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ヨシダの歯科用ユニットの価格・値段は?おすすめのチェアを徹底比較

ヨシダの歯科用ユニットの価格・値段は?おすすめのチェアを徹底比較

最終更新日

患者さんから「この椅子、長く座っているとつらい」と言われて困惑した経験はないだろうか。あるいは診療中にユニットの不調で治療が中断し、慌てて対応に追われたことがあるかもしれない。新規開業やユニット買い替えの際、高額な設備投資が本当に見合うのか、もっと安いもので十分ではないかと悩む先生も多い。歯科用ユニットは日々の診療を支える心臓部であり、患者の快適さから医院の収益性まで大きく影響するだけに、その選択には頭を悩ませるであろう。

本記事では、そうした悩みを抱える先生方に向けて、歯科用ユニット選びの「臨床的ヒント」と「経営的戦略」の両面を提供する。日本で広く使われているヨシダ製ユニットの価格相場や特徴を中心に、主要メーカー各社のチェアを徹底比較し、歯科医師としての治療スタイルと経営者としての採算性の双方で納得できる最適な1台を見極める手助けをしたい。診療現場で20年以上ユニットに向き合ってきた経験にもとづき、臨床の勘所と医院経営の視点から解説していく。

ヨシダを含む主要ユニットの比較早見表

歯科用ユニットは各社から多彩なモデルが販売されている。それぞれ患者の快適性や操作性といった臨床面の特徴と、価格やサポートなど経営面のポイントに違いがある。まず代表的な製品をいくつかピックアップし、主要なスペックと特色をまとめた。

製品名 (メーカー)参考価格(税込)臨床面の特徴経営面のポイント
ユニットType C(ヨシダ)約400万円前後 ※仕様によるキャビネット一体型で空間を自由にレイアウト可能。多彩なカラー・形状選択肢パーツ標準保証5年(延長で最長10年)。診療スペースを有効活用でき小規模医院向き
シグノ T500(モリタ)約400万円~人間工学に基づく安定したシート姿勢。昇降時もショックレスで滑らかな動作老舗メーカーによる高い信頼性。全国対応のサポート体制で長期運用でも安心
CIERTO シエルト(タカラ)約420万円~フットステップのない低床設計で高齢者も乗降しやすい。洗練されたデザイン国内導入数が多く実績豊富。電話・訪問対応の手厚いサポートで導入後も安心
EOM和 Nagomi(GC)約530万円(標準仕様)給水ライン自動洗浄など衛生管理機能を標準搭載。抹茶色など和テイストの独自色標準保証3年+延長パックあり。徹底した感染対策で院内感染リスク低減と患者信頼向上
エステチカ E30(カボ)約300万~350万円程度必要十分な機能を備えたエントリーモデル。シンプル操作と多彩なカラーバリエーション海外製としては導入ハードル低めの価格帯。国内代理店による電話サポートあり
A-dec ユニット(Ivoclar)約500万円前後高耐久コンポーネントで故障が少ない。チェア背薄型で術者の足元スペース広い5年保証(条件付き)でランニングコスト削減。東京圏内なら修理出張費も無料

※上記価格はあくまで目安である。実際の販売価格は構成や交渉条件により変動するため、詳細は各メーカーや販売店に問い合わせいただきたい。また、価格には設置工事費や付帯設備費用は含まれていない点にも注意が必要である。

各ユニットの特徴を見ても分かるように、「患者さんに優しい設計」「術者の使いやすさ」「高度な機能性」「衛生管理」「価格・サポート体制」など、評価すべきポイントは多岐にわたる。以下では臨床面と経営面の両観点から、ユニット選びの比較軸となる主なポイントを掘り下げて解説する。

歯科ユニット比較のポイント

患者の乗り降りやすさと快適性

高額なユニットを導入しても、患者が「座りにくい」「長時間座るとつらい」と感じてしまっては本末転倒である。まず重視すべきは患者の肉体的・心理的な負担の少なさである。ユニットのシート高が低く設定できれば、ご高齢の方や小児でも容易に着座・離脱できる。例えばヨシダのユニットType C(ノバ セリオα搭載モデル)の場合、最低位約380mmと非常に低く沈めることが可能である。タカラベルモントのCIERTOではフットステップ(足載せ台)自体を無くし、椅子に横付けするように腰かけられる構造を実現している。これらの工夫により、足腰の弱い患者でも安心して移乗できる環境を提供できるのだ。

患者の快適性という点では、チェアのクッション性や体圧分散も重要である。長時間の治療でも患者が体を強張らせずリラックスできるよう、各社ともシート素材や形状に工夫を凝らしている。たとえばモリタのシグノT500は人間工学に基づき、仰臥位になっても不自然な姿勢になりにくい背もたれ形状を採用している。タカラベルモントのシエルトは背もたれを倒した際にレッグレスト(脚乗せ)が足先まで連動して持ち上がり、患者の脚をしっかり支える。これにより足がぶらつかず安定した姿勢で治療を受けられるため、長時間でも苦痛が軽減するのである。また、シート表皮の質感やデザインも無視できない。ヨシダやカボではカラーバリエーションが豊富に用意され、GCのNagomiは「抹茶」や「栗色」など和テイストの独自色を展開している。院内インテリアに調和したカラーを選べば患者にとって居心地の良い空間となり、リラックス効果や医院イメージ向上にもつながるだろう。

