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ヨシダの歯科用ポータブルレントゲン機器「エックスショット(X-shot)」の評判は?

ヨシダの歯科用ポータブルレントゲン機器「エックスショット(X-shot)」の評判は?

最終更新日

患者宅での訪問診療中に「この痛みは根尖病変かもしれないが、その場でレントゲン撮影ができず確証が持てない」と感じた経験はないだろうか。あるいはインプラント埋入手術の最中に、埋入方向をすぐその場で確認したいのに、わざわざ別室の固定式レントゲンまで患者を移動させる手間に歯がゆさを覚えたこともあるかもしれない。こうした臨床現場のもどかしさを解消する手段として登場したのが、手に持って撮影できる歯科用ポータブルレントゲンである。その中でも株式会社ヨシダの X-shot(エックスショット) は近年注目を集める製品である。

本稿では、このX-shotについて臨床的価値と医院経営への影響の両面から掘り下げ、その評判を検証する。現場経験にもとづく具体的な活用シーンを交えながら、読者である歯科医師が自院に導入すべきか判断する一助となる情報を提供したい。

製品概要

X-shot(エックスショット) は株式会社ヨシダが販売するバッテリー内蔵型の歯科用ポータブルエックス線撮影装置である。正式な一般的名称は「アナログ式口外汎用歯科X線診断装置」で、管理医療機器(クラスII)に分類される(医療機器認証番号224AKBZX00011000)。重量は約2.5kgと軽量コンパクトで片手でも保持できるサイズであり、付近に電源コンセントが無い環境でも使用可能である。想定される適応シーンは、訪問歯科診療先での口腔内撮影や、院内の手術室・特診室で患者を移動せずにその場で撮影したい場合など多岐にわたる。X-shot本体に撮影用のX線管球を内蔵し、従来のユニット据置型デンタルX線と同様の撮影ができるが、画像の取得には別途デジタルセンサーや写真用フィルムが必要である(装置自体に画像検出素子は搭載していない)。薬事区分上は「設置管理医療機器」であり、固定式と同様に導入時には所定の届出(エックス線装置の備付届)等の法的手続きも求められる点には注意が必要である。

主要スペックと臨床における意味

X-shotの主要スペックを見ると、管電圧60kV・管電流2mA(いずれも固定) の高周波DC方式エックス線管を搭載し、焦点サイズは0.4mmである。これらの値は多くの歯科用デンタルX線装置と同等の範囲であり、口腔内の高解像度撮影に必要十分である。焦点が0.4mmと小さいことは、エックス線画像の鮮鋭度に有利に働く。実際、根管治療時の細かな器具の先端や微小な骨の透過像も明瞭に捉えられるレベルの画像が得られる。また照射時間は0.02〜2.5秒まで設定可能で、部位や患者に応じて露出量を細かく調節できる。たとえば高感度なデジタルセンサーを用いる場合はごく短時間で撮影し、小児や高齢者の被ばく量を抑えられる。一方、感度の低いフィルム撮影では最大2.5秒まで延長でき、厚みのある顎骨や金属修復物周囲の撮影にも対応できる。総ろ過は1.5mmAl以上で不要な軟X線を減衰させており、患者・術者双方に優しい低線量撮影を可能としている。さらに約40分で満充電可能な内蔵バッテリーを備え、一度のフル充電で約50枚のエックス線写真が撮影できる。スペック上は競合する他社製ポータブル機(例:同程度重量のモリタ社製は100枚撮影可能)より連続撮影枚数は半分程度だが、その分充電時間が短く、電源確保が難しい往診先でも短時間のうちに充電して再稼働できる点は利点である。これらのスペックから総合すると、X-shotは「据置型と同等の画質を確保しつつ機動力を得たデンタルX線装置」と評価でき、臨床現場で従来妥協してきた撮影機会を増やす十分な能力を備えている。

