者への説明も感覚的な表現に依存しがちである。そこで実務的な選択肢となるのが、口唇閉鎖力測定器りっぷるくんである。

りっぷるくんは、引っ張る方向と測定開始位置のバラつきを抑え、再現性の高い口唇閉鎖力測定を可能にした一般医療機器であり、専用のりっぷるボタンと組み合わせて口輪筋トレーニングにも応用できる設計になっている。 本稿では、りっぷるくんを「口腔トレーニング器具」としてどう位置付けるかを、仕様とガイドライン、実際の運用例を踏まえて整理し、導入判断に必要な臨床的・経営的視点を提示する。

目次

りっぷるくんの概要とコンセプト

りっぷるくんは、メーカーが「口を閉じる力を測定できる口唇閉鎖力測定器」と位置付ける医療機器である。一般医療機器クラスIとして届出されており、歯科用口唇筋力固定装置という一般的名称で登録されている。

最大の特徴は、測定時に生じやすい二つの誤差要因を抑えるコンセプトにある。一つは、術者ごとにばらつきやすい「引っ張る方向」であり、もう一つはボタンの「測定開始位置」である。りっぷるくん本体の軸方向に沿って牽引する構造と、鼻下点付近を照らすLEDによる方向指標、さらに専用形状のりっぷるボタンを組み合わせることで、これらの誤差をできるだけ小さくする設計が取られている。

ガイドライン側の位置付けも明確である。小児の口腔機能発達不全症に関する基本的な文書では、口唇閉鎖力を医療機器登録された測定器で計測し、年齢別の発達曲線に沿って評価することが推奨されている。その具体例として、歯科用口唇筋力固定装置りっぷるくんが挙げられ、測定方法と標準値の表が提示されている。

製品カテゴリー上は「予防・口腔衛生製品」の中の「口腔トレーニング器具」としても分類されている。これは、りっぷるくんが単なる測定器ではなく、専用のりっぷるボタンや関連製品りっぷるとれーなーと併用することで、口輪筋トレーニングまで含めたパッケージとして設計されていることを示している。

りっぷるくんの主要スペックと構造

医療機器としての位置付け

りっぷるくんは一般医療機器クラスIに分類されている。医療機器承認番号は公開されており、歯科用口唇筋力固定装置として届出されている。 このことは、口唇閉鎖力という機能評価を診療フローの中に正式に組み込むうえで、医療機器としての位置付けが明確であることを意味する。

ガイドラインでも、口唇閉鎖力は数ある口腔機能検査の中で、検査方法と評価指標が整備された重要な検査として扱われており、医療機器による測定が前提とされている。 その代表例としてりっぷるくんが挙げられていることから、実質的なデファクトスタンダードに近い立場にあると考えてよい。

測定機構と特徴

りっぷるくんの測定原理はシンプルで、患者の歯と口唇の間に装着したボタンを、一定方向に牽引して口腔外へ抜けるまでの最大保持力を計測するものである。ガイドラインの記載では、装着具にフロスを通し本体軸部に取り付け、歯と口唇の間に装着したうえで、本体を直線的に引っ張り、約10秒で本体が口腔外へ抜けた時点で検査値が表示されると説明されている。

この「直線的に引っ張る」という条件を視覚的に保証するため、本体の測定軸上部にはLEDが搭載されており、鼻下点付近に光を照射しながら牽引方向を確認できるようになっている。LED光を目印として本体を真っすぐ前方へ引くことで、力の方向が前後左右にぶれにくくなり、測定ごとの方向性の誤差を低減している。

測定値はN単位で表示され、複数回測定のうち最大値を採用する運用が多い。成人を対象とした臨床報告では、りっぷるくんを用いた測定値を基準に、高齢者の口唇閉鎖力トレーニングの効果を検証した研究もあり、口唇閉鎖力の変化を客観的に追跡できる測定器として位置付けられている。