術者にとっての可動域・操作性と診療効率

患者の姿勢だけでなく、術者自身が無理なくベストな体勢で治療できるかもユニット選びの極めて重要なポイントである。チェアの最高位が十分高くなる製品であれば、術者が立位で処置したい場面(例えば外科処置や印象採得時など)でも腰をかがめず対応できる。ヨシダのセリオMuシリーズはチェア最高位が800~835mmと非常に高く設定可能で、立位診療に対応できると謳っている。一方で最低位も低いほど、小柄な術者や下顎の処置の際に姿勢を屈めずに済み、術者の腰や首への負担軽減につながる。モリタやカボのユニットは最低位400mm前後、最高位800mm程度と可動域が広い設計で、様々な体格の術者・患者に合わせて細やかなポジショニングができるようになっている。

また、チェアの動作の滑らかさも診療効率を左右する点だ。急激なスタート・ストップで椅子が揺れるようだと、患者が驚くだけでなく細かな治療操作にも支障が出かねない。モリタのシグノT500やヨシダの一部機種(クレストシリーズ等)では、昇降や背もたれの動きを減速して衝撃を抑える「ショックレス機構」が搭載されている。これによりチェア位置を微調整する際も振動が伝わりにくく、術者は治療に集中しやすい。治療中に患者の体勢を変えたい場合でも、静かで穏やかな動作なら患者の不安を煽らずスムーズに再開できるだろう。

操作性という観点では、ドクターユニット(手元の器具テーブル)の配置や操作盤の使いやすさも見逃せない。ユニットType Cのようにキャビネット一体型の場合、器具トレイを左右どちらにも配置できたり、ユニット上にPCモニターを置くスペースを確保できたりと、診療スタイルに合わせた柔軟なレイアウトが可能である。一方、可動式のテーブル(いわゆるスイングアームタイプやカートタイプ)は術中の細かな位置調整がしやすく、治療ポジションごとに器具を手元に引き寄せられる強みがある。カボのエステチカE30はテーブル型とスイングアーム型を選択でき、どの診療ポジションでも移動が容易な設計だ。さらに操作パネルのUIも重要で、近年は直感的に扱えるシンプルなボタン配置やタッチパネル式の表示を採用する機種が増えている。ヨシダの新モデルやGCのNagomiでは、必要最低限のボタン数に絞ったり、表示をカラー化して誰でも迷わず操作しやすい工夫がなされている。機器の扱いに手間取らなければ、アシスタントを含めたスタッフ全員のオペレーションミス削減とチェアタイム短縮に直結する。ユニットそのものの性能だけでなく、人間が扱いやすいデザインかどうかも、診療効率に大きな影響を与えるのだ。

機能の拡張性とデジタル対応

歯科用ユニットは治療用チェアであると同時に、様々な機器を搭載するプラットフォームでもある。現在提供している診療だけでなく、将来的に新たな技術やメニューを導入する可能性まで視野に入れるなら、ユニットの機能拡張性やデジタル対応力も比較の重要な軸となる。

まず注目すべきは、標準搭載またはオプションで組み込める治療機器の種類である。多くのユニットはタービン用ハンドピースやマイクロモーター、スケーラー等を複数ポート備えており、必要に応じて超音波スケーラーや電動麻酔器、光重合器などを内蔵・設置できる。例えばGCのEOM和(Nagomi)はエアフロー(歯面清掃用のエアパウダーデバイス)を標準で内蔵しており、予防処置を効率よく行えるよう工夫されている。ヨシダの上位機種セリオKLでは根管治療用の電動エンドモーターを標準搭載し、エンド治療もユニットだけで対応可能だ。こうした専用機器が組み込まれていれば、別途スタンド型機器を置く必要が減り、ユニット周りを整理できるとともに治療の切り替えがスムーズになるメリットがある。

デジタル機器との連携も重要なポイントだ。口腔内カメラや説明用モニターを使ったビジュアルな情報提供は、昨今の患者説明・インフォームドコンセントに欠かせない。ユニットType Cはキャビネット上部にモニターやPCを配置しやすい設計で、治療中でも画面を見せながら患者とコミュニケーションを取ることができる。また、ヨシダのSEIGA NVやモリタの一部機種では手術用顕微鏡や一眼レフカメラをユニットにマウントできるオプションも用意されている。デジタル化が進む歯科医療において、ユニットが各種機器のハブとなり得るかは医院の将来像に関わる問題である。たとえば将来口腔内スキャナーやCAD/CAM機器を導入する場合でも、ユニット周りにそれらを置くスペースや電源・配線経路が確保できるか、器具トレイにスキャナーを置いて使える十分なスペースと耐荷重があるか、といった点を確認しておきたい。

