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歯科で使う「エバダイン」とは?使い方や特徴を分かりやすく解説

歯科で使う「エバダイン」とは?使い方や特徴を分かりやすく解説

最終更新日

ある保存修復の治療後、仮に詰めた仮封材が次の来院前に外れてしまい、患者が急患で来院した――このような経験は歯科臨床で珍しくないである。仮封が外れれば支台歯は汚染され治療のやり直しにつながるだけでなく、予約外対応で診療スケジュールも乱れてしまう。古くから用いられる水硬性や亜鉛ユージノール系の仮封材は操作が簡便だが、硬化に時間がかかったり異臭・味が患者に不評であったり、長期間置くと劣化・脱落しやすいといった課題があった。

エバダインは、こうした仮封処置の悩みを解決するために開発された光重合型の歯科用仮封材である。硬化を光照射で瞬時に行えるためチェアタイム短縮につながり、無味無臭で患者にも診療環境にも優しい特徴を持つ。さらに近年増加するインプラント治療に対応し、「エバダイン プラス IP」の名称でアバットメントスクリューのアクセスホール封鎖にも利用可能となった。本稿では、このエバダインの臨床的な有用性と医院経営への影響を、歯科医師の視点から詳しく解説する。

製品の概要

エバダイン(正式名称「エバダイン プラス +IP」)は、ネオ製薬工業が提供する歯科用仮封材である。一般的名称は「歯科用高分子系仮封材料」で、クラスIIの管理医療機器に分類されている(認証番号 21500BZZ00194000)。光重合レジンを主成分とし、仮封(テンポラリーシーリング)を目的に、う蝕除去後の窩洞や根管治療中のアクセス洞、インレー/アンレー形成後の支台歯などに填入して一時的に封鎖する用途に用いる。特にエバダイン プラス +IPは従来の仮封処置に加えて、インプラントのアバットメントのスクリューホール(アクセスホール)を封鎖する用途にも適応が追加されている。「プラス +IP」とはImplant用の応用範囲を意味している。包装は5g入りシリンジ1本と使い捨て先端チップ15本のセットで、標準価格は3,000円(税別)である。

主要スペック

エバダインは操作が容易なワンペーストタイプ(一剤型)の光重合レジン系材料である。専用シリンジに充填された半透明のペーストを直接窩洞に注入し、可視光重合器で約10秒間照射するだけで硬化が完了する(深い窩洞では20秒程度照射推奨)。硬化後は硬質の樹脂となり、充分な強度と封鎖性を発揮する一方、適切な手技で一塊で除去できるよう設計されている。硬化深度は約9mmと深く、根管のような深い部位まで光が届きにくい場合でも、一回の照射で隅々まで硬化させられる特徴を持つ。

物性面では、配合成分にウレタンジメタクリレート系レジンとアイオノマーガラスフィラーを含むことで、生体親和性と機械的特性のバランスが図られている。従来品に比べて耐摩耗性・耐脱落性が向上しており、メーカーによれば旧製品比で約1.5倍の耐離床性を実現しているという。つまり咬合圧や唾液中での経時劣化にも強く、治療完了まで仮封が脱落しにくい安心感がある。また、ペーストは無味無臭で揮発性の溶剤を含まないため、従来のように強い薬品臭や刺激がなく、患者への不快感が少ない点も重要なスペックである。

互換性と使用方法

エバダインは基本的にどの光重合器でも硬化可能であり、特別な専用機器は不要である(波長450〜500nm帯のLEDやハロゲンライトに対応)。他社製の光重合器や標準的なラバーダム防湿環境下でも問題なく使用できる汎用性を持つ。またレジン系でありながら接着操作は不要で、そのまま窩洞へ填入するだけで適度に壁面へ付着し自己固定する。逆に、エッチングやボンディングを行う必要はなく、むしろ行ってはならない。仮封材が歯面に強固に接着すると除去が困難になるためである。エバダインはあくまで機械的嵌合と微小な適合力で留まる設計である。