りっぷるボタンとアクセサリ

一式内容は、本体1台とりっぷるボタン50個が基本セットであり、消耗品であるりっぷるボタンは50個入りの別売品として追加購入が可能である。 りっぷるボタンは特殊な形状を持ち、歯列状態にかかわらず口唇で保持しやすく、毎回同じ位置に安定して装着しやすいよう設計されている。これにより、測定開始位置のバラつきを抑え、測定条件の再現性を高めている。

りっぷるボタンは、ボタンプル型のトレーニングにも応用できる。ガイドラインでは、「ボタンプル」と呼ばれる紐付きボタンを用いた抵抗運動が口唇閉鎖力トレーニングの一手段として紹介されており、りっぷるボタンも同様のコンセプトで口輪筋を鍛える用途に使用できるとされている。

測定対象と適応年齢

販売情報では、測定対象として3歳から15歳までの小児が明記された製品構成が案内されている。一方で、ガイドラインに示された口唇閉鎖力の標準値は3歳から成人まで幅広い年齢層をカバーしており、実臨床では成人や高齢者の測定にもりっぷるくんが広く用いられている。

小児に関しては、年齢とともに口唇閉鎖力が漸増する発達曲線が示されており、年齢性別ごとの平均値と標準偏差が提示されている。評価に際しては、単一時点の絶対値だけでなく、この発達曲線上での位置と経時的変化を見ることが推奨されている。

測定からトレーニングまでの運用フロー

口唇閉鎖力検査のステップ

口唇閉鎖力検査は、視診と問診で口唇閉鎖不全のサインを確認したうえで、りっぷるくんによる測定を行う流れが推奨される。ガイドラインでは、安静時口唇閉鎖不全や口呼吸があり、標準値のマイナス1標準偏差以下の測定値を示す場合、口唇閉鎖力不足と診断することが示されている。

具体的な手順は、おおむね次の通りである。りっぷるボタンにフロスなどの糸を通して本体軸部に装着し、ボタンを患者の前歯と口唇の間に入れ、口唇で挟ませた状態で閉口させる。そのうえで、本体を鼻下点方向にLED光を合わせつつ、直線的に牽引し続ける。ボタンが口腔外へ抜けた時点で測定値が表示されるので、これを1回の測定値として記録する。

測定は通常数回行い、最大値を採用する。小児では3か月に1回程度のペースで再測定し、トレーニングの効果や成長に伴う変化を発達曲線上で評価することが推奨されている。

測定値の解釈とフィードバック

測定値の解釈では、年齢性別ごとの平均値と標準偏差が重要になる。ガイドラインでは、マイナス1標準偏差を一つの目安としつつ、単回測定値が平均値未満だから即時に異常と断定するのではなく、成長曲線上での経時的な変化を重視することが強調されている。

臨床的には、初回測定値をベースラインとし、その後のトレーニングや生活指導の結果として、測定値がどの程度上昇しているかを確認する運用が現実的である。評価のゴールを「平均値以上」に置くか、「ベースラインからの有意な上昇」に置くかは、症例の背景や保護者の理解度、介入期間などを踏まえて柔軟に決める必要がある。

また、矯正歯科での活用例では、りっぷるくんを用いた測定値と、矯正治療や口腔筋機能療法の進捗を関連付けて提示し、治療前後の変化を患者に視覚的に示すことで、トレーニングモチベーションを高めている報告もある。

りっぷるボタンとりっぷるとれーなーによるトレーニング

りっぷるくんは測定器であるが、付属のりっぷるボタンや関連製品りっぷるとれーなーを用いることで、口輪筋トレーニングまで一貫したプログラムを構成できる。りっぷるボタンは口唇閉鎖力測定だけでなく、ボタンプルによる口輪筋トレーニングにも使用可能であるとされている。

一方、りっぷるとれーなーは歯列に沿うように丸みをつけたホルダー形状を持ち、口唇内側にフィットしやすい設計のトレーニング器具である。ホルダー部は誤飲防止ストッパーを兼ねており、小児や高齢者でも安全にトレーニングできるよう配慮されている。