さらに診療スタイルの多様化への対応力も比較しておこう。例えば、ユニットを活用したカウンセリング特化型の診療や、歯科衛生士が主体となる予防専用ユニットの設置など、将来的にユニットの使われ方が変わる可能性もある。ヨシダのNovaシーズンズα DH Selectのように歯科衛生士のためのユニットと銘打った製品も登場しており、予防処置に最適化された配置や器具構成が特徴だ。もし開業当初は保険診療中心でも、後々ホワイトニングやインプラント手術といった自費診療を拡充したいと考えるなら、それに堪えうる拡張性の高いユニットを選んでおくことが重要になる。反対に、「シンプルな保険診療ができれば十分」と割り切れるなら、敢えて多機能な高額機種に投資せず最低限の機能に絞ったユニットで初期コストを抑える戦略も合理的だ。将来の展望と照らし合わせて、ユニットにどこまでの機能を求めるか、その優先順位を明確にすることが賢明である。

衛生管理とメンテナンス性

患者にもスタッフにも安心な診療環境を提供し、かつ機器を長持ちさせるには、ユニットの衛生管理とメンテナンスも大きな課題となる。ユニット内部の配管や排水ラインは、日々の使用でバイオフィルムの蓄積や水垢がどうしても発生するため、定期的な清掃・消毒が不可欠だ。最近の高性能ユニットはこの点で大きく進歩しており、GCのNagomiが搭載するような自動給水管路洗浄システムを標準装備する製品も現れている。過酸化水素と銀イオンを用いた洗浄液をボタン一つで管内に循環させ、使用後のユニット内水系をクリーンに保てる仕組みである。配管洗浄中は患者にも見えるようにライトが点灯する演出があり、「衛生的な水を使っています」という安心感を視覚的に伝える効果も狙っている。

また、日常の清掃作業がどれだけ簡便に行えるかも見逃せないポイントだ。スピットンボウル(うがい用の洗口鉢)が着脱可能なユニットであれば、取り外して丸洗いできるため毎日の清掃が苦にならない。カボのE30やヨシダのクレストネオなど多くの機種で、ボウルを工具不要で外せる構造を採用している。タカラベルモントのシエルトではボウル自体が患者側に回転するため、使用後の水跳ねが少なく周囲を汚しにくい工夫もされている。さらに配管内の残留水を自動排出・乾燥させる機能や、吸引ホース内を洗浄する機構を備えたユニットもある。こうしたシステムがあればスタッフの清掃負担は大きく軽減され、診療後の後片付け時間を短縮できるとともに、院内感染リスクの低減にもつながる。価格に直結しない地味な部分ではあるが、毎日の積み重ねで差が出るポイントだけに、メーカー各社が工夫を凝らしている領域だ。

ユニットの耐久性と保守のしやすさも経営上は無視できない。診療ユニットは一般に10年以上の長期使用が前提となる設備であり、部品の摩耗や経年劣化への備えが重要になる。例えばA-dec(Ivoclar社が国内展開)のユニットは「耐久性の高さ」に定評があり、実際に航空母艦内でも使われるほど堅牢であると宣伝されている。頻繁に故障しないようシンプルかつタフな構造にし、万一不具合が生じても主要パーツはモジュール化され交換が容易になるよう設計されている。モリタやヨシダなど国内メーカーは、全国にサービスマンを配置したアフターサポート網を持ち、トラブル発生時の現地対応スピードを重視している。ヨシダはユニット本体やシートなどの主要部品に標準5年保証を付与し、所定の手続きを踏めば最長10年まで保証延長が可能だ。長田電機(オサダ)のユニットも3~5年保証を謳っており、メーカーごとに保証期間・内容は様々である。保証期間内であれば部品代や修理代を無償にできるケースも多く、長期的なランニングコストに大きく影響するため見逃せない。

耐久性やサポート体制を比較する際は、保証だけでなく消耗品・交換部品の入手性も確認しておきたい。国内大手メーカー製なら10年以上前の旧機種でも部品在庫が確保されている場合が多く、修理対応も期待しやすい。逆に海外製や小規模メーカー製だと、「古いモデルの部品が国内にない」「トラブル時に海外から取り寄せるので時間がかかる」といった事態も起こり得る。特に地方開業医にとって、ユニット故障で診療停止ともなれば患者対応や収入面で大打撃となるため、万全のサポート体制かどうかは価格以上に重視すべきポイントと言える。各社ともカタログやウェブでサポート内容を公開しているので、出張修理の可否や費用、定期点検サービスの有無などを事前に比較しておこう。

導入コストと経営上の投資対効果

最後に、やはり避けて通れないのが価格と投資対効果(ROI)の問題である。歯科用ユニット1台の価格相場はおおよそ200万~500万円とされ、クリニックにとって設備投資の中でも特に高額な部類に入る【※】。そのため、「最安のものを選んで初期費用を抑えたい」という考え方は確かに合理的に思える。しかし一方で、価格だけで判断するリスクも忘れてはならない。極端に安価な海外製ユニット(100万円台など)には魅力もあるが、性能や耐久性・サポートに大きな差があっては結局早期に買い替えとなり、長い目で見れば割高になってしまうこともあり得る。

