
3M(スリーエム)のコンポジットレジン製品を比較!評判や価格、購入方法は?
比較概要(表)
主要な3M製コンポジットレジン製品を、臨床性能と経営視点の両面から比較しました。以下の表に各製品の特徴をまとめ、その後に詳細な解説を示します。
観点 | Filtek Supreme UltraUniversal Restorative(シュープリーム ウルトラ) | Filtek One Bulk FillRestorative(ワン バルクフィル) | Filtek Z250 XTUniversal Restorative(Z250 XT) | Filtek FlowableRestoratives(フロアブルレジン) |
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物性 (強度・硬度・耐摩耗) | ナノフィラー技術で高強度。ポスターiorでも使用可。耐摩耗性はエナメル質レベルで対合歯を傷つけにくい。 | 5mm一括充填対応の高強度バルクフィル。硬化後に不透明度上昇し審美性向上。耐摩耗性・光沢保持に優れる(長期研磨後も滑沢)。 | 低収縮で機械的強度良好。臼歯咬合負荷にも耐える強度。耐摩耗・硬度は従来品より改善。 | 従来フロアブル比で強度20%向上。ナノフィラーで耐摩耗性も向上。小窩洞なら単独充填可能な強度あり。ただ大きな咬合面では表層への他材併用推奨。 |
操作性 (ハンドリング・硬化) | ペーストに適度なコシがあり非粘着。充填器離れ良好で形態付与が容易。2mmごとの積層硬化(20秒目安)。シリンジとカプセル供給。 | パック型で一括填塞可能。練和不要で即時充填。軟らかすぎず形態を維持しやすい(充填後3分間垂れず保持可)との報告あり。光照射は深部まで届くよう光照射時間要確認](http://光照射は深部まで届くよう光照射時間要確認。 | [ペーストはベタつかず操作しやすい。従来より収縮低減で辺縁封鎖性良好。2mm積層硬化推奨。シリンジ供給中心(カプセル有無は市場次第)。 | 低粘度で流れやすいがチキソトロピー性あり必要部位で止まる。細部への適応性高い。硬化深度:通常フローは2mm、バルクフローは4mmまで一括硬化可。 |
シェード展開 | 計36色(デンティン7・ボディ17・エナメル8・トランスlucent4)と豊富。単一でも多重でも自然な色調再現。蛍光性も天然歯同等。 | 5色(A1・A2・A3・B1・C2)。充填時は透光性が高く硬化後に適度に不透明化するスマートマテリアル設計。審美要求の高い前歯部では色調調整に工夫要。 | 12色(A系5, B系3, C2, D3, インサイザル, UD)。日本人歯牙を参考に調整された実用色。ボディシェード相当で、エナメルやデンティンの別はなし(一部切端色・UDあり)。 | フロアブル(Supreme Ultra Flow): 12色(ボディ相当)。 バルクフロー: 3色(ユニバーサル・A1・A2)。いずれもレジン築造用の色調で、下地反映し自然に調和。 |
適応症 (前歯/臼歯・保険/自費) | 前歯~臼歯のあらゆる直接修復に対応。審美性生かしIV級レジンやダイレクトベニアにも◎。保険診療での使用制限はなく材料費も比較的低廉なため、審美目的以外でも使用可能。自費診療では本製品を用いた高品質修復に10年保証を付ける例も。 | 主に臼歯部修復に最適。一括充填によりチェアタイム短縮が大きな利点。保険適用材料として明確な制限はないが、材料費はやや高めと想定されるため、大きな窩洞の保険CR充填で時間短縮を図りたい場合に有用。自費では時短メリットと十分な審美性で患者満足度向上に寄与。乳歯やコア築造にも一括填塞が有効。 | 前歯・小臼歯・大臼歯いずれも適用のユニバーサルレジン。保険診療で古くから広く使用された実績あり。審美要求が高くないケースでは単一シェードで迅速に充填可能。自費よりも保険診療向けの位置づけ(経済性重視)。 | フロアブル: 小さなI~III級やV級、根面う蝕の充填、下層ライナー、修復物の微小欠陥修理など幅広い用途。 バルクフロー: 深い窩洞の裏層材、支台築造(土台)用途(4mmまで充填可)。いずれも保険・自費を問わず補助的に用いられる。単独で咬合面修復する場合は小範囲に限定。 |
価格帯 (目安・コスパ) | 4gシリンジ:約3,200円(税別希望価格)。1本で20窩洞以上に使用可能で、一症例あたり数十~数百円程度とコストパフォーマンス良好。高品質ながら価格が抑えられており、保険診療でも採算を大きく損ねない。 | 4gシリンジ:推定3,500〜4,000円台(米国価格より推定)。材料単価はやや高いがレジン充填時間の大幅短縮により回転率アップ。人件費・時間削減効果を考慮すればトータルコスト効率良。自費診療では高品質レジンとして付加価値提供が可能。 | 4gシリンジ:約5,200円と高価。ディーラー割引等で実勢価格は下がる場合あり。材料費重視なら他社の廉価品や国産品選択も考えられるが、本製品は信頼性で根強い支持。保険点数内で採算を取るには仕入れ価格交渉や使い分けが必要。 | 2gシリンジ: フロアブル約3,400円、バルクフロー約2,600円。1症例あたり使用量はごく少量(数十円以下)でコスト負担は軽微。フロアブル使用で充填適合性向上・二次カリエス抑制が期待でき、結果的に補綴物長持ちによる経営メリットも。 |