使用手順

まず窩洞内を洗浄・乾燥し、必要に応じて低速ハンドピースなどでわずかなリテンション形態を付与する。シリンジの先端に使い捨てチップを装着し、本材を直接必要量だけ窩洞へ注入する。窩縁よりやや低い位置で充填を止めるのがポイントである。次に照射光が全体に当たるようにライトガイドを近接させ、約10〜20秒間光照射して硬化させる。浅い窩洞なら10秒程度、深めの場合は20秒程度と照射時間を使い分ける。硬化後、必要に応じて高点や余剰をバー等で調整する。咬合調整の際には、未硬化樹脂が対合歯に付着しないよう、調整前に対合歯を湿らせるか専用の分離材(セパライトなど)を塗布しておくと安全である。

インプラントホールへの仮封

インプラントのアバットメントホールに使用する場合も、基本的な操作は同じである。スクリュー締結後の開口部に、本材を直接充填して光照射で硬化させるだけである。ただし、スクリュー上部まで樹脂が入り込まないよう、予めスクリュー頭部の上に滅菌綿やPTFEテープ(いわゆるテフロンテープ)を詰めてスペーサーとすることが推奨される。このひと手間で後日の除去が容易になり、スクリュー溝への樹脂残存も防げる。実際、エバダインは硬化後も適度なしなやかさを保つため、綿やテープを介して充填すればスクリュー周囲で割れずに綺麗に一塊で取り出せる。

除去方法

使用後の除去方法はシンプルである。再来時にスケーラーや探針で仮封材の辺縁に軽くてこをかけると、樹脂のブロック全体が外れてくる。うまく一塊で除去できれば、窩壁に付着物が残らず、研磨や清掃の手間も最小限で済む。もし一部が千切れた場合でも、残片はプラガーやピンセットで容易に摘出できる。樹脂片が歯質に強固に付着して除去困難になるような事態は、前述のとおりボンディング材不使用かつ分離材使用の徹底で防ぐことができる。

経営面から見たメリット

エバダインの導入によるコストパフォーマンスを考えてみる。材料そのものの単価は5gシリンジ1本あたり3,000円で、一見すると在来の仮封材より高価に感じるかもしれない。しかし実際の1症例あたりの使用量はごく微量である。例えば、う蝕除去後のⅠ級窩洞に充填する場合、0.1g程度でも十分であり、1本のシリンジで数十症例は賄える。1症例あたり換算にすれば材料費はおよそ数十円程度と僅少であり、保険診療のコストを圧迫するようなことはない。むしろ従来の練和型やペースト型仮封材と比べ、追加のミキシング時間や器具コストが発生しない点で効率的である。

チェアサイドでの時間短縮も経営に直結する利点である。光重合によって硬化を待つ時間が10〜20秒と短いため、仮封操作全体がスピーディーに完了する。たとえ数十秒の差でも、1日に多数の処置をこなす保険診療主体のクリニックでは塵も積もれば山となる。アシスタントによる練和待ちも不要で、ワンステップで充填・硬化できるためスタッフ配置の効率化にもつながるだろう。また、仮封材脱落による緊急来院のリスク低減は見逃せないメリットである。患者の予定外のトラブル対応は、診療スケジュールを乱し他の患者にも迷惑がかかるだけでなく、無償調整による機会損失や医院の信頼低下につながりかねない。エバダインの高い封鎖性と耐久性は、こうしたリスクを減らし、再来院コストを抑える効果が期待できる。

さらに、患者満足度向上という観点でもROIに貢献する。無味無臭の材料は処置中・処置後の不快感を軽減し、治療品質への安心感を与える。特に自費診療など高付加価値治療では、細部の快適さが患者の評価に影響する。仮封がしっかり機能し治療間隔中も問題なく過ごせれば、患者は医院の技術と配慮を信頼し、継続的な来院や他の治療への意欲にもつながるだろう。わずかな材料費上乗せで得られるこれらの効果は、投資対効果(ROI)の高い選択といえる。