ROIを考える上では、初期費用とランニングコストのバランスを把握することが肝要である。例えばA-decユニットのように購入価格はやや高めでも5年間の長期保証や保守サービス込みであれば、故障による追加出費や休診リスクが減り、結果的に安定した収益を得やすい。また、ヨシダのユニットType Cのように空間効率が高いユニットなら、限られた診療室面積でも機能的なレイアウトを実現できるため、チェア増設や動線改善による収益向上につながる可能性がある。具体的には、従来1台しか置けなかったスペースにキャビネット一体型で省スペースなType Cを導入すれば、もう1台予防専用チェアを追加設置できる、といったケースも考えられる。チェア台数が増えれば単純に1日あたり診療できる患者数も増加し、投資回収が加速するだろう。

ユニットの違いが生産性や患者満足度に与える影響にも目を向けたい。例えば、患者が快適に過ごせるチェアを導入すれば、長時間の自費治療(インプラントの手術や複数歯の一括補綴など)でも患者の負担が減り、治療を1回で完了しやすくなる可能性がある。通院回数の短縮は患者満足度を高め、紹介やリピートにつながるだろう。また、上質でデザイン性の高いユニットはクリニックのブランディングにも寄与する。ラグジュアリーな空間で最新の設備を揃えていれば、「ここなら高度で安心な治療が受けられそうだ」という印象を与え、自費率アップや新患獲得の一助となり得る。逆に古びたユニットでギシギシ音を立てているようでは、患者の不安感を煽り信頼を損ねかねない。設備投資は患者への見えないメッセージでもあることを念頭に置こう。

もちろん、クリニックの経営戦略によって最適解は異なる。保険診療主体で回転率を上げる方針なら、チェアタイム短縮に寄与する信頼性の高いユニットが望ましいし、高額自費治療で収益を上げるなら、患者満足度を最大化する快適性や付加価値に投資する意義は大きい。大切なのは、目先の価格に一喜一憂するのでなく、中長期的な収支シミュレーションの中でユニット導入の価値を捉えることである。仮に100万円高いユニットを導入しても、それによって1日あたりの患者受け入れ数が増えたり治療単価が向上したりするのであれば、数年で十分ペイできる可能性がある。反対に、安価なユニットで頻繁にトラブルが起きて診療機会を逸するようでは、本末転倒である。

最後に補足しておきたいのは、価格交渉や導入方法の工夫である。歯科ユニットの価格は定価設定こそあるものの、実際の販売価格はディーラーとの交渉次第という側面が大きい。複数台まとめて購入したり、他の機器(レントゲンやユニット周辺機器)と同時発注したりすれば、値引きやサービス追加を引き出せる余地がある。新規開業であれば尚更、複数メーカーの見積もりを比較し、同程度の仕様で競合させることも重要だ。また、購入以外にリース契約で導入する方法もある。リースなら初期費用を大幅に抑えられ、月々の固定費として計上できるため資金繰りが楽になるメリットがある(契約内容によっては保守費込みにできる場合もある)。一方、最終的な支払総額はリース利息分だけ高くなる点や、中途解約が難しい点には注意が必要だ。中古ユニットの活用も検討の余地はあるが、使用年数やメンテ履歴によって当たり外れが大きいため、信頼できる業者から十分整備された中古品を入手することが前提となる。導入コストを抑える方法はいくつか存在するが、それぞれメリット・デメリットがあるので、自院の状況に合った手法を選びたい。

以上、臨床・経営の両面から歯科用ユニットの比較ポイントを見てきた。次章では、具体的な製品ごとの特徴と、そのユニットが「どんな歯科医師にマッチするか」を考察する。先生ご自身の診療哲学や医院の方針に照らし合わせながら、ご覧いただきたい。

おすすめ歯科用ユニットの徹底比較

ここからは、前章で挙げたポイントを踏まえて代表的な歯科ユニット各製品の特徴を確認しよう。それぞれ強みと弱みを客観的に整理し、どのようなニーズに適しているかを解説する。今回は国内で導入の多い主要メーカーを中心に取り上げるが、先生の興味のあるメーカー・モデルがあれば、その点も踏まえて読み進めてほしい。

ユニットType C(ヨシダ)キャビネット一体型で空間を自在に設計できる

ヨシダの「ユニットType C」は、キャビネットと診療ユニットが一体化した独自のレイアウト自由度が最大の特徴である。ユニット本体横に大型のキャビネットが直結しており、その上部や側面にモニター、PC、トレイ、器具収納などを思い通りに配置できる。パーテーション(仕切り板)の高さも「HIGHタイプ」と「LOWタイプ」から選択可能で、HIGHなら収納棚をたっぷり備えて機材を隠しつつ院内レイアウトの区切りにもなり、LOWなら開放的で圧迫感のない空間を演出できる。シート部分には上位機種のNovaシリーズ(ノバ セリオα 等)やSerio Muシリーズを組み合わせることができ、チェアの可動域・操作性など臨床性能も申し分ない。特にノバ セリオα仕様では、チェアの静音・低振動設計やシンプル操作パネルなど患者と術者双方に優しい機能が充実している。カラーコーディネートはヨシダの他モデル同様にシート・キャビネット・カバーの色を自由に組み合わせ可能で、その組み合わせは1,000通り以上にも及ぶ。医院の内装コンセプトに合わせてオーダーメイド感覚でデザインできるユニットである。