ガイドラインでは、りっぷるとれーなーを用いた訓練例として、前歯と口唇の間に装着し、前方、左右側方へ各10回ずつ、計30回引き出す動作を1日1回行うプロトコルが紹介されている。このとき、ボタンやホルダーが口腔外に抜けないように口唇でこらえることが口輪筋の抵抗運動となる。

このように、りっぷるくんによる測定と、りっぷるボタンまたはりっぷるとれーなーによるトレーニングを組み合わせることで、「測る」と「鍛える」を同じブランドの器具群で完結できる点は、トレーニング器具としての大きな特徴といえる。

小児から高齢者までの臨床活用シーン

小児の口腔機能発達不全症への応用

小児の口腔機能発達不全症の評価と管理に関するガイドラインでは、口唇閉鎖力検査が中心的な検査の一つとして位置付けられている。口唇閉鎖力が年齢別標準値のマイナス1標準偏差以下で、安静時口唇閉鎖不全や口呼吸が認められる場合、口唇閉鎖力不足と診断し、3か月ごとの測定とトレーニングを行うことが推奨されている。

実際の小児歯科医院の情報でも、りっぷるくんによる口唇閉鎖力検査を取り入れ、口腔機能発達不全症予防のための現状把握と対応方針の説明に活用している例が報告されている。保護者に測定結果をその場で提示し、「口唇力が弱い」という抽象的な表現ではなく、数値と標準値を用いて説明することで、家庭でのトレーニングへの理解と協力を得やすくしている。

矯正治療と口腔筋機能療法との連携

矯正歯科領域では、口唇閉鎖不全や舌突出癖を合併する症例に対し、矯正装置だけではなく口腔筋機能療法を組み合わせる治療が一般化しつつある。その中で、りっぷるくんによる口唇閉鎖力の測定値と、舌圧測定器による舌圧値を併せて評価し、トレーニング前後の変化を患者にフィードバックする運用が紹介されている。

また、MFTを積極的に行う矯正専門クリニックでは、舌の運動訓練やガムトレーニング、あいうべ体操などと並んで、りっぷるくんや関連トレーニング器具を日常的に指導メニューに組み込んでいる。これにより、咬合や舌癖だけでなく、安静時口唇閉鎖の獲得という長期予後に直結する指標を数値で管理できる点が評価されている。

高齢者の嚥下リハビリテーションへの拡張

高齢者を対象とした研究では、りっぷるくんを用いて口唇閉鎖力を計測し、りっぷるとれーなーによる1日おきのトレーニングの効果を検証した報告がある。65歳以上の高齢者を対象に、4週間のトレーニング群と計測のみのコントロール群を比較した結果、トレーニング群では口唇閉鎖力の有意な増加が認められたとされている。

このようなデータは、小児だけでなく高齢者の嚥下機能や口腔機能低下への介入においても、りっぷるくんとその関連器具が有効なツールとなり得ることを示唆している。訪問歯科や通院困難な高齢者のリハビリでも、簡便に口唇閉鎖力をモニタリングできる点は大きな利点である。

経営インパクトとROIの考え方

導入コストと消耗品コスト

ディーラー情報によれば、りっぷるくん本体一式の定価は6万円台後半であり、付属のりっぷるボタン50個が同梱されている。別売のりっぷるボタン50個入りは数千円台前半で供給されており、測定頻度や患者数に応じて追加購入する形になる。

1回の測定でボタンを単回使用とした場合、1人あたりの消耗品コストは数百円未満のオーダーに収まる。小児の口腔機能発達不全症管理では3か月ごとの定期測定が推奨されているため、年間4回の測定を行ったとしても、1人あたりのボタンコストは保険診療全体の中では比較的少ない負担である。

簡易ROIのイメージ

りっぷるくん導入の投資回収を考える場合、単純に機器代とボタン代を検査回数で割った「1検査あたりコスト」のみを見ても判断が難しい。むしろ、口腔機能発達不全症の検査と管理を体系的に提供し、定期的な再診を促すことで得られる診療報酬と、自費のトレーニング器具販売や矯正治療への橋渡し効果を含めたトータルな収益構造で評価するべきである。