互換性と運用方法

X-shotはアナログ/デジタル両対応の汎用撮影装置であり、現在歯科医院で用いられている主な画像受像デバイスにすべて適合する。具体的には、ヨシダが扱う「コンピュレイ」などの有線CCD/CMOSデンタルセンサーはもちろん、デュール社の「ビスタスキャン」に代表されるイメージングプレート(蓄積蛍光板)や、従来型の口内法デンタルフィルムまで使用可能である。撮影したエックス線像のデータは、受像側の機器(センサーの画像取り込みソフトや、現像済みフィルムのスキャンなど)を通じて従来と同様に保存・閲覧する流れになるため、X-shot本体が特定の院内ネットワークやソフトウェアに依存することはない。その意味で導入によるワークフローへの影響は最小限といえる。既存のデジタルレントゲンシステムを持つ医院であれば、X-shotで撮影した画像を今まで通り電子カルテや画像管理ソフトに取り込んで活用できる。運用面では、持ち運びやすさと感染対策に配慮した設計が特徴だ。コントロールパネルは本体背面にあり、撮影したい部位のピクトグラム(例えば前歯・臼歯、成人・小児など)を押すだけで適切な撮影条件がセットされる直感的操作となっている。誰でも迷わず扱えるシンプルさゆえ、スタッフ間の教育コストも低いだろう。また、X線照射筒の先端(患者に触れる可能性のある部分)にはシリコン製の着脱式カバーが標準付属している。このカバーは衝撃を和らげる柔軟素材でできており、撮影時に患者の顔面に先端が当たってしまっても痛みや違和感を与えにくい。またオートクレーブによる滅菌が可能で、患者ごとに交換・滅菌することで衛生管理を徹底できる。こうした配慮により訪問先でも院内でも安心して複数患者に使用できる感染対策性能を確保している。その他オプションとして、持ち運び用の専用ハードケースや、X-shot本体を遠隔操作できる手元スイッチ、さらには市販のカメラ用三脚へ取り付けるためのネジ穴も備える。三脚は耐荷重3kg以上のものであれば設置可能であり、たとえば院内で据置的に使用したい場合や、被曝リスク低減のため術者が装置から少し離れて撮影したい場合には、三脚+手元スイッチを組み合わせて利用することで簡易的な固定式デンタルレントゲンのようにも運用できる柔軟性がある。

経営インパクトと費用対効果

X-shot導入が医院経営にもたらす影響を定量・定性の両面から考察する。まず導入費用は標準価格約50万円(税別)で、これは据置型デンタルX線装置の新規設置費用(一般に本体数十万円~100万円超+工事費用)と比べれば初期投資をかなり抑えられる部類である。加えて据置型では診療室への壁面固定や配線工事、防護工事などの設置費用が発生するが、ポータブルであるX-shotにはそうした工事費が不要である点もコスト上のメリットといえる。仮にX-shotを主診療室のレントゲン代替として用いる場合、複数のユニットで1台を共有できるため、ユニット数分の装置導入を避けて資本コストを圧縮できる可能性がある。もちろんポータブル運用ゆえ同時撮影はできない制約はあるものの、患者を撮影室まで移動させる時間ロスが無くなる効果もあるため、チェアタイム短縮による効率化とトレードオフで考えれば十分元が取れるケースも多いだろう。具体的な経済効果としては、例えば往診診療を積極展開している歯科医院では、ポータブルレントゲン無しでは困難だった抜歯・根管治療等の中等度侵襲の在宅処置が可能になり診療報酬の増収につながる。訪問先でのデンタル撮影そのものの保険点数(診療報酬)は大きくないが、レントゲンが撮れることで適切な処置が提供でき、結果として治療行為料を算定できる症例が増える効果は見逃せない。また患者の家族や介護者にその場で画像を見せながら説明できるため、丁寧なインフォームドコンセントによる患者満足度向上→口コミ増患という好循環も期待できる。院内においても、例えば高齢や障害のある患者をレントゲン専用室まで移動させる負担を省けることはスタッフ動線の効率化や、転落・転倒といったリスク低減による潜在的なコスト(ヒヤリハットや労務コスト)の削減となるだろう。耐用年数について公式なデータはないが、エックス線管球は使用により徐々に劣化する消耗品でありつつも、通常のデンタル撮影装置と同程度(数万ショット以上)はもつと考えられる。バッテリーについては交換用部品が市販されており、充放電を繰り返して容量が低下しても電池パックのみ更新すれば長期運用が可能である。そうしたメンテナンス費を含めても、1ショットあたりの撮影コストは数十円程度まで低減できる計算であり、コストパフォーマンスは高い。さらに、設備投資の視点ではX-shot導入によって新たな自由診療メニューが直接増えるわけではないものの、往診対応や術中エックス線確認といった付加価値が患者へのアピールポイントとなり、他院との差別化による新患獲得につながる可能性がある。このようにX-shotは単なる撮影装置としての役割を超えて、医院のサービス範囲拡大と効率向上を通じて中長期的なROI(投資収益率)に貢献しうる製品といえる。