一方、Type Cの弱点として挙げられるのは、キャビネット一体型ゆえに設置にある程度のスペースと綿密なレイアウト計画が必要な点だ。ユニットと収納キャビネットが一塊になっているため、設計段階で配管や電源の位置をしっかり決めておかないと後から動かすのは難しい。また初期導入コストも、キャビネット込みであるぶん一般的なチェア単体モデルより高額になる傾向がある。ただし、収納棚やパソコン台など別途家具を揃える費用が削減でき、診療空間を省スペース化できるメリットを考えれば、トータルでは合理的な投資と言える。Type Cは「診療室のレイアウトを自分の理想通りに作り込みたい」という開業医にこそ適したユニットである。例えば、限られた空間を有効活用してユニット周りに診療用コンソールを集約したい場合や、デジタル機器を組み込んでスマートな診療環境を整えたい場合に、この自由度の高さは大きな武器となる。逆に、既存レイアウトにとりあえずポンと椅子だけ置ければ良いという場合にはオーバースペックかもしれない。Type Cは空間デザインや機能美にこだわりがある先生にとって、投資を惜しむ価値のあるユニットである。

シグノ T500(モリタ)人間工学設計で患者にも術者にも優しい

モリタの「シグノ T500」は、日本のみならず世界的に評価の高い信頼のモリタブランドを受け継ぐフラッグシップユニットだ。その最大の特長は、人間工学(エルゴノミクス)に根ざした抜群の安定感と使い心地にある。シートは患者の体型にフィットする独自形状で、背もたれを倒しても姿勢が大きく崩れず、長時間でも患者に負担を感じさせない設計となっている。昇降動作には前述のショックレス機構を搭載し、上下移動の際の微振動・衝撃を極限まで抑えている。最低位400mm・最高位800mmという広いストロークと相まって、子どもから高齢者まで安心して乗降でき、術者も座位・立位を問わず自然な姿勢で治療に臨めるだろう。

操作性の面でもシグノT500は練り込まれている。器具テーブルは使い勝手の良いチェアマウント型(固定テーブル)と可動アーム型が選択可能で、どちらも治療ポジションに応じて柔軟にアプローチできるよう工夫されている。照明にはLED無影灯を採用し、手元と口腔内を明るく照らすことで視野を確保している。足元のフットコントローラーや手元のスイッチ配置も直感的で、初めて使うスタッフでも迷いにくい。さらに8色のシートカラー展開があり、医院の雰囲気に合わせてコーディネートが楽しめるのも嬉しいポイントだ。「機能の押し売り」はせず基本性能を極めるというモリタの設計思想が随所に感じられるユニットである。

弱点らしい弱点は見当たらないが、強いて言えば最新ガジェット的な派手さはない。例えばデジタルカメラのモニター連動や特殊な治療デバイス内蔵などは特筆していない。T500には兄弟機として一部機能を絞って価格を抑えた「シグノ T300」もラインナップされており、そちらはエンドモーター搭載等の高度機能を省いたシンプル版となっている。モリタは品質と安定動作を最重視するメーカーであり、T500もまさに「スタンダードの究極形」といえる一台だ。「とにかく信頼できるユニットが欲しい。余計な機能はいらない」という先生には最適である。長年培われたブランド力と全国サポート網も安心感につながるため、開業時にまず選んでおけば大きな間違いのない無難な選択となるだろう。一方、最新のICT連携やデジタルデバイス統合を積極的に進めたい先生が物足りなさを感じる可能性はある。しかしその場合も、モリタ製品は他社機器との相性も良く、後付けで顕微鏡やカメラを増設して使っている医院も多い。長期にわたり腰を据えて付き合える相棒として、シグノT500は多くの歯科医師から支持を受けている。

CIERTO(シエルト)(タカラベルモント)フットステップレスの洗練デザイン

タカラベルモントの「CIERTO(シエルト)」は、同社の考える次世代スタンダードユニットとして登場した意欲作である。最大の特徴は、前述のようにフットステップを廃した低床設計にある。チェア前方に足置き台が無いので、患者さんは椅子の横からそのまま腰掛けるように着座できる。最低位は約450mmと低く、車椅子からの移乗や足の不自由な高齢患者でも容易に腰掛け可能だ。チェアを倒した際にはレッグレスト部が自動で足先まで伸び、患者の下肢を包み込むように支えるため、水平に近い体勢でも腰や膝への負担を感じにくい。この患者ファーストの設計は、ベテラン開業医のみならず介護・訪問診療分野からも注目を集めている。