例えば、小児の新規患者に対して、初診時に口腔機能評価とりっぷるくんによる測定を行い、その後3か月ごとの再評価と機能訓練指導を実施するフローを組めば、年4回の来院を前提とした中長期の患者関係が構築できる。機器代を数年償却で考えれば、年間数十人規模の小児機能管理プログラムで十分に投資を回収できる計算になる。

チェアタイムとスタッフの役割分担

りっぷるくんによる測定自体は、装着と説明を含めても1人あたり数分で完了する。一方で、測定結果の説明とトレーニング指導には、初回で5〜10分程度の時間が必要になることが多い。この時間を誰が担うかが、経営的には重要である。

実際の導入事例では、歯科衛生士が口腔機能評価とりっぷるくん測定、トレーニング指導までを担当し、医師は診断と総合的な治療計画立案に集中する役割分担を採用しているケースが多い。 スタッフ教育には一定のコストがかかるものの、一度フローが確立すれば、衛生士主導のプログラムとして効率的に運用できる。

導入時の注意点と失敗パターン

測定だけしてトレーニングにつながらないケース

よく見かける失敗は、「測定はするが、その後のトレーニングや生活指導が体系化されていない」状態である。この場合、数値を一度確認しただけで終わり、再評価や機能改善への介入につながらない。患者側にも「測って終わり」という印象が残り、モチベーション向上にはつながりにくい。

これを避けるには、初回測定時に「現状の数値」「年齢相当の目安」「3か月後の目標」をセットで提示し、家庭でのトレーニング内容と頻度、次回再評価のタイミングまで含めて説明することが重要である。ガイドラインが示す3か月ごとの再評価と発達曲線を活用し、「数値がどう変化すれば良好と評価するか」を診療側が明確にしておく必要がある。

器具の安全管理と衛生管理

りっぷるくん本体は医療機器であり、歯科従事者以外が触れないように保管することが取扱説明書で求められている。また、測定時には傾斜や振動、衝撃が加わらないよう配慮し、安定した状態で使用することが必要である。

りっぷるボタンは基本的に単回使用が推奨されており、再使用による交差感染リスクを避けるため、患者ごとに廃棄する運用が望ましい。ボタンプル型トレーニングを行う際も、家庭用と診療室用の器具を明確に分け、清掃方法や保管方法を保護者に具体的に説明する必要がある。

他の口腔トレーニング器具との比較

口腔トレーニング器具という観点で見ると、りっぷるくんはやや特殊な位置付けにある。多くの器具がトレーニングそのものに主眼を置いているのに対し、りっぷるくんは「測定」を中心に据え、専用ボタンや関連トレーナーを通じて「トレーニング」までをシリーズとしてカバーしている。

例えば、舌圧トレーニング用のペコぱんだは、舌圧測定器と組み合わせることで舌圧改善の評価が可能になるが、器具自体はあくまでトレーニング用具であり、測定機能は持たない。一方、りっぷるくんは測定機能を内蔵し、ボタンやトレーナーがトレーニングを担う構造になっている。

また、他社の口唇トレーニング器具は多くが自費のセルフケア用品として提供されており、診療の中で定量評価まで一体的に行えるものは少ない。その意味で、りっぷるくんは保険診療の枠組みの中で口唇閉鎖力の評価とトレーニングを橋渡しするための「基準器」としての性格が強い。

医院タイプ別導入戦略

小児歯科中心型医院

小児歯科を主軸とする医院では、口腔機能発達不全症の評価と管理は診療の柱になり得る。りっぷるくんは、その評価系の中核となる測定器として導入価値が高い。初診時から3歳以降の小児に対して口唇閉鎖力をルーチンに測定し、発達曲線に基づいて評価する体制を整えれば、口腔育成を打ち出す医院としてのブランド形成にもつながる。

