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アデントで取扱いのある歯科用ホワイトニング剤(変色歯漂白剤)一覧

アデントで取扱いのある歯科用ホワイトニング剤(変色歯漂白剤)一覧

最終更新日

午前の最終アポイントでオフィスワークを終えた直後、午後の空き時間を使ってホーム用トレーの微調整を進めたい場面があるだろう。漂白ジェルの受け取り日と冷蔵管理の指示を誰がどのように行うか、知覚過敏が生じた際の患者対応をスタッフにどう徹底するかなど、現場運用の細部が診療の効率と患者満足度を左右する。アデントの取扱範囲で主要ブランドを絞り込むと、国内承認済みの代表製品は一通り揃っており、院内の導線設計と在庫運用まで見通すことが可能だ。本稿では変色歯漂白剤の全体像を臨床的視点と経営的視点の両面から整理し、明日からの導入判断や運用の標準化に直結する具体的な基準と実務的な手順を提示する。日々の診療に組み込みやすいチェックリストや受け取りから患者説明までの時間割の考え方にも触れ、現場で迷わず運用できる実用的な内容とする。

目次

比較サマリー表(早見表)

製品名区分と用途有効成分と濃度推奨時間の目安薬事と保管価格レンジの目安タイム効率供給性要点メモ
ティオン オフィスオフィス過酸化水素 約23%情報なし高度管理 医療機器 承認番号あり 保管情報なし情報なし短時間処置志向国内正規流通可視光応答型光触媒を併用する設計で低刺激性と効果の両立を狙う
松風 ハイライトオフィス過酸化水素 35%情報なし高度管理 医療機器 承認番号あり 保管情報なし情報なし短時間処置志向国内正規流通粉液タイプで終点の視認性に配慮した設計
オパールエッセンス BOOSTオフィス過酸化水素 35%15〜20分を最大3セット高度管理 医療機器 承認番号あり 冷蔵情報なし短時間処置志向国内正規流通デュアル運用との親和性が高い
ピレーネオフィス過酸化水素 低濃度 二酸化チタン併用情報なし高度管理 医療機器 承認番号あり 保管情報なし情報なし穏やかな進行国内正規流通低濃度と触媒でマイルドな漂白設計
ティオン ホーム ウィズホーム過酸化水素 6%60分×10回高度管理 医療機器 承認番号あり 保管情報なし情報なし10日完了志向国内正規流通時間当たりの効率に配慮した高濃度ホーム
ティオン ホーム プラチナホーム過酸化尿素 10%最長120分×14回高度管理 医療機器 承認番号あり 保管情報なし情報なしじっくり型国内正規流通白色ジェルでトレー内の状態を視認しやすい
NITEホワイト エクセルホーム過酸化尿素 10%情報なし高度管理 医療機器 承認番号あり 冷暗所メーカー標準価格例あり セットとリフィル設定あり標準国内正規流通国内初期からの実績が長い
松風 ハイライト ホームホーム過酸化尿素 10%1日2時間装着継続高度管理 医療機器 承認番号あり 保管情報なし情報なし標準国内正規流通付属エバシートでトレー作製を前提化

上表は臨床手順と経営運用の要点を横並びで把握するために作成した。各列は製品選定の際に比較すべき主要観点を示しており、有効成分と濃度から想定される知覚過敏の頻度や処置時間の占有度まで見渡せるようにしている。推奨時間や薬事と保管に関しては添付文書とメーカー情報の優先確認が必要であり、冷蔵管理が明記されている製品は納品ロットと保管棚の運用ルールを先に整備することが廃棄ロス低減につながる。価格レンジは市場変動が大きく公開情報が乏しい項目もあるためレンジ表示としている。タイム効率はチェアタイムの占有度と処置回数で評価しており、短時間処置志向の製品は術者とアシスタントの同時拘束度合いが大きい点を考慮して導入計画を立てるべきである。供給性は国内正規流通の有無を示し、付属品の継続供給が安定しているかどうかは現場の運用リスクに直結する。現場ではこの表を導入初期のチェックリストとして使用し、入札や発注の判断基準に組み込むことを推奨する。