デザイン面でもシエルトは洗練されている。無駄を削ぎ落としたシンプルで丸みのあるフォルムは、診療空間にスタイリッシュな印象を与える。カラーバリエーションも複数あり、クリニックの内装テーマに合わせて選択可能だ。機能面では、回転式の洗口ボウルや強力なバキューム吸引など、患者利便と感染対策に配慮した装備が整う。テーブルやアームの耐荷重も大きく、重めの機器を載せても安定するため、例えばタブレット端末や拡大鏡なども手元に置いたまま使用できる。操作パネルは必要最小限にまとめられ、誰でも直感的に扱える。これらはタカラベルモントが美容業界(理美容椅子)で培った人間工学的センスと、歯科領域での長年の経験が融合した結果と言えよう。

シエルトの留意点としては、その優れた設計ゆえに需要が高く価格も比較的高額であることが挙げられる。先進的コンセプトを謳う製品だけに定価も400万円台中頃とヨシダやモリタの同クラス製品よりやや上だが、それでも全国各地の歯科医院で導入が進んでいるのは、費用以上に得られる価値が評価されている証拠でもある。「患者サービスを最優先に、ユニットもクリニックの売りにしたい」という医院にはまさにうってつけだ。例えば高齢者に優しい歯科医院を標榜するなら、シエルトの乗降しやすさは大きな強みとなるだろう。逆に、診療スペースが極端に手狭でキャビネット一体型が必要な場合や、より低価格帯で複数台導入したい場合には、同社の他モデル(従来のBELMONTシリーズなど)や他社製も含め検討した方が良いかもしれない。とはいえ、タカラベルモントの信頼性と最新設計を両立したシエルトは、幅広い歯科医から「導入して良かった」との声が聞かれる注目機種である。

EOM和(なごみ)(GC)徹底した衛生管理と和の美しさが光る

歯科材料大手のGCが手掛ける「EOM和-なごみ」は、ユニット新参入ながら独創的なコンセプトで存在感を放つ製品である。「和」と名付けられている通り、調和と安心感をキーワードに、患者・術者・スタッフすべてに優しいユニットを目指して開発された。まず目を引くのが、そのカラーリングとデザインだ。標準色の「抹茶(グリーン)」「紅(エンジ)」「栗(ブラウン)」はいずれも和を感じさせる落ち着いた色調で、オプション特別色の「真珠(パールホワイト)」と合わせ4色展開となっている。他社にはないカラーバリエーションで、クリニックに高級旅館のような和モダンの雰囲気を演出できる。患者からすれば歯科医院特有の緊張感が和らぎ、リラクゼーション効果も期待できそうだ。

機能面でもNagomiは随所にユニークな工夫が凝らされている。最大の特徴は徹底した衛生管理システムで、ユニット内蔵の「ツインターボクリーナーII」により給水ラインの自動洗浄を標準搭載している点だ。過酸化水素と銀イオンを組み合わせた洗浄液をワンタッチ操作で巡回させ、使用後に配管内を洗浄・すすぎすることで水を清潔に保つ。洗浄中は青くライトが光り、患者にも「クリーンな水を使用中」であることが一目で分かる仕掛けだ。また、コップ給水部にはエアーカーテンの技術を採用している。コップに水を注ぐ際に空気の幕で覆い、塵埃の混入を防ぐとともに、患者がコップを取る際に手にエアーが当たることで「清潔な水が守られている」と体感できるようになっている。こうした細部へのこだわりはさすが歯科医療界随一の品質志向メーカーと言える。

基本性能についても抜かりはない。チェア可動域は広く、対面診療から12時方向診療まで多様な術式に対応可能なアーム可動を実現している。術者台・アシスタント台ともに操作しやすい配置で、グライドアーム式のテーブルは動きがスムーズだ。標準で3年間の保証が付帯し、オプションで安心サポートパックに加入すれば保証延長や定期メンテナンスも受けられる。弱点としては、フルスペックを詰め込んでいるぶんユニット価格が割高なことである。定価ベースでは500万円近くと国産ユニット最高峰の価格帯であり、小規模開業医が複数台導入するにはハードルが高い。しかし、感染予防に強い関心が集まる現代において、Nagomiが持つ「見える安心」「見える清潔」という価値は絶大だ。例えば、院内感染防止を全面に打ち出す滅菌徹底型のクリニックや、高級志向で他院との差別化を図りたい自費中心のクリニックには、投資以上のリターンをもたらす可能性がある。「患者にもスタッフにも衛生的で安全な診療環境を提供したい」という理念を持つ先生にとって、EOM和-なごみは非常に魅力的な選択肢となるだろう。逆に、初期費用重視でそこまで高度な衛生機能は不要という場合には、他メーカーの標準的なユニットで十分と考えられる。GC Nagomiは、クリニックのブランドイメージ向上と感染対策強化を両立させたい経営者的視点を持つ歯科医師にこそマッチする尖った製品である。