使いこなしのポイント

ポータブルレントゲンを初めて導入する際には、いくつか押さえておきたい運用上のコツがある。まず撮影テクニック面では、X-shotを手持ちで構える際にできるだけブレを抑えることが肝心である。据置型と異なり術者自身が機器を保持するため、わずかな手ぶれが画像の鮮明度低下につながる可能性がある。その対策として、撮影時には先端のシリコンカバー部を患者の頬や歯列に軽く当てて支持点とし安定させるのがおすすめだ。柔らかいカバーのおかげで患者への圧迫感は少なく、結果として一定の距離を保ちつつ安定したポジショニングが可能になる。また、被写体(患者)の動きも防ぐために「はい動かないでください」と一声かける配慮は据置型以上に重要だ。露光時間が短いとはいえ高齢者等ではわずかな動きで不鮮明になるため、撮影前の声かけ・呼吸停止の指示を確実に行いたい。次に院内体制面では、スタッフ全員に事前のトレーニングを行い、使用手順と放射線安全管理を周知しておく必要がある。X-shotは操作がシンプルなため機器の習熟自体は容易だが、例えば院内で使用する場合は「撮影時に他のユニットのスタッフ・患者に声かけして退避してもらう」「術者自身も可能な限り被ばく低減策(防護エプロンの着用や装置後方に回り込まない立ち位置)を取る」といった安全ルールを取り決めておくとよい。幸い本装置は内部に十分な放射線遮蔽が施されており、後方散乱防護も考慮された設計ではあるが、基本に忠実な安全策を取ることでより安心して運用できる。訪問診療時には、持ち出す備品のリストを事前に用意しておき、X-shot本体・センサーまたはフィルム類・防護エプロン・パソコン(デジタルなら)・充電器など忘れ物がないようチェック体制を整えることがポイントである。特にバッテリーは出発前に必ず満充電か確認し、長時間の訪問では念のため充電用ACアダプタも携帯する。患者宅ではスペースや電源事情が様々なので、時に椅子や台を借りて装置を安定させる工夫や、暗所が無ければ防光バッグ内でセンサーの接続操作を行う等、柔軟な現場対応力も求められる。また撮影後はすぐに画像を患者や介護者に見せながら説明することで信頼を得やすくなるので、ノートPCやタブレットで画像を拡大表示し、その場で治療方針を共有するというひと手間も大切にしたい。最後に、導入初期にはメーカーや販売店の担当者に院内研修を依頼したりデモ撮影を行ってもらうことで、スタッフの不安を解消しスムーズな立ち上げにつなげるとよいだろう。

適応症例と適さないケース

X-shotが真価を発揮するのは、従来レントゲン撮影が困難だった環境やシチュエーションである。典型的なのはやはり在宅・介護施設での訪問診療だ。通院できない高齢者の口腔内状況を把握するのにレントゲンは不可欠だが、従来は訪問診療先でレントゲン撮影ができず手探りの処置になりがちだった。X-shotを携えていけば、たとえば訪問先での抜歯前後の確認撮影や、義歯作製前の残根チェック、在宅での根管治療などが安全に行える。特に根尖病変の大きさや骨の状態がその場で分かることは、処置の適否判断と説明に大きな安心感をもたらすだろう。また院内では手術中や麻酔下の患者の撮影に適している。インプラント埋入オペでドリルの方向を確認したり、抜歯後に根尖が残っていないかその場で確認したりと、リアルタイムな判断材料を提供してくれる。こうしたケースではX-shotをあらかじめ滅菌したビニールカバーで覆って手術室内に持ち込み、術野から手を離さず撮影することもできる。一方で適さないケースも認識しておく必要がある。まず、一日に何十枚ものエックス線写真を撮影するような大量撮影には不向きである。例えば毎日多数の新患を診て何十枚ものレントゲンを撮る規模のクリニックでは、毎回手持ち撮影をするよりも各ユニットにアーム式レントゲンを据え付けたほうが業務効率と術者の被ばく軽減の点で望ましい。また、口腔外の広範囲な撮影(パノラマエックス線やセファロなど)は本装置の適応外であるため、あくまでデンタル撮影専用という用途の割り切りが必要だ。加えて、被写体が動いてしまう状況(小児で協力が得られない場合など)では手持ち式だと固定が難しく、撮影に失敗するリスクがある。この場合も無理にポータブルを使うより、鎮静下で据置機器を使うなど別のアプローチを検討すべきである。なお、X-shot自体は防水仕様ではないため、唾液や血液が大量に飛散する状況では防護カバー無しでの使用は避けるべきだ。以上を踏まえれば、X-shotは万能ではないものの、「患者を動かせない場面でのデンタル撮影」という明確な強みを発揮できる場面を選んで活用すれば極めて有用なツールとなる。