評判 (臨床家の声・レビュー) | 「色合わせが良く美しい艶」「置いた所で流れず彫塑しやすい」[など高評価多数。長期臨床評価でも10年で優れた成績(97%健全率)との報告あり。多くの歯科医が「メインのレジンに切替えたい」と回答しており、信頼性・満足度ともに非常に高い。 | 「バルクなのにしっかり詰めやすく適応も良い」「研磨後の艶も良く、従来バルクより色もキレイ」との声。小児や時短ニーズのケースで「これ一つで一発充填できて便利」と好評。Dental Advisorでも92%の臨床評価を獲得し、2018~2025年まで連続賞受賞。 | 長年の使用実績から「信頼できるベーシックレジン」として定評。「低収縮で二次う蝕のリスク低減が安心」との意見。一方、近年は同社シュープリームなど高性能品の登場で旧来品として地味という声も。一部では保険用材料として割り切って使うケースもある模様。総じて堅実な評価。 | フロアブル: 「流し込みやすく気泡混入が少ない新シリンジが使いやすい」と好評。「強度が上がり用途が広がった」との評価も。 バルクフロー: 「一度に深くまで照射できベース作りに便利」との声。いずれも裏方的材料ながら、使用しない手はないという位置づけ。 |
保証・サポート | 3Mによる製品保証(品質不良時の交換等)あり。国内代理店経由で迅速に対応可能。研磨法や色合わせに関する講習会・セミナーも豊富(3M主催セミナー多数)。ユーザーコミュニティや症例発表も活発で、情報サポート面も充実。自費診療で本製品を用いる場合、医院独自に長期保証を付ける例もある。 | 同社の新製品であり、発売元の3M(ソルベントム)による導入サポートが期待される。パンフレットや動画資料も提供。製品不具合時の保証対応あり。大容量充填ゆえ、光照射テクニックについて3Mから注意喚起の情報提供あり。 | 老舗製品につき特別なプロモーションは少ないが、3Mの標準保証は適用。長年流通しており入手性・情報量が豊富。困った際の情報共有(先輩歯科医のアドバイス等)も得やすい。国内販売元の営業や技術サポートも基本的な問い合わせには対応。 | 3Mは使い捨てチップなど付属品供給や在庫も安定して提供。シリンジデザイン改良などフィードバックを反映した製品更新あり。テクニックガイドや症例集も提供されており、初心者へのサポートも手厚い。問題発生時の保証交換も迅速。 |
国内薬事 (承認番号・分類) | 承認済(管理医療機器):承認番号221AKBZX00174000。クラスII。保険算定上は「歯科充填用コンポジットレジン」。2011年発売。 | 承認済(管理医療機器):※2023年に承認取得、クラスII。国内名称は「フィルテック ワン バルクフィル レストor レストor※」。※認証番号は取得次第追記予定。保険算定区分は他のCRと同様。 | 承認済(管理医療機器):承認番号21100BZY00250000。クラスII。旧来より保険診療で使用可能なレジン材料として認知。 | 承認済(管理医療機器):シュープリームウルトラ フロー:認証番号222AKBZX00110000(推定)store.shopping.yahoo.co.jp。フィルアンドコアフロー:認証番号229AKBZX00030000。いずれもクラスII。 |
購入方法 (流通・入手性) | 3Mソルベントム製品取扱いディーラーから購入可。ヨシダ、モリタ他大手ディーラーやFEEDなど通販サイトでも入手容易。1本から購入可能で色ごとの補充も簡単。 | 2024年頃より日本市場展開。主要ディーラーにて取り扱い予定または販売開始。カプセルタイプも供給見込み。通販サイトでは「バルクフィル」としてリストアップされ次第購入可。導入時はメーカーキャンペーン(例:4+1無料)など販促も期待される。 | 長年流通しており、ほぼ全ての歯科ディーラーで常備。通販カタログやオンラインで型番指定で注文可能。価格競争もありまとめ買い割引等も期待できる。入手性に全く問題なく、在庫切れリスクも低い。 | 各種フロアブル製品も3M取扱店で購入可。シュープリームフロー、バルクフローともにディーラー在庫あり。ネット通販でも「フロアブルレジン」カテゴリから選択可能。チップなど消耗品も含め一貫して供給されている。 |
表注: 価格は税別希望医院価格(一部推定を含む)。承認番号は厚労省データベース等に基づく。
以下、各製品ごとの詳細なレビューと、臨床シーンや経営方針に応じた活用ポイントを解説します。
Filtek Supreme Ultra Universal Restorative(シュープリーム ウルトラ)
Filtek Supreme Ultra(シュープリーム ウルトラ)コンポジットレジンのシリンジ。カラーコードは青で、ボディシェードなど全36色がラインナップされている。