理解を深めるための軸

変色歯の漂白において臨床で最も差が出るのは有効成分の種類とその反応様式である。過酸化水素は分解が速く即効性を示すが歯質や象牙質への刺激性が相対的に高く知覚過敏の発現を招きやすい。一方で過酸化尿素は分解が穏やかでマイルドに進行するため自宅での長時間装着に適しているが到達時間が長くなる点を踏まえて患者のライフスタイルと照らし合わせた選択が必要である。ジェルの粘度や着色の有無は操作性と視認性に直結する。粘度が高い製品はトレー内での滞留が良好で歯肉側への流出が少なくなるため局所刺激を抑える一方で過量塗布のリスクは残る。白色や着色があるジェルは余剰の拭き取りや溢出の確認が簡便になり患者自身のセルフケア指導もしやすくなる。光触媒や可視光応答型の設計を持つ製品は照射を併用することで低濃度でも効率的に反応させることが可能であり、オフィスの短時間処置と知覚過敏の低減を両立させる手段となる。経営面ではチェアタイムとスタッフ稼働が採算を左右する重要因子である。オフィス型は短時間で効果を出せる反面術者とアシスタントの拘束が大きく繁忙時間帯のキャパシティに制約が出やすい。ホーム型は患者が自宅で処置を進めるためチェアを解放できるが材料費とリフィル供給の継続性が収益構造に影響する。冷蔵管理を要する製品は入荷ロット管理と有効期限逆算による在庫回転の最適化が不可欠であり、クール便の受取や冷蔵庫の空き容量を標準作業に組み込むことが廃棄率低下に直結する。トレー材質も実務上重要である。EVAを中心とした素材は成形のしやすさと装着感のバランスが良く写真での適合確認が容易であるが、材質ごとの厚みや透明度は辺縁精度と患者の装着感に影響するため院内でシリーズを統一して教育負荷を下げる運用が望ましい。患者説明では知覚過敏が一過性であることを明確に伝え、中断や間欠投与の基準を文書化しておくことで患者とスタッフ双方の心理的負担を減らせる。これらの軸を基に製品選定と運用設計を行えば臨床結果の再現性と経営効率の両立が可能である。

トピック別の深掘り解説

まず適応と禁忌の整理である。外因性着色や加齢性の変色は一般的な適応であり、基礎的な診査でう蝕や象牙質露出、楔状欠損、クラックが認められる場合はそれらの処置を優先すべきである。妊娠中や無カタラーゼ症、光線過敏症など特定の全身状態では使用が禁忌になる可能性があるため添付文書の禁忌事項を必ず確認することが重要である。手順面ではオフィス施術は診断と写真記録、歯肉保護材の塗布、製品の混和と塗布、規定の照射または放置、除去と仕上げ研磨、フッ化物塗布の順で行うのが基本である。ホーム型は印象採得からトレー成形、装着指導の実施、初回フォロー、定期評価という流れを徹底し、装着写真とシェード記録を初回と最終で必ず残すことで歩留まりを高めることができる。安全管理については歯肉の白化や疼痛が生じた際の即時対応を共有しておくことが重要である。具体的には即時に水洗して中断し必要に応じて鎮痛薬や知覚過敏抑制材を併用すること、ジェルの誤飲や眼への付着に備えた洗眼手順と受診案内文を準備することが現場対応をスムーズにする。費用構造の考え方としてはホームはトレー作製費と初回指導料をスターターとして設定しリフィルで継続収益を確保するモデルが一般的である。オフィス型は即日満足を提供できるため単価を上げやすく、デュアル提案でオフィスとホームを組み合わせることで客単価と顧客満足の両方を高めることが可能である。外注と院内運用の判断は地域性とスタッフ能力による。外注により教育負荷は下がるが納期とコストが上がるため再製や緊急対応の即応性が必要なクリニックは院内成形が適する。最後に典型的な失敗と回避策である。トレー縁の過延長による歯肉刺激、ジェルの過量塗布、術前清掃の不徹底が典型的な失敗例であり、これらは動画マニュアルとチェックシート、鏡前での初回確認と写真基準を導入することで大幅に低減できる。これらの深掘り項目をクリニックの業務フローに落とし込み、具体的な手順書と患者用資料を揃えることが品質確保の近道である。

導入判断のロードマップ

導入の第一歩は症例構成と需要量の正確な把握である。診療受付で審美相談件数やホワイトニング希望の有無、新患の比率を簡易カルテ項目として収集し、月間のホームとオフィスの見込み件数を仮置きすることから始める。次に人員配置とチェア稼働率の設計である。曜日ごとにオフィス施術の枠を固定し、ホーム用の印象採得と適合確認は平日午後の空隙枠にまとめることで効率化を図ると良い。第三に在庫管理と冷蔵スペースの確保を行う。冷蔵保管が必要な製品については納品日を明確にし、受け取りから冷蔵庫収納までの担当を明文化する。ロットごとの有効期限は台帳で管理し週次の入庫確認と月次の棚卸を連動させることで廃棄率を下げられる。第四は教育と説明資材の整備である。手順動画、チェックシート、患者配布の説明文書を作成し、シェード撮影のプロトコルと写真保存のルールをチームで共有する。初回導入時は模擬トレー作製のハンズオン研修を実施し、トレー縁の適正形態を写真で基準化することが再製を減らす鍵となる。第五に収益計画を立てる。ホームはスターター後のリフィル回転率を主要指標として見込みに入れ、オフィスはデュアル移行率を重点指標とする。広告費は最初の導入期に限定して投下し、紹介率と既存患者のタッチアップ需要で成長を図る算段にするのが現実的である。導入スケジュールは準備期間を二週間から一か月程度見込み、初回30件を検証ロットとして運用を回しながら手順の微調整と廃棄率の確認を行うことを推奨する。これらのステップをチェックリスト化して責任者と期日を明記すれば導入は着実に進む。

