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GC「ティオン ホーム ウィズ」レビュー!過酸化水素6%のスピードホワイトニング
GCのティオン ホーム ウィズは、過酸化水素6%を有効成分に採用したカスタムトレー用の在宅ホワイトニング材です。忙しい患者のライフスタイルに合わせ、1日60分を基本とした短時間処方で継続しやすさを重視して設計されています。本稿では公開情報に基づき、臨床的意義と院内運用、経営面での取り扱い方を整理しました。導入を検討する臨床家が判断しやすいよう、製品仕様と臨床的解釈、運用フロー、コスト試算、適応の範囲と注意点までをわかりやすくまとめています。
製品の概要
ティオン ホーム ウィズは医薬品含有歯科用歯面清掃補助材に分類される、GC社の在宅用ホワイトニング製品です。薬事分類はクラスIIIの高度管理医療機器で、承認番号は30600BZX00056000。カスタムトレーを用いる在宅ホワイトニングを想定し、標準では1日1回60分を10日間行う設計になっています。添付文書やメーカーFAQに示された禁忌・注意事項を順守して使用することが前提です。
製品コンセプトは「患者の日常に溶け込むこと」です。高濃度で長時間装着する従来型の処方に比べ、短時間での使用により生活への負担を軽減し、装着遵守率を高めることを狙っています。冷蔵保管が必要なジェルはシリンジタイプで供給され、同梱されるトレーシートやケースと合わせてスターターキットが用意されています。
主要スペックと臨床解釈
基本スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 有効成分 | 過酸化水素 6% |
| 使用時間 | 1日1回 標準60分(最長90分) |
| 処置期間 | 最長10日間 |
| シリンジ容量 | 1.8 mL |
| トレーシート | スチレン・イソプレン系 共重合体、厚さ1.0 mm |
| 保管条件 | 要冷蔵 2〜8℃ |
| 禁忌の主な例 | 無カタラーゼ症、妊娠授乳期、小児、重度の歯周炎 等 |
臨床的には、過酸化尿素系の長時間処方と比較して、短時間で作用を発揮しやすい性質があります。ジェルの放出が比較的短時間で収束するため、60分という短時間処方でも有効性を期待できます。ただし個人差は大きく、ジェルの水親和性やpH、トレーの適合性、患者の生活習慣などが最終的な色差に影響する点には注意が必要です。
トレーと材料設計の特性
トレーシートはEVAに比べ弾性回復性が高く、カットエッジの欠けや裂けが生じにくい素材を採用しています。シート寸法は128×128 mm、厚さ1 mmで、適切な加熱成形で良好な密着が得られます。トレー作製時の注意点としては、歯頸部の密着を確保しつつ辺縁は歯肉から約1 mm外側に仕上げることで、ジェルの滲出や歯肉刺激を抑えやすくなります。
臨床アウトカムの解釈と安全性
メーカーの社内試験では60分×10日で均一化を示す症例が提示されていますが、現場では色の変化の度合いや知覚過敏の出現に個人差が出ます。知覚過敏が発現した場合は1日休薬やMIペーストなどの知覚過敏抑制材の併用を検討すると継続率が向上します。禁忌や使用上の注意は添付文書に従い、適応外の使用(ウォーキングブリーチや髄室内漂白など)を行わないことが重要です。
互換性と院内運用
作製環境とワークフロー
導入時に重要なのはデジタルデータ互換性よりも、既存の真空成形器や加熱プレートで安定してトレーが作製できるかどうかです。ティオンの1 mmシートは一般的なバキュームフォーマーで問題なく成形できます。院内ワークフローの一例は以下の通りです。
・初診:口腔内診査、歯面清掃、色調記録、印象採得 ・2回目:トレー試適、術式説明、院内での初回装着実演と指導 ・フォロー:初期3回は24〜48時間間隔で症状確認や写真記録
ジェルの塗布量は各歯に米粒2〜3粒のガイドラインが実用的で、写真や模型を用いて視覚的に示すと患者の理解が早まります。過量塗布は滲出や歯肉刺激の原因になるため、必ず具体的な指示を行ってください。
保管・在庫管理
ジェルは冷蔵保管が必須です。院内での到着時検品、ロットと有効期限の管理、患者に渡す際の保冷対応をルール化するとトラブルが減ります。初期導入期はスターターキットで運用して回転率と患者反応を確認し、需要が安定してからリフィル単位での仕入れに切り替えるのが安全です。在庫はシリンジ単位だけでなくトレーシートやケースの消耗も見越して発注してください。
経営インパクトの実数と式
材料コストの試算
以下は公開価格にもとづく概算です。実際の仕入れ価格は流通や販促によって異なるため、院内での確認が必要です。
| 項目 | パッケージ | 価格(税別) | 1症例換算 |
|---|---|---|---|
| スターターキット | 1.8 mL ×4本、トレーシート×2、ケース×1、シェードガイド | 6,900円 | キット1箱で1症例分想定 |
| シリンジ(10本) | 1.8 mL×10本 | 13,200円 | 1本あたり 1,320円 |
| シリンジ(20本) | 1.8 mL×20本 | 23,700円 | 1本あたり 1,185円 |