このタイプの医院では、衛生士全員がりっぷるくんの操作と測定値の説明、トレーニング指導を行えるよう教育し、定期健診枠の中に測定と評価を組み込むことが理想的である。

一般歯科に小児が一定数いる医院

一般歯科主体で小児患者も一定数を診ている医院では、全員に測定を行うのではなく、口呼吸や開咬、構音障害が疑われる症例を中心にピックアップして活用するのが現実的である。初診時または定期健診時に簡易スクリーニングを行い、必要に応じてりっぷるくん測定とトレーニング提案を行う形がよい。

この場合、在庫としては本体1台と少量のりっぷるボタン、可能であればりっぷるとれーなーを併用し、トレーニング器具は自費で提供する運用にすると、経済的負担を抑えつつ機能評価の幅を広げられる。

高齢者比率の高い地域密着型医院

高齢者の摂食嚥下リハビリテーションにも力を入れている医院では、りっぷるくんは舌圧測定器と並ぶ基本機器として導入価値がある。口唇閉鎖力の低下は、誤嚥リスクの増加や口腔乾燥、義歯安定性の低下などと関連しており、りっぷるくんで口唇閉鎖力を定期的に測定することで、リハビリ効果の可視化と介入タイミングの判断に役立つ。

訪問歯科では機器の持ち運びや電源確保といった制約もあるが、りっぷるくんのようなコンパクトな測定器であれば、現実的に運用可能である。

よくある質問

Q りっぷるくんとりっぷるとれーなーの違いは何か

A りっぷるくんは口唇閉鎖力を数値化する測定器であり、一般医療機器として登録されている。一方、りっぷるとれーなーは口輪筋を中心とした表情筋を鍛えるトレーニング器具であり、誤飲防止ストッパーを備えたホルダー形状を持つ。 両者は、りっぷるくんで評価し、りっぷるとれーなーやりっぷるボタンでトレーニングを行うという補完関係にある。

Q 小児のどの年齢から測定すべきか

A ガイドラインでは3歳からの口唇閉鎖力標準値が示されており、3歳以降の小児を対象に発達曲線に沿った評価を行うことが推奨されている。 実際には、問診や視診で口呼吸や口唇閉鎖不全が疑われるタイミングで測定を開始し、その後は3か月ごとの再評価を行う運用が現実的である。

Q 測定値が標準値を下回った場合、すぐに矯正治療を勧めるべきか

A 口唇閉鎖力が標準値を下回っていることは、あくまで口唇筋機能の一側面を示すに過ぎず、ただちに矯正治療の適応を意味するわけではない。ガイドラインでも、口唇閉鎖力が低い状態だけが口腔機能発達不全症の特徴ではなく、舌圧や咀嚼機能、呼吸状態などを含めた総合的評価が重要とされている。 まずは生活指導と口唇トレーニングを行い、数か月単位で再評価しながら必要に応じて矯正専門医に紹介する流れが望ましい。

Q トレーニングの頻度や期間はどの程度を目安にすべきか

A ガイドラインに示された例では、りっぷるとれーなーを用いたトレーニングを1日30回、毎日行い、3か月後に再評価するプロトコルが提示されている。 小児の場合は生活パターンやモチベーションを考慮し、無理なく継続できる頻度と回数に調整することが必要である。重要なのは、測定値と臨床所見を踏まえて3か月ごとに介入効果を確認し、必要ならば次の3か月に延長するというサイクルを回すことである。

Q りっぷるくんは口腔トレーニング器具として見た場合、どのような医院に向いているか

A 測定とトレーニングを一体で設計した器具群であるため、小児の口腔育成や口腔機能発達不全症管理を診療の柱に据える医院、小児矯正やMFTを積極的に行う矯正歯科、摂食嚥下リハビリに取り組む高齢者中心の医院との親和性が高い。 一般歯科であっても、口呼吸やおくちポカンへの関心が高い地域では、りっぷるくんを入口に機能評価とトレーニングを体系化することで、他院との差別化と長期的な患者維持につながると考えられる。