【製品別】製品ごとのレビュー

ティオン オフィスは可視光応答型の光触媒を併用しており、過酸化水素の最終濃度が約23パーセントに設定されている。光照射を併用することで低刺激性と即効性を両立させる設計であり、歯肉保護用のレジンや専用照射器を含めた手順が整備されているため教育の平準化が図りやすい。即時性が強みでデュアル提案の起点として導入を検討しやすい製品である。松風 ハイライトは粉液型の製品で処置の終点が視認しやすい設計になっている。過酸化水素35パーセントの高濃度タイプで短時間処置を志向するため歯肉保護と光照射の条件の徹底がアウトカムに直結する。術前準備を定型化して粉液のロスを減らす運用が重要である。オパールエッセンス BOOSTは15分から20分を最大3セットという短時間セット設計で冷蔵管理が必要なため在庫運用ルールの整備が必須である。デュアル運用との親和性が高くオフィスでの起点からホームへ橋渡ししやすい製品である。ピレーネは低濃度過酸化水素と二酸化チタンの併用で穏やかに進行するため知覚過敏リスクを低く保ちたい症例に向く。照射条件のばらつきを抑えるために院内標準写真の整備が有効である。ティオン ホーム ウィズは過酸化水素六パーセントで六十分を十回程度の短期集中型で効率に優れる。トレー縁と塗布量の指導徹底が歩留まりを左右する。ティオン ホーム プラチナは過酸化尿素十パーセントの白色ジェルで視認性が良く最長で百二十分の長時間装着が可能なため自己管理に不安がある患者には白色ジェルが安心材料となる。NITEホワイト エクセルは過酸化尿素十パーセントで国内での実績が長くセットとリフィルのバリエーションが整っているためタッチアップ運用や既存患者の色戻り対策に適する。松風 ハイライト ホームは一日二時間装着を前提とした製品で付属のエバシートによりトレー作製工程が揃っているためセット運用が容易である。各製品は冷蔵要否や推奨時間で運用設計が異なるため導入の際には在庫と受け取りルールの整備を優先して行うべきである。

よくある質問

冷蔵が必要な製品と室温保管でよい製品の見分け方については添付文書と製品カタログの保管方法記載を最上位で確認するべきである。院内台帳に温度帯を明記し入庫時に検品して保管場所と担当者を明確にすれば廃棄率は下がる。知覚過敏が出た場合の標準対応は直ちに処置を中断し症状が消失するまで待つことが原則である。その後は間欠投与への切り替えや知覚過敏抑制材の併用を検討し、再開時は装着時間を短縮してトレー辺縁や塗布量に問題がないか確認する。デュアルとホーム単独の使い分けは目標までの時間軸と患者の生活リズムで決めるのが実務的である。即効性が求められる場合はオフィスを起点としてその後ホームで維持する手法が有効であり、ゆっくり進めたい患者にはホーム単独で始めても問題ない。既存補綴物への影響については漂白でレジンやセラミック自体の色は変わらないためマージンの色差が目立つことがある。補綴計画がある場合は漂白完了後に一定期間を空けてから最終色決めと接着を行う運用が望ましい。院内教育負荷を下げる最短ルートは手順動画とチェックシート、写真基準の三点セットを整備することである。鏡前での初回装着確認を必ず実施しトレー縁形態と塗布量の目視基準を共有することで実務のばらつきを抑えられる。これらのFAQは導入前にスタッフ全員で確認し現場での判断プロトコルとして文書化することが重要である。

出典一覧

主な情報源としてメーカーの製品情報と最終確認日を明記する。株式会社ジーシーのティオン製品情報とFAQは最終確認日二〇二五年十一月七日であり製品特性や添付文書の根拠情報として参照した。株式会社ジーシーの総合カタログも同日付で確認している。株式会社松風のハイライト製品情報とハイライトホームの製品情報は同じく二〇二五年十一月七日に最終確認した。ウルトラデントジャパンのオフィスホワイトニング材製品情報と製品カタログ、デンツプライシロナのNITEホワイト エクセル製品資料、株式会社モリタのピレーネ製品情報も同日付で確認している。加えて医療機器データベースでの歯科用漂白材の一般的名称と承認情報、並びに厚生労働省の歯科用漂白材等に関する審査ガイドライン関連資料を参照した。アデントの変色歯漂白剤商品リストも公開資料として確認している。導入時にはこれらの出典を最新版で再確認することが必須であり、添付文書の改訂が行われる場合があるため受け取り前に必ず最新の記載を確認する運用ルールを設定することを推奨する。