◼︎概要・物性: 3M社のナノフィラー技術を駆使した審美修復用の最高峰コンポジットレジンです。ジルコニア(Zr)とシリカのナノ粒子+ナノクラスター充填により強度と美しさを両立しています。曲げ強さや硬度など機械的強度が高く、臼歯部咬合面にも安心して使用可能な耐久性を備えています。実際、耐摩耗性はエナメル質と同等レベルで、対合歯を過度に摩耗させないとのデータがあります。長期使用でもブラッシングによる表面粗磨耗が少なく、光沢を良好に維持できる点も特筆されます。
◼︎操作性: ペーストは適度なコシ(粘度)があり、軟らかすぎず硬すぎない絶妙なコンシステンシーです。充填器(へら等)へのべたつきが少なく、狙った位置に置いても流れ出さず形態付与が容易と評されています。一度盛り上げたレジンが垂れずにその形を保持するため、複雑な咬合面の形態も削らず盛るだけで再現しやすいです。重ね盛り(積層充填)の際も各層2mm以下で硬化させれば確実に重合する設計で、確実な硬化深度が得られます。照射時間は光強度によりますが20秒程度が標準です。供給形態は使い切りカプセルとシリンジの両方があり、症例に応じて使い分けられます。
◼︎審美性: 36色(4種類の不透明度)もの豊富なシェード展開が最大の強みです。デンティン用・ボディ用・エナメル用・トランスルーセントの各カテゴリの色調が用意されており、単一シェードでもカメレオン効果で周囲になじむ自然な仕上がりですが、こだわる場合は複数シェードを積層してほぼ天然歯と見分けがつかない審美修復も可能です。蛍光性も天然歯に近く改良されており、紫外線下やブラックライト下でも補綴物だけが不自然に浮くことがありません。表面もナノフィラー効果で極めて滑沢に研磨でき、グレージング不要で持続する艶を得られます。「色合わせが簡単で、美しいツヤが長持ちする」と臨床家からも評価されています。
◼︎適応症・用途: 前歯から臼歯までオールラウンドに使えるユニバーサルレジンです。I~V級窩洞の直接充填はもちろん、ダイレクトベニアや部分的な歯冠修復、さらにはコア築造(支台歯形成)や歯の固定(スプリント)等、幅広い適応があります。保険診療でもコンポジットレジン修復として使用可能で、材料自体は審美用途に限られません。ただ、本製品の性能を最大限活かした精密審美修復は自費診療として提供されることも多いです。その場合、患者への付加価値として長期保証(例:5~10年保証)を付与する医院もあります。例えばある歯科医院ではシュープリームウルトラによる審美修復に10年保証を付け、保険の範囲を超えた高品質修復として提供している例があります。
◼︎経済性: 公式希望価格は4gシリンジ1本あたり約3,200円(税別)と、同種の高性能レジンとしては比較的手頃です。1本で数十歯分の充填が可能なため、一症例あたりの材料原価はごく僅か(数十円~数百円程度)に抑えられます。コストパフォーマンスは極めて高く、保険診療で使用しても材料費が収支を圧迫しにくい点は経営上のメリットです。他社のナノハイブリッド系レジンと比べても価格競争力があり、高品質と低コストを両立した製品と言えます。そのため、審美性が要求されないケースでも「粘度が扱いやすいから」と本製品を保険診療のベース材料にする医院もあるほどです。
◼︎評判・臨床評価: Filtek Supreme Ultraは発売以来、国内外で多数の賞を受賞し高い評価を得ています。米Dental Advisor誌の臨床評価では92%の総合評価を獲得し、数年間にわたりトップ製品賞に選出されています。コンサルタント(臨床歯科医)のコメントとしても「コンポジットが置いたところから流れ出さず彫塑しやすい」「色調が良く、研磨後の艶がとても綺麗」と絶賛されています。また前身のFiltek Supreme Plusから10年以上経過症例のフォローアップもあり、10年健存率97%という優れた長期成績の報告もあります。ユーザー満足度が非常に高く、「74%の評価者が他社レジンからSupreme Ultraに切り替える意思がある」と答えた調査もあります。総じて審美歯科医から一般臨床医まで幅広く信頼されている製品です。
◼︎サポート・薬事: 日本国内では2011年に薬事承認(承認番号221AKBZX00174000)を取得済みで、クラスIIの管理医療機器に分類されます。3M(スリーエム)ヘルスケアから発売され、全国の歯科ディーラーで扱いがあるため入手は容易です。製品に関する技術サポートも充実しており、シェード選択方法や研磨手順についてメーカー主催のセミナーやウェブ講習が頻繁に開催されています。万一製品不良(シリンジ内で硬化していた等)があればディーラー経由で交換対応も受けられ、メーカー保証も安心です。また、使用テクニックや症例について情報共有できるコミュニティ(3Mの情報サイト「ソルベントム」等)もあり、サポート体制は万全と言えます。