使いこなしのポイント

エバダインを最大限に活用するには、いくつか臨床上のコツを押さえておくとよい。まず、充填前の確実な乾燥と隔湿が基本である。レジン系材料は湿潤下では十分に硬化・定着しない恐れがあるため、ラバーダムやロールワッテで唾液を遮断し、窩洞内をエタノール綿などで清拭してから充填に臨む。湿度を下げることで樹脂の流動性も高まり、細部まで行き渡って封鎖性が向上する。

次に、適切な光照射を徹底することが重要である。エバダインは深部まで硬化しやすいとはいえ、ライトガイドの先端を出来るだけ近接させ、照射角度を工夫して死角をなくす配慮が望ましい。窩壁が遮蔽して光が届きにくい形態では、無理せず二段階に分けて充填・照射する方法も有効である。一度に深い部分までペーストを盛らず、まず底部に薄層を敷いて照射硬化させ、その上から追加充填して再度照射することで、より確実に硬化させられる。特に根管充填後の大きなアクセス洞や、長いインプラントのスクリューチャンネル等では、この分割照射が安全策となる。

咬合調整のテクニックとしては、半硬化状態で一度患者に軽く咬合させて咬合面の形を馴染ませ、その後に最終硬化させる方法がある。ただしその際は未硬化樹脂が対合歯に付着しないよう、事前に対合歯面を水で濡らすか、仮封材表面に分離剤を塗布しておく必要がある。このワンステップを挟むことで、高さ調整のために研削する手間を減らし、適合の良い仮封面が得られる。最終硬化後に微調整する場合は、ダイヤモンドポイントやカーバイドバーで軽く研削できるが、エバダインは従来の仮封材より硬質なため、必要以上の削合は支台歯のマージンを傷つけないよう注意深く行うべきである。

院内体制としては、スタッフ教育も重要となる。歯科衛生士や助手が仮封操作を行う場合でも、安全に取り扱えるよう光重合器の扱い方や分離剤の使用手順を共有しておく。特に、硬化前の樹脂は光暴露で即座に固まるため、照明光や手元ライトの影響を避ける取り扱い方法(使用直前まで遮光キャップを外さない等)を周知しておく必要がある。また先端チップは使い捨てで患者毎に交換すること、使用後のシリンジは速やかにキャップをして光が当たらないよう保管することなど、基本的な管理を徹底することで材料ロスやトラブルを防げる。

適応症と適さないケース

エバダインは多くの修復・補綴処置で活用できるが、得意なケースと向かないケースを理解しておくことも大切である。適応としては、インレー・アンレー、クラウン等の支台歯の仮封や、う蝕除去後の窩洞仮封、根管治療中の仮封が挙げられる。これらの場面では、短期間〜中期間にわたり確実な封鎖が必要で、エバダインの高い封鎖性と耐久性が真価を発揮する。特に根管治療では細菌漏洩を防ぐ密閉性が予後を左右するため、樹脂による隙間の少ない封鎖は理想的である。また、インプラント二次手術後やプロビジョナルレスト装着中のスクリューホール充填にも適しており、仮封材が唾液や細菌を遮断しつつ、上部構造撤去時には簡便に外せる点で優れる。

一方、適さない場面としては、極めて短期間(数日以内)だけの仮封や、逆に数ヶ月以上に及ぶ長期仮封が挙げられる。前者の場合、光重合器を用意する手間を考えると、水硬性仮封材で即時に仮封してしまった方が効率的なこともある。後者の場合、どんな仮封材でも長期間では劣化や辺縁漏洩のリスクが増すため、エバダインも完全な恒久処置の代用にはならない。長期に渡る場合は、レジン仮着材やプロビジョナルクラウンへの切り替えを検討すべきである。