| トレーシート | 10枚 | 3,800円 | 1症例2枚で約760円 |
| トレーケース | 10個 | 5,000円 | 1症例1個で約500円 |
上下顎10日コースはシリンジ4本が目安で、シリンジ単価によりジェル費は約4,740〜5,280円になります。トレーシートとケースを加えると1症例の材料費は概ね6,000〜6,540円に収まります。ここに印象材、模型、滅菌や説明にかかる人的コストを加味して総コストを算出してください。
粗利の簡易式は以下です。 粗利 = ホワイトニング料金 − (材料費 + 人件費 + その他経費)
人件費は診療説明や初回装着、経過確認に費やすチェアタイムとスタッフ単価から算出します。料金設定は単純に競合価格に合わせるよりも、タッチアップや経過管理をパッケージ化することで付加価値を出しやすく、再購入率の向上につながります。
時間短縮がもたらす間接的価値
ウィズの総装着時間は600分であり、プラチナの1680分と比べると1080分の短縮です。患者側の負担軽減は継続率を高め、途中中断や再説明に伴うスタッフ工数を削減します。チェアタイム自体は大差ない場合でも、再処理やクレーム対応の軽減という間接的コスト削減効果が期待できます。
在庫面では20本リフィルの単価は有利ですが、冷蔵保管と使用期限管理が前提になります。初期は小ロットで実運用を確かめるのが現金面と品質管理の両面で安全です。
使いこなしの勘所
初期フォローの設計
初期の3回(初回装着+24〜48時間内の確認)はもっとも支援が必要な期間です。院内で初回装着を実演し、患者に実際の塗布量や装着感を体験してもらうとセルフケアの定着が良くなります。知覚過敏が出た場合は、まず1日休薬を指示し、MIペースト類の併用やブラッシングの見直し、裂溝や歯質の再評価を行います。必要に応じて知覚過敏抑制用の処置を追加する運用をあらかじめ説明しておくと中断率が下がります。
ジェル量の制御と滲出対策
各歯に米粒2〜3粒という具体的な目安を写真で示すと患者理解が早まります。トレーへのジェル塗布はレザボアを付けずに均一膜厚を目指すことが推奨され、過量塗布は滲出の原因になります。滲出が生じた場合はティッシュで拭き取るよう指導し、うがいや水洗でジェルを希釈することは避けるよう伝えます。
患者教育のポイント
飲食や喫煙の制限、装着中の会話や発声の注意、就寝中の使用禁止など、具体的な生活上の注意点を紙や写真で渡すと誤用が減ります。術前後の写真やシェード記録を残し、変化を患者に見せることで満足度が上がり、リピートや紹介につながりやすくなります。
適応と適さないケース
ティオン ホーム ウィズが適するケースは次の通りです。 ・加齢や外因性着色による軽度から中等度の変色 ・既にホワイトニングの経験があり、タッチアップを希望する患者 ・忙しくて長時間装着が難しい患者
適さないケースも明確にあります。 ・テトラサイクリン歯などの重度の変色には単独では不十分で、追加サイクルやオフィスブリーチとの併用が必要 ・妊娠・授乳中、小児、無カタラーゼ症の患者 ・重度の歯周疾患、進行中のう蝕、亀裂や大きなクラウン差し替えを要する歯 ・補綴物の色調は変化しないため、補綴治療を予定している場合は漂白後に色合わせを行うように計画する必要がある
術前診査でこれらの点を確認し、適応外の患者には代替案を提示してください。
導入判断の指針
導入を検討する医院のタイプ別に推奨運用を示します。
効率重視で保険診療が主の医院
スターターキットで症例単価をわかりやすく提示し、上下顎10日コースを定額メニューにする運用が負担が少ないです。タッチアップや再処方を別パッケージにすると導線が明確になります。
自費診療で付加価値を重視する医院
前装冠やダイレクトボンディングの前処置として漂白を組み込み、術前後の写真やシェードデータをセットにすることで説明力と満足度が上がります。短時間設計は患者のスケジュール調整を容易にします。
口腔外科・インプラント中心の医院
主収益は他科にあるため少量在庫でスタッフ主導の自費メニューとして扱いやすいです。ただし冷蔵保管と有効期限管理の体制は必須です。補綴の色合わせに関与する際は漂白後の待機期間を設けるなどの調整も必要です。
導入初期はスターターキットで運用フローを内製化し、需要が安定した段階でリフィルに移行することを推奨します。
よくある質問
Q 冷蔵保管は必須ですか
A はい。2〜8℃での保管が必須です。患者に渡す際も保冷バッグなどでの受け渡しを推奨します。
Q 目盛1つはどの程度の処置量ですか
A 片顎6前歯1回分の目安です。過量塗布は滲出や疼痛の原因になりますので指示量を守ってください。
Q 上下顎10日コースに必要なシリンジ数は?
A シリンジ1本は片顎で約5日分です。上下顎10日分では4本が目安です。
Q レザボアは必要ですか
A 必要ありません。設計上はレザボアなしで均一に広がるようになっています。
Q ティオン ホーム プラチナと併用できますか
A 患者の症状や希望に応じて切り替える運用は合理的です。ウィズで短期の変化を得て、維持や知覚過敏対策としてプラチナを用いるといった組合せが実務上有効な場合があります。
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