◼︎臨床シーン別の活用ポイント: Filtek Supreme Ultraは審美性・汎用性・コストのバランスが非常に優れているため、迷ったらまず選択肢に入れるべき万能レジンです。特に「前歯部の色調再現をしたいがオールセラミックほど予算はかけられない」というケースでは、本製品によるダイレクトボンディング修復が患者満足度の高い解決策となります。審美修復のみならず、小さな虫歯の保険CR充填でも操作性の良さから施術時間短縮や適合向上につながり、結果的に二次う蝕リスク低減にも貢献します。また、複雑な形態修復(例:咬耗した切縁の再構築)でも、シュープリームウルトラなら積層テクニックで細部の形態・質感まで再現できるため、自費治療で高度な要求に応えられます。一方で高価な材料ではないため、保険診療内でワンランク上の治療を提供したい場面にも適しています。総じて、本製品は「質も経費も妥協したくない」歯科医院にとって最適な選択肢と言えるでしょう。
Filtek One Bulk Fill Restorative(フィルテック ワン バルクフィル)
Filtek One Bulk Fill Restorative(ワン バルクフィル レストor)のシリンジ。カラーコードは緑色で、5シェード(A1・A2・A3・B1・C2)が展開されている。
◼︎概要・物性: Filtek One Bulk Fillは、一度にまとめて充填できる(バルクフィル)タイプのコンポジットレジンです。3M独自のナノフィラー技術と縮合重合ストレス低減技術(アロマティックウレタンジメタクリレート&添加-断片化モノマー配合)を組み合わせることで、最大5mm厚まで一括で光硬化できる深い重合性と、過度なポリマー収縮応力を発生させない特性を両立しています。機械的強度も従来の積層型レジンに匹敵するものがあり、ポストeri(大臼歯部)の咬合力にも十分耐えうる強度・硬度を持っています。また硬化後に不透明度が増す賢い光学設計で、バルクフィルにありがちな「硬化後に透けて見える」現象を抑えつつ審美性を高めています。耐摩耗性や長期光沢保持も優秀で、「磨いた後の艶が良い」という評価が得られています。
◼︎操作性: 本製品最大のメリットは一度で充填可能なことによる操作時間の短縮です。通常のレジンでは2mmごとに複数回積層・照射が必要な深い窩洞でも、Filtek One Bulk Fillなら1回の充填・1回の照射で完了します。ペーストの硬さは「パックしやすくて形が崩れにくい」との評があり、一括充填でも垂れたり窩洞から流出したりしにくいため確実な充填操作が可能です。また3Mの改良されたシリンジデザインにより気泡混入が起こりにくく押し出しもスムーズです(Supreme Ultra Flowなどと共通の新型シリンジ)。光重合に関しては、深部までライトを当てる必要があるため、メーカーから照射機器ごとの推奨時間表が提示されています。例えば高出力ライトなら20秒、従来ライトなら40秒、といった具合に設定されており、この指示に従えば確実に硬化深度5mmを達成できます。供給形態は4gシリンジと0.2gカプセルがあり、臼歯部ではカプセルガンで直接充填する運用も可能です。
◼︎審美性: バルクフィル材でありながら仕上がりの色調が良い点が大きな特長です。シェードは主要5色(A1, A2, A3, B1, C2)に限定されていますが、前述の通り光重合前は透光性を高めにして厚み部分も硬化させ、硬化後に適度な不透明度(カムフラージュ効果)が現れる処方になっています。このため単一一括充填でも、従来のバルクフィルに比べ充填部が白濁せず自然な外観従来のバルクフィルに比べ充填部が白濁せず自然な外観になります。実際、「他のバルク材より不透明で自然な仕上がり」と臨床家に評価されています。ただしエナメル質レベルの高い透明感までは出せないため、前歯部や広範囲の審美修復では、表層にシュープリームウルトラのエナメルシェードを薄く重ねる、あるいは色調を明るめに補正する、といった工夫で審美性を高めることもあります。その点を踏まえても、本製品単体で後戻りの少ない良好な色調が得られるため、審美的に許容範囲であれば追加の積層やシェード調整は不要です。
◼︎適応症・用途: 基本的には大臼歯部(ポストeriア)修復向けに設計されています。クラスIやクラスIIの中〜大型の窩洞で真価を発揮し、[軟化象牙質を除去してできた深い穴でもライナーを併用せず一発で充填できます。臼歯部だけでなく小児の乳歯にも一括充填は有効で、「子供の治療時間を短くできる」と好評です。適応症は実は広く、メーカーもクラスV(頸部)、III(切端)、IV(大きな欠損)も含め全ての直接修復に使用可能としています。ただ、前歯部や咬合面が広いケースでは審美性・摩耗両面から表層に通常のコンポジットを併用するのが望ましいです(公式にも「咬合面2mmは他のユニバーサルレジンで覆う」旨の注記あり)。その他、コア築造(支台歯形成)にも適しています。根管充填後のポスト(土台)に本材を用いれば、一度に歯冠部まで充填でき作業時間を短縮できます。また間接修復のベースとしても使われ、インレーの裏打ちや暫間修復の補強など多目的に応用できます。