導入判断の指針(医院タイプ別)

歯科医院ごとに診療スタイルや経営方針は様々であり、X-shotの価値もそれによって変わってくる。以下にいくつかの医院タイプを想定し、本製品の向き・不向きを整理する。

1. 保険診療中心で効率優先の医院

日々多くの患者を回転させることを重視する一般保険中心型の歯科では、ユニットごとの固定式レントゲンで素早く撮影するのが基本で、ポータブル撮影は一見手間に思えるかもしれない。しかし、例えばユニット数が多くレントゲン設備が不足しがちな医院において、X-shotは「持ち運べる共用機」として活躍する余地がある。レントゲン室や各ユニットへの設置スペースが限られる都市部の小規模医院でも、X-shotが1台あれば必要なとき必要な場所で撮影できるため、患者の誘導や待ち時間を減らしチェア利用効率を上げられる。保険診療中心であっても訪問診療に注力している医院なら導入の優先度は高い。一方、院内で既に十分な台数のレントゲンを備えている場合には、X-shotは無理に導入しなくても業務に大きな支障はないだろう。コスト意識の高い医院では、まず訪問診療の増収見込みや現状のレントゲン利用状況を精査し、投資額に見合う効率改善効果があるかを判断材料にするとよい。

2. 自費診療中心でクオリティ重視の医院

高付加価値の審美歯科やインプラント・再生医療中心の医院では、患者への説明責任や精密な治療計画のためにレントゲン・CT撮影は特に重要である。このような医院にとってX-shotは、患者体験価値を高めるツールになりうる。例えば全顎的なセラミック治療中に、その日の治療部位を術後すぐ撮影して見せることで「治療が順調に進んでいる」ことをリアルタイムに共有できれば、患者の安心感は格段に向上する。また高額なインプラントオペなどでは、術者が都度席を外さずに済むX-shotのおかげでスムーズな手術進行が可能となり、時間短縮による患者負担軽減にもつながる。加えて「当院では訪問診療にも対応し、寝たきりの患者さんにも高度な歯科医療を提供できます」とアピールすれば、医院ブランドの向上にも寄与するだろう。ただし自費中心医院では既に高性能な撮影機器(CTやデジタルX線)が充実している場合が多く、画質面や機能面でポータブル装置に頼る必要が低いこともある。そのため患者サービスの一環としての付加価値に魅力を感じるか否かが導入判断のポイントになる。余裕ある投資判断が可能な自費メイン医院にとって、X-shotのコストはそれほど障害にはならないだろうが、実際に使う場面を明確にイメージしておくことが肝要である。

3. 口腔外科・訪問歯科に注力する医院

口腔外科処置や在宅歯科を専門的に行っているケースでは、X-shotはほぼ必須とも言える存在だ。外科中心のクリニックでは全身麻酔や静脈内鎮静下での手術が日常的に行われ、術後や術中にそのままデンタル撮影ができれば非常に合理的である。また、地域の介護施設や居宅を定期巡回している歯科では、X-shotが無いと診断自体が困難な症例が多々出てくる。実際、往診で残根の有無を確認せずに処置を進めれば再治療率が上がり、結果として経営上のロスにもつながりかねない。そうした意味で「診療の質=経営の質」に直結しやすい分野ではX-shot導入の価値は極めて高い。訪問歯科に熱心な医院は行政や介護施設との連携も深いため、「ポータブルレントゲン完備」を謳えることで信頼性や紹介案件の増加にもつながる可能性がある。ただし留意点として、訪問歯科では術者のみならず周囲の介護職員等にも放射線に対する不安感があるかもしれない。そうした場合に「当院のX-shotは線量が少なく安全です」と科学的に説明でき、防護具を用いた安全管理を実践してみせることが、医院の専門性アピールにもなるだろう。総じて、外科・訪問系の医院ではX-shotは投資回収が早く、プロフェッショナルな診療体制構築に寄与する機器と位置付けられる。