エステチカ E30(カボ)使いやすさと高性能を両立したエントリーモデル

ドイツに本拠を置くKaVo社(国内法人:カボデンタルシステムズ)が提供する「エステチカ E30」は、“Dental Excellence at affordable entry-level pricing”(手の届く価格で優れた歯科医療を)をコンセプトに開発されたモデルである。すなわち、カボの誇る高品質・高性能を維持しつつ、価格を抑えより幅広いユーザーに導入しやすくした入門機的位置づけのユニットだ。

E30最大の特徴は、堅牢なドイツ品質とシンプルな操作性がバランス良く融合している点である。チェア部分は350mm~830mmという広い昇降範囲を誇り、小柄な患者から大柄な患者、座位から立位の術者姿勢まであらゆる場面にフィットする。背もたれは薄型ながら剛性が高く、術者がチェア下に足を入れて近づきやすい設計だ。ドクターテーブルはテーブルトップ型(E30T)とスイングアーム型(E30S)を選択可能で、どちらもシンプルで直観的なインターフェースとなっている。余分なボタン類を省き、扱いやすさに重点を置いているため、新人スタッフでも戸惑わず使いこなせるだろう。

カボならではの特徴として、強力な吸引力のバキュームシステムが挙げられる。吸引効率が高いため、スプレー水や唾液の飛散を最小限に抑えられ、感染リスクの低減に寄与する。また、給水・注水にはオプションで微温水(体温程度に温めた水)を供給する機能を付けることができ、知覚過敏の患者でもうがいや洗浄時にしみる不快感が少ないよう配慮できる。このように痒い所に手が届く細やかな機能も用意されている。カラーバリエーションもヨーロッパメーカーらしく豊富で、パネルとシートを自由に組み合わせることで、自院の雰囲気に合ったカラーデザインを楽しめる。例えばシートを落ち着いたグレーにし、パネルを白にすることで清潔感と高級感を両立させたり、あえてビビッドな色でポップな印象にしたりと自由度が高い。

エントリーモデルとはいえ、E30の品質と性能は国内製品に引けを取らない。強いて短所を挙げるなら、メーカーサポート体制が国内大手に比べ限定的な点かもしれない。カボの国内サポートは基本的に電話対応が中心で、実際の修理や点検は販売代理店経由となる場合が多い。主要都市圏では問題ないが、地域によっては迅速なサービスマン派遣が難しいケースもあるかもしれない。そのため、導入に当たっては販売店との信頼関係や、万一のトラブル時の対応範囲を確認しておくと安心だ。それでも、E30は「信頼のドイツ製を使いたいが超高級機種は手が出ない」という開業医にとって格好の選択肢である。たとえば、他院との差別化に海外メーカーのブランドを取り入れたい場合や、将来的にカボの先進的なハンドピース類を導入する予定がある場合には、同じメーカーのユニットを選んでおくメリットは大きい。逆に、国内メーカーの手厚いサポート重視派や、最新鋭のAI・デジタル統合機能までフル装備を求める場合には、上位モデル(カボならEstetica E70/E80シリーズなど)や他社のハイエンド機種が適しているかもしれない。総じてEstetica E30は、必要十分な機能と堅実な品質をワールドワイドな視点で手に入れたいと考える先生におすすめできるユニットだ。

A-dec ユニット(Ivoclar Vivadent)耐久性と長期保証で安心の運用

A-dec(エーデック)はアメリカ発祥の歯科ユニットブランドで、その製品は「壊れにくく長持ちするチェア」として長年の定評がある。日本国内ではIvoclar Vivadent社が販売・サポートを担い、A-dec 500や400シリーズといったモデルが展開されている。A-decユニット最大の特徴は、堅牢なつくりと手厚い保証サービスによる安心感である。

具体的には、A-dec社製チェア・ユニット本体に対し一律5年間の保証が付帯している点が大きい(ハンドピース等の周辺機器は除く)。この5年保証は単なる部品保証に留まらず、一定の条件下では出張費や技術料も含め完全無償対応となる手厚さである。例えば東京駅から100km圏内のクリニックであれば、設置日から5年間、部品代・作業料・出張費すべて無料で修理サポートが受けられる。圏外地域でも、2年目以降5年目まで出張費のみ負担でその他は無償とするなど、極めて充実した内容だ(条件や適用範囲は販売店により要確認)。このように万全のアフターサービス体制を整えることで、導入後の運用リスクを最小限に抑えている。

ユニット自体の性能も堅実そのものだ。チェアの背もたれは超薄型で作られており、術者はチェア下に膝をしっかり入れて楽な姿勢での上顎臼歯処置が可能となっている。ヘッドレストもスリムで可動域が広く、患者の頭部から頸部にかけて安定して支持しつつ、術野の確保を助けるデザインだ。油圧シリンダーや各可動部の部品も耐久試験を繰り返し、長年使ってもたわみやガタつきが出にくいよう高精度に製造されている。シンプルかつ直感的なフットペダル操作でチェアポジションメモリーも呼び出せ、複雑な電子機構に頼らずとも使い勝手と信頼性を両立している点にアメリカらしい合理性が感じられる。