◼︎経済性: 本製品の価格は日本国内では発売時期により変動しますが、4gシリンジでおおよそ3,500~4,000円程度と推測されます(米国での価格$120前後から換算)。一見高価に映るかもしれませんが、一度の充填で治療が完結することによる時間短縮効果は計り知れません。例えば通常なら15分かかる窩洞充填が10分で済めば、それだけ予約枠に余裕が生まれ追加の患者を診療できます。チェアタイム短縮=回転率向上はクリニックの収益に直結するため、材料コスト増を十分カバーし得るでしょう。保険診療においても、難度の高い大きなCR充填を時短で確実に行える点で人件費削減・再治療リスク低減につながり、経営効率を高めます。また、自費診療では「短時間で終わる高品質レジン修復」として患者への訴求力があり、追加費用をいただく根拠にもなります(例:「高耐久ワンステップレジン充填」としてオプション化する等)。総合的に見て、Filtek One Bulk Fillは単なる材料費以上の価値(時間価値)を生む製品と言えます。
◼︎評判・臨床評価: Filtek One Bulk Fillは2017年頃の登場以来、世界中のユーザーから高評価を得ています。Dental Advisorによる臨床評価ではSupreme Ultra同様に92%の評価、2018年から現在に至るまで複数年にわたりトップ賞・優秀賞に輝いています。現場の声としては、「扱いやすく押し固めやすいのに、バルク充填でスピードも速い」「シェードのブレンド性が高く、研磨すればとても綺麗」などポジティブなコメントが多数報告されています。とくに「小児のCR充填が一度で終わるので重宝する」という意見は、本製品ならではの利点を物語っています。一方で「深い部位では確実な重合が必要なので照射時間に注意」といった助言も寄せられています。総じて、「フィルテック ワンは臼歯修復の第一選択になった」と述べる臨床家もおり、時短と品質を両立できる画期的レジンとして高い満足度を得ています。
◼︎サポート・薬事: 日本ではやや遅れて2023年頃に薬事承認(管理医療機器)取得となりました(承認番号は現在確認中)。製品名は英名そのままに「フィルテック ワン バルクフィル レストラティブ」として登録され、保険診療で使用可能な歯科充填用レジン材料に分類されます。発売元の3M(ソルベントム)社は本製品の特設ページやパンフレットを用意しており使用方法の動画や比較チャートなども公開しています。購入は主要ディーラー経由で、今後日本国内在庫が整い次第、各社カタログやオンラインショップに掲載される見込みです。販売開始直後には「◯本購入で◯本無料」といったキャンペーンも展開される可能性が高く、導入しやすい環境が整えられるでしょう。また、Bulk Fill特有のテクニックに関しては3MがQ&Aや臨床例集を提供し、例えば「深部までライトをきちんと当てましょう」「色調合わせのコツ」等の情報発信を行っています。製品の保証規定も他のフィルテックシリーズ同様で、不良品交換などはディーラー経由で迅速に対応してもらえます。全体として、新製品ながらメーカーのバックアップが充実しており、安心して採用できるでしょう。
◼︎臨床シーン別の活用ポイント: Filtek One Bulk Fillは、「とにかく効率良く、なおかつそこそこの審美性で充填を終わらせたい」というシーンに最適です。具体的には、大きな虫歯を一度の充填で素早く確実に埋めたい場合や、小児やご高齢で長時間の口腔開封が難しい患者への処置に威力を発揮します。「時間=患者さんの負担軽減」でもあり、ワンステップ充填は術者だけでなく患者側のメリットも大きいのです。また、保険診療の範囲内であっても、難易度の高い大臼歯CR充填をBulk Fillで行えば術後疼痛や辺縁漏洩リスクの低減にもつながります。一方、審美要求が極めて高い前歯部や広範囲修復では、本製品単独よりもSupreme Ultraとのコンビネーション使用がおすすめです。例えば下層をBulk Fillで一括充填し、表層数ミリだけシュープリームで色調・形態を微調整する方法です。これにより作業時間と審美性の双方を満たすことが可能です。経営的には、Bulk Fillの導入でアポイントの効率化や患者回転率アップが期待できるため、忙しい医院ほど恩恵が大きいでしょう。総じて、Filtek One Bulk Fillは「時間短縮による利益向上」と「臨床品質」の両立を図りたい医院にマッチした革新的レジンです。
Filtek Z250 XT Universal Restorative(フィルテック Z250 XT)
◼︎概要・物性: Filtek Z250 XTは、3Mが提供する従来型ユニバーサルコンポジットレジンの一つです。初代Z250(ナノハイブリッド登場以前のマイクロハイブリッド)を改良し、ナノ粒子技術を一部取り入れた“XT”バージョンとなっています。重合収縮率の低減が特徴で、詰めたレジンの収縮による隙裂(ギャップ)が生じにくいため、辺縁封鎖性に優れ二次カリエスのリスクを低減できます。機械的強度も高く、ジルコニアフィラー配合によって臼歯部咬合面にも耐えうる強度を実現しています。耐摩耗性・耐久性も良好で、長期にわたり安定した修復物を提供できます。総合的な物性は後発のシュープリームシリーズに迫るものがあり、レジン充填の基本を押さえた信頼できる材料です。