また、深い齲窩で鎮静効果を期待する場合も本材は不向きである。従来から使われる亜鉛ユージノール系仮封材(俗に言う仮封用セメント)は、わずかな鎮痛・鎮静効果が歯髄に期待できるが、レジン系のエバダインにはその薬理効果がない。そのため、露髄リスクが高く一時的に歯髄を沈静化させたい症例では、他の材料を選択した方が無難である。ただしユージノールはレジン系接着の阻害要因にもなるため、その後の治療計画も踏まえて材料選択する必要がある。

さらに、アクリレートアレルギーの既往がある患者にも使用は避けるべきである。エバダインはHEMA等の成分は含まないものの、メタクリル酸系モノマーを含有するため、重合前のペーストに触れて皮膚炎等を起こすリスクがある。過去に歯科用レジンでアレルギー反応を起こした患者には、操作時にラバーダムで軟組織への付着をより慎重に防ぐか、他材で代替する配慮が必要である。

総じて、確実な封鎖と撤去性が求められるケースではエバダインは有力な選択肢であるが、症例によっては従来材や他のアプローチを併用・選択する柔軟性が求められる。

導入を検討すべき歯科医師像

エバダインは幅広い臨床で有用だが、特にその恩恵を受けやすいのは以下のようなタイプの歯科医師である。

保険診療中心で効率重視のクリニックでは、1日の患者数が多く短時間で数多くの処置を回す必要がある。こうした現場では、エバダインの時短効果と安定性が診療効率アップに直結する。仮封にかける時間が毎回数分でも短縮できれば、年間を通じて相当な時間創出となる。加えて、仮封脱落による予期せぬ対応が減れば、院長自身のストレスも軽減されるであろう。材料費にシビアな保険診療においても、1回あたり数十円程度のコストで済むエバダインは許容範囲であり、それ以上のリターンが見込める合理的な投資である。

自費診療中心でクオリティを追求するドクターにとっても、エバダインは価値が高い。例えば高額なセラミックインレーやラミネートべニアの治療中、仮封の品質が患者体験を左右することがある。せっかく精密な形成をしても、粗悪な仮封が外れて二次カリエスを招いては元も子もない。エバダインなら長めの治療間隔でも安心して支台歯を保護でき、次回来院までマージンを良好な状態に維持できる。また、術中・術後の患者の不快感が少ないことや、接着阻害がないことは、最終的な接着修復の成功率にもプラスに働く。審美補綴や精密治療にこだわる歯科医師ほど、このような細部の材料選択に気を配ることでトラブルを防ぎ、治療品質を担保している。

インプラントや外科処置を多く手掛ける歯科医師には、エバダイン プラス IPの導入が強く推奨される。インプラントのアバットメントホール封鎖に適応を持つ仮封材は多くなく、従来は綿栓と仮着用セメントの組み合わせや、一時的にコンポジットレジンで蓋をするなどの工夫が必要だった。エバダインなら、そのまま充填・照射するだけで確実に穴を密封し、しかもアバットメントのスクリューリテーニングを妨げない。インプラント上部構造の取り外しが前提となるケースでも、次回には綺麗に除去できるため、メンテナンス性も良好である。複数本のインプラントを同日に処置するような場面でも、作業効率が高く封鎖漏れの少ない本材は重宝するはずである。

反対に、「昔ながらの材料で特に不満がない」という保守的な先生や、仮封の機会自体が少ない特殊な診療スタイルの場合は、導入の優先度は高くないかもしれない。例えば矯正専門医など、日常的に齲蝕治療を行わない診療では出番は限られる。ただし、矯正治療中のブラケット破損箇所の一時封鎖や、咬合挙上用の一時レジン床に応用するなど、創意工夫次第で活躍する場面はある。エバダインは小さな投資で診療の質と効率を底上げできるツールであり、自院の診療内容を振り返って活用メリットが見込めるなら、導入を前向きに検討すべきである。

よくある質問(FAQ)

エバダイン プラス「+IP」とは何ですか?