A-decの弱点を挙げるとすれば、購入初期費用がやや高めなことと、機能面で派手さがないことだ。定価ベースでは500万円前後からとなり、一見すると国産の多機能機種と同程度かそれ以上の投資となる。しかし前述の保証内容や滅多に壊れない実績を考慮すれば、長期的な維持費込みで見れば決して高くないとも言える。また、衛生管理機能やデジタル連携など最近トレンドの部分で特筆すべきギミックはないが、それは裏を返せば余計な複雑さがなく壊れにくいとも解釈できる。A-decは「ユニットに求めるのは安定稼働と患者の安心感。それ以上は望まない」という硬派な先生にフィットする製品だ。特に1台のチェアで多くの患者をまわすような忙しいクリニックでは、A-decの稼働安定性は大きな味方になるだろう。逆に、多機能な国産ユニットに比べるとカスタマイズ性や意匠性でやや寂しく映る場合もある。例えばユニット自体を医院の広告塔にしたいようなケースでは、他社のデザイン性豊かなモデルの方がアピールになるかもしれない。しかし、「縁の下の力持ち」として診療を支えるタフなユニットという点で、A-decは一歩抜きん出た存在である。なお、導入に際しては前述の保証条件が地域により異なるため、販売店とサポート範囲を確認しておくことをお勧めする。総じてA-decユニットは、長期的視野で設備投資のリスクヘッジを図りたい歯科医師にとって有力な選択肢となり得るだろう。

よくある質問(FAQ)

Q. ユニットの寿命はどのくらいか?いつ買い替えるべき?
A. 一般的に歯科用ユニットの耐用年数は10~15年程度とされることが多い。適切にメンテナンスしていれば20年以上使用例もあるが、製品によって部品供給期間も異なるため注意が必要である。買い替えの目安としては、主要部品の故障が続いたり、サポート終了で部品入手が困難になったりしたタイミングが一つの判断基準である。また、新しい治療機器に対応できない古いユニットは診療効率の面でも不利になるため、診療コンセプトの変化や技術進歩に合わせて更新を検討するとよい。定期点検で劣化状況を把握しつつ、大きな修理が必要になる前に計画的にリプレースするのが望ましい。

Q. 中古の歯科ユニットを購入するのはあり?
A. 予算を抑える手段として中古ユニットの導入は選択肢の一つである。ただし、中古品は前使用者の使い方や整備状況によって状態が大きく異なる。運良く程度の良い中古が見つかれば初期費用を大幅に節約できるが、購入後すぐ故障や不具合が発覚するリスクも念頭に置く必要がある。中古を検討する際は、信頼できる業者から購入し、可能であれば消耗部品の交換履歴や動作確認記録を確認しよう。また、古いモデルだとメーカーの部品保有期限が過ぎている場合もあり、修理不能になるリスクもある。総じて、中古ユニットは開業直後の繋ぎやサブユニット増設には有効だが、メインユニットとして長期間使う予定なら、新品導入による安心感との天秤で慎重に判断したい。

Q. ユニットをリースで導入するメリット・デメリットは?
A. リース導入の最大のメリットは、初期費用を大幅に抑えられる点である。頭金不要で月々の定額リース料を支払う形となるため、開業時の資金負担が軽減できる。またリース料は経費計上できるため税務上のメリットもある。さらに契約内容によっては保守サービス込みのプランもあり、故障時の修理代なども含めて月額料金化できる場合がある。一方デメリットとしては、最終的な支払総額が購入より割高になることが挙げられる。リース会社の手数料や金利相当分が上乗せされるため、例えば5年リース満了時の総支払額は現金購入価格を上回る。また、契約期間中は原則途中解約できず、使わなくなっても支払いが継続する点にも注意が必要だ。総合すると、開業時の資金繰りが厳しい場合や、機器を所有資産とせず定期的に入れ替えたい場合にはリースが有効だが、長期的には購入の方が安くつくケースもある。医院の資金計画や今後の設備投資計画に照らし合わせて判断すると良い。

Q. 手元のハンドピースや機器はメーカーを揃えないと使えない?
A. 基本的に歯科用ユニットとハンドピースのメーカーは統一する必要はない。ハンドピースやスケーラーの接続部は国際規格(例えばタービンのBorden式・Midwest式カプラーなど)がある程度標準化されており、適切なアダプターやカプラーを用いれば異なるメーカー同士でも接続・使用が可能だ。ただし、一部の専用機器については注意が必要である。例えばユニット内蔵の電動モーターや超音波スケーラーは、そのユニット専用のハンドピースしか適合しない場合がある。また、メーカー純正品以外を接続すると動作保証外になるケースも考えられる。基本的には、ユニット購入時に既存のハンドピース類を引き続き使いたい旨を販売店に伝えれば、適合するカプラーや変換コネクタを提案してもらえるだろう。オールインワンの最新ユニットでない限り、ユニットと機器のメーカーが違う混合状態は多くの医院で見られるので、過度に心配する必要はない。むしろ、それぞれの得意分野の製品を組み合わせて使うことで、医院全体として最良の機材構成にすることも可能である。購入前には接続規格と互換性を確認し、必要に応じてデモ機で実際に動作チェックさせてもらうと安心だ。