◼︎操作性: ペーストの粘性は適度で、器具への付着が少なく扱いやすいと評価されています。過去の3M製品(例:フィルテック A110など)に比べベタつきが軽減されており、窩壁への適応性も向上しています。充填時に粘調性が高すぎて糸を引くような煩わしさがないため、スムーズに充填・彫塑できます。またポリマー収縮が抑えられているため、光重合のタイミングでレジンが窩洞から引っ張られるような不安定さも少なく、安心して照射できます。ただし硬化深度は一般的なコンポジットと同様で、2mm以下の積層充填が推奨されます。シェードにより硬化時間も若干異なるため、特に濃色や不透明シェードでは十分な照射(20~30秒)を行うことが望ましいです。供給は4gシリンジが中心ですが、一部カプセル(PLT)もラインナップされています。
◼︎審美性: シェード構成はVITA系の基本色12色が揃っています。内訳はA系(A1~A4)、B系(B1~B3)、C2、D3、および特殊色として切端用のインサイザル(I)と、濁色隠蔽用のユニバーサルデンティン(UD)が含まれます。基本的には単層充填で使うことを想定したボディシェードです。色調は日本人の平均的な歯の色を参考に調整されており、「色合わせがより簡単になった」との記述もありますoralstudio.net。実際、半透明感は天然歯に近く、単色でも周囲の歯になじみやすいとの評価がありますdental.feed.jp。Supreme Ultraのようなマルチシェード対応ではありませんが、その分シェード選択がシンプルで分かりやすい利点があります。研磨性も十分で、適切に研磨すれば良好な艶が出ます(ただしナノレジンほどの超滑沢な表面とは若干質感が異なることがあります)。総じて日常臨床で違和感のない自然な仕上がりが得られる審美性を備えています。
◼︎適応症・用途: 前歯から臼歯までオールラウンドに使用でき、特に保険診療での標準的CR充填に広く用いられてきた経緯があります。I級やII級の中程度までの窩洞であれば、Z250 XTで問題なく機能・形態を回復できます。III級やV級など前歯部の小さな欠損にも適用でき、単一シェードで速やかに充填可能です。審美性が要求される大きなIV級修復やダイレクトベニアでは、シェードや透明度の観点でSupreme Ultraに一歩譲りますが、「保険の範囲でそこそこの見た目を」といったケースでは十分対応できます。硬化収縮が少ないので詰めやすい大臼歯の隅角部(クサビ効果)にも適応しやすいです。また支台築造(コア)にも使用可能で、ポストを併用しない直接築造では本製品が使われることもあります。総合的に、「特別なケースでなく日常的な虫歯治療」に幅広くマッチする製品と言えるでしょう。保険算定上も問題なく、レジン前装冠などの修復物修理にも使用できます。
◼︎経済性: Filtek Z250 XTの希望医院価格は4gあたり約5,200円と、実は後発のSupreme Ultra(約3,200円)より高めに設定されています。これは発売当初(2000年代)の価格体系を引き継いでいるためですが、実際の歯科医院への販売価格はディスカウントが効いている場合も多いです。大手ディーラーではまとめ買い割引やキャンペーンもあり、価格面のハードルはそれほど高くないでしょう。材料単価だけ見ると他社の汎用レジンより割高ですが、安定した品質と実績への信頼に対するコストと考えれば許容範囲との声もあります。保険診療で用いる際は、本製品のコストを抑えるために大容量パック(複数本セット)を購入して単価を下げる、あるいは用途に応じて他の廉価レジンと使い分けるといった工夫も考えられます。例えば審美重視の部位はSupreme Ultra、そうでない臼歯部はZ250 XT、といった棲み分けです。そのように合理的に使えば、Z250 XTは経営上も過度な負担とならずに活用できるベーシック材料と言えます。
◼︎評判・臨床評価: Z250シリーズは長年世界中の歯科医に使用され、「失敗の少ない信頼できるコンポジット」として定評があります。特に「重合収縮が小さいのでマージンがきっちり適合する」という点は多くの臨床家が実感しており、二次う蝕予防の観点からも安心感があります。またペーストの扱いやすさについても「ペタつかず簡単に充填できる」と高評価です。一方、近年は各社からナノハイブリッドやバルクフィルなど新世代レジンが登場したため、Z250をあえて選ぶ場面は減りつつあります。そのため「時代遅れでは?」という意見も時折聞かれますが、実際には現在のZ250 XTはナノフィラーを含む「隠れナノハイブリッド」であり、性能的には十分に現代水準を満たしています。臨床評価の正式なリサーチは少ないものの、フィルテックシリーズの中で良くも悪くも標準と言える位置づけで、大きな欠点の報告はありません。総じて「目立たないが堅実な働き者」との評価が妥当でしょう。
◼︎サポート・薬事: Filtek Z250(初代)は国内では2002年に承認され、現行のZ250 XTも同じ承認番号21100BZY00250000のまま販売されています(管理医療機器クラスII)。3M製品として販売ルート・サポート体制は確立されており、全国どこでも入手可能です。製品そのものの技術サポートはシュープリームほど積極的ではないものの、基本的な問い合わせや資料提供には応じてもらえます。例えば3Mの製品カタログやウェブサイトにはZ250 XTの概要が掲載されており、「重合収縮が極めて低い新しい共用レジン」といった特徴が明記されています。既存ユーザーも多いため、困ったときは同業の先生からアドバイスをもらえることも多いでしょう。購入は3M特約店でシリンジ単位から可能で、緊急時も在庫入手に困ることはまずありません。長期にわたりラインナップされていることから、「なくならない安心感」も経営面で評価できます。