エバダイン プラスの製品バリエーションの一つで、インプラント(Implant)への応用を拡張した仕様である。基本的な材料組成や性能はエバダイン プラスと同一であるが、インプラントのアバットメントやスクリューのアクセスホールに使用することを正式に想定している点が特徴である。従来からエバダイン自体は仮封材としてインプラントにも使えたが、「+IP」ではメーカーがその適応を明示し、手技や注意点も含めて案内している。したがって、インプラント補綴を行う医院では+IP仕様を選ぶと安心である。

従来の仮封材(例:水硬性材料や仮封用セメント)と何が違いますか?

最大の違いは光重合による即時硬化とレジン由来の高い封鎖性である。従来の水硬性仮封材(例:キャビトンなど)は湿気で硬化する石膏系材料で、操作は簡便だが硬化に数分以上かかり、その間の待ち時間や唾液汚染リスクがあった。また亜鉛ユージノール系セメントは多少早く固まるものの、ユージノールの匂いや味が強く、後の接着修復に影響する問題があった。それに対しエバダインは光を当てれば10秒程度で硬化完了するため、患者を待たせず次工程に移行できる。硬化後の樹脂は水溶性ではないため長期間の封鎖でも溶出や収縮が少なく、密閉性が高く維持される利点がある。さらに一塊で除去できる点も、石膏系材料が除去時に崩れて窩洞内に残渣を残すのに比べ、処置がスムーズで確実性が高い。総じてエバダインは近代的なレジン材料ならではの操作性と性能を備えており、従来材の弱点を多く補完していると言える。

矯正治療の場面で使用できますか?

エバダインは本来、保存修復や補綴分野の仮封材として設計されている。しかし矯正治療においても応用可能な場面がある。例えば、咬合挙上用の一時的なレジンを歯面に付与する際に、エバダインを用いて光重合させれば所要時間を短縮でき、治療終了時には一塊で除去しやすい。また、ブラケットやワイヤーが外れてしまった箇所の応急処置として、一時的に固定・封鎖する用途にも使える場合がある。ただしメーカーが公式に矯正用途を謳っているわけではないため、あくまで応用的な使用である点に注意が必要である。長期間強い咬合力がかかる用途ではポーセレンやコンポジットの方が適する場合もあり、エバダインはあくまで短期間の簡易処置に留める方が良い。

どのくらいの期間、仮封したままにできますか?長く置いて問題ありませんか?

一般的な治療の次回予約まで(数週間程度)であれば、エバダインは安定した封鎖性を維持するよう設計されている。臨床的にも2〜3週間程度仮封した状態で経過しても脱落せず、辺縁からの漏洩も起こりにくいケースが多い。ただし、永久修復ではないため無期限に機能させ続けることは推奨されない。素材そのものは水分で劣化しにくいが、やはり経時的な咬耗やわずかな収縮により、1ヶ月以上経過すると適合が甘くなる可能性がある。長期仮封が避けられない事情がある場合は、途中で一度仮封をやり直すか、プロビジョナルレストや長期仮着用セメントへの移行を検討すべきである。

除去は本当に簡単ですか?コツや注意点はありますか?

はい、適切に使用されていれば除去は比較的簡単である。コツとしては、探針や細めのスケーラーを仮封材と歯質の境目に滑り込ませ、テコの原理で軽く持ち上げるようにすると、樹脂のブロックが浮き上がってきやすい。硬化後のエバダインは適度な弾性があるため、端から力を加えるとパキッと割れることなく一塊で剥離しやすい性質がある。ただし、事前の処置が不適切だと除去が難しくなる場合もある。例えば、窩洞から溢れるほど過量に充填していたり、レジン裏層材との間に分離剤を塗布し忘れた場合には、エバダインが歯や他のレジンに絡みつき、綺麗に取れないことがある。このため、充填量は必要最小限に留め、仮封前の下地処理を正しく行うことが肝要である。適切な使用環境下では、除去後に窩壁へ残留物がほとんど付かないため、そのまま次のステップ(支台築造や印象採得等)に移行できる。万一、断片が窩壁に付着した場合も、ラバーカップやエアスケーラーで軽く清掃すれば簡単に除去できる。