以上のように、医院のタイプによってX-shot導入の優先順位やメリットは異なる。自院が今後伸ばしていきたい診療領域やサービスに照らし合わせて、本製品がそれに合致するかを検討するとよいだろう。

よくある質問(FAQ)

Q. X-shotで撮影した画像の品質は、従来の壁付けデンタルX線と比べて劣らないか?

A. ほぼ遜色ない品質が得られる。X-shotは60kV/2mAのDCエックス線を搭載し、焦点も0.4mmと小さいため、通常のデンタル撮影と同等レベルの解像度・画質が期待できる。実際、デジタルセンサー使用時には微細な根尖病変やファイル先端も明瞭に描出できており、臨床上問題はない。ただし撮影者の手ぶれや患者の動きには据置型以上に注意が必要で、適切に固定し撮影すれば画質面の不安は少ない。

Q. ポータブルレントゲンを院内で使用する際、放射線安全面の問題はないのか?

A. 適切な防護策を講じれば問題なく安全に使用できる。X-shotは内部に鉛等のシールドが施され、後方や側方への漏洩線量は法令基準内に抑えられている。被ばく線量自体も低く抑えられているため、患者や周囲スタッフへの影響は微小である。ただし、安全管理上は据置型と同様に「撮影時に他人が近くにいないようにする」「防護エプロンやプロテクターを必要に応じて使用する」といった基本ルールを守ることが推奨される。特に院内で頻繁に用いる場合は、診療放射線技師や担当スタッフに線量管理バッジを装着させ、定期的に被ばく線量をモニタリングすると安心である。

Q. バッテリー寿命やメンテナンスはどのようにすればよいか?

A. X-shotの内蔵バッテリーは約50回の撮影が可能な容量で、寿命が近づき蓄電能力が低下した場合でも交換用バッテリーパックを購入して差し替えることで延命できる。メーカー指定のバッテリーを用いれば安全に交換可能である。通常は数百サイクル以上の充放電に耐えるリチウムイオン電池のため、頻繁に使っても数年は実用上問題なく使えるだろう。その他のメンテナンスとしては、X線管球の点検(必要に応じて出力測定)やシリコンカバーの劣化時交換などが挙げられる。メーカーのメンテナンス情報によれば、特に法定点検義務はないが、3〜5年ごとに簡易点検・校正を依頼すると安心である。日常的には外装を清拭し、滅菌可能部分は適宜オートクレーブする程度で維持できる。

Q. 訪問診療にまだ本格参入していないが、それでもX-shotを導入する意味はあるのか?

A. 現在訪問診療を行っていない医院が無理に導入する必要はないが、将来的に往診ニーズへの対応を検討しているなら導入準備として有意義である。X-shot自体は院内の限られたスペースでも利用価値があり、例えば要介護の患者が来院した際にユニット上で撮影を完結させるといった形でも役立つ。往診未実施の場合はまずレンタルやデモ機で使用感を試し、自院の患者層で活用場面があるか想定してみるとよい。訪問診療に参入する際には、X-shotがあることで診療内容の幅が広がり質も担保できるため、事業開始時のアドバンテージにはなるだろう。ただし、導入後まったく使わなければ宝の持ち腐れになるため、当面訪問予定が無い場合は見送って別の優先投資に資金を回す判断も一つである。

Q. 購入を検討するにあたり、事前に確認・準備しておくべきことは?

A. 導入前には以下の点を確認すると良い。まず、院内で使用する場合は管轄保健所等へのエックス線装置備付届が必要になるため、必要書類の準備や届出手順を調べておくこと(ディーラーがサポートしてくれる場合もある)。次に、訪問診療で使うならポータブル撮影に関する保険点数の算定要件を把握し、スタッフに周知しておくことも重要だ。さらに、現地での撮影に使用するノートPCやセンサー機材、患者説明用のタブレットなど関連機材の運用方法も合わせて計画しておくとスムーズに始められる。最後に、メーカーや販売店に依頼してデモンストレーションを受けたり、既にX-shotを導入している同業の先生に使用感や注意点を聞いておくと、実践的な知見が得られ安心である。このような準備を経れば、購入後すぐに現場で最大限活用できるだろう。