◼︎臨床シーン別の活用ポイント: Filtek Z250 XTは、「尖った特徴より安定性と汎用性を重視したい」場合に適した選択です。たとえば、保険診療主体のクリニックで材料を統一して在庫管理をシンプルにしたい場合、この製品一つで前歯~臼歯のCR充填を無難にこなせます。審美性よりも確実な充填・適合が重視される奥歯の中程度の虫歯治療では、低収縮によるシール性の良さが予後の安定につながります。また、研修医や若手歯科医が扱う際にも癖がなくミスが少ない素材のため、CR充填の基本練習用としても適しています。もちろん、自費の精密修復を極めたい場面ではSupreme Ultraに譲るものの、患者さんから特に要望が無い限り標準レジンとして十分満足な仕上がりを提供できます。「患者一人ひとりに最適素材を…」と考えると材料が増えがちですが、Z250 XTはオールマイティに使える安心感があり、在庫を集約してコスト管理したい経営方針にもマッチします。つまり、安定供給・安定品質でクリニックの屋台骨を支える存在として、今後もZ250 XTは有用なポジションを占めるでしょう。
Filtek Flowable Restoratives(フィルテック フロアブルレジン)
Filtekシリーズのフロアブルタイプには、主にFiltek Supreme Ultra Flowable(シュープリーム ウルトラ フロー)とFiltek Bulk Fill Flowable(フィル アンド コア フロー プラス)があります。ここでは総称して「Filtekフロアブルレジン」として扱い、その特徴を解説します。
◼︎概要・物性: フロアブルレジンは通常のペーストレジンに比べ充填時の流動性が高い材料です。3MのSupreme Ultra Flowableはナノフィラー技術を導入し、従来フロアブルより強度・耐久性が格段に向上しています。実験では表面滑沢性1.4倍、光沢保持5.5倍、耐摩耗性20%向上と報告され、もはや小さな窩洞であればフロアブル単独でも十分な長期修復が可能なレベルです。Bulk Fill Flowable(Fill & Core Flowable Plus)はさらに硬化深度4mmを実現した低粘度バルク材で、[重合収縮応力も大幅に低減されています。いずれもX線造影性を有し、充填後の確認も容易です。
◼︎操作性: Filtekフロアブルは新設計のシリンジにより気泡混入が減少し、押し出す力も軽く改善されています。細い先端チップ(20ゲージや27ゲージなど)で狭い部位にも直接流し込め、ピンポイントで充填できます。粘性は「必要な所では留まり、不要な所へは流れ出さない」ようチキソ性が調整されており、例えば歯頸部のV級窩洞でも垂れずにステイしつつ、適度に広がってカバーしてくれます。硬化は光照射で20秒程度(バルクフローは深部まで照射するため20-40秒)。Supremeフローは2mm厚までの積層が推奨で、Bulkフローは4mm一括可能です。操作上注意点としては、粘度が低い分気泡の巻き込みに気をつけることと、光照射時に表面が空気中に露出していると酸素阻害層ができやすい点です。しかし後者は上にペーストレジンを重ねれば問題ありません。
◼︎審美性: Filtekシュープリーム ウルトラ フローは全12シェード(ボディ相当10色+OPA2(濃色用)+白不透明)とフロアブルとしては異例の豊富さです。透明感も高く下地の歯質の色をよく反映するため、単独使用でも自然な仕上がりが得られます。実際、症例写真でもフロアブルだけで充填したとは思えないほど馴染んでいます。Bulk Fillフローは3色(ユニバーサル、A1、A2)で、主に裏層材用途なので色調は簡便に選べます。いずれも蛍光性は考慮されていますが、基本的に表層にペーストレジンを被せることが多いため、審美性への大きな懸念はありません。要するに「黒子役」として補佐しつつ、自身も十分な美しさを持った材料と言えます。
◼︎適応症・用途: フロアブルは直接充填の下層ライナーや小さなう蝕の充填に幅広く使われます。具体例として、クラスV(楔状欠損や歯頸部う蝕)の充填では、歯質との密着性と適応性が高いフロアブルを使うことで段差無く詰められ、術後の知覚過敏も減らせます。また深いクラスIやIIでは、まず底部にフロアブルを1層敷いて硬化させるサンドイッチテクニックが推奨されます。これにより、壁面とのギャップを埋め適合性を高めるとともに、上層に積層するペーストレジンの衝撃緩衝材となって応力を和らげます。結果、二次カリエスや辺縁漏洩リスクを低減できます。さらに、小さなI級やIII級窩洞であればフロアブル単独でも修復可能です。実際、Supremeフローの強度向上により「フロアブルだけで全部詰めても問題ない場合が増えた」と指摘する臨床家もいます。Bulk Fillフローはその名の通り4mmまで一括裏層できるので、深いMOD窩洞などで下部を一気に埋めるのに便利です。後は上層2mmをペーストで蓋をすれば完了するため、全工程の短縮につながります。その他、補綴修復物のマージン修正や、ポーセレン修復の欠けた部分の修理、仮封の補強など仮封の補強など応用範囲は非常に広いです。一言でいえば「レジン充填の影の実力者」として、多くの場面で使われています。
◼︎経済性: フロアブルレジンは1本あたりの価格こそペーストレジンと同等かやや高めですが(Supremeフローで2g 3,400円程度)、使用量が微少なため1本で多数症例に使えます。ライナーとして0.5mm程度敷くだけなら1本で数十~百症例に及ぶこともあります。したがって一症例あたり数円~十数円程度と極めて負担は軽微です。にもかかわらず、フロアブルを併用することで充填の適合が向上し二次う蝕リスクが減れば、再治療のコストも減ります。これは患者のためだけでなく医院の経営的にもプラスです。Bulkフローも同様で、コア築造の時短によるユニット効率向上などメリットが大きいです。総合すると、フロアブル材への投資はコスト以上のリターンが期待できるといえます。
◼︎評判・臨床評価: Filtekフロアブルは多くの歯科医に「使わないと不安」と言わしめる存在です。「サラサラしているのに垂れない絶妙な粘度」「新しいシリンジになってから気泡が本当に入らない」と、[その使いやすさに定評があります。またシュープリームフローの審美性・強度向上には驚きの声が多く、「フロアブルでここまでツヤが出るとは」と雑誌に取り上げられたこともあります。実際、高橋純一先生の報告ではSupremeフローのみで充填した症例が複数紹介され、その審美性は従来のフロアブル概念を覆すものとされています。Bulkフローについても「一括裏層できるので隙間ができず安心」「支台築造が早い」とポジティブです。総じて、フィルテックのフロアブル材は裏方に徹しつつ臨床成績を底上げする縁の下の力持ちとして高い評価を受けています。
◼︎サポート・薬事: Filtek Supreme Ultra Flowableは2012年頃に承認(認証番号222AKBZX00110000)され、Fill & Core Flow Plusは2016年承認(認証番号229AKBZX00030000)されています。いずれもクラスIIの管理医療機器です。3Mの製品サポートとして、シリンジの使い方動画や症例写真が公開されており、適切なフロアブル活用方法を学べるようになっています。例えば「フロアブルを入れすぎない」「エアブローで薄く伸ばすテクニック」などが紹介されています。また先端チップや延長チップなどのアクセサリも含め、ディーラーを通じて安定供給されています。購入も容易で、ネット通販サイトのコンポジットカテゴリから色番を指定して注文できます(例:フィード社やCiモール等で検索可能)。保証に関しても、シリンジが硬化して使えないなどの不良があれば交換対応してもらえます。全体として、必要不可欠なサブ材料として常に身近にある存在です。
◼︎臨床シーン別の活用ポイント: Filtekフロアブルレジンは、「とりあえず一本常備」すべきマテリアルです。臨床において、フロアブルがあることで充填操作のストレスが大幅に軽減されます。例えば深い窩洞でマトリックスバンドの隙間からレジンが漏れるリスクも、先にフロアブルで下層をシールしておけば低減できます。またMI(最小侵襲)治療でできるだけ切削量を減らした小さな虫歯には、ペーストではなくフロアブルで充填した方が歯質との隙間が埋まりやすく二次虫歯になりにくいです。保険診療でもフロアブル併用は算定上問題なく、材料費以上に再治療削減メリットがあります。経営的視点でも、フロアブルは低コストで患者満足度と治療予後を上げる役割を果たすため、費用対効果が極めて高い投資と言えます。強いて言えば、フロアブルを使うことで充填にワンステップ増える(ライト当てが一回増える)デメリットはありますが、その数十秒の手間で得られる利益は大きいでしょう。総括すれば、Filtekフロアブルレジンは「なくても治療はできるが、あれば格段に良くできる」万能補助材として、あらゆるレジン修復シーンで活用すべきものです。
以上、3M社の主要コンポジットレジン製品について、臨床面と経営面から比較・分析しました。それぞれに強みと適した場面があり、クリニックの方針や症例のニーズに応じて使い分けることで、治療成果と経営効率の両方を最大化できます。審美性重視ならシュープリームウルトラ、時短重視ならワン バルクフィル、安定の保険診療にはZ250 XT、そしてフロアブルは全方位サポートといった形で、ぜひ最適な組み合わせを選択してください。本比較がお役立てば幸いです。
参考文献・出典: 本稿で言及したデータや評価コメントは、各製品のメーカー提供資料ならびに学術誌・歯科情報サイトから引用しています(文中の【†】にて出典明記。製品選定の際は最新のメーカー資料を参照しつつ、実臨床でのフィードバックも踏まえて検討してください。ありがとうございました。